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ミステリの祭典

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占星術殺人事件
御手洗潔シリーズ

作家 島田荘司
出版日1981年12月
平均点8.21点
書評数201人

No.201 4点 愚か者
(2024/08/19 13:51登録)
トリック自体は独創性があって良いのだが、リアル感に乏しいと思うし動機も弱い。
少し難解で理解するのにも苦労した。

10点満点で採点し直しました。2点→4点

No.200 10点 みりん
(2022/12/17 07:33登録)
40年間誰にも解かれなかったって作中でどんだけハードル上げるんだろうと思ってしまったが、メイントリックが余りにも鮮やかで美しく長年解かれなかったのにも納得がいきます。真相が解明されたあとなぜこれに気づかなかったんだろうと言う思いに駆られますがまさにコロンブスの卵というやつでしょうか。タイトルが「占星術殺人事件」なのもちょっと意地悪。

事件に関係のないパートが多いと言う意見もありますが現存している容疑者が少なすぎるのでミスリードもある程度必要かなと私は納得しています。あと御手洗潔がシャーロックホームズをディスりまくるシーンも笑えます。

No.199 3点 ALFA
(2022/02/10 18:37登録)
実に痛快なトリック。ただこのトリック、私は元ネタ事件の成功をリアルタイムで知っているから妙に腑に落ちるが、それを知らない人にはバカミスととられかねないかな・・・

梅沢平吉の手記と表題で読者を堂々と欺いたあげくの、このトリックがまことに効果的。
ただし魅力はそこまで。文章は冗長だし御手洗と「私」の掛け合いはとってつけたようでぎこちない。もちろんホームズとワトソンが下敷きになっているんだろうけど、日本人同士の会話になっていない。
密室トリックもいささかラフ。

完全改訂版の作者あとがきはなかなか楽しい。

No.198 8点 パメル
(2021/06/13 08:25登録)
40年前の未解決事件捜査、密室殺人、アゾートの謎、魅力的な探偵コンビ、読者への挑戦状など本格ミステリ要素が満載。社会派小説が主流になりつつあった頃に謎解きをメインにした作品ということで、デビュー作にして日本ミステリ史的にも重要な作品。
ただ、序盤の手記がとにかく読み難い。アゾートの説明など情報量が多すぎて、これを全部把握するのは至難の業。その後も探偵と助手の対話が続くが、ここもテンポが良くない。ミステリを読み慣れていない人は、挫折する人も多いのではないか。自分も挫折経験者です。ここを乗り越えれば、次第に読みやすくなるので我慢して読んでほしい。
冒頭に配されたアゾートという謎の詩美性、合理に徹した御手洗の推理の明快さという重厚さとシリアスさだけでなく、ホームズ役の御手洗、ワトソン役の石岡のユーモアある掛け合いが、古典作品のリスペクトをも感じる。メイントリックは、40年間迷宮入りだったというのが納得出来るような、前例の無い斬新な大技のトリック。事件の真相と謎が明らかになる瞬間の鮮やかさにしびれる。

No.197 10点 オムレツ
(2020/09/08 19:53登録)
疑似探偵体験を、心底味わった唯一のミステリー。

ミステリー人生三冊のうちの一冊。
探偵の気持ちを、リアルタイムで感じられた一冊。

京都哲学の小道で、おつりの偽札の話を聞いた御手洗潔。

そのくだりを読んだ瞬間、全てのパーツがカラカラと音を立てて、ぴったりと治まり、霧がかかっていた視界が、スッキリと!
うぉーっと、部屋の中を走り回って

「なんて、ぼくは馬鹿だったんだ」
御手洗潔と、全く同時に口から声が出た。

後にも先にも、こんな体験をさせてもらったのは、
占星術殺人事件だけ。

No.196 8点 葉月
(2020/09/06 20:25登録)
金田一少年うんぬんのせいで最初からメイントリックを知った状態で読みましたが、それでもかなり楽しめました。特に第二の事件のアリバイトリックが出色で、さすがは日本を代表する本格ミステリという印象を受けました。

No.195 9点 じきる
(2020/08/23 17:46登録)
推理小説史に残る例のトリックは余りにも凄まじい。

No.194 9点 Kingscorss
(2020/08/08 01:49登録)
傑作中の傑作。未だに色んな人にトリックをパクられる元祖であり、古典。いや、現実的にはかなり実行に無理があるが、トリックをパクって使いたくなる人の気持ちもわかるぐらいよくできたトリックなんです。

ただ、多数の人が指摘するように最初の方(手記の部分)の文体が読みにくいので、最近の小説を読み慣れてる人の中にはそこで挫折する人がわりといそう…

くれぐれも金田一少年の事件簿で同じトリック見た!って言わないように。あっちがパクリです。

No.193 9点 Gorgonzola
(2020/05/05 12:37登録)
中盤少しダレたが、秀逸なトリックは衝撃でした…!

No.192 10点 雪の日
(2020/04/09 14:10登録)
驚きのトリック!

No.191 9点 モンケ
(2019/10/29 08:02登録)
このトリックを考案したことだけでも評価され記憶されてよいと存じます。
※体操で「ギンガー」「トカチェフ」「ツカハラ」など技の考案者を記念した技名を付けるように、ミステリーでもトリックを考案した作者名を遺すべきなのではないかと思います。

No.190 9点 mediocrity
(2019/08/15 04:02登録)
歴史的に重要な作品とのことで、確かに非常に重厚で素晴らしい作品でした。
ただ個人的には、犯人がわかりやすすぎることを除けば、メイントリックの衝撃度、メイントリック以外のトリックの完成度、文章の読みやすさ、全体の構成において『斜め屋敷の犯罪』の方が上だと感じました。

No.189 9点 もち吉
(2019/07/18 19:31登録)
結論から言えば、評判通りの面白い作品だと思った。
特に、地理関連の記述が事細かにリアルに描かれているために、奇想天外な事件にも関わらず常に一定のリアリティを感じることができる点は非常に素晴らしい。
冒頭の手記部分に関しては色々思うことはあるが、結局の所フィクションなので全然許容範囲である。少なくともこの作品の雰囲気作りを担い、作品の方向性を指し示すものとして大きく寄与している。

ただ、島田荘司作品でいつも感じることだが、おそらくは完璧主義であるゆえの、「語りすぎ」がこの作品でも少し気になった。この作で言えば、御手洗の演説の部分はまぁ仕方ないとしても、ラスト部分の犯人による事件の詳細の長々とした補足は完全に蛇足だと言える(やるにしても心情の描写をメインにもっと短く出来たはず)。読者の想像で補える部分は、敢えてつまびらかにしないという選択肢もあるのではないか?
あとは、考え過ぎというか、事件を複雑なものにしようとしすぎて、解答編も含めてクドく感じてしまう部分はある。もう少しシンプルにやってもいい気がするが・・・。この辺は好き好きか。

苦言のようなものも述べたが、結論は冒頭に書いた通り「面白い」である。推理小説として以前に、小説として面白いと思わせてくれるのは島田荘司の好きな部分である。自分にも、島田荘司の文章力の5分の1でもあればもう少し良いレビューが書けるのだが・・・なぁ。

No.188 10点 ボナンザ
(2018/10/19 21:15登録)
改訂完全版で再読。
やはりトリック、雰囲気いずれも最高の超絶的名作と言わざるを得ない。
なんといっても真相はある意味で読者の目の前に最初から突き付けられていたのだから・・・。

No.187 8点 レッドキング
(2018/05/19 12:53登録)
骨格は被害者加害者入代りトリック発展形だが、素晴らしいこと、この上ない。惜しいことに小説自体が面白くない。

(2021年訂正追記)カーや「人狼城の恐怖」「監獄島」等と併せてあらためて再読した結果、これに7点以下評価はないと痛感。ので7点から8点に変更。

No.186 8点 ねここねこ男爵
(2017/09/28 22:40登録)
メイントリックが秀逸。細かい部分もよくできていると思います。
某推理漫画に丸パクリされたのでトリックだけ知っているという人もいるかと思いますが、それを差し引いても楽しめます。
もっとも、最初の密室殺人での第一の推理(某推理漫画では真相になってたアレ)自体が海外の超有名短編まんまなのですが。もちろん作者は知っていて、そのため正解でなく否定される案にしたのでしょう。

冒頭の手記の凄まじい退屈さに我慢できるかどうかが全てです。

No.185 9点 madara
(2017/03/18 15:53登録)
史上最高の驚愕のトリック。
初めて読んだ時は「ええっっ!!!」って電車内で思わず声が出てしまいました。
トリックも凄いのですが御手洗氏と石岡君の掛け合いも個性が出てて良かったと思います。
途中、少し冗長な所があるので少し減点しましたが思い入れも含め、10点に近い9点です。

No.184 10点 初老人
(2016/09/20 22:58登録)
途中読者への挑戦が挟まれた中々ユニークな作品。今振り返って見て思うのは、再三に渡り差し挟まれる挑戦は自分の頭で考えずに解決編を見ると必ず後悔しますよ、という警告の意味があったような気がする。無論私がその挑戦に対して応える事はなく、それどころか答えを見てもすぐには意味を掴みかねる、といった有様であった。図で丁寧に説明されてやっと理解するに至った次第である。
これからこの作品に接する事になる幸運な読者の方々には、解決編に入る前に、せめて犯人は誰なのか思いを巡らして頂きたい。さもないと私のように答えを読んで大いなる敗北感に打ちのめされる事になる、かもしれない。

No.183 6点 mini
(2016/08/24 09:57登録)
クリスティ再読さんの御書評を読んで、成程私も昔もやもや感は有ったのだが、”なぞなぞ”という語句を見て納得した
そこでかなりの部分を書き直して再書評したくなったのである
折角の魅力的なトリックだけに、”なぞなぞ”ではなく小説としてどう書けばよかったのかを考えてみた
過去の書評は一旦削除して再登録

さて小説として引き延ばすとしたら何処?、まぁ普通に考えてあの死体発見の件でしょうね、他の要素だと引き延ばし難いと思う
例えば竹越手記は、一夜の件をロマンス調に延ばす手も有るだろうけど、そうするとネタバレにも繋がりかねず、どっちにしても手記の形で情報提供するだけならば大差ないかも
結局のところ死体発見の件を、あんな序盤に一気に説明せず、徐々に発見させていけばよかったと思う、そこにサスペンスも生まれるしね
ではそういう書き方が出来なかった理由は?その答えは簡単である

それは探偵役が御手洗だからだ

いやちょっと説明不足だな、つまり御手洗が現代に生きる探偵だからだ
どうしても(御手洗の生きた時代の)現代視点で見るから、事件の概略を前半で一気に書かざるを得なくなる
そこでどうしたら改善されるのか?
私は2つの方法を思い付いた

1つは御手洗など登場させず時代歴史ミステリーにしてしまうんだな、探偵役は登場させてもいいが、その時代の人物としてこの回限りのノンシリーズとする
そうすれば死体発見の過程をその時代のリアルタイムに見せられるから、この要素だけで結構プロット的に引き延ばせる、当然サスペンスも生まれる

もう1つの方法はさ、どうしても御手洗を登場させるのだったら、完全なる安楽椅子探偵という設定にして、終盤の謎解き場面だけに登場させる
実際に「斜め屋敷」でもプロット上これに近い事やってるのだから、「占星術」の内容なら出来なくはないでしょ
つまり全体を2部か3部構成にして、1部を事件の起きた時代に設定するわけそこまでは上記の方法と同じ
全体が2部構成なら、2部で御手洗が解明
全体が3部構成なら、2部で捜査が行われたが結局迷宮入りする過程を描き(これでさらに引き延ばせる)、あとは3部で解明は同様

とまぁこんな感じにすれば、あそこまで読者への情報提示を序盤だけに押し込めなくて済んだのではないかと思う

No.182 7点 虫暮部
(2016/07/29 11:16登録)
 島田荘司には長文の偽書をトリックに使う作品が複数あるけれど、私はどうも好きになれない。それをやったら何でもアリになってしまうじゃないか。本作で“接着剤”としてアゾート幻想が必要なのは判るし、アンフェアとは言わないが、舌先ならぬ筆先三寸で丸め込まれた印象。
 この謎が“ブームになって議論百出、出版物がどしどし世に出るも、40年以上解かれなかった”と言う設定は強気に過ぎると思う。文次郎手記の内容(死体を配るのは他者にやらせる、精液を残すだけなら女でも出来る)を想像することは可能だから、手記は推理に必須ではない。登場人物が少ないし、順番に疑って行けば真犯人もすぐ俎上に上がる。つまり“解けなかった”とは“決め手に欠ける”ということではないか。では御手洗の場合の決め手は何かといえば、トリックの解明よりも“予想される土地に犯人が居た”ことであり、犯人の後半生を鑑みるにそれは僥倖である。犯人が店を構える以前に謎を解いて嵯峨野をウロウロしていた早過ぎる名探偵がいたかもね。
 中盤の推理合戦で、“血縁者に対して害をなすか?”について、場合によって肯定的だったり否定的だったり、ダブルスタンダードなのが気になった。
 ということで、初めて読んだ時(30年位前!)にはとにかくメイン・トリックに驚愕&興奮したものだが、読み返したらやや冷静な評価に落ち着いた。

 サイコロって吉田拓郎「落陽」へのオマージュ?それは流石にこじつけ過ぎか。

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