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ミステリの祭典

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BRAIN VALLEY

作家 瀬名秀明
出版日1997年11月
平均点6.25点
書評数4人

No.4 6点 zuso
(2022/05/12 23:34登録)
最新科学の知識と想像力によって、臨床体験による幻覚的な啓示の謎に迫ろうとしている。
全ては「脳」がみせる幻なのだろうか。「脳」がみせる幻と現実の間には、どんな違いがあるのか。読み進むうちに次々に湧いてくる疑問が物語の中で解消され、さらなる疑問に結びついてゆく。その加速感が心地良い。

No.3 6点 TON2
(2012/12/04 18:25登録)
角川文庫
第19回日本SF大賞受賞作。
 脳の研究と飛躍的進歩を遂げたハイテク技術の使用により、神とは何か、人間のこころとは何かを解こうとする研究所が舞台です。
 宗教、信仰、神の概念は、進化した人間の脳だけがイメージできるもので、肥大化した大脳新皮質にそのカギがあるということになっています。
 並列的に演算処理できるスーパーコンピューターに単純な人工生命をプログラミングし、これにラットやチンパンジーの脳からの刺激を伝えるうちに、神が現実に出現するというのは、大昔に読んだ星新一のショートショートそっくりの内容です。
 物語の大半が脳研究最先端知識の説明となっており、難しくて読み進めるのに苦労しました。新しい神の概念を提示したということで評価できますが、内容が専門的で、読者がついていけるのだろうかと思いました。

No.2 6点 vivi
(2009/05/07 02:02登録)
長い、かなり長い作品です。
研究所で行われる数々の「脳」に関する実験。
なかなかに興味深い内容で、勉強にもなったかな?

しかしながら。
視点が入れ替わりながら展開する物語の形式。
ハラハラするサスペンスも味わいながら読み進んでいき、
この先どうなってしまうのかという興味でいっぱいになったとき、
とつぜん、ファンタジーになってしまいました(^^;
えええっ~!? そこでそんなふうにぶっ壊すんですか!?
あの前置きが何だったのか、途方に暮れるけど、
パラサイト・イブでも似たようなラストだったからな~・・・

No.1 7点 Tetchy
(2009/04/26 20:01登録)
世に「理系ホラー」なる新語を定着させた衝撃のデビュー作『パラサイト・イヴ』では遺伝子工学の観点からミトコンドリアを題材にした瀬名氏が今回取り上げたテーマは題名にあるようにずばり脳。しかし本書ではこの未知なる領域、脳について様々な方向からアプローチを行い、一大叙事詩を繰り広げている。

“お光様”なる民間伝承、エイリアンによる誘拐(アブダクション)体験、さらには臨死体験からサイバースペース内で培養される人工生命へ、そして動物とのコミュニケーションの確立と物語は多岐に渡るが、瀬名氏は巧みにこれらを論理的にある一点に収束させていく。

が、しかし最後に明かされる“お光様”で、これら緻密な論理の牙城がいきなりぶっ飛んでしまった。ここまで堅牢無比かつ高度な論理的ホラーを築き上げておきながら、最後に説明のつかない物を持ってくる瀬名氏の意図が解らない。ある意味、暴挙とも云える。
最後の最後で悪い意味で裏切られた。残念。

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