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ミステリの祭典

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藪の中

作家 芥川龍之介
出版日1980年04月
平均点6.14点
書評数7人

No.7 7点 八二一
(2024/06/02 20:24登録)
一人の侍が殺される。三人の容疑者は、誰もが自分が殺したと主張し、真犯人が分からない。真実なら死罪だが、あえて殺したと嘘をつくのは何故か。
そこに人間の深層心理が表現され、読めば読むほどに圧倒される。法医学的に分析しても、死体所見と現場の状況にいささかの矛盾もない。

No.6 5点 ボナンザ
(2014/04/09 23:15登録)
ある意味現代の叙述トリックに対する皮肉ではあるまいか。
たとえ何人見た人間がいようと本当のことを言っているとは限らない。
そしてそれは被害者ですら同様だ。

No.5 8点 蟷螂の斧
(2012/03/19 22:29登録)
ミステリサイトに芥川龍之介氏が登録されていたなんてびっくり。自分の人生の中では、かなり影響を受けた作品の一つです。物事を多面的、客観的に見ることを学んだように思います。黒澤映画「羅生門」は本書に沿っていますが、2009「TAJOMARU」(小栗旬氏主演)は盗賊・多襄丸は登場するのですが、筋はほとんどオリジナルなものでした。本書は、謎・謎・謎、まさに藪の中、ミステリーです。

No.4 7点 ようじろう
(2012/03/19 19:03登録)
真相は藪の中。

No.3 3点 ムラ
(2010/12/22 02:55登録)
懐かしい本があったのでちょろっと再読しました。
全員が全員言ってることが食い違っていて、誰が犯人かわからないリドル・ストーリーとなっています。
殺された夫の証言が、霊の口を借りた巫女というのも面白いです。
短編なので少ない時間で読めますが、昔の文体なのでちょっと疲れちゃいますね。

No.2 6点
(2010/07/15 11:37登録)
江守森江さんが興味深い作品を登録されたので、ちょっと(5分で)再読してみました。たしかに本書はミステリーとして十分に体をなしています。
クロサワの「羅生門」の映像やストーリーが記憶に残っているせいか、原作ってこんなにあっさりとしてたんだなあ、と改めて感じました。リドル・ストーリーのせいか、想像力のなさゆえか、初読のときと同様の物足りなさがありました(映画の影響が強すぎるのかも。映画作品は映像が強烈でさすがクロサワと唸らされましたが)。
でも、読後、自分なりに推理でき、他の人たちとも語り合える点はやはり良いですね。

決して得意分野ではありませんが、マイナス要素も少ないので点数はこのぐらいです。仕事の合間に青空文庫でタダ読みできるのもこの作品のメリットですね。

No.1 7点 江守森江
(2010/07/05 03:45登録)
小説推理に掲載中の佐野洋「推理日記」で触れられていて興味を持った。
講談社文庫の表題作含む6編収録の短編集で読んだ。
※但し書き
国内リドルストーリーの代表的作品である表題作のみを対象にしている。
藪の中で起きた殺人事件を、当事者3人を含む7人の証言(独白)で描いている。
微妙に食い違う証言(独白)は、まさにミステリーで、作者は結論を書かずに終了する。
リドルストーリーと捉えるか、東野圭吾「どちらかが彼女を殺した」に先駆けた解決を書かない読者挑戦小説と捉えるかは、お好み次第だろう。
挑戦小説と捉え謎の解明に数多の方々が挑んでいる(らしい)
私的には、じっくり各人の証言を検証すれば論理的な帰結を得られると思うが、数多ある論文では統一された結論に到達していない(論文はあたっていないので詳細不明)
古い文体なので、贅沢を言うなら現代版に訳してほしかった(短編なのでさほど苦痛ではない)
幾ら芥川作品でも、教科書向けではない題材なので、勉強を強要された感じを受けない事が却って新鮮だった。
それでも、文学的評価が採点基準ではないので満点(8点)にはしない。

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