眼球綺譚 |
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作家 | 綾辻行人 |
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出版日 | 1995年10月 |
平均点 | 6.27点 |
書評数 | 26人 |
No.26 | 5点 | パメル | |
(2021/08/24 08:24登録) ホラー風味の怪奇幻想小説が楽しめる7編からなる短編集。 全編を通して、由伊という女性が登場する。それもどのストーリーでも重要な役回りをしている。ただ、同一人物ではなさそうだし、あとがきでも作者本人が、「普通に読めば彼女らが同一人物だとはとうてい考えられないはずである」と述べている。その点も何か意味ありげで不気味さを感じる。 「再生」大学の助教授の「私」は、病院の待合室で出会った教え子・咲谷由伊と結婚。由伊は彼女の持つ不思議な再生能力を語る。 「呼子池の怪魚」「私」は呼子池で釣った奇妙な魚を家で飼うことに。ある日、魚の形に変化が。 「特別料理」ゲテモノ食いの「私」は、咲谷と名乗る男にその筋でも有名な店を紹介される。 「バースデー・プレゼント」今年のクリスマスは由伊の20歳の誕生日。大学で所属している文芸サークルのパーティー兼忘年会に向かう由伊だが、昨晩の夢が気になって。 「鉄橋」2組の大学生のカップルが電車で避暑地へ。女神川鉄橋に差し掛かろうとする頃、小島秀武が怪談を始める。 「人形」作家の「私」は、久々に実家に帰り、河原を散歩していた時、奇妙なのっぺらぼうの人形を拾う。 「眼球奇譚」「読んでください。夜中に、一人で」という言葉と共に届いた一冊の冊子。まだ眠くなかった「私」はそれを読み始める。 怪奇的であったり、猟奇的であったり、幻想的であったり違ったタイプの怖さや薄気味悪さを感じることが出来る。特に「眼球奇譚」のインパクトは強烈で、グロテスクな描写に耐性のない人は読まない方が良いと断言できるほど気持ち悪い。 |
No.25 | 5点 | 蟷螂の斧 | |
(2016/04/15 09:37登録) 反転では「再生」と「眼球綺譚」に軍配。「特別料理」は同名(1956)のスタンリイ・エリン氏へのオマージュ作品ですね。最後に”二ひねり”あり楽しめました。食の奇譚ものとしては10作品程度となりましたので、「親愛なるエス君へ」(『瓦斯灯』)連城三紀彦氏で打ち止めとしようと思っています。 |
No.24 | 6点 | 風桜青紫 | |
(2015/12/21 07:00登録) 『特別料理』のシュールテイストが好きなのですよ。登場人物がなんともノリノリな調子でゲテモノ食いしていくアレ。なんともいえないおかしさに怖いもの見たさが合わさってぐいぐい引き込まれる。アーヤの短編ではこれがベスト。『再生』もなかなか旨味。単純な発想ながら、意外性と納得があって、ほっとさせつつも気味の悪いラストがなんとも絶妙。『呼子池の怪魚』も先行きに恐怖を予感させる設定と、どこか安心と寂しさが余韻を残す結末が印象深い。この三つだけなら7点なんだが、アーヤがノリで書いてしまったような「なんじゃこりゃ」な作品が余計。『鉄橋』とかどこらへんを楽しむのか気になったんだが、アーヤ本人がコミック版のあとがきで「面白くない」と書いてるから、やっぱり面白くないのだろう。まあ、総合で6点。 |
No.23 | 7点 | アイス・コーヒー | |
(2014/07/12 18:56登録) ホラー作家としての綾辻行人による短編集。それぞれの作品には一応繋がりがあるようだが…。所々グロテスクなので多少読者を選ぶ。 巻頭の「再生」がやはり最も印象に残った。途中で展開がある程度読めるのは仕方ないが、それでも読後の戦慄は本物。底知れない狂気がヒシヒシと伝わってくる。 「呼子池の怪魚」「人形」などは中々意味深長な内容。ホラーというより、それこそ奇譚の名にふさわしい作品だろう。余韻のある締めくくりもよく出来ている。 「特別料理」「鉄橋」は面白かったが、内容にもう一工夫欲しいところ。 表題作は、本当の意味で怖い。実に作者らしい話というか。作中作の使い方も巧い。しかし、眼球であることの意味は…? 風間賢二氏の解説みたいに深読みすることなく読んだ自分ですが、十分楽しめました。 |
No.22 | 6点 | メルカトル | |
(2013/12/26 22:26登録) 再読です。 綾辻氏初のホラー短編集。ということで刊行当時はかなり期待して読んだが、それなりの出来ではあったが、思ったほどではなかった。 その中でも『特別料理』と『再生』のツートップは不動である。はっきり言ってその他は全く印象に残っていなかったわけで、再読した今回もそれは変わらなかった。全体的にもう一捻り欲しいと感じた次第。 『再生』のオチは序盤で読めてしまった。これは正直ミエミエじゃないかな、ほとんどの人が予想していた通りの結末だと思う。だがグロさもそこそこあり、面白い。 そして大本命の『特別料理』、まあなぜ指なのか、他の部位ではダメなのかという素朴な疑問はあるものの、とにかくその吸引力は凄まじいものがあるのは確か。ラスト2行が怖い、うまく捻りが決まっている。 上記の二作以外のストーリーはイマイチな気はするが、さすがは綾辻氏、全編を通して実に文章にそつがなく、読ませる才能は生まれ持ってのものと感じた。 |
No.21 | 8点 | mohicant | |
(2013/08/05 01:51登録) 綾辻行人の作品の中では一番好き。特に一話目の「再生」の余韻は深かった。 |
No.20 | 5点 | まさむね | |
(2011/03/23 23:15登録) 皆様お久しぶりです。 私事ですが,この度の震災では,本当に様々な経験をさせていただきました。自分としては多少落ち着きを取り戻しつつありますが,家族を失われた方,未だ難儀な生活を余儀なくされている方々を思うと,泣きたくなります。 とにかく皆で踏ん張っていこうとしか言い様がありません。ミステリ好きな被災者の方が,また存分に読書できるよう,その心の余裕が生まれるよう,仕事上私も微力ではありますが,尽力したいと思っております。 前置きが長くなってしまいました。短編ごとにヒトコト書評を。 「再生」:ホラーらしいホラー。 「呼子池の魚」:ラストの意外性は,ある意味でナンバー1かも。 「特別料理」:喜劇としても読めそうですが,ラスト1文が秀逸。怖い。 「バースデイ・プレゼント」:最もサイコ色が強いか。 「鉄橋」:典型的な展開ですが,それが逆に良い。 「人形」:深いなぁ。 「眼球綺譚」:3.11時点でこの短編の途中まで読んでいました。つまり,震災をはさんで読破したことになります。その意味ではもっと印象に残ってもよいはずですが,小説よりも現に起きている事象の方が衝撃的で…。 |
No.19 | 2点 | ムラ | |
(2011/01/21 17:43登録) 上手くまとまったホラー。 どこかグロテスクな雰囲気をかもし出す描写はさすがの一言。 だけどオチが上手くまとまっているを通り越して普通すぎる。 ただ単にホラー、それだけな作品。綾辻のミステリーにホラーが混ざったくらいの作品が好きな自分としては面白くはなかった。 「特別料理」の虫の描写はかなり凄かったですけどね。でも他にそぎ落とせる肉あるでしょ。 |
No.18 | 5点 | HORNET | |
(2011/01/16 10:07登録) 綾辻氏のファンの中でもホラー作家としての側面が好きなファンと,本格ミステリ作家としての好きなファンとがいるので,評価は分かれるでしょう。私はどちらかというと後者なのですが,こうしたホラーの雰囲気を描く氏の筆力は,本格物にも少なからずよい味付けをしていると思うので,読んで損した気にはなりませんでした。 通して描かれている,咲谷由伊という女性がどんな顔なのか,ずっと想像しながら読みました。 |
No.17 | 7点 | 虫暮部 | |
(2010/11/17 14:12登録) 「特別料理」がとても面白かった。それゆえにこそ、突っ込まねばならない。切り取るなら指ではなくて太腿か尻だろ! |
No.16 | 6点 | simo10 | |
(2010/11/13 18:46登録) 綾辻氏のホラー短編集を再読。以下の7作で構成されます。 ①「再生」:グロ系ホラー。ラストシーンのグロさは今でも印象に残っています。 ②「呼子池の怪魚」:子宝に恵まれない夫婦への不気味な贈り物。珍しくホッとするラスト。 ③「特別料理」:ゲテモノ料理のオンパレード。嫌でも想像力をかき立てられてしまう筆力は見事。ある意味心理的負担は一番大きいかも。 ④「バースデイプレゼント」:綾辻氏らしい囁き系ホラー。グロな怖さとサイコな怖さを併せ持っています。 ⑤「鉄橋」:怪談ものホラー。テレビ化しやすそうな、解りやすくグロくない話です。 ⑥「人形」:恐怖のツボがちょっと異色の作品。生まれ変わる度に彼はパワーアップしてきたのだろうか? ⑦「眼球綺譚」:作中作構成と例の仕掛けが迷路館を連想させます。神の偶像の描写が怖かったですね。 ホラーの中にも若干のミステリ性を持たせており、この分野での著者の才能を堪能できる作品集だと思いました。それにしても全国の咲谷由衣さんはいい気分はしないでしょうね。 |
No.15 | 6点 | yoneppi | |
(2009/09/04 16:55登録) あまり期待せずに読んだけど、意外に面白かった。 表題作のラストはもうひとひねり欲しかった。 |
No.14 | 9点 | ガッシュ | |
(2009/06/03 20:36登録) ミステリーじゃないけど! それほどグロくないけどグロい(笑) 不思議かつ、ぞワぞワって感じで楽しめました。 |
No.13 | 7点 | マニア | |
(2008/10/10 17:54登録) 読みながら「世にも奇妙な物語」を思い出した(笑) ホラー・グロ・猟奇耐性のある人は結構楽しめると思う! 「再生」・・・オチはありがちだが描写の仕方は面白い。 「呼子池の魚」・・・これも真相はバレバレ。ラストがよく分らんのが自分的に残念。 「特別料理」・・・ストーリーうんぬんより、怒涛のゲテモノ料理解説に笑ってしまった。 「バースデイ・プレゼント」・・・これが一番面白かった。幻想系ホラーの雰囲気もよく出ていたし、プロットも良い。戦慄のラストも面白い。 「鉄橋」・・・こういう小噺的作品も嫌いじゃない。 「人形」・・・オチはバレバレだが、人間のアイデンティティとは?成長するとは?などの深い人間テーマも読み取れて面白い。 「眼球綺譚」・・・囁きシリーズっぽい?小説世界と現実世界がラストにまとまる構成は面白い。ただ、グロすぎ・・・ |
No.12 | 5点 | ぷうば | |
(2005/08/04 23:28登録) 作者自らホラー集と言っているが「怖い」というより、とにかく生理的不快の追求に徹している。 ・「再生」 これは途中でオチが読めてしまう。(ショートショートなんかで時々見られるネタ) グロいけれど本質的には笑い話。 ・「鳴小池」 進化論的ズッコケ話。 ・「特別料理」 ふざけ過ぎ。人を気持ち悪がらせて喜ぶ、という作者の性格の悪さが遺憾なく発揮されている。最後の会話が想定外のブラックを効かせてくれる。 ・「バースデイ・・」 ブラッドベリ風幻想ホラー。クリスティの幻想短編にも似たようなテイストのがあったね。 ・「鉄橋」 こういう話くらいは現実オチにしてみてもよかったのでは。 ・「人形」 第1話同様、時々見られるパターン。 ・「眼球・・」 相当なグロさで眼を覆いたくなるシーンも多いが、話の構造は見事。 全編を通して、おぞましいことこの上ないが、根底にはどこか茶目っ気を感じさせる話が多い。 |
No.11 | 5点 | 如月雪也 | |
(2005/06/05 04:50登録) 完全にホラーですね。 でも綾辻行人の書くホラーは頭でひねり出した感じがして怖くないです。 個人的には「バースデイ」が好きです。 |
No.10 | 9点 | 桜ノ宮 | |
(2005/03/02 00:53登録) 十角館と、フリークスが好き!!!って想ってたけど、 良いですね。好きです、ほんとこういう系。 途中で何度もお腹の中から色々出てきそうになったけど、 でもちょっと幻想的で、ちょっと怖くて。 作品の順番も、凄くいい順番だなぁって想いました。 |
No.9 | 5点 | SD | |
(2004/01/25 22:34登録) 「再生」は好きですがそれ以外は合わなかった。 |
No.8 | 5点 | Dain | |
(2003/11/26 01:09登録) 読んでて気分が悪くなりました・・・(ホラー作品なのでこれが売りなのかもしれませんが)。食事前に読んじゃだめですね、コレ。 |
No.7 | 7点 | Alice | |
(2003/03/13 19:47登録) う゛〜・・。気分悪い・・・。 なんてヤワな体ではありませんが、結構キました。私的には「特別料理」が良かったです。最後のセリフなんかもうゾッとしちゃったし。 |