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ミステリの祭典

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白戸修の狼狽
白戸修シリーズ

作家 大倉崇裕
出版日2010年04月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 E-BANKER
(2013/07/03 22:02登録)
史上最大級のお人好し、白戸修を主人公とする連作短編集。
「白戸修の事件簿」に続く第二弾作品集。

①「ウォールアート」=要するに「落書き」がテーマの作品。中野駅近くの町が落書き魔たちの手酷い犯罪のターゲットになってしまう。そして、今回も巻き込まれる白戸修・・・。プロットとオチは今ひとつかな。
②「ベストスタッフ」=大学時代の先輩・仙道からの「断れない」依頼は、アイドルのコンサートの搬入バイト。別のアイドルのファンからの妨害工作で窮地に陥る現場。そして、白戸が犯人の罠に気付くとき奇跡が!? ミステリー的な仕掛け云々より、とにかく白戸をめぐる人々の動き&会話が抜群に面白い。
③「タップ」=盗聴ハンターの女性になぜか引っ張られることになった白戸。ある女性の部屋が盗聴されていることに気付いた二人が巻き込まれる犯罪。ラストのドンデン返しは想定内。
④「ラリー」=今回巻き込まれるのは、あるグッズを優勝賞品とした“スタンプ・ラリー”。しかも、都内全ての電車&地下鉄を使った大掛かりなヤツ。しかも、なぜか暴力スリチームからも頻繁に狙われ・・・。このオチも想定内だけど好き。危険なのは嫌だけど、こんなスタンプラリーやってみたいな。
⑤「ベストスタッフ2 オリキ」=②に続き、またまた仙道からの無理やりなフリでバイトさせられるはめになる白戸。今度はアイドルグループのコンサート会場での警備。なんだけど、なぜか一人のファンの行動に巻き込まれることに・・・。オチそのものはつまらないものだけど、ドタバタ振りが面白い。

以上5編。
前作もそうだけど、本シリーズは謎解き云々なんて関係なく、白戸と彼をめぐる人々との絡み合いそのものを楽しむべき作品。
タイトルからすると、泡坂の「亜愛一郎シリーズ」を意識しているのだろうが、探偵役のキャラはオーバーラップするものの、ミステリー的な味付けは薄められてる。

まぁ、気楽に薄笑いを浮かべながら読むのがちょうどいい作品でしょう。
あまり高い評点ではないけど、決して嫌いではない。
(ベストはやっぱり④かな。②⑤もかなり楽しい)

No.2 7点 江守森江
(2010/05/20 10:34登録)
巻き込まれ探偵・白戸修シリーズ短編集の第二弾で5話収録。
前作の後半から探偵部分に成長が見られた白戸君が今回は全編で探偵を務める。
鬼門な中野絡みで事件に巻き込まれるのはお約束で、作者らしい気付きのミステリになっている。
しかし、好きで読み進めている作者故に伏線から捻りまで察してしまい、ミステリの部分では前作ほどではなく褒める要素は少ない(ここまでなら5点)
その一方で「ラリー」に関しては、一番作者らしい作品「無法地帯」の主役二人・宇田川一(メイン)・大葉久太郎(オマケ)をゲストで登場させるサービスに加えて趣味の世界が全開でファンには非常に嬉しい(+2点)
本音を書くなら、もう少し話を膨らませて「無法地帯2」として仕上げ、其方に白戸君がゲスト出演の方が一層嬉しかっただろう!(それなら満点にしていた)

No.1 5点 kanamori
(2010/05/03 22:06登録)
「ツール&ストール」(「白戸修の事件簿」)に続く第2弾。巻き込まれ型の軽犯罪ミステリ連作短編集。
お人好しの主人公が連続落書き魔、盗聴事件、イベント妨害事件など、いずれも鬼門の中野駅に絡む事件に巻き込まれます。
ミステリとしての肝は、主人公がなにを根拠に事件の真相に気付いたかでしょうが、事件の設定そのものが興味をひくものでないのでイマイチ楽しめなかったです。

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