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ミステリの祭典

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家族解散まで千キロメートル

作家 浅倉秋成
出版日2024年03月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 まさむね
(2024/11/16 19:45登録)
 家族がバラバラに暮らすことになり、実家を解体することに。引っ越しの整理もあって、元旦に家族(いつもいない父を除く)が揃ったものの、倉庫の中から見慣れぬ仏像を発見。青森の神社から仏像が盗難されたとのニュースも飛び込んできた…。
 前半は、コメディ・タッチだけれどタイムリミット・サスペンス的な展開で、グイグイと読まされました。しかしポイントは青森到着後。家族のあり方を問う部分は正直評価が分かれると思うし、とある登場人物の心理や行動には疑問を持つのだけれども、終盤の急展開や畳みかけ具合は嫌いではないです。

No.2 5点 パメル
(2024/10/04 19:35登録)
老朽化した山梨県の実家を末っ子の周が結婚し、実家を出るのを機に取り壊すことになった喜佐家。父親は年中不在で、たまに帰ってきても厄介事しか持ち込まない。家族の解散に向けて片づけを進めていると倉庫から見たことない箱が。開けてみると仏像が入っており、ニュースで報じられている青森の神社で盗まれたご神体にそっくりだった。こんなことをするのは、父に決まっていると家族の意見は一致する。
かくして山梨県から青森県へと車で仏像を運ぶ周たちの行動を追う「車」パートと家に残って父の行方の手掛かりを探るあすなたちの「家」パートが交互に進行し、大小さまざまなトラブルがユーモラスに、そしてサスペンスを織り交ぜて進んでいく。
家族はそれぞれ何か事情があったり、問題を抱えたりしている。事件について考え、やり取りしているうちに家族が互いに隠していたことが明らかになる。それらを含めて随所に仕組まれた伏線が徐々に回収され、終盤にかけて意外性のある展開を見せてくれる。
従来の家族観を今一度、問い直してくる内容で家族の在り方とは、常識とは何かというような哲学的な問いを議論していく後半の展開は好みが分かれるでしょう。

No.1 6点 文生
(2024/03/30 15:01登録)
青森の神社から盗まれたご神体が何故か主人公一家が暮らす山梨の家の倉庫から出てきて大慌て。放浪癖のある父親の仕業に違いないと結論づけ、ご神体を返して許しを請おうと一路青森を目指す物語は文句なしの面白さ。家族のキャラがそれぞれ立っていますし、ユーモアも効いています。ただ、旅路の最終局面で繰り広げられる多重解決の趣向は一つ一つの解答が雑に感じられてやや微妙。それに、騒動後のエピソードとして語られる「家族のあり方論」みたいな話が結構長くてミステリー作品としては蛇足に感じました。テーマ性はメインストーリーのなかにさりげなく溶け込ませてほしかったところ。

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