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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.88点 書評数:2515件

プロフィール| 書評

No.1955 6点 ミステリガール
デイヴィッド・ゴードン
(2013/07/23 18:58登録)
働いていた古書店が潰れ、妻からは別れ話を切り出された小説家志望の「ぼく」は、探偵助手の仕事をみつけ、巨漢のひきこもり探偵から謎の美女の素行調査を命じられる-------。

「このミス」をはじめ一昨年のミステリランキング海外部門の三冠に輝いた「二流小説家」の作者による第2作。
謎の美女の正体とカルト映画フィルムに絡む殺人事件に巻き込まれる主人公は、前作の主人公とほとんど同じキャラクター。このダメ男・サムの自虐的な語り口が絶妙で、友人の映画オタクやネロ・ウルフもどきの巨漢の探偵など、個性的な脇役陣のキャラクターも面白い。(饒舌なウンチク部分が脱線ぎみなところもあるが)。
ただ、前作では弱いなりにも成功していた謎解き部分が今回は微妙な出来になっている。とくに終盤に入って、次々と真相が明かされる手段が、カギを握る三人の人物によるなが〜い独白という構成には疑問が残る。

ところで、本書も日本で映画化されるとして配役を考えてみた。
主人公のサムは「二流小説家」と同じ上川某、レスビアンの古書店主には剛力で(彼女にはミスキャストという言葉はない)。巨漢の探偵にはマツコデラックスを男装させてはどうか。


No.1954 6点 キリオン・スレイの再訪と直感
都筑道夫
(2013/07/21 18:06登録)
前衛詩人で居候の米国人、キリオン・スレイが探偵役を務めるシリーズの第3短編集。

収録作品のネタは、ミッシングリンク(パターン探し)、ダイイングメッセージ、名探偵の存在を前提とした奸計など、どことなくクイーンを意識したプロットが多い印象をうけた。
ただ冒頭に提示される謎はいずれも不可思議で惹きつけるものがあるものの、真相が腰砕け気味になっている作品が目につく。
また『野生時代』に連載されていたものは、シリーズの従来作品と比べて枚数がやや多めなため、犯人の動機や事件背景などに筆を費やし物語に厚みを感じる反面、その分ロジック展開にキレがないようにも感じる。
そのなかでは、「下足札が死につながる」がホワイ&ハウダニット両面で感心できた作品。


No.1953 5点 震える山
ポール・ソマーズ
(2013/07/18 22:04登録)
英国政府の某研究所に勤務する物理学者が何者かに拉致誘拐される。たまたま事件の発端に関わった新聞記者カーティスは、身代金を携え被害者の娘クララとともに、犯人グループが指定した通称”震える山”のふもとに赴くことになるが-------。

アンドリュウ・ガーヴの別名義による冒険スリラー。
物語前半が新聞社を舞台にした事件記者たちによる誘拐事件の真相追及編、後半が一転、洞窟内の冒険活劇を主体としたサスペンス編という構成で、名義が違っていても典型的なガーヴの作品世界でした。
ただポケミスで160ページと短めなので物足りない思いがした。主人公とライバル紙の女性記者とのやり取りなど軽妙で面白く、現代作家であればもう少し絡みの部分を膨らませていたのではと思う。また、(これは作者に責はないけれど)登場人物表で薄らと事件の裏の構図が読み取れてしまったのは残念だった。


No.1952 6点 抹殺の意志
草野唯雄
(2013/07/16 17:46登録)
人気推理作家・城戸の小説を模倣したかのような事件が連続して発生し、状況から作者本人が犯人だと疑われる。友人で担当編集者でもある「わたし」は、城戸のアリバイを求めて奔走するが-------。

江戸川乱歩賞候補作を改稿改題した作者のデビュー長編。
城戸の内面描写を排して、第三者の「わたし」の視点で事件が語られていく構成がミソで、終盤を迎えて犯人像を二転三転させながら、アンフェアぎりぎりの大仕掛けが最後の最後で明らかになる。(現代から見ればそれほどのサプライズ感はないかもしれませんが、まあ新本格以前ということで)。
写真をもとにある女性の所在を探し求めるパートなど、中盤に無駄と思える場面もあるもののサスペンス性も兼ね備え、事件の背景調査のため訪れた四国松山でのシーンの伏線の張り方もなかなか巧みだったと思います。


No.1951 6点 たんぽぽ娘
ロバート・F・ヤング
(2013/07/14 11:36登録)
河出書房新社の”奇想コレクション”の最終巻。ずいぶん前から予告されていながら出版が止まっていましたが、ビブリア古書堂ブームの後押しもあってか、本書をもって10年がかりでようやくシリーズ全20巻が完結。

”おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた。”----- という名フレーズですっかり有名になったロマンチック時空SF「たんぽぽ娘」の再読(前回は井上一夫、今回は伊藤典夫訳)が目当てでしたが、”時の流れ”という同じ素材を使い、抒情性豊かで切ない余韻を残す遺作「荒寥の地より」も負けず劣らず素晴らしい作品です。
シリーズの”奇想”というコンセプトという点では「河を下る旅」や「主従問題」が相応していると思いますが、ヤングの持ち味はやはり甘いロマンチックなラブ・ストーリーで、冒険ファンタジーでありながらボーイ・ミーツ・ガールの物語に帰結する「ジャンヌの弓」なども印象に残りました。


No.1950 6点 私刑(リンチ) 大坪砂男全集3
大坪砂男
(2013/07/12 17:41登録)
創元推理文庫版全集の3巻目。いちおう<サスペンス編>という括りがありますが、戦後混乱期を時代背景とした無頼漢小説や昭和人情話風のクライム小説を中心に、ホラー幻想風、犯人当てパズラー、西部劇&スリラー映画のノベライズなど、かなり幅広い様々なジャンルの作品が収録されています。

探偵作家クラブ賞受賞の表題作「私刑」は結末にちょっとしたヒネリがある無頼漢小説ですが、物語そのものよりも一人称形式での叙述の技巧が楽しめる作品。これをトリックとして使用せず単に読者を翻弄するだけのものになっているのがいかにも作者らしい。こういった遊び心は、弟子だった都筑道夫の前衛的な初期長編群に通じるような気がする。
ほかに、”病院横丁の首縊りの家”の大坪ヴァージョン「ある夢見術師の話」、ホラー幻想譚の秀作「男井戸女井戸」、「花売娘」などが印象に残った。


No.1949 6点 火よ燃えろ!
ジョン・ディクスン・カー
(2013/07/10 13:28登録)
昨年作家デビューしたディクスン・カーの孫娘シェリ・ディクスン・カーの『Ripped』は、現代娘がヴィクトリア朝時代のロンドンにタイムスリップし切り裂きジャックと対決する歴史ミステリのようで、Amazonのレビューを見る限り評判は上々らしい。

タイムスリップを扱った歴史ミステリといえば祖父の十八番で、本書もそのタイプの一冊。
主人公チェビアト警視が19世紀初めにタイムスリップし、創設間もないロンドン警視庁の一員として活躍するといった内容で、ロマンス&冒険活劇ものの秀作だと思います。チェビアトが乗っていたタクシーが二輪馬車に変わる冒頭のタイムスリップ・シーンなど巧いです。
衆人環視下の謎の銃撃という不可能状況の殺人を扱っているのはカーの歴史モノでは珍しいですが、重要な役割のアイテムに関しての作者のあとがき解説は、やや言い訳じみているように感じた。
タイムスリップという特殊設定を活かした仕掛けと言う点では「ビロードの悪魔」に一歩譲るかな。


No.1948 5点 花ことばは沈黙
結城昌治
(2013/07/08 23:01登録)
「わたし」ことエリート会社員の風間は、雨宿りのために入った喫茶店で偶然出会った謎めいた若い女性の魅力にのめりこむが、ある日、一人の男が風間の前に現れて------。

妻を亡くしたが、親の遺産があり、バーの経営を任せる愛人を囲い悠々と暮らすエリートの会社部長の主人公というのがなんとも羨ましいw 中盤までは。
物語序盤の雰囲気は、連城三紀彦風の技巧的な恋愛ミステリを思わせるのだけど、脅迫者の男が登場してからの展開がテレビの二時間ドラマの原作を読むようで、一気に興味が失せてしまいました。黒幕の正体は物語の流れから容易に想像できてしまう。作者の作品の中では平凡な出来と言わざるを得ない。


No.1947 7点 白雪姫には死んでもらう
ネレ・ノイハウス
(2013/07/06 16:18登録)
村祭りの夜に起きた2人の少女失踪事件の秘密を抱える閉鎖的な村に、刑期を終えて犯人と目された男が11年ぶりに帰ってきた。折しも若い女性の白骨死体が発見されたことから、オリヴァー首席警部と女性警部ピアのコンビは過去の事件の真相に迫っていくが-------。

「深い疵」につづくオリヴァー&ピア・シリーズの4作目(邦訳は2作目)。”ドイツ版横溝ミステリ”とか”ドイツ版「八つ墓村」”というコピーもありますが、舞台設定がそういう感じなだけで、おどろおどろしさや伝奇的な雰囲気はそれほどありません。
一人の男の帰郷とある少女の好奇心が触媒となって、多数の村民と関係者たちのおぞましい秘密が少しづつ明らかになっていく。捜査小説としてのスリリングな展開の面白さと、オリヴァー自身を含めた様々な登場人物の人間ドラマが融合した構成が非常に巧みだと思います。
捜査側と村社会側の両サイドとも、最終的に女性が主導的な役割になるのは、いかにも女性作家の作品という感がある。


No.1946 6点 世界鉄道推理傑作選2
アンソロジー(国内編集者)
(2013/07/06 14:50登録)
チャールズ・ディケンズの有名な怪奇幻想譚「信号手」、コナン・ドイルの非ホームズもの「消えた臨時列車」とつづく2巻目の本書のほうが、ミステリ作品のジャンルが分散されていて内容的にも充実しているように思えました。

線路上から列車が消失するというドイル作品と全く同じ設定で、別の回答を用意した、オーガスタ・ダーレスの似非ホームズもの”ソーラー・ポンズ”探偵譚「消えた機関車の冒険」は、本歌取りながら真相は本家より面白い。
衆人環視の密室状況の車両からの人間消失を扱った「寝台急行列車の謎」は、真相に意外性なく常識的なトリックですがクロフツらしい重厚な本格モノでした。
ほかに、「信号手」をクライム小説にしたようなロイ・ヴィカーズ「八番目の明かり」、アルゼンチンの鉄道モノで小品ながらシュールでブラックなオチの「とても静かな乗客」など、収録作品はバラエティに富んでいる。


No.1945 7点 暗殺者の正義
マーク・グリーニー
(2013/06/30 20:57登録)
「グレイマン」の異名をもつ元CIA工作員で凄腕の暗殺者、コートランド・ジェントリーを主人公とした冒険活劇シリーズの第2弾。
今回は、アフリカ大陸スーダンを舞台に独裁者の大統領の拉致をミッションとした、いわゆる”敵地潜入”もの。

計画に思わぬ齟齬が生じて、というのがこの種のパターンですが、それによる前半部の横道に逸脱するパートが書き込みすぎで全体の構成から遊離していると感じなくもない。
それでも、評判どおり、中盤を過ぎてからの延々と続く銃撃戦&活劇シーンの連続は迫力満点で圧巻のひとこと。
政治情勢の変化によって、ロシアマフィアとCIAの元上司の思惑の狭間に立ちながらも、ジェントリーが暗殺者なりの正義を貫くところにこの冒険小説の本質が見えた。
今回の登場人物の配置には次作への布石のような側面があるので、今後の展開に期待したい。


No.1944 5点 世界鉄道推理傑作選1
アンソロジー(国内編集者)
(2013/06/30 20:10登録)
タイトルが”世界”となっていますが、第1巻の本書の収録作すべて英国の鉄道ミステリで、いずれもシリーズ探偵が登場する作品で編まれています。
編者の小池滋氏には全く責任がないのですが、収録作のうちホワイトチャーチのソープ・ヘイズルもの2編とクリスピンの「列車に御用心」は、今年に入って論創社から本編の短編集が出版され読んだばかり。フリーマンの有名作「オスカー・ブロズキー事件」も既読だったので、残りの2編のみの読書になりましたw

作者不詳の「モアハンプトンの怪事件」に登場する探偵セクストン・ブレイクは、古くから複数の作者によって書き継がれ(解説によると200名以上作者がいるらしい)英国ではお馴染みのキャラクター。冒険スリラーものかと思いきや意外とトリッキィな作品だったのでちょっと驚きました。
M.M.ボドキンは、親指物差し(おおざっぱ)探偵ポール・ベックものが”クイーンの定員”に選ばれていますが、収録作「ステッキのキズは?」に登場するのは女探偵ドーラ・マールで、自転車による追跡劇が楽しい作品。のちに二人は結婚し子供とともに史上初の?家族探偵を構成するらしい。


No.1943 6点 特捜部Q キジ殺し
ユッシ・エーズラ・オールスン
(2013/06/29 14:51登録)
コペンハーゲン警察の地下室に設置された未解決事件担当部署「特捜部Q」シリーズの第2弾。
特捜部といっても刑事はカール・マーク警部補ただ一人。アシスタントの変なシリア人・アサドと、新入りの問題児女性・ローセを加えた3人の、かみ合わないチームワークと、とぼけたユーモアで読ませる人気警察小説です。
一方で、扱われる事件は陰惨で、その対比も当シリーズの特徴と言えるかもしれません。

今回は捜査状況の描写に並行して、悪人たちの行為が描かれているため謎解きの要素は薄いです。
「時計じかけのオレンジ」を思わせる”暴力と快楽”にまみれたデンマークのセレブ達の過去の悪行と、壮絶な過去を持つホームレスの女性の復讐劇を中心とした犯罪小説の側面が強く、カールたちは後半狂言回し的な役割なのが少々不満ですが、ストーリー自体は読み応えがありました。


No.1942 5点 わたしたちが少女と呼ばれていた頃
石持浅海
(2013/06/29 14:09登録)
横浜の名門女子高を舞台に、あの碓氷優佳の女子高校生時代を描いた連作ミステリ。

「扉は閉ざされたまま」などの殺人を主題にした倒叙形式の長編3作とは趣が違って、級友たちのちょっとした秘密や”日常の謎”を優佳が鋭い洞察力で謎解いていく構成で、気付きの着眼点やロジック展開に”らしさ”はあるものの、全体的に薄味感は否めないかな-------と思っていたら、最終話で作者らしさ炸裂の暗転ぶり。
このラストは、逆にシリーズの前3作を読んでいない読者のほうがインパクトがあるかもしれません。


No.1941 6点 百年祭の殺人
マックス・アフォード
(2013/06/23 18:24登録)
密室状況で連続して発生した死体損壊の猟奇的殺人事件の謎に、若き数学者ブラックバーンが挑む本格パズラー。”豪州のディクスン・カー”とも称されるアフォードのデビュー作です。

探偵役ブラックバーンの人物像や、事件が進展するごとにリード首席警部と交す推理の手法などは、ディクスン・カーというよりエラリィ・クイーンを髣髴とさせるところがあります。
二つの事件現場の見取り図の掲載、第一部の終わりに事件のおさらいと手がかりの整理、”ココ重要ですよ”とばかりの文章に傍点など、本格ミステリ読みの琴線に触れる趣向が盛りだくさんで楽しめました。
トリックに独創性がみられない点と、ロジカルのようで実はそれほどロジカルとはいえない探偵の論理展開がやや減点材料。


No.1940 5点 昨日まで不思議の校舎
似鳥鶏
(2013/06/23 17:52登録)
学校の七不思議を特集した超自然現象研究会の会誌に触発されたように、市立高校で「口裂け女」や「トイレの花子さん」などに見立てた悪戯が連続する。葉山くんと柳瀬さんは事件の背後にある悪意を突き止めるが------。

中盤を過ぎて登場する伊神先輩によって、あれよあれよという間に次々と謎解かれる真相は、いかにも青春ミステリといった動機によるものでした。いずれもトリック的には肩透かしぎみでモヤモヤ感もあるが、一応解決した後の残り60ページになってからが本書のキモの部分でしょう。
ただ、これまでのシリーズの流れを収束させた結末部分は1作目を読んでないと分かりずらいのが難点。


No.1939 6点 コリーニ事件
フェルディナント・フォン・シーラッハ
(2013/06/22 11:58登録)
ドイツ実業界の大物をホテルの一室で惨殺したイタリア国籍の工員コリーニ。国選弁護を引き受けることになった新米弁護士ライネンだったが、なぜか容疑者コリーニは殺害動機について一言も話そうとしない------。

「犯罪」「罪悪」の二冊の短編集で一躍脚光を浴びたシーラッハの初の長編ミステリ。
トリッキィでどこかシュールな味わいがあった短編集とは違って、本書は割とオーソドックスな語り口の法廷ミステリでした。
ただ、アメリカ産の優れたリーガル・サスペンスものと比べると、オビで謳うほどの”迫真の法廷劇”という感じは受けず、人間ドラマを描きつつも、いまだドイツに残る”深い疵”と法律の抜け穴というテーマに焦点をあてた社会派ミステリという感じを受けました。
コリーニはもちろんのこと、被害者側にとっても陰惨な結末ですが、ライネンのある女性に対する最後の一言が救いです。


No.1938 6点 五つの首
井沢元彦
(2013/06/22 11:06登録)
流浪の将軍・足利義昭を織田家に迎える準備に勤しむ信長のもとに、殺人を予告する五つの首なし人形が届く。城下で次々と発見される人形に見立てた首なし死体の謎に、戦国の合理主義者・信長が挑むという織田信長推理帳シリーズの第2弾。

首なし死体の謎には逆転の発想っぽい仕掛けがあって(明確な伏線が張られていますし、真相はまあ察しやすいとは思いますが)電話や写真がない時代ならではのトリックというところがミソです。
プロローグで仄めかされる3つのグループの謀略のうちの2つは、結果的に「えっ、これだけ?」という感じで、単なるミスディレクションのための挿話になってしまい、時代小説的な膨らみに寄与していないのが惜しい。


No.1937 6点 かまきり
ユベール・モンテイエ
(2013/06/15 11:57登録)
保険金目的で大学教授である夫の殺害を謀る後妻と、その愛人、愛人の結婚相手で大学教授の秘書でもある女性という、4人の男女の関係が卍模様にからまった、いかにもフランス・ミステリらしい作品。

タイトルから、てっきり男を標的にした”悪女モノ”のクライム小説だと思っていましたが、一般に言う悪女ものとはちょっと違って、物語が後半に入ってから予想外の展開を見せるプロットがなかなかユニークだと思います。これを肩透かしと言う人もいるかもしれませんが。
終盤に二人の女性の間で交わされる、それぞれの思惑が見え隠れする手紙の文面が秀逸です。
やはり”女性は怖い”という、わかりきった結論になりますねw


No.1936 6点 憑き物
鳥飼否宇
(2013/06/15 11:16登録)
”観察者”鳶山と女性写真家「わたし」のコンビが日本各地で遭遇した怪異現象の謎を解く連作ミステリ、「物の怪」につづく第2短編集です。

生き物オタク・鳶山の博識に依存するネタが多く、読者が謎解きに参加するのが難しいところもあるのは、小島正樹の一連の作品を思わせるところがありました。
それでも、各作品ともさりげなく伏線が張られた端正な本格ミステリに仕上がっており、なかでは奄美大島を舞台にした「冥き森」を個人的に推します。

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