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ミステリの祭典

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フリークス

作家 綾辻行人
出版日1996年04月
平均点6.51点
書評数35人

No.35 5点 パメル
(2023/11/14 06:52登録)
サイコホラーと本格ミステリへの愛を感じる、精神病院に入院する患者が描かれる3編からなる中編集。
「夢悪の手 三一三号室の患者」精神病院に入院した母親を見舞う青年・神崎忠の視点で描かれる。ラストのひっくり返し方は作者らしく闇への愛を感じられる。己のアイデンティティを崩壊させる作品。
「四〇九号室の患者」芹沢園子は、何かの事故で大怪我を負い入院していた。しかし、これは医師らが説明した話で、彼女は自分が芹沢園子だと確信を持てなかった。二転三転する展開や、そこに至る伏線の張り方は見事。サイコとアイデンティティテーマの相性の良さが分かる。
「フリークス 五六四号室の患者」小説家の私は、精神科医の桑山から、とある小説を渡される。精神病院患者が殺人事件を扱ったものを書いた小説。作中作の容疑者全員フリークであるという、文字通りの異形のフーダニットでグロテスクな描写が多い作品。「どんどん橋、落ちた」の収録の幾編かを彷彿させるような構造。

No.34 5点 じきる
(2022/10/14 15:39登録)
幻想ホラーとミステリを合わせた作品。ストーリー性よりも雰囲気を味わうような読み方の方が楽しめると思います。

No.33 3点 もち吉
(2019/07/24 13:29登録)
自分は綾辻氏の作中作の文章はわざとらしすぎてあまり好きではないのだが、この本は悪いことに3作ともが作中作をメインとした作品となっていたため、このような評価になってしまった。
まぁこの作品に限らず、大抵いつも「メイントリックの解明に至るまでがもったいぶりすぎで冗長」という印象を受けてしまって、そこがいまいち、氏の文章を好きになれない部分なのかなぁという気はする。氏の発想自体は面白いだけに、文章が好みに合わないせいで楽しめないのは残念だ。

No.32 6点 邪魅
(2017/03/25 06:46登録)
設定が設定なだけに信頼出来ない語り手であることはかなり見え見え、であるにも関わらず騙されましたね
特に二本目は中々秀逸です

表題作も変則犯人当てとして、単純ながら良く出来ています
良く考えるとそうなんですね、いや分からなかったのが悔しいですが
全編を通して綾辻行人の幻想的な文章が本作の雰囲気とマッチしていて非常に良かったです
特に第二作の狂気の描写は秀逸

No.31 5点 風桜青紫
(2015/12/21 06:06登録)
『夢魔の手~三一三号室の患者~』はアーヤの好きそうな結末が二転三転するホラーもの。月並みな話だが、まあ、そこそこ面白い。『四〇九号室の患者』は某フランスミステリのオマージュ。途中で明かされる「なにやっとんねん」な真相には苦笑い。しかしオチは月並みでやや呆れた。フランスミステリっぽいのならアーヤよか連城のがいいかな。そういやこの作品、連城からツッコミくらったんだっけ。わかる気がする(笑)。『フリークス~五六四号室の患者~』はホラーの皮を被った本格ミステリ。ネタ本であろう『孤島の鬼』はビックリ人間大集合みたいなハチャメチャ作品なんだが、こっちはジトッとしたフリークスの物悲しさを演出しているらしい。そんなに幻想味うんぬん良さは感じんかったのだが、ややマニアックな犯人当て小説としては楽しめた。暗黒館でプッシュされてたアーヤのビックリ人間趣味がちょっと出てきてるかな。それでもこのあたりはまだミステリの一線を守ってる感じがする。アーヤには、このタイプの短編をもっと期待したいんだが……。

No.30 6点 斎藤警部
(2015/11/09 12:20登録)
「フリーセックス」たぁこれまた綾パンらしからぬ著書を、と思ったら空目でした。老眼はいけんですのう。
最終作のフリークス大集合はちょっと大味でしたが、全体通して興味深く読めました。 ホラーテイスト有りサスペンス有り、しかしやはり本格でしょう。
【以下、ネタバレ的表現有り】

通しテーマがテーマだけに保身の目配りも大事でしょうが、もう少し安全網を低めに張っても行けたんじゃないかと思えた節も有り。(何もそこまで○○落ちにしなくても)

No.29 5点 蟷螂の斧
(2014/11/15 17:46登録)
①夢魔の手~三一三号室の患者~②四〇九号室の患者③フリークス~五六四号室の患者~②がオマージュ作品とのことで拝読。(単独で別途書評) 3本とも精神科の患者を題材にしているので、おおよその結末は予想できてしまいます。著者の作品の中で、オチは好みでない方の部類でした。

No.28 8点 mohicant
(2013/08/05 02:40登録)
 ホラーの皮を被った本格ミステリーだった。

No.27 7点 E-BANKER
(2012/11/14 21:56登録)
1996年、カッパノベルズとして発表された作品だが、今回角川文庫で新たに出された版で読了。
久々に綾辻作品を読んだのだが・・・

①「夢魔の手-313号室の患者」=発狂した母親の病室へ日夜見舞いに訪れる息子。ある日、彼は自身が書いた過去の日記を見つけ、読み始めるのだが・・・。ラストの捻りというかひっくり返しが強烈。短いが秀作だと思う。
②「409号室の患者」=交通事故に遭い、最愛の夫を亡くした妻。自身も大怪我を負い、顔には醜い傷が残ったという強迫観念に襲われる。妻の手記を読み進める形で進行する本作だが、ラストにはやはりドンデン返しが待ち受ける。作者あとがきによると、本編は京大ミステリー研時代の習作をベースにしているということなのだが、さすがにウマイね。
③「フリークス-546号室の患者」=表題作だけあってなかなかの力作。フリークス=畸形たちが織り成す殺人事件で、密室まで登場するのだが、これは本格というよりはやはりホラー寄りの作品なのだろう。得意の「作中作」を使ったプロットで、作者の企みに最後まで振り回されることになる・・・。ラストはちょっと中途半端かな。

以上3編。
これまで綾辻のホラー寄りの作品(「囁きシリーズ」や「殺人鬼」など)は意識的に避けてきたが、本作くらいからトライしてみるかと思い立ち手にしたのだが、これは読んで正解だった。
これぞまさに「綾辻ワールド」なのだろう。敢えて表現すれば「幻想的」という言葉になるのかもしれないが、独特の世界観に呑みこまれていく感覚は、やはり作者の腕の成せる業だと思う。

もちろん「館シリーズ」などの本格群が好きなのだが、本作も十分評価に値する作品。
(①~③まで同レベル。個人的には①がやや好み)

No.26 8点 メルカトル
(2012/11/07 21:50登録)
再読です。
幻想とホラー、ミステリの融合の見事さ、綾辻氏にしか書けないであろう点、異形への畏怖と憧憬、これらの要素を評価して、悩んだ挙句8点とした。
中編3作から成る作品集だが、どれも異様な雰囲気を醸しだしており、舞台が精神病院ならではのトリックが上手く取り入れられているのも評価が高い。
『四〇九号室の患者』は無論オチが分かっているのを承知の上で読んだので、やや長く感じたが、それでも面白かった。
最後の『五六四号室の患者』が最高である。これこそ綾辻氏の真骨頂と言えるのではないだろうか。
幻想小説としても本格ミステリとしても一級品だと思う、ちょっと甘いかもしれないが。
とにかくこれはお気に入りの一作である。

No.25 6点 HORNET
(2012/10/09 21:39登録)
ミステリとしての面白さ、つまり謎の解明やどんでん返しという点では前半2編、ホラー小説としては最後の表題作。相変わらずのこのテのトリックだが、本書ではよく考えられていて飽きない。そこに幻想・ホラー的な要素も加わってくるので、ある意味氏らしい作品といえる。タイプ・ジャンルとしては「眼球奇譚」と同じ?(違う?)
 あっという間に読めるし、そういう意味ではこの作家らしさを知る入門作品にしてもよいと思う。

No.24 7点 ミステリ初心者
(2012/07/28 12:03登録)
 いろいろなタイプの作品があり、かなり楽しめました。

 一番最後の作品がもっとも好きです。じっくり考えて推理すればよかったです。犯人を当てられなかったとしても。

No.23 7点 好兵衛
(2011/04/23 22:50登録)
綾辻氏の短編集は面白い気がします。
はずした館シリーズよりも全然おもしろい。

精神病院物ということで、ホラー&幻想系
ちょっと中井英夫氏風味かな
本当なのかな?精神なのかな?なにが本当なのかな?
てきな謎が楽しめると思います。

ですが、流石綾辻氏しっかりと
筋の通ったものが多いです。ちゃんと謎が解けます。
でも、最初の話しは、ちょっとその点では「?」です。

個人的には最後の本格よりの話が好きです。

No.22 5点 まさむね
(2011/02/27 14:08登録)
三編で構成される中編集。
うち,「四〇九号室の患者」は,単行本で既読。
残り2編の基本構造は,まぁ一緒ですね。舞台が精神病棟であるだけに,分からないでもないですが,やっぱりそうなっちゃいますよねぇ。不思議な読後感ではありましたが。

No.21 3点 ムラ
(2011/01/18 19:27登録)
綾辻らしいおどろおどろしい幻想がたっぷりと詰め込まれている作品でした。
しかし、それからもう一歩出ないとちょっと物足りなかった、真相も割とわかりやすいし。

No.20 7点 simo10
(2010/12/10 23:00登録)
綾辻氏のホラー中編集を久々に再読。以下の三作から構成されます。

①「夢魔の手 三一二号室の患者」:日記の中だけでもミステリが出来上がっているのがニクい。ラストのどんでんが解り辛かったけど、解った時はなるほど。三作の中で一番怖かった。
②「四0九号室の患者」:愛人の方の可能性には多くの人が早々に思い付くだろうが、さすがにその一歩先は一筋縄ではいきませんね。見事に騙されました。医師と看護師の語りが上手い。
③「フリークス 五六四号室の患者」:作中作にてミステリを仕上げつつ、作中作と現実の接点にミステリ性を仕込ませる構造が上手い。強いて言えば構造が①と被ってしまっているのが痛い。ホラー度は低目です。

No.19 10点 燕麦細胞
(2009/05/06 13:03登録)
綾辻行人にしか書くことができない傑作

No.18 5点 マニア
(2008/09/14 21:58登録)
読み終わった直後の感想はイマイチだったが、物語をよく振り返ってみるとジワジワとくる「怖さ」そして「いやらしさ」に背筋が寒くなる・・・。自分はそんな感覚を持った。

「三一三号室の患者」の結末は始め意味が分からなかった。後の「フリークス」でネタバレがあってやっと気づいた(笑)
「四〇九号室の患者」は結末が読めてしまって衝撃度はいまいち。
「フリークス」は本格色が一番強く、ホラーとミステリの融合としてはこれが一番。

No.17 6点 白い風
(2008/06/06 22:22登録)
作中に日記・推理小説が出てきてそれを元に事件を考えていきます。
精神科病棟を舞台にと特殊環境での3つの連作集。
異色作ですが、どんでん返しは期待通りでした。
ただテーマがテーマなのでメッチャ暗いです。

No.16 4点 おしょわ
(2008/03/12 22:06登録)
うーん、ホラーと本格の融合への取り組みの部分は評価しますが・・・

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