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ミステリの祭典

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大泉耕作さんの登録情報
平均点:6.26点 書評数:65件

プロフィール| 書評

No.45 4点 大当たりの死
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2012/01/08 15:26登録)
新シリーズの粗いところを集約したような作品。
プロットと発想はよかったけれど、気の利いた手掛かりがありながらそれを最後まで引っ張り延ばすようで好感は持てない。
構成の不備を抱えたまま作品化されたよう作品でした。


No.44 5点 硝子の塔
スタンリー・アレン
(2012/01/08 15:16登録)
新シリーズのオチらしいオチ。通常通りこの手の本というのは描写が薄っぺらいことにはさすがに目を瞑ることに限りますが、このロジックはもっと工夫が出来んものだか・・・。
(追伸)
誤ってR&Wの作家名に入れてしまいました。
申し訳ございません。


No.43 5点 逆転の構図
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2012/01/08 15:13登録)
コロンボ作品でも上の下というところ。
コロンボの仕掛ける逆トリックのファンも多いことだが、いささか強引かと思われます。そういう僕もファンなのですが。
 捜査の過程もシリーズ中ではシャープな出来です。


No.42 4点 御手洗潔のメロディ
島田荘司
(2012/01/08 00:45登録)
何も考えずに手にとった御手洗もの。
『IgE』魅力的な謎が揃い見事なプロットにも関わらず、なんだか消化不良な・・・。
『SIVAD SELIM』どう見ても石岡君が悪いと思うけれど、やっぱり同情してしまいます。
『ボストン幽霊絵画事件』死体移動、そんな都合よくなるものですか?
『さらば遠い輝き』シュワルツネッガーが登場!? 

ミステリの面から見れば『IgE』は秀作。
余談ですが、非ミステリ的に最後の作品が感動させられました。
島田荘司が推理作家である以前に作家であることを、改めて認識させられました。


No.41 7点 姑獲鳥の夏
京極夏彦
(2012/01/04 21:54登録)
京極夏彦ははじめてです。
解決の章におよそ百ページ費やされた分、非常に丁寧な解決となっていて好印象を持ちました。
が、探偵小説としては推理の余地がないため幾らかがっくり。しかし、これはもともとロジックがどうだ、こうだの小説じゃないですし、書評は難しい・・・。
世界観は横溝正史に似たようでありながら独特の雰囲気を作り出し、読者が寛大に見ればすんなりと入り込める世界になっています。
プロットも著者が暇つぶしに書いたものしては、本業のヘタな文士たちに比べて抜群に巧妙で、学もあります。読んでも損はないと思います。
ミステリとしての評価は前者の皆さまのいう通り大分落ちますが・・・。


No.40 5点 死のクリスマス
アルフレッド・ローレンス
(2011/12/29 21:56登録)
コロンボ作品でもP・フィッシャー氏の脚本には劣るけれど、完成度は高い。しかし、新シリーズで見られがちな無駄なシーンが幾多も見られ、冗長な感じが否めませんでした。
あともう一つだけ。
作者(日本ではレビンソン&リンクの名義になっているが)アルフレッド・ローレンスは、原作者二人のもとに小説版コロンボを執筆したとのことで、映像化されていないのはそのためだとのことです。
この解説も無駄か・・・。
(ネタバレ)
コロンボの着眼は見事。ラストシーンは『二枚のドガの絵』の逆トリックの変形、応用だと思うのですが、上手くやってくれていました。


No.39 7点 シャーロック・ホームズの回想
アーサー・コナン・ドイル
(2011/12/24 15:52登録)
『冒険』に比べてアイデア不足かな・・・。
でも、数ある謎が最後にスッキリと結び付く様は見事。さすが、世界で最も有名な名探偵の事件簿なだけはあります。
最後の二編は印象的でした。


No.38 6点 さらば提督
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2011/12/22 21:41登録)
コロンボシリーズでは異色の非倒叙ミステリ。
本書はドラマ本編にもっと肉付けして出版されたようで、ドラマ以上に本格ミステリやドラマ自体の品質がアップして、ノベライズ版成功の一例かと思われます。(褒めすぎかな・・・)
ドラマにはない、最後の台詞にはゾゾッと来ました。


No.37 6点 パイルD-3の壁
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2011/12/21 13:27登録)
犯人判定までの過程はミステリ的には不十分ではないかと思います。けれど、最後はやはり発想のスケールが大きくそれが作品自体にロジカルな雰囲気を与えていてそんなものが払しょくされるようでした。


No.36 6点
横溝正史
(2011/12/21 13:06登録)
横溝ワールド炸裂、よく練られている短編が選りすぐられています。
「生ける死仮面」バラバラ、画室、犯人、狂気、練られていますがたしかに真相は強引・・・。
「花園の悪魔」久しぶりにミステリを読ませていただきました。
「蠟美人」色々と謎が残る事件。解決はちょっと雑か・・・。
「首」真相が狂気云々だらけの短編集なので、最後にこれが当たって良かった。

ミステリ的に雑な個所もありますが、「七つの仮面」よりかはまだマシです。楽しめるだけの価値はありました。


No.35 4点 七つの仮面
横溝正史
(2011/12/19 17:56登録)
金田一入門の際に本書にぶち当たらないこと。
奇想天外な冒頭から始まっていい加減な解決で閉じた短編を詰め合わせたような作品群です。
「七つの仮面」このトリックは『迷路荘の惨劇』にも使われたような・・・。
「猫館」この着眼は『この子の七つのお祝いに』に通じるものがある。
「雌蛭」大胆なトリックを仕掛けておきながら、小品な感じが抜けない・・・。
「日時計の中の女」 水準のミステリです。
「猟奇の始末書」 「日時計の~」よりかはずっといい作品ですが、解決編が強引です。
「蝙蝠男」シリーズ最後の短編。犯人が犯人である理由を放り出して無理やり解決させた事件。ミステリ的には駄作もいいところ。
「薔薇の別荘」 短編集のなかでは最も出来が良い。トリックがよく練られていました。金田一が屋敷へ招待された理由も、やっぱり保証人として呼ばれたのではないかと・・・。

あんまり感心できない作品だらけでした。「蝙蝠男」の最後の一行だけは、金田一さんの優しさと格好良さがあって、評価一点の救いになっています。


No.34 5点 特急「北斗1号」殺人事件
西村京太郎
(2011/12/13 23:24登録)
しっかり謎が集約されているし、まあ面白かったのではないかと。
 こういうところが西村京太郎氏の上手いところなのですが、これは心のロジックなどが、犯人或いは被害者の心理を探って謎を解明しようと十津川と亀井が調査に乗り出すかたちになる形式。
 現場に犯人を絞り上げるための描写というものもなく、やはり語られないためやっぱり視点は自然とそちらへ誘導される仕組みになっていて、感心しました。
 折を見て、また祖父から何か京太郎氏の作品を譲っていただこうかと思います。


No.33 5点 血文字の罠
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2011/12/13 23:17登録)
新シリーズの趣向があります。無駄な描写が多いし、ドラマの中でも何度も見たようなシーンがそのまま出てくるのでうんざりします。
ミステリとしては、悪くもないしかと言って素晴らしいと思うほどでもないので、譲って五点程度です。
しかし、最後の解決場面だけは楽しく読ませていただきました。
それにしてもピーター・フォークさん、もっと生きていてほしかった・・・。御冥福をお祈りします。


No.32 6点 金田一耕助の冒険
横溝正史
(2011/12/13 23:03登録)
傑作と切羽詰まって書いてしまったような作品が並ぶ作品群。
「霧の中の女」謎が魅力的です。解決もサッパリしています。
「洞の中の女」奇怪さとロジックは本書イチです。
「鏡の中の女」よく練られた作品だと思います。
「傘の中の女」少々無理のある気もしましたが、それをふっとばすような金田一と等々力警部とのユーモアな言動がいい。
「鞄の中の女」本格ものとしては文句なしの出来。
「夢の中の女」最後に来てほしくなかった結末。でも、金田一の推理は面白かった。
「泥の中の女」推理不可能。ちょっと遺憾に思う・・・。
「柩の中の女」トリックはごく単純だけど、犯人到達の着眼はお見事。
「瞳の中の女」ホームズ的な事件。本当に犯人の目的や、正体がわからないまま終わった。ああ、残念!
「檻の中の女」残念ながら、本書のなかではもっとも劣っております。頁数の問題だろうと察します。
「赤の中の女」ロジックや展開は実に長けている秀作。これだけでも8点ぐらいはあげたいほど。

巨匠横溝でもやはり二週間に一作書くとなるとどこかにガタが来るのだろうか・・・。
 関係のないはなしですが、表紙に描かれた(初期の角川文庫版)金田一耕助の絵が、妙にコロンボの小池朝雄氏とかぶるのですが、どうでしょう? 気になります。
金田一耕助の感情が割とあらわになったりする短編集でした。


No.31 8点 江戸川乱歩傑作選(新潮文庫)
江戸川乱歩
(2011/12/07 17:42登録)
乱歩初心です。この本で氏の作品に魅了され、また何かの機会があれば再読、または他の作品にもあたろうかと思います。芸術作品ですね。
「心理試験」が好きです。


No.30 7点 斜め屋敷の犯罪
島田荘司
(2011/11/30 00:53登録)
島田作品には図を用いた説明が多いのですね。
これから氏の作品を読む際には、ネタバレを防ぐためにむやみに頁を捲るのは止めにしようと思います。
とても楽しんで読ませていただいたことに変わりはありませんが、全体的に印象がうすかったこともあり、ミステリとしてはまあまあという感覚しか浮かびません。
かなり完成度は高かったことは認めますが、とても薄い・・・。もっと、どうにか幻想的に筆は走ったならば、僕も両手を挙げて「参った!」と認めてしまうンですが・・・。
でもかなり秀作です。


No.29 7点 占星術殺人事件
島田荘司
(2011/11/26 15:50登録)
小説自体が論理パズルのようで、今まで読んだ推理小説とはまた違う新鮮さにやられっぱなしでした。
何といってもトリックですよね。
「シャーロック・ホームズの冒険」を読んだ後に読めて、本当に幸運でした。


No.28 9点 シャーロック・ホームズの冒険
アーサー・コナン・ドイル
(2011/11/24 18:28登録)
ホームズは初めてです。
シャーロック・ホームズって人情味があってやや人間臭い人物なンですね。
それにしてもホームズの洞察力は凄いなぁ。ホームズが十六世紀ぐらいに誕生していたら、間違いなく「魔女」として火破りにされていただろうなぁ。


No.27 10点 悪魔の手毬唄
横溝正史
(2011/11/24 18:03登録)
もはや探偵小説の域を超えて、文学です。
 この四百八十頁に及ぶ文章の背景に潜むこの圧倒感は、いったい何処から溢れているのでしょうか。
構成の巧妙さ、プロットの凄み、論理を追求してゆく方に限ってこの作品は、横溝正史のなかでも最高作だと信じています。マイベスト小説です。


No.26 8点 皇帝のかぎ煙草入れ
ジョン・ディクスン・カー
(2011/11/24 17:06登録)
 ビックリ!! (人間描写に矛盾だらけ)
 人間の醜態を鋭く描いた作品、登場人物の殆どがそのようなエゴイストが多いため、探偵役の博士の人柄が際立ち好感をもてました。これ一作限りなのがとても残念。
 登場人物のキャラの繋がり方が非常によく練られていると思います。そして「皇帝のかぎ煙草入れ」ものちのち重要な役割を果たし、犯人判明へと繋がるわけですね。
 伏線を押し込めようと多少の不自然さは感じましたが、最後に博士が言う台詞のなかにはどこかで読んだ覚えがある台詞などが多数提示され、ハッとする。これぞ推理小説。
「こりゃ凄い!」秀作です。

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