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ミステリの祭典

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あやし~怪~
別題『あやし』

作家 宮部みゆき
出版日2000年07月
平均点7.71点
書評数14人

No.14 6点 ひとこと
(2023/05/28 20:11登録)
夏には是非この時代ホラー短編集を読むべし。

No.13 6点 ことは
(2023/03/09 00:52登録)
このサイトで評価が高かったので読んでみた。
うん、語りはいい。情景描写も目に浮かぶし、会話も、口調だけでキャラクターがイメージできるように書き分けられていて、すっぽり世界に浸れる。所々でてくるゾクリとするシーンは、インパクトもある。
高得点の人は、きっとこの語りに魅せられているんだなと想像するし、それはよく分かる気がする。
でも、プロットは定型的に思えるし、予定調和と感じるものもあるので、私の採点はこの程度。やはり自分は、プロットを主に楽しむタイプなのだなと、あらためて実感した。

No.12 7点 まさむね
(2022/09/03 14:46登録)
 ホラーとも、怪奇小説とも、怪談とも言えるのだけれども、人情も絶妙に挟み込まれていて、市井の人々の人生を感じることができます。その辺りは流石に宮部さんといったところ。
 陰湿ながらミステリとしての味付けもある「影牢」、怖いながら温かさも感じる「布団部屋」、人生の機微を感じずにはいられない「安達家の鬼」、カボチャが心に沁みる「女の首」、鬼とは何か「時雨鬼」あたりが印象的。

No.11 6点 蟷螂の斧
(2022/02/21 15:13登録)
ホラー、短編のオチを期待すると裏切られるかも。幽霊や鬼を絡めた人情噺が多い。
①居眼り心中 5点 女中は若旦那の子を孕んだため店を追い出される・・・凶事の前兆
②影牢 6点 息子夫婦に座敷牢に閉じ込められた母親は・・・呪い
③布団部屋 5点 酒屋は代々の主が短命であった。布団部屋に魔物が・・・怨念
④梅の雨降る 7点 大凶のおみくじを引いた娘・おえんはある願い事を・・・精神衰弱
⑤安達家の鬼 5点 嫁には鬼が見えないが、姑には見えるらしい。その鬼の秘密とは・・・鬼は鬼でも
⑥女の首 7点 口をきかない太郎は奉公先で女の首を見た・・・口を聞かない原因
⑦時雨鬼 5点 女将は娘と付き合っている男はごろつきというが・・・恋は盲目
⑧灰神楽 4点 女中が死ぬとき、口から灰のようなものを吐き出した・・・憑き物
⑨蜆塚 5点 10年おきに同じ人間が現れる。名前も出身も違うのだが・・・不死?

No.10 9点 ALFA
(2022/02/15 10:40登録)
イヤーいいなあー
宮部みゆきは時代物が特にいい。妙に生真面目なメッセージ性が目立つ社会派物と違って、時代物はとてもこなれている。深川生まれで代々続く江戸っ子の血だろうか。
9編からなる短編集。タイトル通りいずれもホラー風味だが、話法や構成がそれぞれに違っていて工夫がある。一人称の叙述はやや現代的だが三人称の地の文は纏綿たる江戸情緒。

お気に入りは対照的な鬼二つ、「安達家の鬼」と「時雨の鬼」。「安達家の鬼」はホラー風味の人情噺。ホラーというのはそもそもロジックが通っていなければならない。そのロジックが現世の秩序と断絶したり微妙にずれたりするところが怖いのだ。ここでは見る側の性根にふさわしい姿の「もの」が見えるという点でロジックが通っている。そしてそれが現世の「もの」ではないという断絶が怖い。ホラー風味とはいえ、ほの明るい人情噺になっている。
一方「時雨の鬼」。こちらは心に住む鬼だからホラーではない。サスペンス風味の極辛口の人情噺。モヤっとしたエンディングがよく似合う。
もう一つのお気に入りは「蜆塚」。世間にまれに見かける年を取らないヒト(らしきもの)。こちらがあえて騒ぎ立てない限り何も悪さはしない(はず?)。妙に美人やイケメンで人柄もよさそうなのが可笑しい。気の利いたエンディングなので当方も引用させてもらう「やっぱり、知らん顔しておくのがいいんじゃねぇかな」

No.9 9点 ボンボン
(2016/11/27 23:32登録)
鬼になってしまった人、或いは何食わぬ顔で人の間にいるモノを垣間見る九つの噺。密やかに、早口の小声で語られるような雰囲気を持った時代物の短編集だ。
最後の2話に政五郎親分が登場するので、宮部さんの本所深川の世界では、回向院の茂七親分の次の世代、『ぼんくら』シリーズのあたりのお話になる。
同じ怪談奇談の短編(連作含め)でも、宮部さんの最近の作である『三島屋変調百物語』シリーズだと一話一話がかなり壮大な展開になるが、比べて、初期の『本所深川ふしぎ草子』から本作くらいまでは、小さく引き締まった作風。そのなかでも研ぎ澄まされた緊張感と怪異度では、本作が頂点ではないかと思う。
怖ろしいものが直撃してしまうと惨劇になるが、遠目にぽつりと視えたり、すれ違いざまに自分だけ気付いてしまったり、というのも相当怖い。そんなときは・・・・。
「やっぱり、知らん顔しておくのがいいんじゃねえかな」(最終話『蜆塚』より)

※再読

No.8 7点 メルカトル
(2016/11/16 21:55登録)
江戸の怪談話(勿論フィクション)を集めた短編集。全体的に暗い。怪談だから当然かもしれないが、その分雰囲気としては最高。ところが人間が生きている。生き生きしているわけではないのだが、ほとんどの登場人物に存在感があり、それはほんの端役に関しても言える。
江戸時代だからと言って、妖怪や幽霊の類はほぼ出てこない。やはり怖いのは人間そのものということだろう。
個人的にベストは『女の首』。この作品が最もミステリ的趣向が盛り込まれているからである。ホラーだけど話が理路整然としており、起承転結もしっかりしているので、読んでいて一番気持ちがよかった。主人公の太郎にもなんとなく感情移入できるところもお気に入り。

No.7 6点 TON2
(2012/12/04 20:13登録)
角川書店
 江戸の市井を舞台とした、不思議で怪奇な物語の連作短編集。

No.6 8点 itokin
(2011/07/18 09:14登録)
宮部さんは時代物もいいですね、文章の言い回し、表現の仕方が抜群です。いずれも秀逸ですが、前半の5作は特に気に入りました。

No.5 8点 VOLKS
(2008/08/23 19:43登録)
鬼がどうとか、霊がどうとか、そんなものよりやっぱり怖いのは人。
でも、あたたかいのも人なんだなということを痛感できる一冊。

No.4 9点 かなかな
(2004/03/06 01:43登録)
「安達家の鬼」がお勧めです。
怖いのは「影牢」。かなり凹みました。
短編なのにぎゅっとつまってる感じです。

No.3 9点 小太郎
(2003/04/02 23:47登録)
鬼も、もののけも、ヒトの心の中に住んでいるわけで、結局一番恐ろしいのはヒトだったりするわけです。こう書くと陳腐なテーマとも思えますが、生や死が、日常生活と背中合わせで身近だった「江戸」を舞台にすることで、このあたりのテーマが上手く描かれています。宮部さんの時代物短編集の中でも良い出来だと思います。

No.2 10点 美来
(2001/08/15 10:37登録)
正直者、働き者は、分相応の幸せをつかめる。
この1冊はそんな話満載で、とても好きな1冊です。どれもきっぱりとした解決はなく、はんなりとしたものが心に残りました。
「安達家の鬼」「時雨の鬼」がいい。

No.1 8点
(2001/05/23 01:26登録)
胃がキュッとなるような、後ろからじわじわとくる恐怖。しかし宮部みゆきの持ち味である人情味や家族愛が醸し出されていて、後味は決して悪くないです。
「安達家の鬼」が一番良かった。

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