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ミステリの祭典

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文生さんの登録情報
平均点:5.87点 書評数:510件

プロフィール| 書評

No.210 5点 蜃気楼・13の殺人
山田正紀
(2021/08/25 05:10登録)
村おこしのマラソン大会で13人が忽然と消えたり、そのうちの一人が大木の枝に串刺しになったりと事件の謎自体はド派手で魅力的です。しかし、それに対してトリックがパッとしないのはいつもの山田ミステリー。その分、ホワイダニットに力を入れているのもいつものことですが、今一つ鮮やかさに欠ける印象です。つまらなくはないものの、全体としては竜頭蛇尾を絵に描いたような作品になっています。


No.209 9点 神狩り
山田正紀
(2021/08/24 18:14登録)
山田正紀が24歳の時に発表したデビュー作。
タイトル通りの内容ですが、特にスペクタルな展開があるわれでもなく、神自体も全く姿を現しません。それなのに、神の文字を解読しようとするエピソードだけで、これだけ面白い話を創り上げることができる事実に驚かされます。数ある著者の傑作群の中でも五指に入る名作です。


No.208 5点 甲賀忍法帖
山田風太郎
(2021/08/24 13:31登録)
忍法帖といえばこれ!というべき名作ではあるものの、個人的にはイマイチ乗れない作品でした。それぞれ個性的な忍法を使うのは良いのですが、勝負は後だしジャンケンの要素が強く、相手の手の内を知っていれば勝ち、初見だとなすすべなくやられてしまうというパターンが多い点にあっけなさを感じました。忍者同士の戦いはそんなものといわれればそれまでですが、自分の好みとしては、冒頭の風待将監VS夜叉丸のような伯仲の対決をもっと見たかったところです。


No.207 5点 魔界転生
山田風太郎
(2021/08/24 13:11登録)
有名な作品ですが、個人的にはいまひとつでした。名だたる剣豪が蘇って柳生十兵衛と死闘を繰り広げるという展開はわくわくしたものの、その対決がどうにも盛り上がらないのです。

ほとんどの戦いが相手の弱点や隙をついての瞬殺という展開なので不完全燃焼感が半端ありません。特に、映画でラスボスだった天草四郎と柳生十兵衛の対決はがっかりにもほどがあります。対決にいたるまでのワクワク感で5点といったところでしょうか。


No.206 3点 くの一忍法帖
山田風太郎
(2021/08/24 12:52登録)
忍法帖シリーズの初期作品でくの一のエロティックな忍法が見せ場となっているわけですが、エロいとか奇想天外とかいう以前にどうにも間抜けっぽく感じてしまうのがつらいところです。特に、忍法天女貝のシーンは読んでいてドン引きしてしまいました。


No.205 6点 僕が死んだあの森
ピエール・ルメートル
(2021/08/24 12:29登録)
主人公が12歳のときに近所に住む男の子を突き飛ばしたら打ちどころが悪くて死んでしまったことから始まる倒叙ものですが、手の込んだ隠蔽工作をするわけでも、刑事や探偵との手に汗握る駆け引きがあるわけでもありません。主人公の心理を丹念に追っていくだけの普通小説に近い作品で、著者得意のエログロ描写も皆無です。

ミステリーらしさといえば、最後にちょっとしたサプライズがあることぐらい。それでも飽きずに読むことができたのは作品のクオリティがそれだけ高いということでしょう。自分の好みからは外れているものの、なかなかなの佳品だといえます。


No.204 5点 三毛猫ホームズの幽霊クラブ
赤川次郎
(2021/08/22 21:39登録)
シリーズの第11弾で、片山刑事以下お馴染みの一行がドイツの古城ホテルに泊まって事件に巻き込まれる話です。

ユーモア小説としては一定の面白さをキープしているものの、シリーズもこの辺りになると本格ミステリとしての魅力はほぼ皆無です。暇つぶしとしてなら楽しめないこともないといったところでしょうか。


No.203 6点 三毛猫ホームズの追跡
赤川次郎
(2021/08/22 21:11登録)
三毛猫ホームズシリーズの第2弾。
この回から片山兄妹やホームズの他にコミックリリーフの石津刑事が加わり、軽妙さに拍車がかかります。
ミステリーとしてもそれなりに仕掛けが用意されており、まだまだ楽しめるレベルですが、前作に比べるとかなり小粒になってしまったのは否めないところです。


No.202 6点 スペース
加納朋子
(2021/08/22 17:06登録)
駒子シリーズの完結編。
おなじみの登場人物の魅力によって楽しく読めたものの、ミステリー色はかなり薄くなっています。
謎解きそのものより、第三者から見た駒子のイメージが最大のサプライズでした。


No.201 8点 むかしむかしあるところに、死体がありました。
青柳碧人
(2021/08/22 16:15登録)
日本のおとぎ話を題材としたオムニバス形式の短編集です。作品によって出来不出来はありますが、おとぎ話とミステリーとの相性の良さに加えて発想の奇抜さが忘れ難い読後感をもたらしてくれます。

特に、どんでん返しがきれいに決まる『つるの倒叙がえし』と、元ネタの設定を活かして優れたホワイダニットものに仕上げた『絶海の鬼ヶ島』が秀逸。


No.200 3点 原因において自由な物語
五十嵐律人
(2021/08/22 15:48登録)
本作は、学校でのイジメを巡る不審死の謎を追う物語で、社会派ミステリーとしてなかなか読み応えがあります。また、デビュー作以降ネタを思いつけない女性ミステリー作家が友人の男から秘密裏にアイディアを提供してもらっていたところ、新作のストーリーが実話だと判明し、それと同時に男が墜落事故を起こして意識不明の重体になるという謎も非常に魅力的です。ただ、問題は、男がなぜヒロインに実話を新作小説として書かせようとしたかです。これが到底納得できない理由であり、物語全体を台無しにしています。また、男は善人として描かれているものの、実話をフィクションと偽った結果、ヒロインにかけた迷惑を考えると常識がないとしか思えません。さらに、男の不可解な行動と意識不明になった事件との間に特に関連性がなかったのもミステリーとして肩すかしでした。












No.199 4点 赤い部屋異聞
法月綸太郎
(2021/08/22 14:46登録)
過去の名作に挑戦したオマージュ短編集ですが、元ネタ以上の意外性をと意識しすぎたせいなのか過剰にこねくり回した結果、切れ味が悪くなっているような印象を受けました。
収録作の中では最後にぞっとさせられる『葬式がえり』がベスト。


No.198 7点 蒼海館の殺人
阿津川辰海
(2021/08/14 11:49登録)
精緻に構築された犯人の犯行計画とそれを暴いていく名探偵のロジックは圧巻の一言。質量ともに文句なしの読み応えです。館ものとして新たな金字塔を打ち立てた作品だといっても過言ではないでしょう。
ただ、計画が失敗したときに備えて代案も複数用意していたというフォロはあるものの、そこまで思い通りに他人を誘導できるのか?と思ってしまう部分はあります。
それから、これは犯行計画とは直接関係ない部分ですが、
(以下ネタバレ)








変装した犯人が間近で話しかけられたのちも、他人のふりをしようとし続けたのに無理を感じてしまいました。あまり会ったことのない人ならともかく、身内に対してはちょっと変装したくらいではバレバレでしょう。


No.197 7点 invert 城塚翡翠倒叙集
相沢沙呼
(2021/08/14 11:25登録)
全3話の中編集。
最初の2話は犯人の仕掛けたトリックを読者に隠したまま進行するという特徴はあるものの、それ以外はオーソドックスな倒叙もので出来もまずまずといったところです。ところが、最終話でその流れを逆手にとったどんでん返しが用意されており、大いに驚かせてくれました。
ただ、間近で長時間接していたのに腕利きの探偵がなぜ、×け××クに気付かなかったのか?その点だけが不自然に感じてしまいました。


No.196 8点 魔眼の匣の殺人
今村昌弘
(2021/08/14 11:03登録)
前作の『屍人荘の殺人』と比べると話自体は地味なのですが、特殊設定を活かしきったロジックが素晴らしかったです。シンプルで極めてロジカルでありながら、同時にクレイジーな真相は特殊設定ミステリのお手本だといえます。


No.195 6点 兇人邸の殺人
今村昌弘
(2021/08/14 10:53登録)
スプラッターホラー仕立てのストーリーは大いに楽しめましたし、ミステリーとしても決して悪い作品ではないのですが、前2作と比べると目玉となる仕掛けに欠けていた点に物足りなさを覚えます。
一応、兇人邸からの脱出方法が目玉かなとは思うものの、殺人事件の方にも独創的な仕掛けが何かひとつほしかったところです。手数だけ多くてごちゃごちゃした印象を受けてしまったのが残念。


No.194 8点 硝子の塔の殺人
知念実希人
(2021/08/02 09:16登録)
8点つけておいてなんですが、この点数を信じて安易に手を出すのはやめてください。多くの人は一読後、「ふざけるな!」と怒りだすと思うので。

なんといっても最大の問題点はメイントリック及びそれに付随する硝子の塔の秘密で、これを許せないと感じる人は少なくないでしょう。しかし、個人的には、物理トリックで構築したメタミステリーみたいな趣向が非常にユニークに感じました。叙述トリックによる世界が反転するような感覚を物理トリックの力技で実現させてみせたのが最大の評価ポイントです。硝子の塔の秘密に関してもバカミスとして楽しませてもらいました。その代わり、リアリティは皆無ですし、同人のようなネタをプロがやるなという意見があったとしてもそれはそれでもっともなことだと思います。

次に、密室やダイイング・メッセージなどのサブトリックについてですが、数だけは多いものの、どれも使いふるされたトリックの安易なアレンジだったり、トリックのためのトリックだったりして正直パッとしません。その点に失望する人も多いでしょう。ただ、これらのトリックがパッとしないこと自体に事件の本質にかかわる大きな意味合いがあり、その事実に思わず感心してしまいました。

さらに、犯人をミスリードする手口にも唸らされましたし、主人公が終盤突如××から×××にジョブチェンジするところなどは感動ものです。唯一、真相が解明されてからの展開がもやもやしてすっきりしないのが不満点でしょうか。

というわけで、賛否両論(というか否の方が多いかな?)が予想される本作ですが、個人的には大いに気に入りました。


No.193 6点 赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。
青柳碧人
(2020/09/20 09:52登録)
赤ずきんちゃんを探偵役に据えた連作ミステリーであり、「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」「眠り姫」「マッチ売りの少女」といった原典のネタをミステリーに上手くアレンジしてそれなりに楽しめる作品に仕上がっています。
ただ、着想の奇抜さ、トリックの面白さなどに関しては前作の「むかしむかしあるところに、死体がありました。」のほうが数段上です。本作の場合、探偵役を固定して普通の本格ミステリのフォーマットに落とし込んだために、無難にまとまりすぎた感があります。


No.192 7点 オランダ靴の秘密
エラリイ・クイーン
(2020/09/15 22:36登録)
本作は事件発生のあとは関係者の証言を淡々と集めていくだけで物語としては起伏に乏しく地味です。そもそも、トリックが小粒でロジックメインの作品は個人的にあまり好きではありません。
しかし、この作品だけは別格で、ロジックの美しさには思わずため息が出てしまいます。推理パートの見事さと物語の退屈さの差し引きしでトータル7点といったところでしょうか。


No.191 6点 君に読ませたいミステリがあるんだ
東川篤哉
(2020/09/14 12:14登録)
第2文学部の部長(部員1名)で学園一の美少女(自称)である水崎アンナが、主人公のぼくに毎回自作のミステリー小説を読ませて感想を求めるというメタ構造の連作ミステリーです。
ポンコツなヒロインが可愛く、作中作もミステリーとしてまずまずの出来なのですが、問題はそれを読まされた主人公のツッコミにあります。
正直、ツッコミがワンパターンで面白くないのです。
この手の作品はボケに対していかに的確なツッコミをするかで面白さが決まると思うのですが、本作の場合、ボケも中途半端でツッコミおざなりといった点に物足りなさを覚えてしまいます。
とはいえ、作中作自体はそこそこ楽しめましたし、全編を通しての仕掛けもうまく決まっているので総合的にはまずまずといったところでしょうか。

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