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ミステリの祭典

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ムーンズエンド荘の殺人

作家 エリック・キース
出版日2013年06月
平均点4.80点
書評数5人

No.5 3点 風桜青紫
(2016/03/20 23:03登録)
うーん、アメリカでいまどきこんなレトロな本格ミステリが出てくるのは意外だったし、序盤は面白く読めたんだが……ちょっとレトロすぎた。利き腕とか入れ替わりみたいなネタは本格ミステリが充実した日本では少々肩透かしな印象。読みやすいという意見もあるが、ブライアンとジョーナスを始めとしてキャラの書き分けが微妙だし、むしろ読みづらかったような気が……。犯人当ての伏線の多さには驚いたが、それを楽しめるほどには話には乗れなかった。しかしまあ、作風は嫌いではないので次回作に期待しておく。

No.4 4点 蟷螂の斧
(2014/04/23 18:52登録)
エンタメ系として評価すれば6点を計上できるくらい楽しめました。しかし、本格ものとするなら、好みの問題でポリシー通り辛目の4点といったところです。本書の前がカーの有名作品で同様の理由で同様の評価をしたので致し方ない。本文とは関係ないが、ムーンズエンド荘の表紙のイラストと荘の概略図がかなり相違しています(笑)。

No.3 5点 E-BANKER
(2013/09/23 16:55登録)
2011年発表。「雪の山荘版『そして誰もいなくなった』」という帯の惹句が本格ファンの心をくすぐらずにはおれない・・・作品。
“ゲーム会社のパズル作家”という経歴が「いかにも」というべき、作者の処女長編。

~15年前に探偵学校で学んだ卒業生たちのもとへ、校長ダミアンの別荘で開かれるという同窓会の通知が届いた。吊り橋でのみ外界とつながる会場にたどり着いた彼らが発見したのは、意外な人物の死体。そして死体発見直後、吊り橋が爆破され、彼らは外界と隔絶してしまう。混乱する彼らを待っていたのは、不気味な殺人予告の手紙だった。密室殺人や不可能犯罪で次々と殺されていく卒業生たち、錯綜する過去と現在の事件の秘密。クリスティの名作に真っ向から挑む!~

心意気はよしだが、ちょっと中途半端な出来。
ひとことで言えば、そんな感じの作品に思えた。
他の方の書評にもあるし、巻末解説でも触れられているが、特に前半は視点人物が次々と入れ替わったり、過去の事件についての回想が随時挿入されたりで、何だかまとまりの悪いストーリーとなっている。
登場人物がひとりひとり、次々と殺されていく中盤以降、ストーリーは加速度的に進行し、ここでようやく面白さが増してくる感じ。

途中の密室殺人については、日本の新本格作品のように凝ったトリックというわけではなく、ある意味非常に現実的な解法(まぁサプライズは全くありませんが・・・)。
真犯人設定のプロットについても使い古されたものだろう。(伏線もかなり微妙だが)

ということで、どうしても「アラ」が目についてしまうのですが、今時こういう作品を書こうという心意気をまずは買いたい・・・(?)
デビュー作としてはまずまずという気もするし、こういう手の作品が大好物という読者なら、広い心で読んでみるのもいいのでは。
(文庫版で300ページ程度の分量でまとめられていて、読みやすいんだけどもう少し物語としての厚みが欲しかったかなというのが一番惜しい。)

No.2 6点 kanamori
(2013/08/13 20:04登録)
雪の山荘に集められた探偵学校の卒業生9名が、密室状況で次から次へと殺されていく、”そして誰もいなくなった”型の本格パズラー。
三連発の密室トリックに関していえば、「君たち、探偵学校で”密室講義”を受講しなかったのかよ!」というツッコミを入れたくなるような安直で残念なレベルですが、クリスティの名作に挑戦したプロット上の仕掛けはまずまずかなと思います。(細かいことを言えば、気付かないのは不自然なような気がしますが)。
物語の前半は、多くの登場人物で視点がコロコロ変わるのと、過去の事件の回想&言及がたびたび挿入されるため乗れないところがありますが、残り人数が3名ほどになった終盤の展開がなかなかスリリングです。
ともあれ、現代の米国では絶滅危惧種と認定されるようなパズラーがいまどき書かれたこと自体が驚きであり、今後に期待してプラス1点を献上。

No.1 6点 nukkam
(2013/07/03 13:11登録)
(ネタバレなしです) 創元推理文庫版の「雪の山荘版『そして誰もいなくなった』」という宣伝文句が強烈な(笑)、米国のエリック・キースによる2011年発表のデビュー作の本格派推理小説です。登場人物の過去を振り返る部分が多いのが諸刃の剣になっており、謎解きプロットを複雑にする一方でサスペンスを犠牲にしている点は否定できません。とはいえ後半はどきどきの連続になるし、最終章は畳み掛けるような推理説明が圧巻です。

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