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ミステリの祭典

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イン・ザ・ブラッド
モビール市警殺人課カーソン・ライダー刑事

作家 ジャック・カーリイ
出版日2013年10月
平均点6.75点
書評数4人

No.4 8点 レッドキング
(2023/08/30 20:59登録)
作者第五作。「毒蛇の園」は、「リベラル派」富豪一族の偽善を嘲る劇画だったが、これは、「白人至上主義・宗教右翼」の偽善(むしろ偽悪かな)を暴く戯画。ミステリであり、かつ、SFを掠めたファンタジー、いやもう、メルヘン! この、信じられないまでの「希望」は、信じたい気にさせられる。
※ミステリとしてはオマケしても、5点だが・・もう、おーまけにオマケ(^^♪・・8点!

No.3 6点 あびびび
(2015/09/21 17:42登録)
どんでん返しの作家はプロローグとともに身構えてしまう。その時点ではほとんど材料はないのに、どんでん返しを考えてしまう。その中のひとつがの結末だったが、こういう読み方は良くない(笑)。

ブラザーと称する刑事二人は快活で魅力的で、スピード感あふれる捜査は映像的で楽しい。

No.2 7点 E-BANKER
(2014/04/18 10:44登録)
「ブラッド・ブラザー」に続く、カーソン・ライダー刑事シリーズの第五長編。
前作で実兄ジェレミーとの問題に一区切りを付けたライダー刑事が、今回は地元モビールで起こる怪事件(前作はNYが舞台だった)を相棒のハリー刑事とともに解決に導く。

~刑事カーソン・ライダーが漂流するボートから救い出した赤ん坊は、謎の勢力に狙われていた。収容先の病院には怪しい男たちによる襲撃が相次いだ。一方で続発する怪事件・・・銛で腹を刺された男の死体、倒錯プレイの最中に変死した極右の説教師・・・。すべてをつなぐ衝撃の真実とは? 緻密な伏線と鮮やかなドンデン返しを仕掛けたシリーズ第五弾!~

本当にこのシリーズは面白い。抜群の安定感だ。
冒頭にも触れたとおり、兄ジェレミーがストーリー中に垣間登場する前作までが、いわばシリーズ第一期。そして、本作からはいよいよ第二期に突入といった感じ。
カーソンはジェレミーとの確執や不安が失くなった代わりに、事件を追っている渦中にも拘わらず喪失感を味わうことになる。
(ここにも作者は周到な仕掛けを用意しているのだが・・・)

今回は、紹介文のとおり、①カーソンが救い出した赤ん坊を巡る謎と、②白人絶対主義のカリスマ説教師の変死事件、この二つの謎が同時進行で語られていく。
②については、いつものシリーズ作品どおり、後半に鮮やかなドンデン返しが待ち受けている。
本シリーズでは常に特徴的な犯人役が用意されているのだが、今回もなかなかスゴイ。
(個人的には別の人物にアタリを付けていたのだが、これはダミーというか小物だった・・・)
終盤のとある登場人物の証言をきっかけに、パズルのピースがすべてカタカタ嵌っていく、そして伏線が鮮やかに回収されていく“感覚”を味わうことができる。
もうひとつの①の謎についてはかなり啓示的。
すべての謎の動機につながっているほか、本作のプロットに大きく関わっている「人種問題」についてひとつの光明を投げ掛けている。

巻末で解説者の酒井貞道氏が作者の作品を以下のように評しているのだが、これがまさに言い得て妙だろう。
“カーリイの諸作品は、最近の海外ミステリーとしては珍しく、最初に真相を設定し、そこから逆算してストーリーやプロットをかっちり堅牢に組み上げ、伏線或いはヒントを丹念に散りばめたうえでそれらを「読者が真相に感付かないように」配置する。極めて緻密な構成を採用している。・・・”

本作以降もシリーズは続いていくようなので、ますます楽しみ。
評点はシリーズ他作品との兼ね合いでこうなった。

No.1 6点 kanamori
(2013/10/29 20:15登録)
「僕」こと、カーソンと相棒のハリーは偶然に漂流するボートの中に赤ん坊を発見し救出するが、その収容先の病院が怪しい男に襲撃される。一方、極右主義者で有名なキリスト教系説教師が倒錯プレイの最中に変死する事件が発生、刑事コンビは両方の事件の背景を捜査することになるが--------。

”百番目の男”カーソン・ライダー刑事シリーズの第5弾。前作で兄ジェレミーの問題に一区切りつけたこともあってか、今回は原点回帰したような、カーソンと黒人刑事ハリーのバディもの警察小説風の趣がありました。
2つの並列する事件を同時に捜査する展開のため、プロットがややごちゃごちゃしている感があるものの、最後は複数の伏線を回収し巧くまとめ上げていると思います。ただ、ジャック・カーリイの得意技である関係者の”裏の顔”によるサプライズ演出が、今回はちょっと過剰かなと思わなくもありません。

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