嗅覚異常

作家 北川歩実
出版日2000年10月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 4点 虫暮部
(2025/03/05 14:18登録)
 イマイチ。もともと情緒豊かな書き手ではないけど、それにしても “必要なことだけでいいでしょ” とばかりに速足で駆け抜けてしまった。書き下ろしの中編と言う企画に対してアイデアのサイズを見誤ったか?

No.1 5点
(2023/03/09 23:53登録)
祥伝社文庫の書下ろし中編小説の愉しみシリーズの1遍として書かれた作品です。
北川歩実はこれまで読んできた作品からすると、複雑なプロットとどんでん返し連続の作家のようですが、その点からすると、中編では持ち味を生かしきれないのではないかと思われます。実際のところ、メインの事件は実験用のウサギ殺しですし、真相は悪くはないのですが、シンプルなものです。そのわりに、脇役の谷本真千子教授に関する設定で、不要ではないかと思える部分もありました。真相解明部分、「専門的な知識が、逆に働いて、真実を見抜く妨げになったのだ」という説明は、さすがですが。
テーマはタイトルどおりのもので、作者お得意の医学・生理学系ですが、最後に添えられた作者注には、「この作品はフィクションです…(中略)…嗅覚に関する記述等にも虚構の部分があります」と書かれていて、SF的な設定と言えます。

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