| 虫暮部さんの登録情報 | |
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| 平均点:6.20点 | 書評数:2334件 |
| No.2254 | 7点 | 猫鳴く森で謎解きを 楠谷佑 |
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(2026/06/09 13:41登録) 軍手云々とかは、作中で言い訳しているように “机上の論理” ではあるが、しっかり組まれていると思う。青春ミステリゆえに一挙手一投足が眩しく、そしてやはり犯人確定の瞬間は苦い。 しかし猫達の存在感がちょっと控え目じゃないですか? 遠慮しなくていいのに。猫探しの小ネタは良かった。 |
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| No.2253 | 7点 | 土人形と動死体 円城塔 |
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(2026/06/09 13:39登録) 敢えて例えるなら、別ルートから神林長平をやろうとして予想外に健闘、と言ったところか。此処には、読者を退屈させ困惑させる目的で言葉を紡いでいた円城塔はいない。 それでも第一部には多少の退屈さが残っており、ホッとさせられる(?)。魔術だゴーレムだスライムだと並べつつも、舞台設定だけしてオチを用意せずぶった切る様は、架空の国の神話のよう。 それを我慢して第二部に辿り着けたら、物語が蠢動を始めた。存外に豊かな流れに “こんな作風じゃなかったよね?” と訝りつつ、近年流行の異世界ファンタジーのパロディにも感じられる。あれらはライトな筆致が主流だから、こういう重厚な文章で語られると却って冗談に見えると言う逆転現象である。 成程ねぇと判った心算で第三部、束縛が次々に消滅して何でもアリ化、無限の改変を経て、これはミステリで究極のトリックとも称されるアレに準ずるものではないか。こんな手もあったのだ! |
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| No.2252 | 5点 | ライフログ分析官 我孫子武丸 |
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(2026/06/09 13:38登録) 近未来を舞台に、現在未完成のシステムを話の軸に据えているから、SF? ミステリ的な謎解きを意識的に排しているフシがあるから、或る種の警察小説の亜種? テクノロジーをここまで高レヴェルに想定しちゃうと、却って面白さを損なうのではなかろうか。システムの盲点を突いても、単なる “設定” に感じられてしまう。だって私はアルゴリズムをキチンと理解しているわけじゃないんだから。周りがそれなりに見えていないと、盲点を突かれてもそこが盲点だったと驚けないのだ。 |
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| No.2251 | 5点 | 女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処 市塔承 |
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(2026/06/09 13:37登録) 時代設定が古めだと、現代エンタテインメント的なテクニックの導入を敬遠してストーリー展開が鈍重になるケースがある。本作もそう。コンセプト(ネタバレになるので詳述は避ける)上の必然として頁数は膨れ上がるが、それを支え切れる程に物凄く面白いわけではなかった。 それに、こういうのをやるなら、もうワン・ランク上の文章力が欲しいところ。イメージをそのまま書いているだけで、言葉自体にコクが無いと思った。 実は、叙述トリックとして “名前は全てニックネームで、彼等は日本人だった” と明かされると予測していた。 だって “分割された碑文” の効果は日本語が前提じゃないか(少なくとも縦書き可能な言語だ)。異国が舞台の作品に “コレ何語で書いてあるの?” ってツッコミは野暮だけれども。 |
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| No.2250 | 5点 | 法月綸太郎の不覚 法月綸太郎 |
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(2026/06/09 13:37登録) 『キングを探せ』でやったからもういいじゃないか。アレは成立条件が限定的だから、あくまで “特殊なケース” だと私は思う。一つの世界線でこんなに幾つも発生している様(しかも同じ本に収めちゃうし)はとても奇妙だ。 ネタバレありで「心理的瑕疵あり」について。脅迫者を殺すのはリスキーなのである。 スマホ・パソコンを持ち去ったからと言って、バックアップの存在可能性を否定は出来ない(実際あった)。もし作中で言うところの “グレーリスト” にもっと詳しく記されていたら、脅迫のネタはまるまる警察に知られてしまうから、殺す意味が無い。つまり警察が被害者の周辺を調査するのは極力避けたい。事故に見せ掛けるか、死体を隠して行方不明(被害者の逐電)で済ませるかしたい。自殺に偽装してはいるが御粗末なものでアッサリ見抜かれている。 「次はあんたの番だよ」にも脅迫者殺しがある。総じて “犯人が最後まで考え抜かなかったので、そういう犯行様態になった” ようで、いや、それならそれで良いが、作者がそこに気付いてなさそうなんだよね。 |
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| No.2249 | 9点 | 封鎖館の魔 飛鳥部勝則 |
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(2026/06/01 11:14登録) 単独で読めば十二分にぶっ飛んだ本格エログロ館ミステリなんだけど、なにしろ『抹殺ゴスゴッズ』の後だから比較的 “普通” に感じてしまったよ。 顔面切断って厳密な死因は何なんだろうか。顔の皮を剥がしても多分それだけでは死なないよね。頭蓋骨ごと脳が切断されるから? 呼吸や血流の問題? 生存そのものに不可欠なのは顔のどの部分? 登場人物達の奇矯さの方向性が相変わらずで、(愛読者にとっての)新味に欠けるとは言える。しかしトリックも思想も着地点も地に足が着いている。実は飛鳥部勝則史上最も破綻の少ない正統的長編かも。 |
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| No.2248 | 7点 | 檻神館双極子殺人事件 南海遊 |
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(2026/06/01 11:13登録) 暗号はつい自分で作って試しちゃったよ。 十字ロープの密室、あまりに作為的で “自殺者があんな面倒な仕掛けを作るか?” と疑われてしまう難点はあるが、トリック自体は面白い。 しかも、このトリック単体で考えれば単に下手人を見逃せば済むところ、それで終わらせずに次の殺人へ直接繫げてストーリーの推進剤にしているところがグッジョブ。 その他色々巧みに仕込んでいて、そのくせ盛り過ぎには感じさせないバランスが、良いと言えば良い。でももうちょっと、何らかの過剰さ、臭み、のようなものがあっても悪くない気もする。 瑠璃=宝石、玻璃=硝子、である。現代の基準で比較するなら、双子にそのネーミングは如何なものか。それを言ったら “りゅうびイン・ラン子” も。不用意過ぎじゃない、作者? |
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| No.2247 | 6点 | 未館成の殺人 信国遥 |
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(2026/06/01 11:13登録) あーネタバレしちゃうな。 どうして未翻訳のロシアミステリの内容なんて知ってたの? という疑問は、そのまま謎の密告者にも当て嵌まる。そこがキチンと説明されて美しいと感じた。 某が皆殺しを企んで、一人を犯人の身代わりにしようとした。この場合、身代わりは生きていても死んでいてもまぁ構わないよね。死亡推定日時が前後すると困るけど、事件発覚までに時間がかかるから、そこまで緻密な検死は出来ないだろう。最終的に某がどう判断するかは読めない。 もう一人は、身代わりが生かされているとの予測に基づいて、素早く居場所を推定し、そこから救出する為に行動を起こした。推理力は凄いが、それはかなりの希望的観測に則ったもので、結局とっくに身代わりは死んでいた、と言う結末もあり得た。 と思うんだけど、そのへんの説明がやや強引。ロジックで説明し切れないところまで断定的に語っている。寧ろ、死んでいる可能性も承知の上であれだけやった、と明確にした方がインパクトあるのでは。 “死体を食べよう” とは誰も言わなかったね。 |
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| No.2246 | 6点 | 予言館の殺人 井上悠宇 |
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(2026/06/01 11:12登録) 設計図はなかなか緻密に引かれていると思う。 しかし、ライブ配信を持ち出して状況を或る意味メタ化したり、語りが変に理性的だったり――つまり、異常さを理屈立てて “説明” していて “実感” に乏しい。特に、配信のコメントを羅列するのは、読者を没入から一歩引かせてしまう悪い効果があるのでは。 超自然現象をロジックに組み込むことには注力しているが、真相自体はさほど驚きでもない。と言うか、このホワイは使いようによってはもっと不気味に書けたと思うな。 |
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| No.2245 | 6点 | ナッハツェーラーの城――或いは最後の〈奇書〉 倉野憲比古 |
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(2026/06/01 11:11登録) 奇書としての雰囲気作りは万端、行動原理やトリックはビミョーで寧ろ当然。四大奇書の衣鉢を継ぐ意志が満々だと伝わって来る。面白かったのは確か。 しかしそれ故に、縮小再生産に留まってしまったとも思う。ああいう系統ならば仕方ないなぁと生ぬるい許容で、壊すべき世界の枠組みが予め限定的に矮小化されていないか。フォロワーはどうしてもフォロワーとして見られてしまうのである。 四大奇書云々の部分はカットして、そんなものが書かれなかった世界での “最初の奇書” を目指すべきだった。 |
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| No.2244 | 8点 | スコッパーの女 山白朝子 |
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(2026/05/25 13:34登録) 作者が収集した出版関係者の奇妙なエピソードを、小説の形式に書き直したもの、とのこと。物書きの業をこれでもかとばかりに暴露している。業界に生息する奇人や変態の生態は、正しく事実は小説より奇なり。四話目のような噂は私も郷里で仄聞した記憶があるが、あれは青軸卿本人だったのだろうか。 この手の実話系の書き手は自身が “取り込まれてしまう” ことも少なくないようだ。関係者が悲惨な死を遂げる作品も収録されており、彼女が無事に書き続けられることを願って止まない。 |
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| No.2243 | 7点 | 毒ガス帯 アーサー・コナン・ドイル |
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(2026/05/25 13:33登録) 「毒ガス帯」。てっきり “毒ガスが発生する渓谷を冒険する” みたいな話かと思っていた。だってシリーズ物の中盤だもの。こんな世界改変を伴うとは予想外。 まぁ色々と雑。勢い重視で書いた(?)から後始末が大変。しかし、物語の推進力は、ホームズ譚の平均値よりずっと上、だと思う。 酸素ボンベ使用中の部屋で煙草を吸う場面がある。爆発しかねないのでは? 「地球の悲鳴」。更なる世界改変。毒ガスで地球が目覚めたのかも。おや、西尾維新『悲鳴伝』って……? 「分解機」。傑作、と言うかオチが好き。教授が如何にもああいうことやりそうなキャラクターなのが良い。 |
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| No.2242 | 7点 | そして物語のおわりに 小松立人 |
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(2026/05/25 13:33登録) 孤島の屋敷でクローズド・サークル。しかし、キャラクター設定しかり猟奇的事項しかり、定型から外そうとする意図は窺えるし、それなりに成功している。死亡推定時刻に関する論旨が面白い。読後に残った歪な印象が個性的な一冊。 |
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| No.2241 | 6点 | 百花斉放アノマリー 前崎中央高校科学部の事件ファイル2 下村智恵理 |
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(2026/05/25 13:32登録) サブ・タイトルの “2” は必然であって、前巻から繫がるようなエピソードが含まれている。 キャラクターは深化して、青春度もアップ。一話目、長閑な真相が◎。二話目、思春期の静かな殺意に説得力がある。ただ、纏めに位置する筈の三話目、プロジェクト遂行の過程はともかく、謎そのものも真相も面白味に欠ける。“へぇー、知らなかった” と納得はしても、驚きと言う程ではなかった。 順当に行けば、次のCDは、4人の男がケーキまみれになっている奴? |
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| No.2240 | 5点 | 花ざかりの方程式 大滝瓶太 |
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(2026/05/25 13:32登録) 架空の歴史の重さを感じつつ、アカデミックな与太話を齧ってトリップしてみよう……。 それなりに斬新な風景を見せてはくれるが、だからと言ってそれだけで全て良しと言うものでもない。この作者のセンスはミステリの方が生きるんじゃないだろうか。 どうしてもルールに縛られるミステリでこそ、その抜け穴を外側からせせら笑うような性格の悪さが意義を持つ。ところが、自分でルールを作るところから始められるSF(的な話)でそれをやっても、マッチポンプになってしまうのである。 |
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| No.2239 | 7点 | アナヅラさま 四島祐之介 |
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(2026/05/19 14:16登録) 出た、小鳥遊。皆さん好きねぇこの苗字。 のっけから大胆な異物が登場するものの、その後の展開はシリアル・キラーもののセオリーを上手く借りていて、我孫子武丸『殺戮にいたる病』の新たな後継作品と言う感じ。 ホラーな佇まいや、言ってしまえば “アナヅラさま” と言う存在自体がミスディレクションか。主人公をハブに交差する脇役衆がなかなか多彩に描かれていて良い。オチも好きだ。 でも、“本当に、ごめん”――印象的なだけに、発言の真意について上手い説明を期待したが、何にも無くてがっかり。 |
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| No.2238 | 6点 | デッドマンズ・チェア 阿津川辰海 |
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(2026/05/19 14:15登録) 出た、小鳥遊。皆さん好きねぇこの苗字。 コトダマのルールが相変わらず雑。 発動条件は “偶然成立し、それを自覚し得るもの” にする必要があると思う。『蘇らせる』や『封じる』を初回はどうやって自覚したのだろうか。特に前者は “生贄” の位置付けが曖昧で、作者はちょっとズルしていると思う。大病院や葬儀社に行けば不自由しないのだろうか。 『潜る』は、地中からどうやって出るのか? 息を始めないと摑まる硬い地面が無い、しかし息を止めて液状化していないと地面の中から体を抜けない、両立はしないのでは。 “光の矢” が、鏡で反射されるなら、ガラスは透過するのでは? 等々。 固いこと言わずに上に盛ってあるストーリーや謎を楽しめよ、とは行かないのである。だってミステリだもん。 『弾く』にルビが振ってある。よしよし。 しかしこのラスト。あそこまで力を与えてしまって、この後どうなる? |
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| No.2237 | 5点 | 天久鷹央の推理カルテ 知念実希人 |
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(2026/05/19 14:15登録) 出た、小鳥遊。皆さん好きねぇこの苗字。 カッパの正体は “そりゃあそうだろうなぁ” と言うしかないが……どの話でも豊富な医療ネタで読者の好奇心を上手く煽るし、“ネタを出して終わり” ではない捻り方も評価したい。 ただ、全体的なライトノヴェル臭が物語の上限を自ら制限しているようにも感じた。“この世界観・このキャラクターの許容範囲内に収めなきゃ” と言うみたいでちょっと勿体無い。 |
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| No.2236 | 7点 | 探偵伯爵と僕 森博嗣 |
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(2026/05/19 14:14登録) 全編を覆う違和感。それは、心理的な不確定さに対して開き直ったような後期作品とは違って、“ここまでは書く” と言う境界の線引きを注意深く実践している為に思えた。 或る部分を伏せる、その上で明らかにする、それによって “大人はこういう事柄を子供の目からは遠ざけようとしている” と子供(読者)に知らしめる。つまり作品そのものを使ってジュヴナイルの概念を批評しているのである。『神様ゲーム』と並ぶミステリーランドの収穫。 杖の件は漫画で良く見掛けるね。 |
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| No.2235 | 4点 | わざわざの鎖 佐野洋 |
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(2026/05/19 14:14登録) 大きな謎よりもフーダニットやハウダニット未満の小さな部分にポイントを絞ったミステリ作法は、アイザック・アシモフ『黒後家蜘蛛の会』に通じる気がする。幾つも殺人事件が発生しているのに妙に淡々とした筆致で、これはきっと御役所的な事勿れ主義を揶揄しているのである。 犯人達はやけに作為的なトリックを弄したがり、しばしば目的と手段の関係を見失っているよう。 例えば表題作。どうやら被害者周辺から犯人へ繫がるデータは見付からなかったようだ。つまり、余計なことをしなければ、犯人はそもそも捜査線上に浮かばない(その点に確信は持てないから、結果論ではあるが)。仮に浮かんでも “そんな真夜中にアリバイなんてあるものか” で済む。トリックを弄して目立ったせいで疑われる破目になったのである。「汚された制服」もそれに近い構造。 |
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