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ミステリの祭典

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北の椿は死を歌う
改題『闇椿』

作家 皆川博子
出版日1988年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 虫暮部
(2025/02/28 12:38登録)
 椿姉妹を始め事態の原因となったアレコレが面白いのに、最後に駆け足で説明されるだけ。裏側に引っ込め過ぎではないか。斎原家を訪ねるあたりまでは表側から描くのも仕方ないが、後半は倒叙っぽくして殺しの過程や心理をしっかり書いて欲しかった。暴走して殺しのハードルが下がるあの人と、“ついて行けん” と見切ってしまうあの人と。だいたいそっちの方が作者の得意技じゃないか。

 はっきり書かれてはいないが、万起子は “ずっと熱心に妹を探していた” と言うより、“ちょっとした偶然をきっかけに火が点いた” みたいに思える。その結果がアレでは非常に据わりが悪い。故に却って残酷なインパクトを感じた。
 新婦失踪の真相はかなりの綱渡り。ただの失踪で良いのにリスクを冒して成りすましをする必要は無いよね。

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