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ミステリの祭典

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ミノタウロス現象

作家 潮谷験
出版日2024年02月
平均点5.50点
書評数4人

No.4 5点 パメル
(2026/03/14 08:34登録)
世界各地に牛頭人身の怪物が出現するようになった近未来。人々が恐怖と混乱に陥りながらも徐々に順応しつつある中、市長に就任した利根川翼は、奇怪な事件に巻き込まれる。
市議会の開かれる議場に突如として現れた怪物、そして不可解な状況、異様な姿で殺害された遺体。自身を疑われることになった翼は、嫌疑を晴らすべく行動を開始する。市長として自らの志をいかに実現するのかと、怪物がどのように出現し、どのようにすれば退治できるかという謎の解明が中盤のメインとなっており、個性豊かなキャラクターが入り乱れ、パニック小説的な趣もある。
殺人事件の謎は一旦保留されて、中盤は怪物現象自体の解明に多くを費やされるところに不満はあるものの、最後には論理で真犯人を絞り込み作者らしさが出る。市長と秘書のバディものとしても読ませるし、政治、危機管理、世論といった要素を絡ませながらエンターテインメントとして仕上がっている点も評価できる。

No.3 5点 メルカトル
(2025/08/03 22:28登録)
目の前には三メートル超えの怪物、背後には震える少年。好感度を何よりも重視する史上最年少市長・利根川翼は、人生最大のピンチに陥っていた。だが、その危機からの脱出直後、「異様な死体」が発見される――。容疑者の一人になってしまった翼は、自身の疑惑を晴らすために謎解きを始める。『スイッチ 悪意の実験』『時空犯』で話題の新鋭が挑む、渾身の本格ミステリ。
Amazon内容紹介より。

これは本格ミステリと言うよりSFかファンタジーの範疇に入る作品だと思います。それにしても主人公の若き市長は何をするでもなく、己の無能さを晒してしまっているのはどうなんでしょうね。冒頭に起きた殺害事件を置き去りにして、政治を絡めてあらぬ方向へ向かって突っ走る姿勢には、読んでいてなんだこれは?作者はどこを目指しているのだろうかという疑問が自然と湧いてきました。

ジョークではなく本物の怪物を登場させてしまって、何故か分からないけれどある事をすると出現するその怪物は一体何なのかが深掘りされておらず、正体不明の無意味さに辟易させられました。
アイディアとしては悪くないかも知れませんが、どうにもうまく料理出来ているとは思えませんでしたねえ。ここまでやるなら、もっと大胆な仮説やミノタウロスの正体に迫る科学的、医学的アプローチが欲しかったところです。

No.2 7点 虫暮部
(2024/11/29 12:52登録)
 ポリティカル・パニックSF但しやや軽量級。市長の奮闘記も怪物を巡る陰謀も、いい塩梅に端正かつエモーショナルで一気読み。しかしこれだけ大きな “話の本筋” があると、殺人の件はほんの付け足しみたい。

No.1 5点 文生
(2024/04/23 18:48登録)
世界中にミノタウルスが現れて人を襲い始めるという展開は面白く、主人公である20代の女性市長の奮闘ぶりも楽しく読むことが出来ました。一方で、本格ミステリとしてはかなりもの足りなく感じます。デビュー当初のロジックに対するこだわりは何だったのかと思うほど推理や真相が雑です。大した仕掛けでもないのに「そんなにうまくいかないだろ」と思えてしまう点がいかにも厳しい。面白いのはケンタウロスに関することだけで本格としては全く魅力が感じられない作品でした。

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