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ミステリの祭典

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魔界転生
忍法帖/旧題『おぼろ忍法帖』『忍法魔界転生』

作家 山田風太郎
出版日1967年01月
平均点5.80点
書評数5人

No.5 5点 文生
(2021/08/24 13:11登録)
有名な作品ですが、個人的にはいまひとつでした。名だたる剣豪が蘇って柳生十兵衛と死闘を繰り広げるという展開はわくわくしたものの、その対決がどうにも盛り上がらないのです。

ほとんどの戦いが相手の弱点や隙をついての瞬殺という展開なので不完全燃焼感が半端ありません。特に、映画でラスボスだった天草四郎と柳生十兵衛の対決はがっかりにもほどがあります。対決にいたるまでのワクワク感で5点といったところでしょうか。

No.4 8点 クリスティ再読
(2020/08/30 21:20登録)
恥ずかしながら復活します。最近「書評のために読んでる」感が強くなってしまって疲れてしまっていたのですね。なので「どう読んでも絶対に面白い保証付き作品」なら、リハビリにいいのでは....と選択は本作。
うん、その通りでしょう。これ読んで退屈だと思う人がいるはずがない。剣豪スパロボ大戦である。全盛期がズレた剣豪たちがベストコンディションで戦うドリームマッチ、山風らしい本歌取りも随所に顔を見せるから、鍵屋の辻で荒木又右衛門と戦うし(荒木の刀も折れる)、巌流島で武蔵と戦い武蔵を待たせちゃう。大枠の「ゲームの規則」を提示してそれを巡って細かい駆け引きも....と凝ったゲーム性+人気キャラのあのシーンこのシーンを思い出させる演出の数々、というわけで、本作、ホントは上出来の「ゲーム」なんだよね。だから柳生十兵衛はプレイヤーキャラとして、安心して感情移入をすれば、いい。それこそ何も考えずに「あ~面白かった」と無責任に読めるエンタメの極致である。

考えてみれば「忍法魔界転生」は全然忍法じゃないわけだ。術でも何でもなくて「メタに『世界』を可能にする仕掛け」のわけで、この今風に言えば「同人っぽい」ワガママさが、時代に大きく先駆けている。今でも風太郎人気が衰えない最大の強み、がコレなのである。
なのでこの使い勝手の大変にナイスな「忍法魔界転生」だから、映画でもマンガでも、いいように使えてしまう。「原作に忠実でないから傑作」な「二次創作」がいろいろあるのはご承知の通りだろう。マンガなら石川賢の「ゲッターな魔界転生」も凄くて一読の価値があるし、81年の角川映画なんて今じゃカルトの名作だ。いいんだよ天草四郎がラスボスなオカルト時代劇でもね。炎上する江戸城で炎の中からゆらりと現れて編み笠を取ると梵字をカラダ一面に画いた千葉真一がドスの効いた声で「情けなや親父殿」..な映画は衝撃的なほどに美しい。

つまりね「魔界転生」というのは、山田風太郎の一大発明、なのである。

No.3 6点 haruka
(2014/02/10 21:59登録)
ストーリーの意外性という点では甲賀忍法帖、十兵衛の活躍という点では柳生忍法帖の方が面白かった。

No.2 8点 kanamori
(2010/07/07 23:30登録)
柳生十兵衛三部作の第2作。
山風忍法帖の中で一般受けナンバーワンは本書でしょう。当初のタイトルは「おぼろ忍法帖」でしたが、映画化もありインパクトがある作中に出てくる忍法名に改題されたようです。
他の忍法帖と大きく異なるところは、設定自体が忍法魔界転生による剣豪たちの蘇生にありますが、物語中の活劇は忍法ではなく、剣劇が主体という本格的な剣豪小説の趣が強い点でしょうか。
天草四郎をはじめ宮本武蔵、荒木又右衛門など多彩な敵役の魅力も見逃せません。

No.1 2点 江守森江
(2010/07/07 18:34登録)
カラオケの十八番がジュリー(沢田研二)な私には、深作欣二監督での映画が一番だが、原作も文句のないエンターテインメント(満点)だと思う。
実在した歴史上の人物が蘇り対決する正に夢の世界でもある。
パチンコ台にするのを想像し、対決は信頼度の高いストーリー・リーチで、対宮本武蔵なら確変確定プレミアにするだろう。
そんな点でも、単なる読書に留まらない凄い作品と云える。
※私的に、ミステリーの範疇を考える基準作品の一つ。
作品の本質は時代劇ファンタジーで(方向性は違えども)東野圭吾の一部の作品や山崎豊子作品と同様に私的なミステリーの範疇には含めたくない、よってポリシー通りに2点にする。
本格か?そうでないか?は、結構柔軟に含める方向な反面、作品の本質が時代劇・SF・ホラー・ファンタジー・経済等は専門分野か一般小説扱いでミステリーの範疇外としている。

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