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ミステリの祭典

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江戸川乱歩傑作選(新潮文庫)
明智小五郎もの ほか

作家 江戸川乱歩
出版日1960年12月
平均点7.12点
書評数8人

No.8 7点 じきる
(2021/08/15 22:15登録)
大乱歩の名作短編の数々が楽しめる作品集。「二銭銅貨」「心理試験」は既読でした。
個人的には「人間椅子」が一番好みかな。乱歩初心者にはもってこいでしょう。

No.7 8点 バード
(2019/05/04 14:36登録)
まさにタイトル通り乱歩さんの傑作選だね。乱歩作品読みたいって人にはとりあえずこれ読ませて、あうあわないを考えてもらえばいいんじゃないかな。
全体を通して思ったのは、乱歩さんの書く犯人(?)ってある特定のものに打ち込みすぎた人か、とにかく退屈でしょうがない奴の2パターンが多いね。知り合いがこんな人物ばかり書いてたら少し心配になるかも(笑)

個別書評(部分的に再読)
・二銭銅貨(再読) 7点
暗号は解ける気しないけど、話の転がし方に乱歩さんらしさがつまっとるね。この手のおちもデビュー作からのお家芸なのよね。

・二廃人 7点
夢遊病も好きな題材なんでしょうね。別の短編集に「夢遊病者の死」ってのもあったしね。しかけはシンプルでも十分読ませる話になってる。

・D坂の殺人事件(再読) 6点
前読んだときはやや否定的な印象をもったけど、今回はプラスの印象。多分明智の探偵のやり方(物証をやや軽視する)に慣れてきたからかな。

・心理試験 8点
このような犯人しか知りえない情報の自白で探偵が追い詰めるやり方の作品の中には、言い逃れ可能だろ!と思う作品も結構ある。しかし、本作はその前のテストのおかげで不自然さがなく、犯人特定がきれいにきまっていると思う。

・赤い部屋(再読) 8点
前に読んだときも思ったけど、T氏が語る殺し方一つ一つでおもしろいミステリが書けそうなのに、さらっと一小話に使ってしまうのに贅沢さを感じる。おちの賛否はあると思うけど、引き込まれるいい書きっぷりでしょう。

・屋根裏の散歩者(再読) 6点
タイトルは有名だけど、この作品集の中では実は地味な方かも。犯人がわりと普通の人っぽいからかな。あと、完全に個人的意見だけども、探偵が証拠をでっち上げて自白させるやり方は好みでないね。

・人間椅子 8点
単純に面白かった。無茶苦茶な設定ながらぞくりとさせる上手さがある。作品の感想じゃないけど、タイトル見て人間を材料に椅子作る狂人の話かと思ってました。

・鏡地獄 8点
これも単純に面白いっすね。正直おちは全く想像できなかった。鏡の球内ってどうなるんだろう・・・。

・芋虫(再読) 8点
これは印象強すぎて内容忘れないんだろうな。前と同じ感想だけど、自分の身に置き換えると・・・。想像するだけで恐ろしい。

No.6 7点 蟷螂の斧
(2017/01/22 21:40登録)
「二銭銅貨」(評価5)「D坂の殺人事件」(評価5)「心理試験」(評価6)
以上3作品は書評済。
「二廃人」(評価8)湯治場で出会った二人の老人。意気投合し過去の犯罪を告白する。意外な結末に哀愁感が漂う作品。
「赤い部屋」(評価7)99人を間接的に殺害してきた男。さて100人目は?。現在ではユーモアミステリーに分類されるかも。
「屋根裏の散歩者」(評価6)「陰獣」の原点?。でもエロチックではない。明智小五郎が禁じ手を(笑)。
「人間椅子」(評価7)醜い貧乏な職人が豪勢な椅子を製作しホテルに納める。その椅子の中に男は潜む。やがてその椅子は女性作家のもとへ。
「鏡地獄」(評価4)鏡に狂った男の物語。
「芋虫」(評価8)読者を選ぶ作品。傷痍軍人を夫に持った妻の物語。この時代乱歩氏にしか書けなかった作品かも。
バラエティに富んだ作品集でした。

No.5 4点 いいちこ
(2015/02/23 12:53登録)
各作品の歴史的意義は無条件で認めるものの、リアルタイムで冷静に評価するならば、やはり相当に古さを感じると言わざるを得ない。
本格寄りの作品より「赤い部屋」等の怪奇小説寄りの作品に良さを感じた

No.4 8点 E-BANKER
(2015/01/25 15:44登録)
新潮文庫で編まれた作品集。
作者が通俗スリラーを量産し始める前の初期(概ね大正期)の作品が中心で、まさに乱歩の代表的短編が並んでいるという印象。
既読&既評の作品もあるが、あまり気にせず再読&再評する。

①「二銭銅貨」=作者のデビュー作&暗号を扱った作品として有名な作品だが、実は初読(だったりする)。暗号のからくりは非常に難解だが、プロットとしてはポーの「黄金虫」やドイルの「踊る人形」と同系統。ラストにひと仕掛けあるのが乱歩オリジナル。
②「二癈人」=既評だが、これもラストのひと仕掛けが作品のキレを生んでいる。
③「D坂の殺人事件」=既評。明智小五郎初登場として有名な作品。日本家屋では無理とされてきた「密室殺人」に挑んだ作品ということになるが、密室そのものはあまり褒められるものではない。
④「心理試験」=既読だが、これは大変な名作だと思う。③ではあまり推理に切れ味が感じられなかった明智だが、本作の明智はまさに「名探偵」という冠に相応しい。倒叙の主役たる真犯人の内面描写も実に見事。短編のお手本だろう。
⑤「赤い部屋」=①~④と毛色は違うが、これもまた乱歩らしい雰囲気の作品。序盤から中盤の非現実的事象がラストで現実に引き戻される“感覚”が作者の腕前。
⑥「屋根裏の散歩者」=既読&既評。「屋根裏」という暗く淫靡な設定がやはり乱歩らしい。真犯人がたったひとつ犯した過ちが、明智によって真相を解明されるきっかけとなってしまう刹那! これも倒叙の面白さを体現した作品。
⑦「人間椅子」=既読&既評。人間が椅子の中に潜む・・・何て淫靡でファンタジック! これも終盤までの非現実をラストで現実へ引き戻す「手」が旨い。
⑧「鏡地獄」=「鏡」や「レンズ」は乱歩作品に頻繁に登場する小道具なのだが、それを「地獄」まで突き詰めた作品。凹版レンズをここまで歪んだ存在として描く作者もスゴイ。
⑨「芋虫」=うーん。こういう系統の作品も確かにいくつか書いてるよなぁー。でも好みではない。

以上9編。
さすがにこれは「珠玉の作品集」という感じだ。
個人的な好き嫌いはあるが、どれも日本のミステリー史に残されるべき作品というレベル。
こういう作品に触れていると、「やっぱ乱歩は(ミステリーの)巨人だわ!」という思いが強くなる。

偉大な作家「江戸川乱歩」を知るためには不可欠な作品群(集)という評価になる。
(個人的な評価では④→⑥→①→⑦という順かな。あとは一枚落ちるという印象)

No.3 8点 ボナンザ
(2014/07/30 22:06登録)
江戸川乱歩を最初に読む人向けの短編集。
おおむね短編の代表作は収録されているので、乱歩の作風を知るには絶好の一冊。

No.2 8点 大泉耕作
(2011/12/07 17:42登録)
乱歩初心です。この本で氏の作品に魅了され、また何かの機会があれば再読、または他の作品にもあたろうかと思います。芸術作品ですね。
「心理試験」が好きです。

No.1 7点 isurrender
(2011/10/09 20:41登録)
「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」「心理試験」といった有名短編が収録されていて、乱歩初心者の僕には良かったです
「赤い部屋」や「人間椅子」が楽しめました

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