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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.88点 書評数:2516件

プロフィール| 書評

No.1396 4点 浅間山麓殺人推理
梶龍雄
(2011/01/14 18:06登録)
タイトルからクローズド・サークルの”山荘もの”を想起させますが、これは本格ミステリとは言えないでしょう。
浅間山麓の平原に集まった男女5人が、何者かに狙撃され、その犯人を特定するために、次々と自らの過去の犯罪を語りだすという風変わりなプロットでした。
5人の推理合戦に力点が置かれているわけではなく、いまいち作者の狙いが分かりずらいクライム・ミステリ。


No.1395 4点 雷鳴の中でも
ジョン・ディクスン・カー
(2011/01/14 17:43登録)
ジュネーブ近郊の山荘を舞台にしたゴシック・ロマン風の設定のミステリ。
作者定番の雷鳴を背景音にするとか、ナチス・ヒトラーの挿話をいれるなど、雰囲気つくりは悪くないと思います。
ただ、肝心の物語が退屈。犯行のトリックもあまり面白いものではありませんでした。


No.1394 5点 奥信濃鬼女伝説殺人事件
梶龍雄
(2011/01/14 17:43登録)
探偵助手のアルバイトに採用された女子大生の視点で展開する物語は、奥信濃・秋山郷にある観光ホテル女性経営者の殺人事件を主とした本格編。
この女子大生の語り口が、変な若者言葉の連発で読むのが痛い。しかし、タイトル・設定とも火曜サスペンス劇場風ですが、さりげない伏線張りまくりで、まずまずの本格パズラーだった。まあ、意外な犯人像は定番と言えば定番ですが。


No.1393 4点 死者のノック
ジョン・ディクスン・カー
(2011/01/13 17:48登録)
舞台が米国の大学周辺という、フェル博士登場のミステリとしては、現代的でちょっと毛色の変わった作品。
ウィルキー・コリンズの手紙が重要な役割をし、手紙の内容を模したような密室殺人が起こりますが、この密室トリックの解明部分が読んでいてよく理解できない。男女の愛憎問題が絡むのもまたかと思わせますし、フェル博士も別人かと思うほど精彩を欠いているように感じました。


No.1392 5点 裏六甲異人館の惨劇
梶龍雄
(2011/01/13 17:47登録)
映画のロケハンのため六甲山へ出向いた助監督が、酔っ払って覗いた別荘で殺人を目撃するという発端の本書は、映画監督・五城が探偵役を務めるシリーズの一編らしい。
まえがきで”殺人とは零点である云々”とあり、しきりにクリスティの「ゼロ時間へ」のオマージュであるかの如く書かれていますが、メイン・アイデアは、むしろ女史の別作品のヴァリエーションでしょう。
やりたかった企みは判るものの、それが機能しているかは微妙です。


No.1391 4点 疑惑の影
ジョン・ディクスン・カー
(2011/01/12 18:11登録)
またもや、ある女性の毒殺疑惑をテーマにしたサスペンス風味の作品ですが、あまり面白いとは思えない。
探偵役の弁護士パトリック・バトラーという人物に魅力的がないうえ、フェル博士が脇役というか、悪魔崇拝などの怪奇趣向を持ち出し、ただプロットを混乱させる役割でしかない。
弁護士が主役であれば、「ユダの窓」のごとく本格的な法廷ミステリにしてほしかった。


No.1390 7点 清里高原殺人別荘
梶龍雄
(2011/01/12 17:53登録)
いわゆる"雪の山荘”もので、逃げ込んだ銀行強盗犯5人組が殺されていく本格ミステリ。
なかなかインパクトのある一発ネタトリックが炸裂しています。こちらを先に読んだので衝撃度は大きかった。
現在読めばそれほどとは思わないですが、昭和ミステリの生き残りのような作家が、新本格に先んじてコレを書いた事を評価して、プラス1点を献上。


No.1389 5点 眠れるスフィンクス
ジョン・ディクスン・カー
(2011/01/11 18:07登録)
往年のカーのようなケレン味が見られない地味な作品。
いちおう、密室状況の納骨堂内での棺の移動という不可能興味を提示していますが、本筋の謎ではありません。メインは過去の女性不審死に関する謎で、登場人物の造形をミスリードしたり、新たに事件が発生しない構成は、アガサ・クリスティや後期クイーンの作風に近いように思います。


No.1388 6点 葉山宝石館の惨劇
梶龍雄
(2011/01/11 17:44登録)
高台の隣家から宝石館で起こっていることを目撃し夏休みの日記に綴る小学生、その家庭教師の女子大生、若手とベテランの刑事コンビと、いずれも館の外部の登場人物が、それぞれの視点で推理を組み立てていく構成がユニーク。密室の謎に関してはハウダニットより、その理由(というか位置づけ)が面白いと思う。
派手な一発ネタ・トリックはないものの、通り一遍の”館ミステリ”とは違った構成の妙がありました。


No.1387 5点 死が二人をわかつまで
ジョン・ディクスン・カー
(2011/01/10 18:34登録)
物語の前半部は、短編「ヴァンパイアの塔」のプロットを借用したような、主人公の婚約者である女性の毒殺魔疑惑を中心にサスペンスを盛り上げ、例によってメインは密室殺人になっています。この密室を構築するトリックそのものは陳腐ですが、ある心理的トリックを併せることで、なかなか巧妙なものになっていると思います。
しかし、本書のタイトルはどうなんでしょう。まだ旧題の「毒殺魔」のほうが内容をイメージしやすい感じがします。


No.1386 6点 奥鬼怒密室村の惨劇
梶龍雄
(2011/01/10 18:08登録)
戦時下の疎開先の閉された山村を舞台に、少年視点で語られる殺人事件ということで、初期の青春ミステリ風の物語をイメージさせますが、実際は官能&猟奇連続殺人を扱った本格編。
しかも、それらの表面的な事象の裏に隠された構図は、予想外で驚かされます。
文章は相当読みずらいのですが、これまでの作風自体をミスディレクションにしたようなプロットは買いです。


No.1385 6点 三幕の殺人
アガサ・クリスティー
(2011/01/10 15:42登録)
これは、動機面から推理しても絶対真相には至らないでしょう。いかにもクリスティらしい意地の悪い仕掛けで、同じ年に似たコンセプトの名作を書いていますから、作者のお気に入りのアイデアだったのかもしれません。
ネタバレになりますが、
ポアロの最後のセリフ、「私が飲んでいたかもしれないんです」は、結構インパクトがあり印象に残ります。


No.1384 6点 あした、カルメン通りで
森雅裕
(2011/01/10 15:01登録)
プリマ・ドンナ鮎村尋深シリーズ。前作「椿姫を見ませんか」から3年後、舞台を札幌に移した第2作。
ミステリの要素は、マリア・カラスの遺品の十字架に隠された謎ですが、本格度はだいぶ減退しています。オペラ・ネタに偏った内容は、素養のない身にはとっつきにくい点もあった。
ただ、ヒロイン尋深の斜に構えた造形は魅力的で、音彦とのトークバトルのような掛け合いも健在。独特の青春ミステリのテイストは、癖になる読み心地よさがある。


No.1383 6点 死体が転がりこんできた
ブレット・ハリデイ
(2011/01/09 13:37登録)
赤毛の私立探偵マイケル・シェーン登場のシリーズ6作目。
「死の配当」の令嬢フィリスがその後シェーンの妻兼秘書になっている時期の作品です。
マイアミにあるシェーンの探偵事務所に、旧知の同業者が死体となって転がり込む発端からテンポよく読ませます。発表時期が戦時中のため、ドイツ・スパイや軍の機密書類漏えい事件などがミスディレクションに使われていたりします。
結末の意外性充分で、単なるB級ハードボイルドではなく、予想以上にミステリの骨格を備えた作品だった。


No.1382 5点 下町探偵局
半村良
(2011/01/09 13:10登録)
東京両国にある小さな探偵事務所を巡る連作ミステリ。
所長の下町(シモマチと読む)を始め、所員いずれもが”訳あり”の過去をもち、その身の上話的な人情もののストーリーが多くて、若干戸惑ってしまった。
ミステリ的趣向はあまり見られず、やるせない結末も多いので読後感がいいとはいえない。


No.1381 6点 ウィッチフォード毒殺事件
アントニイ・バークリー
(2011/01/09 12:49登録)
迷探偵・ロジャー・シェリンガム、シリーズの2作目。
ベントリー夫人の夫毒殺疑惑を巡って、前作からのワトソン役・アレックと姪の娘・シーラの3人組で調査に乗り出します。調査過程はやや平板な展開ですが、3人のやり取りが面白くて楽しめる。
バークリーといえば”多重解決”ですが、本書がそのとっかかりの作品ではないでしょうか。ただ、シェリンガムの結論が二転三転した末の真相は脱力ぎみ。


No.1380 6点 ゲノム・ハザード
司城志朗
(2011/01/08 23:52登録)
発端から不条理な謎を提示したインパクトのあるサスペンス・ミステリでした。
帰宅した主人公がローソクに囲まれた妻の死体を発見し、かかってきた電話をとると、その妻の声が聞こえて来るという冒頭から、”いったい何が起こっているのか”という不可解な状況がつづき、最後まで読者を引っ張っていく構成がスリリングです。
10年以上前のサントリー・ミステリ大賞読者賞作品ですが、今年改稿文庫化されたようです。


No.1379 5点 ピカデリーの殺人
アントニイ・バークリー
(2011/01/08 23:29登録)
ピカデリー・ホテルでの毒殺事件の目撃者となった、チタウィック氏が巻き込まれる本格編。
数々の傑作群にはさまれて出版された本書は、作者の作品の中でも犯行トリックが工夫されていて、珍しくオーソドックスな本格ミステリといえますが、探偵役のチタウィック氏が(シェリンガムと比べると)個性に乏しく、いまいち面白味に欠けます。チタウィック氏の伯母や犯人像など面白い人物も登場しますが、全体的に地味な作品という印象です。


No.1378 6点 太鼓叩きはなぜ笑う
鮎川哲也
(2011/01/08 17:58登録)
銀座の会員制バー「三番館」のバーテンが安楽椅子探偵を務める連作ミステリの第1集。
このタイプの連作ミステリの不文律?に則り、「隅の老人」「ブロンクスのママ」「退職刑事」などと同様、バーテンの名前はありませんが、私立探偵や弁護士までレギュラー・キャラクター全員が名無しという徹底ぶりです。
ほとんどの作品でアリバイ・トリック(アリバイ奪取トリックも)を扱っているのは、いかにも作者らしい。


No.1377 7点 最上階の殺人
アントニイ・バークリー
(2011/01/08 17:25登録)
これは、バークリー中期の佳作でしょうね。
マンション最上階に住む老女殺害事件自体はシンプルで地味ですが、終始シェリンガム視点で語られているため、迷探偵の推理過程や心の動揺がまんべんなく描かれています。とくに、被害者の姪・ステラがシェリンガムの秘書になっての二人のやり取りと、いつもの多重解決が読みどころで面白かった。
以下ネタバレになりますが、
本書で作者が意図したのは、名探偵像の反転と同時に、ミステリ愛読者の頭に染み付いた「意外な犯人」像の反転でしょう。

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