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ミステリの祭典

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葉月さんの登録情報
平均点:7.72点 書評数:18件

プロフィール| 書評

No.18 8点 蝶々殺人事件
横溝正史
(2021/03/06 20:39登録)
本陣殺人事件と同時期に書かれた本編、世評は本陣の方が上ですが個人的にはこちらの方が好みです。メインのトリックはシンプルなだけに素晴らしく、見事に読者の盲点をついてきます。鮎川哲也などにも影響を及ぼしている作品ですし、一読をお勧めします。


No.17 9点 蒼海館の殺人
阿津川辰海
(2021/02/20 00:01登録)
阿津川辰海の最高傑作というだけでなく、間違いなく新•新本格を代表するであろう傑作。真相はあまり時精緻に作られていて、感嘆するより他にない。死体の顔を潰す理由もまさに前代未聞。


No.16 8点 サクリファイス
近藤史恵
(2021/01/31 15:58登録)
ミステリファンだけでなく、全ての読書人が楽しめるエンタメ小説と言っていいと思います。本屋大賞2位という結果はそれを裏付けているでしょう。自転車レースの場面は緊迫感にあふれていてとても面白い。あまり馴染みのない競技だったにもかかわらず、説明描写の巧みさからか、特殊なルールや慣習的なものはすんなり理解することができました。
一点傷があるとすれば、多くの方が書かれているように香美の行動には腹が立ちました。ただそれをさし位引いてもこの点数をあげたくなるほど素晴らしいエンタメ作品だったと最後に申し上げておきましょう。


No.15 5点 バイバイ、エンジェル
笠井潔
(2021/01/31 14:14登録)
注意:ネタバレがあります!


現象学的直感というガジェットには引きつけられましたが、最後までそれが作品内でうまく機能しているようには、私には見えませんでした。小説的なところでもナディア視点のパートは面白く読めたのですが、モガール警視視点のパートは説明描写が多くかなり退屈です。しかし一番がっかりしたのが首切りの理由が真犯人であるマチルドの思想そのものとなんら関係のないものであったことで、このことが思想対決という一種の小説的魅力と、探偵小説としての魅力が乖離することにつながっているように感じられました。
しかしそれでも私がこの作品を嫌いになれないのは冒頭のナディアの心理描写が素晴らしいからで、特に「春が来て、私は二十歳になった」という冒頭の一文は大好きです。


No.14 10点 キングを探せ
法月綸太郎
(2021/01/11 22:25登録)
自分が始めて読んだ法月作品です。そのせいもあるでしょうが未だに氏の最高傑作という印象を持っています。四重交換殺人という発想、疾走感のあるストーリー、そして見事に読者の盲点を突くミスディレクションの巧みさ。やっぱり法月綸太郎の最高傑作な気がしますq


No.13 9点 孤島の来訪者
方丈貴恵
(2021/01/06 22:27登録)
前作「時空旅行者の砂時計」は作者の騙しの姿勢には好感を覚えたものの、どちらかといえば美点よりも欠点が目立ってしまっている印象でしたが、本作は一転かなりレベルの高い特殊設定本格ミステリとなっています。
個人的には序盤のSFサスペンス的展開がかなり意外なもので、そこからは一気に読めてしまいました。
最後に真相が二転三転するのも買いですし、伏線の張り方も上手く、本格ミステリとしてかなり高いレベルに達していると思います。


No.12 7点 蟬かえる
櫻田智也
(2020/12/26 22:02登録)
年末のミステリランキングでも上位にランクインを果たし、口コミサイトなどでも高い評価を得ている本書。本格ミステリとしての魅力よりも、小説としての豊潤さが優っています。個人的に一番好きなのはブラウン神父的な逆説的ホワイダニット炸裂する最終話ですが、他の話も魅力たっぷり。一読をお勧めします。


No.11 8点 消失!
中西智明
(2020/12/20 23:24登録)
この一冊で“消失!”してしまったのはやっぱり惜しいですね。第1のトリックは読んでいてわかりましたし、文章も非常に読みづらい。それでもこの作品はニ番目のトリックだけでもこの点数に見合う価値はあるのかなあと。自分としては最初のトリックがわかっただけに、騙されたときの悔しさも大きかったです。


No.10 9点 魔眼の匣の殺人
今村昌弘
(2020/12/20 23:16登録)
「屍人荘の殺人」もそうですが、やはり本格ミステリとしてレベルが高いなあ、と思います。騙しの技法自体が特に新しいというわけではないのですが、使い方が上手いです。ラノベ調は好悪の分かれるところでしょうが、気にならない方には面白く読めるのではないでしょうか。


No.9 7点 透明人間は密室に潜む
阿津川辰海
(2020/12/16 00:33登録)
全体として本格ミステリに振り切れた作品は面白く、そうでない作品は微妙といった印象でした。ただ表題作は間違いなく傑作であると思っているので、これを読むためだけでも買う価値はあると思います。「紅蓮館の殺人」より格段に文章が上手くなっていた点にも驚きました。
「透明人間は密室に潜む」
倒叙ゆえの緊張感がある上に本格ミステリとしても見事。ラストまでサプライズがあったのは嬉しかった!
「六人の熱狂する日本人」
裁判が混乱する最初の方は楽しく読めたのですが、さすがにこのネタだけで一話持たすのは厳しかったのではないでしょうか。
「盗聴された殺人」
犯人特定のロジックは鮮やかで、意外な犯人ものにありがちな無理がありません。設定も魅力的。
「第13号船室からの脱出」
真相には色々と無理がある上に、読んでいて楽しくなかった。脱出ゲームの楽しさを小説で伝えるのは無理があったのではないでしょうか


No.8 10点 女王国の城
有栖川有栖
(2020/12/16 00:18登録)
個人的には有栖川有栖の最高傑作だと思っています。小説としても楽しいですし、本格ミステリとしてもレベルが高い。犯人当てのロジックもさることながら、教団が警察に通報しない理由もこれしかないというほど納得できものであります。詳しくは書きませんが、新興宗教団体という設定 がミスディレクションになっているのも見事。オールタイムベスト級の傑作です。


No.7 6点 中途の家
エラリイ・クイーン
(2020/10/02 22:41登録)
中盤の裁判のシーンが最もサスペンスフルで楽しめました。その分裁判後の後半はかなり落ちてしまう印象で正直最後の謎解きまでは退屈で仕方ありませんでした。


No.6 6点 りら荘事件
鮎川哲也
(2020/09/07 22:00登録)
よくオールタイムベストなどでも見かける作品ということもあり、よくも悪くも傑作なのかと思っていたのですが、小綺麗にまとまった作品でした。カードのトリックなど見どころも多く、楽しめたことは楽しめたのですが、もっと派手な作品を想像していた分少しがっかりしました。


No.5 5点 厭魅の如き憑くもの
三津田信三
(2020/09/07 11:52登録)
メインのトリックにはあまり感心できず、全体的に今ひとつといった印象を受けました。歴史的傑作と言われている「首無」や、シリーズの中でも評価の高い「山魔」などと比べると、少し苦しいのではないでしょうか。


No.4 7点 首無の如き祟るもの
三津田信三
(2020/09/07 11:47登録)
メインの密室トリックはさすがで、本格ミステリ史に残るものであると思います。多重推理がそれほど好きでないこともあり、ラストのどんでん返しには感心しませんでしたが、オールタイム・ベストに残れるほどの貫禄のある作品だとは認めざるを得ないでしょう。


No.3 9点 異邦の騎士
島田荘司
(2020/09/06 20:30登録)
他の方も書かれていることですが、本格というよりはサスペンスとして楽しみました。 序盤から緊迫感があり楽しめました。


No.2 8点 占星術殺人事件
島田荘司
(2020/09/06 20:25登録)
金田一少年うんぬんのせいで最初からメイントリックを知った状態で読みましたが、それでもかなり楽しめました。特に第二の事件のアリバイトリックが出色で、さすがは日本を代表する本格ミステリという印象を受けました。


No.1 8点 鍵の掛かった男
有栖川有栖
(2020/09/02 20:59登録)
重厚に人間を描いていて、いい意味で有栖川らしくない傑作だった。これからもこの路線の作品をたまにでいいから描いて欲しいと思う

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