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ミステリの祭典

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金田一耕助の冒険
金田一耕助シリーズ

作家 横溝正史
出版日1979年06月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2023/12/28 09:34登録)
(ネタバレなしです) 1956年から1958年にかけて雑誌に発表された「女」というタイトルのつく金田一耕助シリーズの本格派推理小説を集めた短編集です。当初は6作を収めた「金田一耕助事件簿」(1959年)が、後には7作を収めた「金田一耕助の謎」(1975年)が出版されていますが、私は11作を収めた本書(角川文庫版)(1976年)で読みました。巻末解説によるとその11作以外にも「女」タイトル短編がいくつかありますがそれらは改訂されて長編作品になったようなので、最終版作品のみで構成されている角川文庫版で十分だと思います(ちなみに改訂長編化される前の「女」作品も「金田一耕助の帰還」(1996年)で読めるようです(私は未読))。1作を除いて金田一が氏名不詳の「記録者」に真相を説明する形式を採用していて連作短編集を意識したようなところがあります。読者のための推理データは十分とはいえず、既視感のあるトリックもありますが(某海外本格派からの拝借では?)、作品の出来栄えはほぼ均等で気楽に読めました。その中では動機に唖然とする「鏡の中の女」(1957年)、犯人当てとしては楽しめませんが心理分析が印象的な「夢の中の女」(1956年)がお気に入りです。金田一が笑う場面が多いのも印象的でした。

No.1 6点 大泉耕作
(2011/12/13 23:03登録)
傑作と切羽詰まって書いてしまったような作品が並ぶ作品群。
「霧の中の女」謎が魅力的です。解決もサッパリしています。
「洞の中の女」奇怪さとロジックは本書イチです。
「鏡の中の女」よく練られた作品だと思います。
「傘の中の女」少々無理のある気もしましたが、それをふっとばすような金田一と等々力警部とのユーモアな言動がいい。
「鞄の中の女」本格ものとしては文句なしの出来。
「夢の中の女」最後に来てほしくなかった結末。でも、金田一の推理は面白かった。
「泥の中の女」推理不可能。ちょっと遺憾に思う・・・。
「柩の中の女」トリックはごく単純だけど、犯人到達の着眼はお見事。
「瞳の中の女」ホームズ的な事件。本当に犯人の目的や、正体がわからないまま終わった。ああ、残念!
「檻の中の女」残念ながら、本書のなかではもっとも劣っております。頁数の問題だろうと察します。
「赤の中の女」ロジックや展開は実に長けている秀作。これだけでも8点ぐらいはあげたいほど。

巨匠横溝でもやはり二週間に一作書くとなるとどこかにガタが来るのだろうか・・・。
 関係のないはなしですが、表紙に描かれた(初期の角川文庫版)金田一耕助の絵が、妙にコロンボの小池朝雄氏とかぶるのですが、どうでしょう? 気になります。
金田一耕助の感情が割とあらわになったりする短編集でした。

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