| 文生さんの登録情報 | |
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| 平均点:5.87点 | 書評数:510件 |
| No.430 | 4点 | 迷宮の扉 横溝正史 |
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(2024/06/05 05:29登録) ジュブナイル作品だとは知らずに読んだので物足りなさを覚えました。 ストーリーや謎解きはそれなりにまとまっているものの、横溝ワールドを期待していた身としては大いに肩透かし。物語には外連味の欠片も感じられず、トリックもジュブナイルということを抜きにして考えれば凡庸そのもの。とはいえ、小学生高学年あたりがミステリーの入門書として読むのであればおすすめです。 |
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| No.429 | 5点 | 天狗屋敷の殺人 大神晃 |
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(2024/06/04 14:23登録) 第10回新潮ミステリー大賞最終候補作 山奥の村の旧家において遺産を巡って連続殺人が起きるという横溝正史のオマージュ作品です。それに加えて超絶イケメンの主人公やすぐに包丁をちらつかせるヤンデレヒロインなどキャラが立っていてなかなか読ませます。ただ、小説としての完成度は低くないものの、本格ミステリとしての出来は凡庸。ミステリを読み慣れている人ならこのあたりが怪しいというのはすぐにわかりますし、真相に関しても特に驚くべき点がなかったのが残念です。 |
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| No.428 | 6点 | 四元館の殺人 探偵AIのリアル・ディープラーニング 早坂吝 |
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(2024/05/23 08:09登録) キャラクター小説としては安定の面白さでしたし、真相の意外性も着想自体は非常にユニークです。ただ、いくらSFミステリーだとしてもこれはありなんでしょうか?まあ、確かに伏線は張られていますが、少々やりすぎな気もします。なんでもあり一歩手前の問題作。 |
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| No.427 | 4点 | 雛森寧子のミステリな日々 コンビ作家の誕生 紺野天龍 |
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(2024/05/21 20:37登録) ミステリー作家志望で文章力はそこそこあるものの、まともなトリックを創出できない主人公と、トリックの創出に秀でている代わりに文章力が壊滅的な引きこもりのヒロイン。この2人がコンビ作家を結成しつつ、身の回りで起きた日常の謎を解きあかしていくという話です。 キャラは結構立っていてキャラクター小説としては悪くもないのですが、ミステリーとしては今ひとつ。北村薫の「砂糖合戦」のオマージュになっている第1話はまずまずの出来ではあるものの、話が進むにつれて謎解きがつまらなくなっているのが印象を悪くしています。第3話とか単なるクイズですし、最終話の推理も無理があるような。 |
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| No.426 | 4点 | さよなら妖精 米澤穂信 |
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(2024/05/20 03:55登録) 確かにラストはグッとくるものがありますが、作者の他の日常もの学園ミステリーに比べると謎解きもキャラも弱く、全体としてはいま一つ響かない作品でした。 |
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| No.425 | 5点 | 毒入り火刑法廷 榊林銘 |
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(2024/05/19 07:08登録) 審問官と弁護士の攻防は逆転裁判のような小気味よさがあって楽しめます。裁判に勝つためには手段を選ばない弁護士のスタンスも面白い。枝葉の部分は悪くないんです。でも、最終的な着地がどういうことなのかがよく分からない。まとめ方の悪さによって評価を大きく落としているという印象です。 |
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| No.424 | 6点 | 密室法典 五十嵐律人 |
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(2024/05/17 05:46登録) 前作『六法推理』のように法律を使った推理を展開するものと思っていると、その路線はすっぱり切り捨てられ、単なる法律絡みのミステリーになっていました。そもそも、今回は六法推理の使い手である古城行成自体の出番も少なかったですし。まあ、個性的な趣向が失われた反面、古城の推理ミスがあからさますぎるという前作の欠点もなくなったので一長一短といったところでしょうか。 ちなみに、今作ではエピソードごとに主人公が交代し、前作ではサブキャラだった登場人物の掘り下げが行われている点も読みどころになっています。 個人的ベストは法律絡みのホワイダニットが見事な「閉鎖官庁」で、他の3作はまずまずといったところ。 |
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| No.423 | 8点 | 対怪異アンドロイド開発研究室 饗庭淵 |
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(2024/05/14 11:11登録) 心霊現象を調査するのに人間が現地に赴くと精神がもたず、かといって、機械にまかせると心霊現象が発現しないということで、それなら人間に近い存在ながら心を持たないアンドロイドに調査をさせようという発想がユニーク。 心霊ホラーというと普通、登場人物が精神的に追い込まれていくのが見どころののひとつなのですが、本作の場合、アンドロイドのアリサが表情一つ変えずに淡々と調査を続けていくさまがシュールで逆に面白い。人間の研究員が悪霊に襲われて助けを求めているのに、研究員の安全確保より調査を優先しようとするシーンなどは笑いました。また、心霊現象を科学的アプローチで解明しようとするSFとしての側面も興味深く、SFホラーとして非常によくできた作品です。 |
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| No.422 | 4点 | 蠟燭は燃えているか 桃野雑派 |
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(2024/05/11 05:29登録) 女子高生の真田周を主役に据えた『星くずの殺人』の続編です。前作は宇宙を舞台にしたSFミステリーだったのですが、今作はSFっぽさはきれいさっぱりなくなってしまい、京都を舞台にした連続放火殺人を扱っています。しかも、SNSによる誹謗中傷がテーマになっており、胸糞展開が続くのでとにかく読んでいて楽しくありません。謎解き要素もあまりなく、社会派ミステリーといっても差し支えないほどです。最後に意外な動機が明らかになり、終わってみればホワイダニットメインの本格ミステリだなということは理解できるものの、前2作に比べてエンタメ度が低くなっていることから点数は低めとなります。 |
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| No.421 | 7点 | ぼくらは回収しない 真門浩平 |
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(2024/05/09 17:06登録) 全5編の短編集。 徹底したロジックのこだわりはデビュー作の『バイバイ、サンタクロース 麻坂家の双子探偵』と同様ですが、小学生の思考があまりにも大人びていて気持ち悪ささえ覚えたバイバイサンタクロースと比べると小説としてはこちらの方が断然読みやすかったです。本作の最大の特徴は現代の社会問題を謎解きに絡めた一種の社会派本格ミステリになっている点で、純粋な事件の謎とその背景にある謎の二段構えのプロットが良くできています。なかでも個人的に一番気に入っているのがお笑い芸人の世界を描いた「カエル殺し」です。意外な手掛かりから始まる推理がユニークですし、蛙化現象をテーマにした動機に唸らされてしまいました。 全体的に、本格としてのインパクトはバイバイサンタクロースの方が上ですが、こちらもなかなかの良作揃いです。 |
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| No.420 | 8点 | 冬期限定ボンボンショコラ事件 米澤穂信 |
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(2024/05/01 06:38登録) 小鳩君と小佐内さんの物語は今後新作が発表される可能性もなきにしもあらずですが、春夏秋冬の4部作としては本作が完結編という位置付けになります。 物語は冒頭で車に跳ね飛ばされた小鳩が病院のベッドで中学時代のひき逃げ事件について回想をするというもの。 この中学時代の事件はミステリーとして大きな仕掛けがあるわけでもなく、小鳩の探偵ぶりも未熟な部分が見え隠れしています。単体のミステリー小説と考えるならばパッとしたできではないのですが、それによって小鳩の思い上がりを浮き彫りにし、小市民というシリーズのテーマにつなげていく手管が見事です。同時に、現代進行形の小鳩ひき逃げ事件と対比しつつ、小佐内さんとの関係性の変化についても巧みに描き出しています。ラストの着地点も素晴らしく、本格ミステリというよりは青春ミステリーとして高く評価すべき傑作です。 |
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| No.419 | 6点 | スリー・カード・マーダー J・L・ブラックハースト |
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(2024/04/27 07:56登録) 第1の事件では封鎖された5階の部屋から喉を切り裂かれた男が墜落し 第2の事件では誰も乗っていないはずのエレベーターで男が刺殺され 第3の事件は施錠されたホテルの一室で男が射殺される といった具合に不可能犯罪の尽くしの作品なのですが、重大犯罪班の警部である姉と詐欺師である妹の関係を描いたドラマに重点が置かれていて思ったほど本格していないのが惜しい。 とはいえ、現代の英国でこれほどまでに真正面から密室殺人を描いたミステリー作品は珍しく、それだけでもうれしいところ。 密室トリックとしては、第2第3の事件は凡庸で数合わせ感が強いののだけど、第1の事件における盲点を突いた仕掛けはなかなかではないでしょうか。 |
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| No.418 | 9点 | 化物語 西尾維新 |
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(2024/04/26 07:27登録) 主人公の阿良々木暦が怪異に憑かれた少女たちと出会っていく連作短編。 西尾維新の最高傑作との呼び声高い有名作品だけに物語の完成度、キャラの魅力、シリアスとギャグの配分など、すべてが高水準。個人的にも『クビシメロマンチスト』と同じくらい好きな作品。 |
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| No.417 | 4点 | 鬼怒楯岩大吊橋ツキヌの汲めども尽きぬ随筆という題名の小説 西尾維新 |
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(2024/04/26 06:35登録) ペットシッターの主人公が世話をすることになったある猫について語る話なのですが、実のところ猫に関する描写はほんの少ししかありません。差別的表現に敏感な昨今の風潮を踏まえてページの大半が「そういう意味で言ったのではなく」という言い訳というか予防線で埋め尽くされています。西尾維新らしい実験的な作品あり、最初は面白かったのですが、そのパターンが割と終盤まで続くのでさすがに飽きてしまいました。 |
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| No.416 | 5点 | ウェルテルタウンでやすらかに 西尾維新 |
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(2024/04/26 06:02登録) 町おこしのために自殺の名所をつくるという発想は非常に面白かったものの、そこからあまり話が膨らんでいかないのが良くも悪くも西尾維新です。 オチを含めて決して悪くはないのですが、シリアスな問題を含む今日的な問題をテーマにした作品としては掘り下げ不足に感じ、個人的には物足りなさを覚えました。 町おこしコンサルタントの生前没後郎(いくまえ・ぼつごろう)が狂気の町おこし構想を嬉々として語るところがピークかな。 |
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| No.415 | 7点 | ダブル・ダブル エラリイ・クイーン |
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(2024/04/25 09:27登録) 世間的な評価はイマイチですが、童謡殺人の扱い方がユニークで、個人的にはかなり楽しめました。1950年以降の後期クイーン作品ではこれが1番好きかも。 |
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| No.414 | 5点 | ミノタウロス現象 潮谷験 |
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(2024/04/23 18:48登録) 世界中にミノタウルスが現れて人を襲い始めるという展開は面白く、主人公である20代の女性市長の奮闘ぶりも楽しく読むことが出来ました。一方で、本格ミステリとしてはかなりもの足りなく感じます。デビュー当初のロジックに対するこだわりは何だったのかと思うほど推理や真相が雑です。大した仕掛けでもないのに「そんなにうまくいかないだろ」と思えてしまう点がいかにも厳しい。面白いのはケンタウロスに関することだけで本格としては全く魅力が感じられない作品でした。 |
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| No.413 | 6点 | 六法推理 五十嵐律人 |
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(2024/04/16 02:50登録) 全5編の連作短編 法学部の学生である古城が法律の知識を駆使して事件の謎に迫っていくという設定がユニークで、従来のものとは異なる推理のプロセスが面白かったです。また、詰めが甘い古城を直感推理でアシストする戸賀とのコンビぶりも楽しく、学園ミステリーとしてもよくできています。ただ、古城の推理の詰めの甘さというのがちょっとわかりやすすぎて読み手側も「その推理はちょっとおかしいのでは?」とすぐに気付いてしまいます。その点が少々興醒めです。古城が推理に一定の説得力があり、読者も納得した後に戸賀がひっくり返していくという感じならもっと良かったのですが。 |
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| No.412 | 6点 | 鏡は横にひび割れて アガサ・クリスティー |
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(2024/04/13 09:30登録) 事件のシチュエーションがミステリーあるあるパターンなので犯人はすぐに見当がつきました。一方、分かりやすいフーダニットに対してホワイダニットはなかなか巧妙。パーティーでの毒殺で意外な動機といえば同著者の『三幕の殺人』を彷彿とさせますが、それとは全く異なる意外性を演出してみせたのが見事です。ただ、これは晩年のクリスティ作品全般にいえることですが、とにかく展開が単調すぎて退屈。特に、ミスマープルものはその傾向が顕著でそこが個人的には評価を下げる原因となっています。 |
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| No.411 | 8点 | サロメの断頭台 夕木春央 |
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(2024/04/10 19:18登録) 大正ミステリーシリーズの第4弾であり、内容は、油絵画家の井口が未発表の自分の絵を誰かに盗作されたことを知って犯人捜しをしていると、贋作作りの集団に行き当たり、やがて戯曲サロメに見立てた連続殺人事件に巻き込まれるというもの。 エログロ色の強い乱歩的雰囲気を帯びながら、ミステリーとしてはあくまでも論理性にこだわった作りになっています。たとえば、盗作と贋作と見立て殺人の意外な関係性をロジカルに解きあかしていくところなどは思わず唸らされてしまいました。また、見立て殺人も単なる虚仮威しや単純なカモフラージュではなく、論理的かつ意外性満点の理由が用意されているのが素晴らしい。非常によく出来た本格ミステリです。一方で、残酷すぎて夢に出てきそうなクライマックスは、(好き嫌いは分かれそうですが)忘れ難いインパクトを読む者に与えてくれます。著者の作品としては『方舟』に次ぐ傑作ではないでしょうか。 |
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