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ミステリの祭典

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あの血まみれの男は誰だ?
俳優探偵チャールズ・パリス

作家 サイモン・ブレット
出版日1988年08月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 nukkam
(2023/08/31 22:45登録)
(ネタバレなしです) シェークスピア劇の「マクベス」が絡む本格派推理小説といえばアレックス・アトキンスンの「チャーリー退場」(1955年)やナイオ・マーシュの「闇が迫る」(1982年)が知られますが、1987年発表のチャールズ・パリスシリーズ第12作の本書もその系列に連なる作品で、タイトルからしてマクベス劇の台詞を引用したものです。すぐに事件が起きるわけではありませんが、無能な演出家や個性の異なる俳優たちが様々な人間ドラマを繰り広げながら上演に向けて稽古を積み重ねていく展開が面白いです。酔いつぶれた挙句に死体発見者となったチャールズが大反省して、何と禁酒して捜査する羽目になるのも読ませどころです。もちろん劇の稽古も続けられ、演劇ミステリーとして最後まで楽しめました。謎解きも伏線のカモフラージュとチャールズが真相に気づくきっかけがよく考えられていると思います。

No.2 5点 ボナンザ
(2017/08/12 10:40登録)
ミステリとしての本筋はまずまず。
例によってだらしないパリスの動向にイライラさせられないかが鍵でしょう。

No.1 6点 kanamori
(2013/08/25 18:40登録)
地方劇場での『マクベス』上演の稽古後の深夜、劇場に併設されたバーの貯蔵室で老優の変死体が発見される。ひさびさに端役の仕事をえて張り切っていた脇役俳優パリスだったが、警察から容疑者として目をつけられることに------。

売れない中年俳優チャールズ・パリスを探偵役としたシリーズの12作目。
作者は演劇界に長く携わっていただけあって、事件背景の演劇界の舞台裏はいかにもありそう。高慢で陰険な被害者の老俳優や、演劇理論にとことんこだわる新進女優、優柔不断な演出家など、クセのあるキャラクターたちのやり取りがシニカルでユーモアたっぷりに描かれています。とくに、パリスがベテランゆえ便利屋の俳優として扱われ、一人二役どころか最終的に10個の役を割り振られるくだりは笑えます。
その分、事件の発生を物語の半ばまで待たなければなりませんし、謎解きミステリとしては小粒な内容と言わざるを得ませんが、動機の隠蔽と伏線は巧妙です。

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