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ミステリの祭典

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TON2さんの登録情報
平均点:5.65点 書評数:330件

プロフィール| 書評

No.170 6点 法月綸太郎の新冒険
法月綸太郎
(2012/12/04 20:27登録)
講談社NOVELS
 「イントロダクション」「背信の交点」「世界の神秘を解く男」「身投げ女のブルース」「現場から生中継」「リターン・ザ・ギフト」の6編。


No.169 6点 法月綸太郎の冒険
法月綸太郎
(2012/12/04 20:25登録)
講談社NOVELS
 「死刑囚パズル」「黒衣の家」「カニバリズム小論」「切り裂き魔」「緑の扉は危険」「土曜日の本」「過ぎにし薔薇は・・・」の7編。


No.168 4点 贄門島
内田康夫
(2012/12/04 20:22登録)
文藝春秋
 房総半島の千倉の沖にある小島、通称贄門島が舞台。豊かな海産物から、経済的にも行政的にも日本から独立した島という設定です。しかし、その豊かさを支えているのは、北朝鮮との密貿易だった。
 この作品でも、浅見光彦は密輸、殺人、密入国などを暴きますが、彼は国家権力に告発しようとはしません。
 水戸黄門や鬼平に通じる自由さですが、はたしていかがなものでしょうか。光彦自身が善悪の審判者となってしまっています。 


No.167 6点 あやし~怪~
宮部みゆき
(2012/12/04 20:13登録)
角川書店
 江戸の市井を舞台とした、不思議で怪奇な物語の連作短編集。


No.166 4点 QED 鬼の城伝説
高田崇史
(2012/12/04 20:11登録)
講談社NOVELS
 岡山県が舞台で、朝鮮半島からわたってきた王族の王子という「ウラ」伝説や、彼が築いたという鬼ノ城跡などが出てきます。吉備津神社に伝わる「鳴釜神事」や日本五大御伽噺の一つ「桃太郎」の謎を解きます。
 タタルは後半に登場しますが、語る、語る。この語りが旧家の殺人事権の謎を解きます。
 今回はあまり土地勘のないせいもあり、読み終わった後残るものが少なかったですが、読んでいる途中は知的好奇心がくすぐられ、これがこのシリーズを止められない理由です。


No.165 4点 QED 〜ventus〜 鎌倉の闇
高田崇史
(2012/12/04 18:31登録)
講談社NOVELS
 鎌倉が舞台で、幕府を開いた頼朝、範頼、頼家、実朝、公暁ら源氏一族が、皆悲惨な最期をとげたのは、北条氏一族の傀儡だったからという証明を行います。
 鎌倉に関するタタルの話は、面白いですが、どこかの本の知識を詰め込んだだけという感じがして、自分の頭で考えているのかと疑問です。
 シリーズも8作目になり、初めのころのような新鮮さがなくなりました。申し訳程度についてくる殺人事件、誘拐事件は、鎌倉の闇の謎を際立たせるための道具なのでしょうが、あまりに陳腐です。


No.164 6点 BRAIN VALLEY
瀬名秀明
(2012/12/04 18:25登録)
角川文庫
第19回日本SF大賞受賞作。
 脳の研究と飛躍的進歩を遂げたハイテク技術の使用により、神とは何か、人間のこころとは何かを解こうとする研究所が舞台です。
 宗教、信仰、神の概念は、進化した人間の脳だけがイメージできるもので、肥大化した大脳新皮質にそのカギがあるということになっています。
 並列的に演算処理できるスーパーコンピューターに単純な人工生命をプログラミングし、これにラットやチンパンジーの脳からの刺激を伝えるうちに、神が現実に出現するというのは、大昔に読んだ星新一のショートショートそっくりの内容です。
 物語の大半が脳研究最先端知識の説明となっており、難しくて読み進めるのに苦労しました。新しい神の概念を提示したということで評価できますが、内容が専門的で、読者がついていけるのだろうかと思いました。


No.163 5点 タイムスリップ釈迦如来
鯨統一郎
(2012/12/02 17:30登録)
講談社NOVELS
 仏陀のいた頃のインドにタイムスリップしてみると、仏陀は優柔不断なオカマだった。老子やソクラテスを弟子にして、仏教は世界宗教になっていく。
 くだらない内容ですが、仏教の基本的考え方はきちんとおさえられています。
 作者に力量がないと読むに耐える作品にはなりません。
 気楽に読めて、ちょっと知的でおもしろい作品です。


No.162 4点 ユタが愛した探偵
内田康夫
(2012/12/02 17:26登録)
徳間書店
 沖縄が舞台です。ユタとは、恐山のイタコのように、霊の言葉を聞いたり霊に話しかけたりすることができる人間のことです。
 沖縄がその歴史ゆえに、本土とは異なった文化や風俗を有しているということを光彦に語らせており、沖縄の知的観光案内となっています。
 事件は保険金目当ての殺人に関することですが、探偵役の光彦が犯罪を知りながら警察に連絡しないという場面があります。探偵が善悪を判断する「神」の立場となることについては感心しません。


No.161 1点 カーニバル・デイ
清涼院流水
(2012/12/02 17:19登録)
講談社NOVELS
 「カーニバル」の続編です。ノベルスで1000ページ、製本の限界に挑戦したといううわさもあるほどです。
 前作から、大阪城が消えただの、バミューダトライアングルでアメリカの最新鋭潜水艦が消えナイアガラの滝から出てきただの、太平洋の中央に伝説のムー大陸のような巨大な陸地が浮かび巨大津波で10億人以上の死者が出ただの・・・書きたい放題のホラ話に、どうオチをつけるのかという興味のみで読み進めました。作者は作中で「これは作り事や錯覚ではない。現実に起こったことだ。小説ならば夢オチや作者オチがあるが、現実だから何らかの根拠がある」と繰り返し書いているのです。
 しかし、そのオチたるや最低・最悪です。夢オチのレベルにさえ達していません。完全な詐欺です。
 心底腹が立ち、本を投げつけたくなりました。これはミステリーではありません。クズ本、ダメ本です。
 読むのにかかった時間を返してくれ。


No.160 4点 ナイン・テイラーズ
ドロシー・L・セイヤーズ
(2012/12/02 17:08登録)
集英社文庫「乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーベスト10 ⑩」
 作者は欧米ではクリスティと双璧をなすほど有名ということですが、初めて知りました。
 前半は教会の鐘の鳴らし方「鐘鳴法」について詳しく説明があり、乱歩はこの部分が衒学趣味として評価しているようですが、退屈でした。イギリスの片田舎の荒涼たる土地ばかりがイメージされます。
 翻訳ものの悲しさで、登場人物の名前が区別できず苦労しました。


No.159 6点 カムナビ
梅原克文
(2012/12/02 17:01登録)
角川書店
 神をテーマにしたSF伝奇としては面白かったです。石器時代から祀られる原初の神としての蛇神や日本全国に祀られている荒神(こうじん)をテーマに、日本の古代史にも大胆な推論を入れています。
 また、天文学の「オールバースのパラドックス」も取り入れ、生命の起源についての推論をしています。


No.158 6点 呪われた町
スティーヴン・キング
(2012/12/01 14:44登録)
集英社文庫
(ネタバレ)
 小野不由美の「死屍」は、この作品へのオマージュであるとのことで、読んでみたくなりました。
 アメリカの田舎町セイラムズ・ロット。普段は何の事件もない平穏な町に吸血鬼が住み着く。子どもの行方不明や謎の死の続出。ありきたりなストーリーですが、通常の町の住民の生活が丹念に描かれた後ですので、だんだんと様子がおかしくなっていく恐ろしさが伝わってきます。


No.157 3点 エデンの命題
島田荘司
(2012/12/01 14:39登録)
KAPPANOVELS
 アスペルガー症候群を扱った「エデノの命題」と、脳機能の謎を扱った「ヘルター・スケルター」のノンジャンル2作です。
 アスペにしても脳機能にしても一般の人にはなじみのない内容で、作者は確かによく勉強しているなとは思いましたが、そうした新知識によるミステリーというのは、読者が考える余地というものが少なく、優れているとはいえないと思います。
 ただ、「エデンの命題」中の旧約聖書への数々の疑問(イヴをたぶらかした蛇は何故リンゴが知恵の実だと知っていたのか。蛇自身が食べたことがあるのか。・・・)は、面白いと思いました。


No.156 1点 カーニバル・イヴ―人類最大の事件
清涼院流水
(2012/12/01 14:20登録)
講談社NOVELS
 ノベルスで850ページもあり、読了までに2週間もかかりました。
 読み始めから全くくだらない話で、読んでいる時間が無駄だと感じました。世界的に探偵が組織され、その能力によりS・A・B・C…とランク分けされているなんてことが延々と書いてあって、この程度のヨタ話なら俺でも書けるわいと思っていました。
 名探偵といっても全く具体的な推理が紹介されず、単に異常な人間の集団じゃないかと思うぐらいでした。
 世界的大犯罪組織が起こす世界各地での不可能犯罪により1日に数百万人が死んでいく。途中で「これはオカルト現象ではない」と何度も念押しをしています。この作品が前編で「カーニバル・デイ」が後編ということですが、いったい作者はどうオチをつけるのでしょうか。この点だけが気になりました。


No.155 6点 龍の契り
服部真澄
(2012/12/01 14:10登録)
祥伝社
 1997年のイギリスから中国への香港返還にからんだイギリス、アメリカ、中国、日本などのあつれき。なぜ香港はあっさりと返還が決まったのでしょうか。眠れる大国・中国の経済的可能性を、グローバルな視点から、各国の諜報機関や大使館員などから描いているところは、高村薫を思わせる筆力です。ただ話が生臭すぎるように思えました。主人公である日本人外務省職員の省内でのライバルは、やんごとない方との婚約が決まり寿退職するなんていうのは、あの人のことじゃん。
 たしかにいろいろな国の立場の違う人間が入り乱れて動く様子がきちんと描かれていますが、もう少し地味な感じでもよかったのにと思いました。その点重厚さに欠けます。


No.154 6点 終幕(フィナーレ)のない殺人
内田康夫
(2012/11/26 21:36登録)
祥伝社ノン・ポシェット
浅見光彦ものですが、旅情ミステリーではなく、芦ノ湖畔にある別荘に引退した大物芸能人が現役芸能人を招いたパーティーでの連続殺人事件です。

作者のあとがきに「いわゆる古典的(本格)探偵小説ぐらい大抵の作家はその気になれば書けると信じている。書かないのは、自分の体質に合わないからに違いない。この世のものとも思えない大がかりなトリックに象徴されるような、児戯にも似た非現実性、ばかげた動機等々、常識の範疇から逸脱したようなことを書くには、良識と教養が邪魔になっているだけだと思う。その主張を実践し、作品にしたのがこの作品。」と作者が強弁しているわりには、それほどうまくできているとは思いません。

むしろミステリーではなく、完全なパロディ小説だと思います。評価もそのつもりで行いました。

トリックだプロットだなんだかんだよりも、この本の面白さは実在の芸能人を登場人物のモデルにしていることです。誰がどのタレントかを考えたり、タレント本人を頭に置きながら読むことが楽しいという、かなり悪趣味な内容です。

登場人物は、「ゴー、ゴー」が口癖の元アイドルの男性歌手。彼との涙の別離会見を開いた元アイドルの女性歌手。後にこの二人と結婚する俳優と女優。その女優の両親の大物俳優と大物女優。今ではお笑い界の大御所的存在で、映画監督もこなすお笑い・文化人タレント。やはりお笑い界の大物で、「ヒャーハハ」と笑いながら司会業をこなす関西出身のお笑いタレント。晩年は夫婦仲がよいことを売り物にしていたが、中年の頃に芸能界の暴露本を出版し、いろんな方面からバッシングされた俳優とその妻の女優。

誰だか分かりますか。芸能界のゴッシップ好きにお薦めします。

また巻末の解説で、ジャーナリストのばばこういち氏が、この作者の作品が売れるのは、マーケティングが行き届いているからだとして、次のようなことを指摘しています。慧眼です。
①浅見光彦=水戸黄門。始めは胡散臭いやつと思われているが、兄が警察庁刑事局長だと知れると、とたんに相手が低姿勢になる。
②旅志向の時代的要素の注入。
③各地の歴史や伝統文化をちりばめることにより、読者に知的満足を与えるとともに作品に風格をもたらす。
④浅見光彦=現代の「寅さん」。落ちこぼれであるが、他人にやさしく、おごらず、美人にもてるが成就しない。
⑤作品の発表頻度が、1冊が売り切れた頃に、次の1冊が本屋に並ぶ。

作者は、どうしてこんな本を書くはめになったのでしょうか?


No.153 8点 Yの悲劇
エラリイ・クイーン
(2012/11/26 21:08登録)
集英社文庫「乱歩が選ぶ黄金時代ミステリー④」
引退したシェークスピア役者で、耳が不自由なドルリー・レーン4部作の2作目。
犯人に意外性があり、日本では一般に「X]よりも評価が高い場合ようです。
ある病気が原因で変わり者ばかりの、その名もマッド・ハッター家が舞台で、偏見と差別に満ちた内容となっている点に時代を感じます。日本ならば横溝正史のいわゆる血の濃さゆえの狂いということになるのでしょうが・・・。


No.152 9点 魍魎の匣
京極夏彦
(2012/11/26 20:59登録)
講談社NOVELS
京極堂シリーズ第2作。
匣、箱、函、笥。「はこ」に思いを込め、中味のない「はこ」自身にも意味と存在理由がある。
京極堂が語る、超能力者、霊能者、占い、宗教者の区別は、圧巻でです。作者は、常日頃からこういうことを考えながら生きているのだとすれば、普通じゃない。
映画も見ましたが、中国でのロケのため、どうしても日本国内に見えなくてがっかりしました。


No.151 8点 姑獲鳥の夏
京極夏彦
(2012/11/26 20:53登録)
講談社NOBELS
今思えばトリックはまるでバカミスですが、饒舌な京極堂がしゃべる内容の一つ一つが伏線となっていて、全くありえない状況ではあるけれど、よくできていると思いました。
映画も見ましたが、やはり映像化は難しい作品だったというのが感想です。

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