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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.89点 書評数:2432件

プロフィール| 書評

No.252 5点 白戸修の狼狽
大倉崇裕
(2010/05/03 22:06登録)
「ツール&ストール」(「白戸修の事件簿」)に続く第2弾。巻き込まれ型の軽犯罪ミステリ連作短編集。
お人好しの主人公が連続落書き魔、盗聴事件、イベント妨害事件など、いずれも鬼門の中野駅に絡む事件に巻き込まれます。
ミステリとしての肝は、主人公がなにを根拠に事件の真相に気付いたかでしょうが、事件の設定そのものが興味をひくものでないのでイマイチ楽しめなかったです。


No.251 7点 幽霊の2/3
ヘレン・マクロイ
(2010/05/03 21:47登録)
ベイジル・ウィリング博士が探偵役を務めるシリーズ第11作。
出版業界を舞台背景に人気作家の毒殺事件を描いていて本格ミステリではありますが、意外な犯人像を狙ったものではありませんし、作中の毒殺トリックも平凡です。
作者の狙いは犯人当てより被害者の人気作家の秘密に関わるサプライズにありますが、物語に出てくるゲーム<幽霊の2/3>に二重の意味を持たせたところが巧いと思います。
タイトルのセンスのよさ、伏線の張り方の巧妙さなどいつものマクロイです。


No.250 4点 Xに対する逮捕状
フィリップ・マクドナルド
(2010/05/03 21:28登録)
ゲスリン大佐が登場するシリーズの第12作。
劇作家が耳にした犯罪計画をゲスリン大佐が阻止するために少しの手掛かりから推理し追い詰めていくというストーリーで、通俗スリラー色の強いミステリです。
著者の作品の特徴は、冒頭の魅力的な謎の設定の割に、最後が腰砕けに終わるという印象ですが、この後期の作品も推理の妙味はあるものの本格とはいえず、サスペンスによる盛り上げ方も稚拙で中途半端という感じでした。


No.249 7点 ミステリの女王の冒険
エラリイ・クイーン
(2010/05/02 00:20登録)
1975年にテレビ放映された犯人当てミステリドラマのシナリオ作品集。
制作総指揮は「刑事コロンボ」のR・レヴィンソン&W・リンク。エラリイ・クイーン原案となっていますが、この時期「エラリイ・クイーン」はハウスネームみたいなものでしょうから本人がどれだけ関与しているかは不明です。
収録5作のなかでは、ライツヴィルものの「黄金のこま犬の冒険」が楽しめた。
火かき棒があるのに何故こま犬の置物で撲殺したのか?という設問はニヤリとさせると共に解答もスマート。また、クイーン警視のコメデイ・タッチのエピソードが笑わせます。
表題作の「ミステリの女王の冒険」は、英国のミステリ小説の女王VSエラリイというクイーン同士の推理合戦。
解答の手掛かりは単純ですが、ダイイングメッセージと多重解決が楽しい。この作品は放映されず、後に「ジェシカおばさんの事件簿」に流用されたようだ。
ほか、エレベータ内の不可能殺人もの、法廷ミステリがらみのものなど設定がバラエテイに富んでいます。
先年邦訳されたラジオドラマシナリオ集2冊と比べ、犯人当てミステリとしては劣る出来だと思いますが、趣向が楽しめる作品集で満足でした。


No.248 6点 レイトン・コートの謎
アントニイ・バークリー
(2010/05/01 23:54登録)
迷探偵ロジャー・シェリンガムの初登場作品。
いちおう密室殺人や遺書の偽造トリックなど、ミステリ趣向を凝らしていますが、アンチ名探偵ものを志向しているのはこのデビュー作も変わりません。ワトソン役に指名した友人アレックと悉く意見を対立させているのは、それを際立たせるとともに意外な犯人の設定への伏線でもあるのでしょう。
のちの作品と比べればメタ度は控えめな分、オーソドックスな本格読みにも満足がいく出来だと思います。


No.247 6点 義経はここにいる
井沢元彦
(2010/05/01 18:52登録)
著者お得意の歴史ミステリ、シリーズ探偵・南条圭登場作品。
タイトルから想像するほど、義経北行伝説に関する考察には多く触れられてはいなくて、中尊寺金色堂と藤原氏のミイラの謎が中心ですが、これがなななか面白かった。
現代の殺人事件はアリバイトリックもので、義経の首運搬の逸話と絡めた点は良ですが、伏線が丁寧過ぎて真相がミエミエなところが惜しい。


No.246 6点 一本の鉛
佐野洋
(2010/05/01 18:31登録)
長編デビュー作。女性ばかりが住むアパート内の殺人を扱っていて、軽い密室トリックも出てきますが、動機の謎がミステリとしての肝で、ちょっと意表をつきます。
オチは、いかにも元新聞社勤務の作者らしいもので、最後にタイトルの意味が浮かび上がるしゃれた作品です。


No.245 6点 地獄を嗤う日光路
笹沢左保
(2010/05/01 18:10登録)
小仏の新三郎という渡世人を主人公とした連作時代ミステリ。
恩義のある女性を探し求めて流れ旅をする道中で巻き込まれる事件4編が収録されています。
なかでは、ならず者武士連中に制圧された村人たちへの助太刀劇だったのが、終盤に構図が逆転する「背を陽に向けた房州路」が奇妙な味的ミステリで秀逸でした。
他の作品は、終盤で一人の人物の意外な正体が明かされるというプロットのパターン化が目につき、読みなれると先が読めるのが残念。


No.244 6点 鷲尾三郎名作選 文珠の罠
鷲尾三郎
(2010/05/01 17:48登録)
河出文庫の<本格ミステリコレクション>シリーズの第6弾。
処女作の「疑問の指輪」や代表作の「文殊の罠」は再読ですが、それ以外にもバカミス系のトリック小説が多く、若干文章力に難ありですが楽しめました。
シリーズ探偵の毛馬久利&美鈴ものの連作4編が読めたのは収穫でした。特に雪の密室殺人もの「白魔」は、ある意味ケッサクだと思います。


No.243 6点 金沢逢魔殺人事件
梶龍雄
(2010/05/01 17:35登録)
旧制高校シリーズの第3弾。
今回は旧制四校が舞台で、猟奇的な連続殺人事件を扱っていて、前2作と少々テイストが違います。
著者が得意のミッシング・リンクもので、終盤ちょっと驚く仕掛けがありますが、短めの長編なので読み終わって充実感が味わえなかったです。


No.242 7点 虹男
角田喜久雄
(2010/04/30 22:40登録)
摩耶家殺人事件。もう一人のシリーズ探偵である新聞記者・明石良輔ものの探偵小説です。
「高木家の惨劇」が優等生的な探偵小説で著者の代表作ならば、本書はトンデモ系の裏ベストだと思います。
冒頭の、何故か金魚に執着する知恵遅れの少年の登場から、口から虹を吐く男、虹を見ると変死する設定など、奇想と怪異のオンパレードです。戦前の乱歩の通俗探偵小説の様相ながら、最後は合理的?に解決に持っていく力技に敬服します。


No.241 6点 マンハッタンは闇に震える
トマス・チャステイン
(2010/04/30 18:18登録)
ニューヨーク16分署・カウフマン警視シリーズ第3作。
このシリーズの特徴は毎回スケールの大きい犯罪を描いていることで、今作はニューヨーク全市の大停電を人質にした脅迫犯グリープと対峙しています。まあ「刑事コジャック」とか「西部警察」の乗りですね。
犯行グループと捜査陣の行動が並行して描かれていて、スリリングな構成は楽しめる。


No.240 6点 悪魔の収穫祭
トマス・トライオン
(2010/04/30 17:55登録)
ある閉鎖的な村に外部の人間が移り住むことで、隠された共同体の秘密が明らかになっていく恐怖を描いています。
ホラー小説の定番といえば定番のプロットですが、秘密の正体を少しづつ見せていく手法の巧さが光っています。理想郷だと思い移り住んだ画家一家が村の禁忌に気付いた瞬間、恐怖は一気に頂点に達します。
どちらかというと英国の作家が書きそうな作風で、米国人作家のこのようなホラーは珍しい感じがしました。


No.239 6点 匿名原稿
スティーヴン・グリーンリーフ
(2010/04/30 17:30登録)
サン・フランシスコの知性派私立探偵・ジョン・タナー、シリーズ第7作。20年間に14作創作されシリーズは終了しています。
ネオ・ハードボイルドの知性派といえば、アルバート・サムソンが思い浮かぶ。タナーはどうしてもアーチャーの亜流の感じがして、サムソン程の個性を出していない気がします。
本書はシリーズ中、最も本格度が高く代表作だと思います。最後に関係者を集めた謎解きまでしてくれてますから。


No.238 5点 エデン
近藤史恵
(2010/04/30 01:17登録)
自転車ロードレース小説第2弾、「サクリファイス」の続編。
全篇にわたってツール・ド・フランスを舞台背景に、チームの消滅危機、ライバルチームとの駆け引き、薬物疑惑などを織り込みながら、主人公である日本人青年のアシスタント・レーサーとしての矜持を謳い上げています。
今回は、ミステリ趣向がほとんどありませんが、まずまず楽しめました。


No.237 5点 影の座標
海渡英祐
(2010/04/30 01:02登録)
乱歩賞受賞後の第1作。
前作とは全く趣を変えて現代もので産業スパイが題材ですが、それは表面上だけで意外な犯人ものの本格ミステリになっています。
ただ、現在ではこの意外な犯人像は典型的な「意外な犯人」になってしまっており、逆説的にもはや意外な犯人とは言えません。
ある工夫をして隠蔽していますが、成功しているとは言い難いと思います。


No.236 6点 水時計
ジム・ケリー
(2010/04/29 21:16登録)
新聞記者フィリップ・ドライデンを主人公にした本格ミステリ、シリーズ第1作。
修復中の大聖堂から発見された古い死体から30年前の事件が炙りだされる。米国の新聞記者ものとは少しテイストが異なる、いかにも英国風の伏線を丁寧に張った地味な本格編という感じです。
解説を読むと、作者はセイヤーズを敬愛していて本作は「ナイン・テイラーズ」の本歌取りとのことですが、バンター風の雇われ運転手が出てくるなど、たしかにそう読めないこともないです。


No.235 6点 赤き死の訪れ
ポール・ドハティ
(2010/04/29 20:50登録)
14世紀のロンドンを舞台背景にした歴史ミステリ、アセルスタン托鉢修道士シリーズ第2弾。
クランストン検視官とともに、ロンドン塔での連続不可能殺人に携わります。この検視官がなかなか個性的で、豪快かつ繊細なところはH・M卿を彷彿とさせます。上司格なのにワトソン役なのもちょっとユニークです。
終盤、些細な手掛りから次々と謎が解かれていく過程はよく出来ていると思います。ロンドンの風俗描写は前作と比べて抑え気味で、今作の方が純粋に本格ミステリとして楽しめました。
著者は、いくつかの歴史ミステリのシリーズを書いていますが、当シリーズが一番本格度が高いようです。


No.234 4点 読後焼却のこと
ヘレン・マクロイ
(2010/04/29 18:17登録)
偶然見つかった殺人計画メモがもたらすサスペンス、1980年作の著者最後の長編ミステリです。
未亡人で作家である主人公の家が舞台で、間借りする5人の文筆家の中に、犯人と殺害対象の覆面評論家がいるという古典的設定自体は面白いですが、そこからの展開が冗長で、登場人物も最盛期のような個性的な書き分けが出来ていないように思いました。ベイジル・ウィリング博士も登場しますが、これも精彩を欠いて見え、結末もあっけないです。


No.233 6点 修道女フィデルマの叡智
ピーター・トレメイン
(2010/04/29 17:31登録)
7世紀のアイルランドを舞台背景にした連作ミステリ短編集。
長編が3作邦訳されていますが、一冊も読んでいないので、探偵役の法廷弁護士&裁判官フィデルマの造形がいまひとつ分からない所がありますが、キレのある本格ミステリでもあるので結構楽しめました。
なかでは、王位継承の儀式に必要な刀剣の盗難事件の二転三転する推理が楽しめる「大王の剣」が印象に残りました。
逆の立場で、織田信長推理帳を英国人が読むとどうなんだろうとか、しょうもないことを考えてしまった。

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