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ミステリの祭典

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呪われた町

作家 スティーヴン・キング
出版日1977年01月
平均点5.00点
書評数6人

No.6 5点 いいちこ
(2021/10/13 10:01登録)
1970年代におけるアメリカの社会・風俗の描写には見どころがあるものの、ホラー作品としては小品と言わなければならない。
5点の最下層

No.5 5点 ◇・・
(2020/05/24 18:53登録)
セイラムズ・ロットという小さな田舎町を想定し、どこにでもみられる平々凡々な市民を描くことで、かえって自分たちの周りにも、いつこんな事件が起こるかもしれないという恐怖を駆り立てている。
本作は、忠実な伝統を踏まえた吸血鬼小説であり、ブラム・ストーカーやロバート・マキャモンら多くの作家たちに影響を与えたように、キング以後の何人かの作家たちのバイブルとなった。

No.4 4点 ia
(2016/12/15 01:16登録)
物語が動き出すのが遅い。
街の住人をじっくりじっくりと描いているため。
動き出してからは集中して読める。
街が侵略されていき、あちら側になった人間が迎えに来る恐怖などなかなかのもの。

終盤になると話が一気にショボくなる。
聖水や十字架など、なんだかゲーム的な要素で吸血鬼をやっつけてる流れに。
王道なのはわかるが、それまでの頑張って書かれた緻密な描写は何だったんだろうと思ってしまう。
海外の宗教では普通なんだろうけど、神への信仰、絶対正義の聖なる力というものに馴染みが無い日本人としては、安っぽさやゲーム臭さを感じてしまった。

No.3 7点 Tetchy
(2016/09/12 23:08登録)
キング2作目にして週刊文春の20世紀ベストミステリランキングで第10位に選ばれた名作が本書。そんな傑作として評価される第2作目に選んだテーマはホラーの王道とも云える吸血鬼譚だ。

本書の主役はこの町であり、その住民たちである。従ってキングは“その時”が訪れるまで町民たちの生活を丹念に描く。彼ら彼女らはどこの町にもいるごく当たり前の人々もいればちょっと変わった人物もいる。登場人物表に記載されていない人々の生活を細かくキングは記していく。
これらの点描を重ねて物語はやがて不穏な空気を孕みつつ、“その時”を迎える。
このじわりじわりと何か不吉な影が町を覆っていく感じが実に怖い。正体不明の骨董家具経営者がマーステン館に越してきてから起きる怪事件の数々。キングは吸血鬼の存在を仄めかしながらもなかなか本質に触れない。ようやく明らさまに吸血鬼の存在が知らされるのは上巻300ページを過ぎたあたりだ。それまでは上に書いたように町の人々の点描が紡がれ、そこに骨董家具経営者の謎めいた動きが断片的に語られるのみ。それらが来るべき凶事を予感させ、読者に不安を募らせる。

キングの名を知らしめた本書は今ならば典型的なヴァンパイア小説だろう。物語はハリウッド映画で数多作られた吸血鬼と人間の闘いを描いた実にオーソドックスなものだ。しかし単純な吸血鬼との戦いに人口1,300人の小さな町セイラムズ・ロットが徐々に侵略され、吸血鬼だらけになっていく過程の恐ろしさを町民一人一人の日常生活を丹念に描き、さらにそこに実在するメーカーや人物の固有名詞を活用して読者の現実世界と紙一重の世界をもたらしたところが画期的であり、今なお読み継がれる作品足らしめているのだろう(今ではもうほとんどアメリカの書店には著作が並んでいないエラリー・クイーンの名前が出てくるのにはびっくりした。当時はまだダネイが存命しており、クイーン作品にキング自身も触れていたのだろう)。

吸血鬼カート・バーローがどんどん町の人々を吸血鬼化していき、ヴァンパイア・タウンにしていくところに侵略される恐怖と絶望感をもたらしている、ここが新しかったのではないか。従って私は吸血鬼の小説でありながらどんどん増殖していくゾンビの小説を読んでいるような既視感を覚えた。

また本書の恐ろしいところは町が吸血鬼に侵略されていることをなかなか気づかされないことだ。彼らは夜活動する。従って昼間は休息しているため白昼の町は実に平穏だ。いや不気味なまでに静まり返っている。人々はおかしいと思いつつも明らさまな凶事が起きていないため、異変に気付かない。しかし夜になるとそれは訪れる。近しい人々が訪れ、赤く光る眼で魅了し、仲間に引き入れる。この実に静かなる侵略が恐怖を募らせる。これは当時複雑だった国際情勢を民衆が知ることの恐ろしさ、知らないことの怖さをキングが暗喩しているようにも思えるのだが、勘ぐりすぎだろうか?

古くからある吸血鬼譚に現代の風俗を取り入れてモダン・ホラーの代表作と評される本書も1975年に発表された作品であり、既に古典と呼ぶに相応しい風格を帯びている。それを証拠に本書を原典にして今なお閉鎖された町を侵略する吸血鬼の物語が描かれ、中には小野不由美の『屍鬼』のような傑作も生まれている。

No.2 6点 TON2
(2012/12/01 14:44登録)
集英社文庫
(ネタバレ)
 小野不由美の「死屍」は、この作品へのオマージュであるとのことで、読んでみたくなりました。
 アメリカの田舎町セイラムズ・ロット。普段は何の事件もない平穏な町に吸血鬼が住み着く。子どもの行方不明や謎の死の続出。ありきたりなストーリーですが、通常の町の住民の生活が丹念に描かれた後ですので、だんだんと様子がおかしくなっていく恐ろしさが伝わってきます。

No.1 3点 mini
(2009/09/07 10:00登録)
キング・オブ・ホラーことスティーヴン・キング
恥ずかしいのだがキングは初読みで、先入観でもっと視覚的イメージに溢れたサスペンスフルなホラーなのかと思っていたらそうでもなかった
プロットは単純で、小さな町を蹂躙しようとする吸血鬼に対し、町の有志が対峙するというそれだけな話
この昔ながらのモチーフを現代の視点でどう書くか、というのが主眼で、作者を弁護すればこういう古いテーマ性というのは「呪われた町」だけで、他の作品はもっとモダンなテーマを扱っているらしいのではあるが
登場人物の会話を中心にしたエピソードの羅列といった印象で、プロット全体でグッと迫ってくるものが無い
例えば年月日を一々表記したりとかリアリティの描出には気を配っていて、こうした個々の場面の具体的な描写には精彩がある
断片的な個々の描写は上手いのに、全体が纏めきれていない感じだ

ジャンルによって評価範囲を変えるのはしない主義なので、点数が低いのは超自然を扱っているからではない
レ・ファニュとか古典的な怪奇小説などは好きなんだけどねえ

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