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ミステリの祭典

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火の玉イモジェーヌ
イモジェーヌ・マッカーサリーシリーズ

作家 シャルル・エクスブライヤ
出版日1967年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 クリスティ再読
(2021/11/08 20:40登録)
女探偵をやったから、女スパイ...でイモジェーヌを選ぶ評者は、はっきりヘンだ(苦笑)。ユーモアというよりも、ドタバタなスパイ小説。身長5フィート10インチ、というからには177cm、赤毛の猛女イモジェーヌが秘密書類を故郷の街に運ぶ任務を命じられたが、その行く手には死体の山が積み重なる...というマンガチックな話。
と紹介するとね、ホントに漫画に思えるんだけど、実は泥臭く、アクが強い話。一筋縄ではいかない。イモジェーヌは狂信的なくらいに愛郷心が強いスコットランド人で、イングランド人やウェールズ人を差別しまくるくらいのキャラ。50歳独身、思い込みも激しく直情径行、しかも女だてらの腕力もあって、ナミのオトコの手におえるような代物じゃない。
スコットランド名物料理でハギスってのがあって、作中にも登場するけど、羊の胃袋に内蔵やらオートミールやら詰めて茹でた料理で、スコットランド人以外には正気とは思えない料理として有名だったりする。この作品の味わいって、まさにハギス。読むなら覚悟した方がいい珍味。

No.1 6点 kanamori
(2013/10/25 22:14登録)
イギリス海軍省情報局の古株タイピスト・イモジェーヌは、ある日突然、局長から臨時の諜報部員に抜擢され、故郷スコットランドのハイランド地方へ重要書類を運ぶ任務を命じられる---------。

気性も思い込みも烈しい赤毛の女情報部員・イモジェーヌ・マッカーサリーを主人公としたユーモア・スパイ小説の第1作。
読者には敵側のスパイだと明白な三人の男たちに次々と騙され、逆に味方側を疑うという見当違いの行動を繰り返しながら、収まるところに収まるドタバタ振りが面白い。とくに村の駐在巡査部長とのやり取りには笑いのツボにはまった。
ジャンルはどうみても「ユーモア小説」に分類すべきだと思っていたら、最終章でスパイ小説らしいドンデン返しが待っていた。
エクスブライヤはフランス人作家ながら、訳出されている作品を見る限り、本書の英国をはじめスペイン、イタリアなど、本国フランス以外を舞台に、その国の人物を主人公にしたミステリばかりを書いている。ちょっと不思議な作家だ。

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