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ミステリの祭典

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震える山
新聞記者ヒュー・カーティス

作家 ポール・ソマーズ
出版日1961年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 クリスティ再読
(2024/10/07 21:41登録)
いやガーヴよりガーヴらしい!

新聞記者の主人公は、偽電話でおびき出された女性の街ネタ話から、その父が不可解な状況で拉致された事件に係り合う。父は軍事の秘密研究に携わる物理学者。果たして誘拐を告げる手紙が軍需省に届いた...身代金は3万ポンド。家族にも出せない金額だが、これを主人公の新聞社が負担して特ダネを狙うこととなった。この身代金の受け渡しに主人公と物理学者の娘が赴くことになった...

うん、繰り返すけどホントにガーヴ。いろいろ見てみたけど、要するにソマーズ名義ではこの新聞記者のヒュー・カーティスがシリーズキャラクターになっているようで、それが差別化? ガーヴだと本当に毎回別主人公だからね。で、ガーヴに親しんでいると、本作の「追っかけ」は「地下洞」みたいだし、真相は「**事件」みたいだ。軽く主人公とライバル社の女性記者とのスクリューボール風恋愛も織り交ぜて、達者に語られる。ガーヴの長いジャーナリスト歴からか、「書きやすさ」を感じながら書いてたのではなかろうか。

意外な真相というわけでもないが、いつもの安定ガーヴ印。

No.1 5点 kanamori
(2013/07/18 22:04登録)
英国政府の某研究所に勤務する物理学者が何者かに拉致誘拐される。たまたま事件の発端に関わった新聞記者カーティスは、身代金を携え被害者の娘クララとともに、犯人グループが指定した通称”震える山”のふもとに赴くことになるが-------。

アンドリュウ・ガーヴの別名義による冒険スリラー。
物語前半が新聞社を舞台にした事件記者たちによる誘拐事件の真相追及編、後半が一転、洞窟内の冒険活劇を主体としたサスペンス編という構成で、名義が違っていても典型的なガーヴの作品世界でした。
ただポケミスで160ページと短めなので物足りない思いがした。主人公とライバル紙の女性記者とのやり取りなど軽妙で面白く、現代作家であればもう少し絡みの部分を膨らませていたのではと思う。また、(これは作者に責はないけれど)登場人物表で薄らと事件の裏の構図が読み取れてしまったのは残念だった。

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