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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.89点 書評数:2463件

プロフィール| 書評

No.1963 4点 Another エピソードS
綾辻行人
(2013/08/18 17:23登録)
あの夜見山北中学の見崎鳴が語るアナザー・ストーリー。

彼女が湖畔の屋敷で出合った、”記憶を失くした幽霊”の自分探しの物語ですが、アニメか何かのシナリオかと思うほどスカスカの内容でがっかりしました。300ページ余りを2時間で読めるし、短編でも充分書ける内容だと思う。
また、このような手法によるサプライズの演出は食傷気味であり、今更どうかと思うところがあります。


No.1962 6点 ムーンズエンド荘の殺人
エリック・キース
(2013/08/13 20:04登録)
雪の山荘に集められた探偵学校の卒業生9名が、密室状況で次から次へと殺されていく、”そして誰もいなくなった”型の本格パズラー。
三連発の密室トリックに関していえば、「君たち、探偵学校で”密室講義”を受講しなかったのかよ!」というツッコミを入れたくなるような安直で残念なレベルですが、クリスティの名作に挑戦したプロット上の仕掛けはまずまずかなと思います。(細かいことを言えば、気付かないのは不自然なような気がしますが)。
物語の前半は、多くの登場人物で視点がコロコロ変わるのと、過去の事件の回想&言及がたびたび挿入されるため乗れないところがありますが、残り人数が3名ほどになった終盤の展開がなかなかスリリングです。
ともあれ、現代の米国では絶滅危惧種と認定されるようなパズラーがいまどき書かれたこと自体が驚きであり、今後に期待してプラス1点を献上。


No.1961 5点 キルマスター①/スパイの城
ニック・カーター
(2013/08/12 21:50登録)
米国秘密機関”AXE”に所属する工作員ニック・カーターを主人公とするB級のスパイ冒険スリラー。”キルマスター”とは殺人許可書をもつスパイの意味、サブタイトルの①はシリーズの1作目ではなく邦訳の1冊目を表す。本シリーズも60年代に続々と書かれた007シリーズの亜流といえます。
世界征服を目論む狂信的大富豪という敵役がチープな設定ながら、ストーリーは核ミサイル施設を有する北海の孤島への”敵地潜入モノ”で、冒険スリラーのプロットとしてはそれなりに面白いです。ただ、いたずらに煽情的シーンを何度も挿入しているため興醒めの部分がかなりあります。とくに色情狂のペンドラゴン夫人というのが強烈すぎる。読者サービスとしてのサディスティック&エロチックなシーンは当時のスパイものの必須要素なんでしょうかね。

なお、”ニック・カーター”という筆名は19世紀末から何人もの作者によって書き継がれたハウスネームで、この作者名と同じ名前をもつ主人公は最初は名探偵役として登場しており、その短編集は「クイーンの定員」にも選ばれています。


No.1960 6点 わが名はアーチャー
ロス・マクドナルド
(2013/08/11 13:35登録)
私立探偵リュウ・アーチャー登場の短編集。デビュー作の「女を探せ」(1946年)をはじめ50年代半ばまでに発表された7作品が収録されています。女性が重要な役割をしている話ばかりなので、邦題全てに「女」が入っていますが、原題とかけ離れたタイトルのものは少し違和感がありました。

タフガイ探偵ぶりを前面に出した普通のハードボイルド風作品もあるものの、中期以降のものは、長編並みに複雑な人間関係と入り組んだプロットになっていて、意外性の追及とともに悲劇的な結末も用意されています。続けて読むと疲れてしまう濃さがありますが。
また、「雲をつかむような女」や「ひげのある女」など、EQMMに掲載された作品は本格ミステリ顔負けのトリックもあります。
ロスマクの短編はそれほど作品数も多くなく、長編に比べてあまり話題にもならないように思いますが、期待以上で満足です。


No.1959 6点 マッターホルンの殺人
グリン・カー
(2013/08/06 12:01登録)
シェークスピア劇俳優でアマチュア登山家アバーグロンビー・リューカー・シリーズの5作目。ただし、本名のスタイルズ名義で書かれた初期3作はリューカーが諜報部員を務めるスパイ冒険スリラーらしいので、探偵役としては2作目の登場になる。

本書も、先日読んだ6作目の「黒い壁の秘密」同様に、グリン・カー作品の魅力である登山・山岳描写を背景に、山の麓のホテルに滞在する旅行客内で発生した殺人を描くオーソドックスな本格ミステリになっていて、伯爵夫妻や好奇心旺盛な中年女性など登場人物はまさにクリスティ風で読み心地がいいです。
正直すぎる伏線の張り方で真相が分かりやすいのが残念ですが、雄大な作品舞台に相応した豪快なアリバイトリックが印象的です。


No.1958 5点 カメレオン
ウィリアム・ディール
(2013/08/03 11:00登録)
アラスカ沖の北極海に浮かぶ海底油田施設が何者かに襲撃され、世界各地で石油関連企業の重役らが次々と暗殺される。
幼いころ日本で古武術と禅の精神を会得した元CIA職員でジャーナリストのオハラは、事件の背後にある謀略計画と謎の人物”カメレオン”の正体をつかむため、同僚女性記者とともに京都へ飛ぶが-------。

このような粗筋になるが、物語の本筋が見えてくるのが残り80ページを切ったあたりから。場面転換も多く、新しい人物が登場し名前を覚えたところで殺されていくし、中盤までは誰が主人公かも判然とせず、無駄と思えるようなエピソードが頻繁に出てくるので、読み続けるのが苦痛なところがあった。終盤はスリリングな展開で盛り返しているが。
CIAに狙われる元CIA職員の主人公ということで、「グレイマン」+「シブミ」という趣きもあるものの、全体的にB級臭が漂う国際謀略スリラーという読後感でした。


No.1957 6点 骨董屋探偵の事件簿
サックス・ローマー
(2013/07/28 20:41登録)
事件現場で眠れば被害者や犯人の残留思念が読み取れるという特殊技能を使ったユニークな探偵、老骨董屋モリス・クロウの探偵譚10編を収録。原題は”The Dream-Detective”で、本書も「クイーンの定員」に入っている短編集です。

古代エジプトのミイラの首が連続して切断される事件や、幽霊屋敷で鳴り渡る哄笑の謎など、オカルト趣向が前面にでている作品が多いが、最終話を除いて合理的に解決される。また、密室状況からの美術品の消失などの不可能犯罪を扱ったものも多く、作風は思考機械シリーズに似ているように思う。
ただトリックは時代性ゆえに無茶なものが目につき、とくに等身大の彫像を密室から消失させた「象牙の彫像」のトリックなど、バカヤロー・レベルだけど思わず笑ってしまった。
枕がわりのクッションを携帯してクロウに同行する娘のイシスや、骨董店に飼われている悪態をつくオウムなど、脇役のキャラクターも印象的で、連作ものとしてはなかなか面白かった。


No.1956 6点 追憶の殺意
中町信
(2013/07/26 19:06登録)
本書は昭和54年に作者通算3度目の江戸川乱歩賞最終候補作になった「教習所殺人事件」を改題しトクマノベルズから「自動車教習所殺人事件」と題して出版されたもので、来月創元推理文庫から「追憶の殺意」のタイトルで復刊される予定の作品。久々に再読してみました。

作者の代名詞である読者を誤誘導する叙述トリックは使われておらず、温泉バスツアーというお決まりのプロットも出てこない、密室+アリバイ崩しをメインにしたオーソドックスな、”ジス・イズ・ザ・昭和の本格ミステリ”といった内容です。
フーダニットを主軸とする通常の中町ミステリと違って、密室の謎が解けた後はアリバイ崩しが中心になっている点や、刑事が探偵役というところがこの作者にしては珍しく、作風としては鮎哲の鬼貫警部モノに似た味わいがありました。
二段構えのアリバイトリックのうち2つめが綱渡り的ですがユニークで、教習所を舞台にした意味が最後に浮かび上がってくるところが巧妙です。


No.1955 6点 ミステリガール
デイヴィッド・ゴードン
(2013/07/23 18:58登録)
働いていた古書店が潰れ、妻からは別れ話を切り出された小説家志望の「ぼく」は、探偵助手の仕事をみつけ、巨漢のひきこもり探偵から謎の美女の素行調査を命じられる-------。

「このミス」をはじめ一昨年のミステリランキング海外部門の三冠に輝いた「二流小説家」の作者による第2作。
謎の美女の正体とカルト映画フィルムに絡む殺人事件に巻き込まれる主人公は、前作の主人公とほとんど同じキャラクター。このダメ男・サムの自虐的な語り口が絶妙で、友人の映画オタクやネロ・ウルフもどきの巨漢の探偵など、個性的な脇役陣のキャラクターも面白い。(饒舌なウンチク部分が脱線ぎみなところもあるが)。
ただ、前作では弱いなりにも成功していた謎解き部分が今回は微妙な出来になっている。とくに終盤に入って、次々と真相が明かされる手段が、カギを握る三人の人物によるなが〜い独白という構成には疑問が残る。

ところで、本書も日本で映画化されるとして配役を考えてみた。
主人公のサムは「二流小説家」と同じ上川某、レスビアンの古書店主には剛力で(彼女にはミスキャストという言葉はない)。巨漢の探偵にはマツコデラックスを男装させてはどうか。


No.1954 6点 キリオン・スレイの再訪と直感
都筑道夫
(2013/07/21 18:06登録)
前衛詩人で居候の米国人、キリオン・スレイが探偵役を務めるシリーズの第3短編集。

収録作品のネタは、ミッシングリンク(パターン探し)、ダイイングメッセージ、名探偵の存在を前提とした奸計など、どことなくクイーンを意識したプロットが多い印象をうけた。
ただ冒頭に提示される謎はいずれも不可思議で惹きつけるものがあるものの、真相が腰砕け気味になっている作品が目につく。
また『野生時代』に連載されていたものは、シリーズの従来作品と比べて枚数がやや多めなため、犯人の動機や事件背景などに筆を費やし物語に厚みを感じる反面、その分ロジック展開にキレがないようにも感じる。
そのなかでは、「下足札が死につながる」がホワイ&ハウダニット両面で感心できた作品。


No.1953 5点 震える山
ポール・ソマーズ
(2013/07/18 22:04登録)
英国政府の某研究所に勤務する物理学者が何者かに拉致誘拐される。たまたま事件の発端に関わった新聞記者カーティスは、身代金を携え被害者の娘クララとともに、犯人グループが指定した通称”震える山”のふもとに赴くことになるが-------。

アンドリュウ・ガーヴの別名義による冒険スリラー。
物語前半が新聞社を舞台にした事件記者たちによる誘拐事件の真相追及編、後半が一転、洞窟内の冒険活劇を主体としたサスペンス編という構成で、名義が違っていても典型的なガーヴの作品世界でした。
ただポケミスで160ページと短めなので物足りない思いがした。主人公とライバル紙の女性記者とのやり取りなど軽妙で面白く、現代作家であればもう少し絡みの部分を膨らませていたのではと思う。また、(これは作者に責はないけれど)登場人物表で薄らと事件の裏の構図が読み取れてしまったのは残念だった。


No.1952 6点 抹殺の意志
草野唯雄
(2013/07/16 17:46登録)
人気推理作家・城戸の小説を模倣したかのような事件が連続して発生し、状況から作者本人が犯人だと疑われる。友人で担当編集者でもある「わたし」は、城戸のアリバイを求めて奔走するが-------。

江戸川乱歩賞候補作を改稿改題した作者のデビュー長編。
城戸の内面描写を排して、第三者の「わたし」の視点で事件が語られていく構成がミソで、終盤を迎えて犯人像を二転三転させながら、アンフェアぎりぎりの大仕掛けが最後の最後で明らかになる。(現代から見ればそれほどのサプライズ感はないかもしれませんが、まあ新本格以前ということで)。
写真をもとにある女性の所在を探し求めるパートなど、中盤に無駄と思える場面もあるもののサスペンス性も兼ね備え、事件の背景調査のため訪れた四国松山でのシーンの伏線の張り方もなかなか巧みだったと思います。


No.1951 6点 たんぽぽ娘
ロバート・F・ヤング
(2013/07/14 11:36登録)
河出書房新社の”奇想コレクション”の最終巻。ずいぶん前から予告されていながら出版が止まっていましたが、ビブリア古書堂ブームの後押しもあってか、本書をもって10年がかりでようやくシリーズ全20巻が完結。

”おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた。”----- という名フレーズですっかり有名になったロマンチック時空SF「たんぽぽ娘」の再読(前回は井上一夫、今回は伊藤典夫訳)が目当てでしたが、”時の流れ”という同じ素材を使い、抒情性豊かで切ない余韻を残す遺作「荒寥の地より」も負けず劣らず素晴らしい作品です。
シリーズの”奇想”というコンセプトという点では「河を下る旅」や「主従問題」が相応していると思いますが、ヤングの持ち味はやはり甘いロマンチックなラブ・ストーリーで、冒険ファンタジーでありながらボーイ・ミーツ・ガールの物語に帰結する「ジャンヌの弓」なども印象に残りました。


No.1950 6点 私刑(リンチ) 大坪砂男全集3
大坪砂男
(2013/07/12 17:41登録)
創元推理文庫版全集の3巻目。いちおう<サスペンス編>という括りがありますが、戦後混乱期を時代背景とした無頼漢小説や昭和人情話風のクライム小説を中心に、ホラー幻想風、犯人当てパズラー、西部劇&スリラー映画のノベライズなど、かなり幅広い様々なジャンルの作品が収録されています。

探偵作家クラブ賞受賞の表題作「私刑」は結末にちょっとしたヒネリがある無頼漢小説ですが、物語そのものよりも一人称形式での叙述の技巧が楽しめる作品。これをトリックとして使用せず単に読者を翻弄するだけのものになっているのがいかにも作者らしい。こういった遊び心は、弟子だった都筑道夫の前衛的な初期長編群に通じるような気がする。
ほかに、”病院横丁の首縊りの家”の大坪ヴァージョン「ある夢見術師の話」、ホラー幻想譚の秀作「男井戸女井戸」、「花売娘」などが印象に残った。


No.1949 6点 火よ燃えろ!
ジョン・ディクスン・カー
(2013/07/10 13:28登録)
昨年作家デビューしたディクスン・カーの孫娘シェリ・ディクスン・カーの『Ripped』は、現代娘がヴィクトリア朝時代のロンドンにタイムスリップし切り裂きジャックと対決する歴史ミステリのようで、Amazonのレビューを見る限り評判は上々らしい。

タイムスリップを扱った歴史ミステリといえば祖父の十八番で、本書もそのタイプの一冊。
主人公チェビアト警視が19世紀初めにタイムスリップし、創設間もないロンドン警視庁の一員として活躍するといった内容で、ロマンス&冒険活劇ものの秀作だと思います。チェビアトが乗っていたタクシーが二輪馬車に変わる冒頭のタイムスリップ・シーンなど巧いです。
衆人環視下の謎の銃撃という不可能状況の殺人を扱っているのはカーの歴史モノでは珍しいですが、重要な役割のアイテムに関しての作者のあとがき解説は、やや言い訳じみているように感じた。
タイムスリップという特殊設定を活かした仕掛けと言う点では「ビロードの悪魔」に一歩譲るかな。


No.1948 5点 花ことばは沈黙
結城昌治
(2013/07/08 23:01登録)
「わたし」ことエリート会社員の風間は、雨宿りのために入った喫茶店で偶然出会った謎めいた若い女性の魅力にのめりこむが、ある日、一人の男が風間の前に現れて------。

妻を亡くしたが、親の遺産があり、バーの経営を任せる愛人を囲い悠々と暮らすエリートの会社部長の主人公というのがなんとも羨ましいw 中盤までは。
物語序盤の雰囲気は、連城三紀彦風の技巧的な恋愛ミステリを思わせるのだけど、脅迫者の男が登場してからの展開がテレビの二時間ドラマの原作を読むようで、一気に興味が失せてしまいました。黒幕の正体は物語の流れから容易に想像できてしまう。作者の作品の中では平凡な出来と言わざるを得ない。


No.1947 7点 白雪姫には死んでもらう
ネレ・ノイハウス
(2013/07/06 16:18登録)
村祭りの夜に起きた2人の少女失踪事件の秘密を抱える閉鎖的な村に、刑期を終えて犯人と目された男が11年ぶりに帰ってきた。折しも若い女性の白骨死体が発見されたことから、オリヴァー首席警部と女性警部ピアのコンビは過去の事件の真相に迫っていくが-------。

「深い疵」につづくオリヴァー&ピア・シリーズの4作目(邦訳は2作目)。”ドイツ版横溝ミステリ”とか”ドイツ版「八つ墓村」”というコピーもありますが、舞台設定がそういう感じなだけで、おどろおどろしさや伝奇的な雰囲気はそれほどありません。
一人の男の帰郷とある少女の好奇心が触媒となって、多数の村民と関係者たちのおぞましい秘密が少しづつ明らかになっていく。捜査小説としてのスリリングな展開の面白さと、オリヴァー自身を含めた様々な登場人物の人間ドラマが融合した構成が非常に巧みだと思います。
捜査側と村社会側の両サイドとも、最終的に女性が主導的な役割になるのは、いかにも女性作家の作品という感がある。


No.1946 6点 世界鉄道推理傑作選2
アンソロジー(国内編集者)
(2013/07/06 14:50登録)
チャールズ・ディケンズの有名な怪奇幻想譚「信号手」、コナン・ドイルの非ホームズもの「消えた臨時列車」とつづく2巻目の本書のほうが、ミステリ作品のジャンルが分散されていて内容的にも充実しているように思えました。

線路上から列車が消失するというドイル作品と全く同じ設定で、別の回答を用意した、オーガスタ・ダーレスの似非ホームズもの”ソーラー・ポンズ”探偵譚「消えた機関車の冒険」は、本歌取りながら真相は本家より面白い。
衆人環視の密室状況の車両からの人間消失を扱った「寝台急行列車の謎」は、真相に意外性なく常識的なトリックですがクロフツらしい重厚な本格モノでした。
ほかに、「信号手」をクライム小説にしたようなロイ・ヴィカーズ「八番目の明かり」、アルゼンチンの鉄道モノで小品ながらシュールでブラックなオチの「とても静かな乗客」など、収録作品はバラエティに富んでいる。


No.1945 7点 暗殺者の正義
マーク・グリーニー
(2013/06/30 20:57登録)
「グレイマン」の異名をもつ元CIA工作員で凄腕の暗殺者、コートランド・ジェントリーを主人公とした冒険活劇シリーズの第2弾。
今回は、アフリカ大陸スーダンを舞台に独裁者の大統領の拉致をミッションとした、いわゆる”敵地潜入”もの。

計画に思わぬ齟齬が生じて、というのがこの種のパターンですが、それによる前半部の横道に逸脱するパートが書き込みすぎで全体の構成から遊離していると感じなくもない。
それでも、評判どおり、中盤を過ぎてからの延々と続く銃撃戦&活劇シーンの連続は迫力満点で圧巻のひとこと。
政治情勢の変化によって、ロシアマフィアとCIAの元上司の思惑の狭間に立ちながらも、ジェントリーが暗殺者なりの正義を貫くところにこの冒険小説の本質が見えた。
今回の登場人物の配置には次作への布石のような側面があるので、今後の展開に期待したい。


No.1944 5点 世界鉄道推理傑作選1
アンソロジー(国内編集者)
(2013/06/30 20:10登録)
タイトルが”世界”となっていますが、第1巻の本書の収録作すべて英国の鉄道ミステリで、いずれもシリーズ探偵が登場する作品で編まれています。
編者の小池滋氏には全く責任がないのですが、収録作のうちホワイトチャーチのソープ・ヘイズルもの2編とクリスピンの「列車に御用心」は、今年に入って論創社から本編の短編集が出版され読んだばかり。フリーマンの有名作「オスカー・ブロズキー事件」も既読だったので、残りの2編のみの読書になりましたw

作者不詳の「モアハンプトンの怪事件」に登場する探偵セクストン・ブレイクは、古くから複数の作者によって書き継がれ(解説によると200名以上作者がいるらしい)英国ではお馴染みのキャラクター。冒険スリラーものかと思いきや意外とトリッキィな作品だったのでちょっと驚きました。
M.M.ボドキンは、親指物差し(おおざっぱ)探偵ポール・ベックものが”クイーンの定員”に選ばれていますが、収録作「ステッキのキズは?」に登場するのは女探偵ドーラ・マールで、自転車による追跡劇が楽しい作品。のちに二人は結婚し子供とともに史上初の?家族探偵を構成するらしい。

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