home

ミステリの祭典

login
幻惑の死と使途
S&Mシリーズ

作家 森博嗣
出版日1997年10月
平均点7.23点
書評数43人

No.43 6点 バード
(2021/12/19 18:34登録)
『詩的私的ジャック』、『封印再度』に比べるとまとまっているように感じ、割と好きな話だった。SとMのラブコメパートはコテコテで正直しつこいが、個人的には許容範囲かな。

ただ一番肝心なところは『笑わない数学者』の焼き直しだね。本作を読む人は前のシリーズ作を読んでる場合がほとんどだと思うので、この焼き直しは少し印象悪く一点引いた。
ただ、有里匠幻はなぜか笑っていた天王寺博士より好きなキャラだな。最後もちゃっかりと脱出決めてたりしないかなぁ。

No.42 6点 ボナンザ
(2021/11/27 20:25登録)
一作目以外ではこれが印象に残った。仕掛け方から企む気満々で好きな部類。

No.41 9点 もち吉
(2019/09/03 23:00登録)
やられましたね。イリュージョニストという設定を本当に上手に生かしている傑作。この著者のこういうやり口は好きです。

No.40 7点 斎藤警部
(2018/03/23 12:27登録)
キメの粗い箴言頻出にゃあ窒息さ、だけどそれがいいんだ。 サブ章の途切れに残すイカした捨て台詞の残響も悪くないぜ。

「たぶん眼鏡をかけているのだろう」 ←スーパー伏線に今すぐでも通じそうな、この洞察のキラメキにはヤラれた。

物語の重要テーマがテーマだけに、とある叙述欺瞞がぎりぎりアンフェアになってない、というのがニクいね。

ところでもう一つの事件、の顕にされない併走の意図と展開は。。。 偶数章の虹の彼方の行方は?? 。。 前代未聞のキラメキ森マジックが落とし前でも付けるのか、と思ったら。。 アララそうですか、そちらは奇数章の無い別個の長篇でまた会い魔性という斬新な趣向でしたか。 参ったね!

No.39 6点 ねここねこ男爵
(2017/09/28 23:00登録)
この作者一番のおすすめ。
魅力的な謎の設定、シンプルかつ効果的なトリック、最後の視点の転換によるカタルシスなど、この人らしくない。他作品だと目立つ登場人物のナルシス臭もありません。

No.38 6点 madara
(2017/03/18 16:24登録)
何て言えばいいのかな・・・。
ラノベ小説を読んでいるような軽い感じというか、緊迫感がないというか(別にラノベを馬鹿にしている訳ではないです)。
テンポはいいし、トリックもまあまあなんだけど、何かが足りない。
読後も残るものがあまりなかった。
犯人を一発で看破してしまったのがいけなかったのかな。

No.37 9点 青い車
(2016/08/28 18:05登録)
 これはいいですね。まさにマジックの原理を応用した犯行なのですが、まんまと盲点を突かれました。観念的な動機もこれまでならモヤモヤしたものが残ったのですが、本作はそこも含めて面白かったです。すべてのトリックを暴いたかと思いきや、最後の最後でこれまでの思い込みをひっくり返しすべての真相が明らかになる逆転が見られるところも憎い趣向です。謎、推理、ストーリー展開どれをとってもこれまででいちばんだと思います。

No.36 6点 いいちこ
(2015/12/08 16:58登録)
「堂々たる変化球宣言からの変化球連投、最後にストレートで一閃と見せかけて、再び変化球」という組み立ては教科書的な美しさでお見事。
作品の主題と密接に関連したタイトルのネーミングにもさすがの冴えを見せている。
一方、マジシャンであることを差し引いてもトリックのフィージビリティが疑問である点、2番目の殺人事件にほとんど何らの工夫も見られない点、第一の真相はともかく第二の真相は論理的に解明できないであろう点などを勘案してこの評価。
全体として演出やミスディレクションの手際には長けているが、プロットの骨格は脆弱な印象

No.35 9点 ロマン
(2015/10/20 23:18登録)
マジシャンが脱出マジックの最中にナイフで殺され、葬儀の時に棺桶から消える。その謎に迫る萌絵と犀川。そのマジシャンの弟子も別のビル爆破からの脱出ショーで殺されるという第2の殺人事件が発生する。意外な人物が犯人でその正体と緻密な計画には驚かされた。確かに森博嗣の「ミスディレクション」の素晴らしさだろう。

No.34 6点 nukkam
(2015/08/14 17:36登録)
(ネタバレなしです) 1997年発表のS&Mシリーズ第6作の本格派推理小説です。奇術の世界での不可能犯罪という、とびきり派手な設定なのですがこの作者の文章はどこか抑制が効いており意外と地味です(退屈ではありません)。これまでの作品でも萌絵は密室トリックを見破ったりと、単なるワトソン役からの脱却を見せていましたが本書においてはほとんどの謎を自力で解いており、本書の主役は彼女といってもいいのではと思います。出番の少ない犀川にも彼ならではの重要な役割が与えられており、謎は全て解けたと思われた時の彼の発言によって物語の世界が一変したかのような読後感が与えられます。これが「幻想」効果なのでしょうか。

No.33 8点 Tetchy
(2015/07/18 23:59登録)
本書ではまたもや密室殺人が扱われているが、それまでのシリーズ作品と違い、鍵の掛けられた状態での密室ではなく、衆人環視の中でマジシャンが殺される、いわば開かれた密室である。

みなさん書かれているように私も真犯人には驚きました。そしてその動機もいつものように抽象的且つ観念的ですが、今回は腑に落ちました。
ただそれだけにあるシーンが納得できません。それが今回マイナスでした(その内容は後述いたします)。

そしていつも思うのはこのシリーズの事件解決に至るまでの時間が実に長いことだ。今回のマジシャン有本匠幻が衆人環視の中で殺害される事件が起きるのが8月の第1日曜であり、事件解決は9月の第2土曜日以降である。つまり最低1か月半は経っているのだ。これは本書の探偵役である犀川創平は事件解決に積極的でないことに起因するだろう。彼の関心は自分の研究題材であり、そして西之園萌絵であり、決して事件の謎ではない。彼が事件に向き合うのは事件に積極的に関わる萌絵に危機が訪れた時だ。彼は望まざる形で事件に関わり、そして誰よりもその真実をいち早く見抜くのだ。しかし彼の関心が事件にないために事件解決まで、いや西之園萌絵が事件の真相に肉迫するまで解決されないのだ。

さて前作『封印再度』に続いてまたもやタイトルで唸らされてしまった。ストーリーとタイトルがマッチするとこれほどまでにカタルシスを感じるのかと再認識した。後は本書で感じた違和感を次作で払拭されることを期待しよう。

<ここからネタバレ>

名前を葬るという感覚は抽象的であり、また観念的であるのだが、私にとって理解できる動機だった。「自分」という存在は他人にはどうやって認識される?それは名前だ。そしてその名前を知られ、その名に価値を与える事が「自分」の認知度を、自分の価値を公的に高らしめることなのだ。そして名は存在が消え去っても残る。その名が高ければ高いほど。ワン&オンリーであればあるほど。後世にその名を遺すために彼は名に殉じたのだ。
そしてそのために彼は生涯を投じたマジックを、イリュージョンを手法として使った。まさに「幻惑の死」とその「使途」が最後に明かされる。単なる言葉遊びではないのだ、森氏のタイトルは。
だがどうしても納得のできないことがある。それは第5章187ページの原沼利裕の家庭でのシーンだ。そこでの原沼は有里匠幻の死体消失事件の渦中にいたことを誇らしく思い、妻にその模様が写されているTVのニュースを妻に見せて驚くシーンがあるのだが、後で出てくる彼の妻は目が見えないのだ。しかもそれは10年も前からのことだと原沼は述懐する。この矛盾はいかなるものか?これは単なる作者の書き間違いなのか?講談社の校正ミスなのか?その真実は次作で明かされるのか?今の時点ではこの矛盾が本書の評価に強く影響してしまった。

No.32 9点 ∠渉
(2014/12/20 23:21登録)
あの動く紙人形を1000円で買った少年時代を思い出したなぁ。ハイテクロボットだと思って1000円安いなぁなんて思ってた馬鹿な子供だったな笑。でもって袋明けて紙人形を出したらただの紙人形で、種はさすがにわかったけど、全然うまくできなくてそっこーゴミ箱行き笑(妹も買ってたから2000円分!)。マジックに幻想を抱いていたアホ助だった。なんて過去形で言ってるけど、有里匠幻のミラクル・エスケープにまんまと騙される馬鹿な大人なのである。
有里匠幻殺害から有里ミカル殺害までミラクル・エスケープ怒涛の3連発というシリーズ中もっとも派手なミステリィショーが展開される本作。でもやっぱフィナーレの4つ目のエスケープは質感のある描写だったなぁ。素晴らしかった。あと、引田天功の解説がとってもいいのよ。ものにはすべて名前がある、ってサイカーさんもいってたけど、「引田天功」もまた然りなわけだ。うんうん。

整合性もかなりしっかりしてると思ったけど気になることを一つ。
金魚すくいを知らない萌絵ちゃんの440ページ。
「ラムネを飲むのにビー玉が邪魔になるように、最初のキーは、いつも関係がない。」
ビー玉ラムネは知ってんだ・・・お嬢様はわからん。まぁ、見事にどうでもいいんですが。

No.31 7点 まさむね
(2013/05/06 22:19登録)
 フー・ハウ・ホワイ全ての要素が織り込まれている上質なミステリだと思います。綺麗です。S&Mシリーズは「封印再度」以降読んでいませんでしたが,想像以上に盛り返してくれました。
 マジック(マジシャン)を絡めた設定がまず心憎い。その設定での,あのトリック…感服いたしました。見せ方っていうのは重要だなぁ…と再認識させていただいた次第です。
 作品としてはかなり評価したいのですが,実は前々から萌絵嬢の思考,言動等が苦手でして,本作においても印象が好転することはございませんでしたので,評価と結びつけるべきではない事項かもしれませんが,気持ち減点いたします。

No.30 7点 E-BANKER
(2012/12/08 15:19登録)
S&Mシリーズの第6作目が本作。
今回はズバリ「マジックとマジシャン」がテーマ。で、文庫版あとがきは何と引田天功氏・・・

~「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう・・・」。いかなる状況からも奇跡の脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が衆人環視のマジックショーの最中に刺殺された。しかも遺体は、葬儀の後霊柩車から消失。これは匠幻最後の脱出マジックか? 幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟コンビが解明する!~

うーん。この真犯人には正直たまげた。
まさか、あの人物とは・・・。こういうのはフーダニットの、もっと言えば本格ミステリーの醍醐味に違いない。
本作の良さは、このフーダニットのカタルシスが脱出トリックと有機的に結び付いているところ。
特に秀逸なのが、霊柩車の中に入れられた棺桶という「究極の密室」からの死体消失。
うまいよねぇ・・・。
事件関係者のほとんどがマジシャンという特殊設定を使い切ったところがミソ。
トリックは「裏のウラ」を付いて、いたってシンプルというのが作者の腕というか、凄みだろう。

ということで、ここまで褒めちぎってきましたが・・・
こういう見事なトリックの割に、ストーリーとしてはどことなくまとまってないような気にさせられた。
犀川と萌絵の関係も徐々に発展させながら、しかも萌絵の成長も見せながら・・・というサイドストーリー的要素が目に付きすぎるのが原因なのかな・・・?
動機も曖昧だし、そもそもマジックの最大のタネが「アレ」というのが大昔のミステリーみたいで「どうかなぁ・・・」というところもあって、ちょっと乱暴ではないかという感覚は残った。

まぁでも、トータルで評価すればよく出来てる本格ミステリーということでよいだろう。
(今さらだけど、本格もののギミックにここまで挑戦してきた作家というのはなかなかいないだろうから・・・)

No.29 7点 虫暮部
(2012/10/25 12:55登録)
 面白かったが、ネタバレ付きで指摘しなければならないことがある。
 “遺体消失事件”の時の、“霊柩車に棺が載ったあとでエンジンがかかった”という手がかりは、犯人にも事前に読めた筈なのに、何の対応もしていないのはおかしい。
 逆に言えば、それが無くても謎は解けるのだから、メタ的に見れば、このわざとらしい犯人の小ミスは作品にとって不要というか邪魔なエピソードではないか。
 

No.28 8点 Q-1
(2012/06/06 23:22登録)
意味ありげな描写があったので
何かしら関わってるとは予想したけど
真犯人だったとは。。。
とても驚かされました。

No.27 7点 蟷螂の斧
(2012/03/07 08:32登録)
ショーの最中の殺人、霊柩車からの消失については、奇術師の登場ならではの話なので納得せざるを得ないでしょう。真相(動機)については、題名ともマッチしており非常に気に入りました。自分の中の真相・動機ランクでは、かなり上位の位置づけとなりました。

No.26 6点 ムラ
(2011/07/22 18:52登録)
(軽いネタバレあり)
幻惑と言うタイトルに合致したストーリーだった。トリックも原作で言われている通り、シンプルながら解こうとするとミスディレクション的な感じで分かりにくくなる感じ。
最後の犯人が燃えるシーンも綺麗だった。
まあ、今回は素直にストーリーやキャラの会話が面白かったです。やっぱ、犀川先生がいないと駄目ってことがよくわかる一作でした。あとあの先生も新車が危ないと大声出すのね(笑)

No.25 7点 りゅう
(2010/12/04 21:39登録)
 読み終えた直後は、イマイチ必然性のない真相で、考えられる解のひとつにすぎないのではと思いました。しかし、よく考えてみると、死体消失事件の真相はこれしかないと思われるものです。マジシャンの登場が煙幕となって、まんまと幻惑されてしまいました。総じて、読者に十分な手掛かりが与えられているとは言えず、この真相を言い当てるのは難しいと思います。

(完全にネタバレをしています。要注意!)
 いくつか疑問があります。
・ 棺を霊柩車に搬入した際に、棺を運搬した人は運転手に搬入完了したことを伝えるのが普通ではないだろうか。運転手とのやり取りがないまま、車が動き出したいう設定は不自然。
・ 死体消失事件において、犯人は、ホールの玄関に霊柩車を駐車した後、有里匠幻としてのメーキャップをしたうえで棺の中に入っている。これだけのことを誰にも目撃されずに出来るだろうか(計画段階で出来ると考えるだろうか)。
・ 犯人はマジシャンと運転手との二重生活を送っているが、こんなことが現実的に可能だろうか。さらに、犯人は死体消失マジックを将来実施することを念頭において、そのためだけに葬儀会社に入社している。こんなことは普通考えられない。また、有里匠幻の葬儀を、別の会社ではなく、この会社に依頼することがあらかじめどうしてわかっていたのだろう。

 重箱の隅をつつくような粗探しにすぎません。こんなことを言い出したらほとんどのミステリは成立しないのでしょう。本当は、もっといろいろイチャモンをつけるつもりでしたが、調べてみたら思った以上に整合性が取れていることがわかりました。トリックに派手さはないものの(犯行内容自体は派手ですが)、しっかりした構成を持っています。

No.24 8点 白い風
(2009/08/04 21:55登録)
トリックも相変わらず大掛かりで大胆で面白かったです。
ただ、犯人を特定するには萌絵レベルが限度かな?
犀川レベルの推理は難しいでしょう。
それに冒頭の萌絵の親友杜萌の話が気になりますね(次巻なのだろうか…)
犀川と萌絵の関係、話も面白いと思いましたね。

43中の書評を表示しています 1 - 20