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ミステリの祭典

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エラリー・クイーンの騎士たち
飯城勇三

作家 評論・エッセイ
出版日2013年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 kanamori
(2013/10/10 23:06登録)
日本の作家がエラリー・クイーンの”クイーン的要素”のどの部分をどのように取り込み発展させたかを考察した評論集。数年前に出た同じ著者の「エラリー・クイーン論」がかなり面白かったのでこちらも読んでみました。

クイーン的要素とは、フェアプレー精神と読者への挑戦、ミステリ作家の名探偵が事件を小説化する構成、トリックよりロジックの重視、ダイイングメッセージの多用、偽の手掛かりと後期クイーン的問題などになるが、取り上げた各作家毎に異なった要素を補助線にして、その小説技法を分析している点に感心した。それぞれ切り口が違う。
横溝正史、鮎川哲也や新本格以降の作家(〜青崎有吾まで)を取り上げているのは想定していたが、「ローマ帽子」と「砂の器」の動機をネタに、松本清張に一章を割いているのには驚いた。多分に我田引水的なところがあるように思いますが。
とはいえ、それぞれの作家の小説技法の分析は斬新でロジカル、読んでいて非常にスリリングです。とくに後期クイーン的問題などをネタに「隻眼の少女」をテキストにした麻耶雄嵩編は刺激的な内容でした。
取り上げられた日本作家の作品だけでなく、(新訳版が次々出ている)クイーン作品も再読したくなる反作用効果もある。

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