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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:1701件

プロフィール| 書評

No.181 8点 太陽黒点
山田風太郎
(2012/03/25 11:30登録)
ミステリーとして読むなら、ネタばれがあるので裏表紙および解説を先に読んではならない小説です。逆考えればメッセージ小説になるのでしょうか。「誰カガ罰セラレネバナラヌ」・・・「天下泰平、家庭の幸福それがあるだけで無上の幸福ではないか。他人に比べ少しくらい不幸だったとしても、ぜいたく至極な不幸だ。がまんのならないほど、ぜいたくな不幸だ。」戦争経験者の言葉なので、身に沁みました。


No.180 5点 誰もわたしを倒せない
伯方雪日
(2012/03/23 19:28登録)
プロレスとミステリーの融合。解説(17ページと長い)が昔のプロレスファンには興味深い。”鉄人”ルー・テーズがディクスン・カー、”神様”カール・ゴッチはエラリー・クイーン、アントニオ・猪木は横溝正史、ジャイアント・馬場は都筑道夫、タイガーマスクは島田荘司、前田日明は綾辻行人云々と比される。主題である「最強」とは何かは、高田VSヒクソン戦にあり、その結果、総合格闘技が最強となっているらしい。が、顔を殴ってよい(なんでもありルール)は、鍛えようがない顔を殴る点で全くナンセンス(ボクシングはOK)であり、その後この世界に興味がなくなってしまった。ああ、力道山やアントニオ猪木が懐かしい。


No.179 5点 黒猫遁走曲
服部まゆみ
(2012/03/22 17:30登録)
題名からして軽い読み物を連想しましたが、狂気の世界でした。定年退職した女性編集者の愛猫への偏狂的な行動と、妻を殺害した若手劇団員の狂気が交互に描かれ、そしてラストへ・・・。ブラック・ユーモアの世界と思われるので短編でもよかったのでは?


No.178 6点 罪深き緑の夏
服部まゆみ
(2012/03/22 08:32登録)
幻想的・耽美的な世界。主人公が愛してしまった兄の婚約者を壁画に描く姿には心を打たれるものがあります。絵心のある人にはお薦めかもしれません。小説としてはかなり印象に残る作品(高評価)ですが、ミステリー的な評価では、謎がそのままで終わってしまうところがあり、高評価とはなりませんでした。


No.177 5点 レオナルドのユダ
服部まゆみ
(2012/03/21 09:07登録)
ミステリーというより、レオナルド・ダ・ヴィンチに対する二人の弟子(ジャンとフランチェスコ)の偏狂的な愛を描いた作品と思います。謎としては、モナ・リザのモデルは誰、表題のユダは誰、レオナルドと美青年サライの関係は、そしてサライの死は?などありますが、ページのほとんどは前記に割かれ、ミステリー部分は最後の数ページだけです。レオナルド・ダ・ヴィンチに興味のある方にはという作品だと思います。


No.176 8点 藪の中
芥川龍之介
(2012/03/19 22:29登録)
ミステリサイトに芥川龍之介氏が登録されていたなんてびっくり。自分の人生の中では、かなり影響を受けた作品の一つです。物事を多面的、客観的に見ることを学んだように思います。黒澤映画「羅生門」は本書に沿っていますが、2009「TAJOMARU」(小栗旬氏主演)は盗賊・多襄丸は登場するのですが、筋はほとんどオリジナルなものでした。本書は、謎・謎・謎、まさに藪の中、ミステリーです。


No.175 4点 巴里人形の謎
太田忠司
(2012/03/18 11:49登録)
「私は人形に殺される」謎の言葉を残し、人形作家がパリで首吊り自殺した。この謎がメインであると思いつつ読んだのですが、小説の中では謎が生きてこなかったと思います。謎の真相は明らかにされるのですが、イマイチの感じであったし、またメインとなる人形を絡めた別の殺人事件の動機も同様でした。雰囲気は良いと思いますが、ミステリーとしては高評価はつけ難いと感じました。


No.174 6点 百舌の叫ぶ夜
逢坂剛
(2012/03/16 08:16登録)
ミステリー度をあまり期待しないで読んだので、逆に楽しめました。筋は良くできていると思いますし、スピード感も充分、また登場人物も全員一癖も二癖もあり魅力的でした。


No.173 6点 ゲッベルスの贈り物
藤岡真
(2012/03/14 17:55登録)
叙述系のエンターテイメントと言えるのでしょうか。スピード感もあり楽しめました。冷酷な殺し屋の正体が判明した時には、そのギャップに思わず笑ってしまいました。


No.172 4点 林の中の家
仁木悦子
(2012/03/13 17:59登録)
登場人物が多く、関係も複雑なので図を作らないと理解できませんでした。伏線は、かなりちりばめられているのですが、その内容は偶然が多く、ちょっと拍子抜けがしてしまいました。動機がイマイチなので読者にとっては意外な犯人となり、予想することはできないのでは?


No.171 8点 時のアラベスク
服部まゆみ
(2012/03/12 09:09登録)
これがデビュー作とは思えません。文章が美しい。情景が目に浮かぶ。人の心の闇を見事に描いています。まさか、この人が犯人?と思わせ二重三重の罠が仕掛けれれています。著者の作品は3冊目ですが、2007年、58歳で逝去されており、単行本は10冊程度らしいので、残りを読破したいと思います。


No.170 4点 崖の館
佐々木丸美
(2012/03/11 15:45登録)
雪に閉ざされた北海道の崖の家の雰囲気や、主人公(女学生)の心理や成長ぶりは良く描かれていると思います。しかし、トリックや動機はイマイチと感じました。(以下ネタばれ)メイントリックとは関係ないのですが、壁に掛けられていた三十数点の絵画の一部消失について、簡単にスルーされ、納得がいきませんでした。答えは消失ではなく、額を少しづつずらして隙間をあけたとのことですが、理屈はそうであっても現実には無理があるとしか思えません。床に置いてあったのなら別ですが、一枚ずつ壁に掛っていると思いますのでフックはどうしたのでしょうか?。1枚はずし、別のところに掛けたなら解りますけど・・・


No.169 6点 ロスト・シンボル
ダン・ブラウン
(2012/03/09 15:10登録)
「天使と悪魔」『ダ・ヴィンチ・コード」に続くラングドンシリーズ。『ラングドンは、フリーメイソン最高位の資格を持つピーターから講演の代役を依頼され会場に駆けつけるが、ピーターの姿はなく彼のものと思われる切断された右手首と金の指輪があった。ピーターを人質に取ったマラーク(悪霊)と名乗る謎の男は、ラングドンに“古の門”を探せと命じる。ラングドンは駆けつけたCIA警備局長サトウと共に、“古の門”の捜索に乗り出す。』今回はワシントン・DCが舞台で、映画化を前提としているようなので、スピード感はありますが、前2作より小粒の感は否めないです。(アメリカでは1000万部売れたそうですが)


No.168 8点 天使と悪魔
ダン・ブラウン
(2012/03/09 15:09登録)
宗教と科学の対立を描いたエンタメ系ミステリーと言えるのでしょう。2003年発売と同時に読んでいましたので、2005年ローマ教皇(ヨハネ・パウロ2世)の逝去やコンクラーベ(新教皇を選ぶ会議)のニュースが本の内容と重なり印象に残っています。映画では、本書でお気に入りの前半の科学者に関する物語や、後半の枢機卿の長々となる語り部分がカットされておりイマイチでしたが。


No.167 5点 デセプション・ポイント
ダン・ブラウン
(2012/03/09 15:08登録)
「ダ・ヴィンチ・コード」より以前の作品で、アメリカ大統領選の陰謀を描いたものです。題名通り「偽装」なのですが、ミステリーとしてより、エンタメとして読むべき作品だと思います。


No.166 4点 パズル・パレス
ダン・ブラウン
(2012/03/09 15:08登録)
国家秘密の通信設備に係る物語(エンタメ系)なのでミステリー的には弱いと思います。著者の良いところは、スピード感と読みやすさにあると思います。


No.165 7点 悪霊の館
二階堂黎人
(2012/03/09 09:15登録)
重厚なプロット(密室・首なし・連続殺人・幽霊・魔女・骨肉の争い・双子・過去の事件等々)を詰め込んだ長編で、作者の本格に対する意気込みを感じました。作中、主人公・二階堂蘭子にとっての推理小説を次のように述べています。「犯人が明瞭に指摘できないということは、その推理小説が単に<アンフェア>な読み物であり、必要な手がかりが読者に提示されていないという証拠だった。ただちに彼女の軽蔑の眼差しの対象となるのである。」かの2005年の「X」論争と同様、氏の本格にこだわる強い姿勢をここにも感じることができました。


No.164 8点 カラスの親指
道尾秀介
(2012/03/07 08:34登録)
映画化とのことで拝読。コン・ゲームらしいので、ミステリーとしてあまり期待していませんでしたが、予想をかなり上回る面白い作品でした。著者の作品はあまり肌が合いそうではなかったのですが、本作品は大収穫となりました。どんでん返し大好きなので(笑)。


No.163 7点 幻惑の死と使途
森博嗣
(2012/03/07 08:32登録)
ショーの最中の殺人、霊柩車からの消失については、奇術師の登場ならではの話なので納得せざるを得ないでしょう。真相(動機)については、題名ともマッチしており非常に気に入りました。自分の中の真相・動機ランクでは、かなり上位の位置づけとなりました。


No.162 8点 追悼者
折原一
(2012/03/04 20:28登録)
他のサイトでは「まあまあ」の評価が多い。一読ではそのように思うかもしれないと私自身も思いました。しかし、ページをパラパラと戻してみれば、かなりの仕掛けがあることがわかります。ミスリードに次ぐミスリードのオンパレードでかなり凝っている作品です。主題にかかるミスリードも二重となっており、伏線はバッチリあるのですが、犯人はまず解らないのではないでしょうか?。主人公(男)のライターが眩暈を起こすのだから読者も当然でしょう(笑)。女性ライターにも謎があり、ラストのニュース記事にも余韻があります。マスコミを風刺する作品でもあるように感じました。

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