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ミステリの祭典

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崖の館

作家 佐々木丸美
出版日1977年01月
平均点5.80点
書評数5人

No.5 5点 ミステリ初心者
(2019/12/29 00:39登録)
ネタバレをしています。

 私の頭が悪いためか、少々読みづらさを感じました(笑)。
 雪によって外へでられない館に集まったいとこたち、そこで起きる事件と殺人、過去の事件の謎・・・など、王道クローズドサークルの流れを踏襲しています。この点については他のクローズドサークル物と同様、やはりわくわくして読み易かったです。
 その一方で、主人公涼子の一人称の文章が詩的?というのか幻想的?というのか、どう形容していいのかわかりませんが、私の拙い脳ではどの程度理解できたかわかりません。さらに、哲文君の美術についての話も難しくてわかりませんでした(涙)。本筋とは関係の無い衒学がちょくちょくありますが、難しいかつあまり興味が無く、相性が悪かったです。

 本作の謎について。
 千波殺しや、研・由莉もそうなのですが、出来たら館の地図がほしいです。とくにいらないのかもしれませんが、館の地図があると話が頭に入り易いと思うので。
 千波殺しについては、あまり誰がどこで何をやっているかふわっとしていていまいち検証がされてない気がします・・・。私がちゃんと読めていないのかもしれませんが。
 研の事件について。この仕掛けって、人によって背の高さも違うし、いつ誰が引っかかるかわからないので絵隠しと連動しづらいしいまいち良い作戦だと思えないのですが(笑)。絵の問題もあり、ここだけ犯人とは別の誰かが何かしているかと思いました(笑)。
 由莉殺しについて。私の頭では理解できません(笑)。中性洗剤で人が死ぬものでしょうか? 証拠を残さず殺せるものでしょうか? 成功率が高いものなのでしょうか?
 絵隠しについて。絵と絵の間隔をあけて空間を作り、絵がなくなったように見せたとのことでした。正直、真っ先に思いついたのがこれだったのですが、これって普通バレませんか(笑)。たまにいく美術館ではなく、すくなくとも哲文や涼子はけっこう絵を見に行っていましたよね? 絶対位置の違和感を感じると思うのですが(笑)。絵を立てかけるためのフック的なものも跡が残ってしまうのでは・・・・? 由莉の説のほうがスマートでしたね(そっちも意外性が無いけれど)。
 千波の日記から犯人が推測できるとの哲文の台詞でしたが、これは良い伏線でしたね。私は、人形のハープの糸が切れても~にはなにか有名な逸話や詩があるのかと思ってスルーしてしまいました(笑)。

 私はあまり犯行動機を重要視していません。しかし、この犯人の心情がよく理解できません(笑)。

No.4 7点 E-BANKER
(2018/11/27 09:35登録)
「雪の断章」と並び作者の代表作といってもよい長編。
後に続く<館三部作>(そんなのがあったのね!)の初っ端であり、唯一(?)の本格ミステリー作品。
1977年の発表。

~財産家の叔母が住まう「崖の館」を訪れた高校生の涼子と従兄弟たち。ここで二年前、叔母の愛娘・千波は命を落とした。着いた当日から、絵の消失、密室間の人間移動など、館では奇怪な事件が続発する。家族同然の人たちのなかに犯人が? 千波の死も同じ人間がもたらしたのか? 雪に閉ざされた館で各々推理を巡らせるが、ついに悪意の手は新たな犠牲者に伸びる・・・~

本作を手に取るきっかけとなったのは、三上延のビブリア古書堂シリーズの最新作(短篇集)。そこで氏の「雪の断章」が紹介されており、じゃあついでに「雪の断章」読むか・・・と思っていたが、かなりファンタジックっぽい感じなので、先に本作を選択した次第。
他の方の書評によれば、作者の作品群では最も本格テイストとのことなのだが、
う~ん。独特の世界観だな・・・

「雪に閉ざされ隔絶された館」「一見仲が良いが、不穏な関係性を見せる従兄弟たち」「過去の見えない叔母」「密室での怪事件」・・・etc
道具立てはまさに本作発表の少し後から隆盛を極めた新本格の諸作品を思わせる。
しかし、似て非なるもの。
ラストには一応トリックめいたものが探偵役により看破され、真犯人の異様な動機も明らかになるし、そこに何がしかのカタルシスはある。
従兄弟たちの最年少である主人公・涼子の一人称で進む筆致。「章」立ては一切なく、どこに作者の仕掛けが施されているのか判然としないまま、読者は「神の視点」で読み進めることとなる。
実に心が不穏になるのだ。

文庫版解説者の若竹七海氏も本作に対して「どう評価していいか分からない」と書かれているが、まさにそういう感じ。
本格ミステリーとしてのパーツや細部を取り上げようとすると、何とも評価に困ることになる。
作品世界を楽しめるかどうか、この世界観が合うかどうかにかかっている・・・のかな?
私はというと・・・合ってない。合ってないんだけど、この魅力には抗し難い、っていうところか。

No.3 6点 ボナンザ
(2017/01/03 10:50登録)
本格的な館ミステリーに作者の持ち味である少女漫画チックな一人称を見事に融合させた佳作。

No.2 4点 蟷螂の斧
(2012/03/11 15:45登録)
雪に閉ざされた北海道の崖の家の雰囲気や、主人公(女学生)の心理や成長ぶりは良く描かれていると思います。しかし、トリックや動機はイマイチと感じました。(以下ネタばれ)メイントリックとは関係ないのですが、壁に掛けられていた三十数点の絵画の一部消失について、簡単にスルーされ、納得がいきませんでした。答えは消失ではなく、額を少しづつずらして隙間をあけたとのことですが、理屈はそうであっても現実には無理があるとしか思えません。床に置いてあったのなら別ですが、一枚ずつ壁に掛っていると思いますのでフックはどうしたのでしょうか?。1枚はずし、別のところに掛けたなら解りますけど・・・

No.1 7点 nukkam
(2009/01/20 17:15登録)
(ネタバレなしです) デビュー作の「雪の断章」(1975年)は推理による犯人当てをやっていながらも全体的にはミステリー要素が希薄でミステリーに分類しない読者もいるようですが、1977年発表の長編第2作の本書はおそらく佐々木作品の中では最もミステリーらしい作品でしょう。本格派推理小説としてのしっかりした謎解きプロットに作者の特徴である、時に少女漫画風とも評価される独特の作品世界が構築されており、特に結末の美しさ、はかなさの演出は出色の出来栄えです。

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