home

ミステリの祭典

login
まさむねさんの登録情報
平均点:5.86点 書評数:1195件

プロフィール| 書評

No.315 5点 腕貫探偵
西澤保彦
(2012/09/09 13:53登録)
 櫃洗市を舞台にした安楽椅子探偵モノの短編集。
 内容としてはまずまず楽しめたのですが,探偵役を「腕貫」をした地方公務員(市民サーヴィス課臨時出張所担当?)に設定した趣旨がイマイチ分からないですなぁ。


No.314 7点 退職刑事1
都筑道夫
(2012/08/22 23:12登録)
 国内の安楽椅子探偵モノの嚆矢とも言える作品ですね。
 ロジックを積み重ねた上での,事実の反転ぶりがなんとも楽しかったですねぇ。まさに安楽椅子探偵モノの醍醐味ですな。
 ちなみに,個人的には前半4作品(写真うつりのよい女,妻妾同居,狂い小町,ジャケット背広スーツ)が粒揃いでオススメです。


No.313 5点 新・日本の七不思議
鯨統一郎
(2012/08/22 00:18登録)
 前々作「邪馬台国は~」で取り上げたネタの検証又は補強もあったりして,インパクトという面では,どうしても一段落ちるかなぁ…と。
 むしろ,二人はいつの間に?…ってコトの方が気がかりでしたね。結構二人のバトルが好きだったのだけれども(笑)。


No.312 7点 十八の夏
光原百合
(2012/08/18 20:19登録)
 すべて恋愛をからめた短編で構成されています。個人的にはかなりの好印象。
1 十八の夏
 推理作家協会賞(短編部門)受賞作らしく,纏まった作品。青春小説としても読ませます。
2 ささやかな奇跡
 ミステリ的には弱いのですが,ストーリーそのものは相当楽しめました。弱いんですよねぇ,こういうの。
3 兄貴の純情
 これもミステリ的にはパンチが足りないのですが,兄貴の愛すべきキャラは楽しめます。
4 イノセント・デイズ
 最もミステリ要素が強いですね。ともすると救いようのないネタを,読後感よく締めているのは素晴らしい。


No.311 6点 陽だまりの偽り
長岡弘樹
(2012/08/14 15:14登録)
 横山秀夫氏を彷彿とさせる短編集(そういえば,文庫版の解説にも同様の記載がありました)。
 人間の弱さと優しさの織り込み具合は確かに巧いです。多少,オチが見えやすい面もありますが,全作品ともきっちりまとめています。第一作品集としては水準以上であると思いますね。(内容的には好き嫌いがあるかもしれませんが。)
 これが日本推理作家協会賞(短編部門)受賞作の「傍聞き」に繋がって,ブレイクしたのだと思うと,新たな短編の名手と呼ばれるのも,私は素直に首肯できますね。


No.310 2点 増加博士の事件簿
二階堂黎人
(2012/08/11 09:19登録)
 二階堂氏としては初と思われる,ショート・ショート集。
 正直,決してオススメできません。いくらパズル雑誌の依頼に基づく作品とはいえ,これはないだろう…って感じです。「頭脳刺激系ミステリー」って言われてもなぁ。


No.309 4点 「白鳥」の殺人
折原一
(2012/08/05 23:11登録)
 着目点は面白いと思うのですが,あれだけの長距離列車となると,結構キビシイと思うなぁ…。それと,グイグイ引っ張っていく魅力的な謎がないところも辛い。
 まぁ,読みやすかったし,嫌な感じは受けなかったのですが。


No.308 5点 嫉妬事件
乾くるみ
(2012/08/03 21:58登録)
 長めの中編(表題作)+読者挑戦モノの短編(ボーナストラック)で構成。
 表題作の方は,オチが相当に微妙。ちょっとタイトルに騙されました(確かに「シット事件」なんだけど…)。しかも,内容に比して長すぎる印象です。ちなみに,オチを含めてコレを「日常の謎」に分類することには相当な違和感が(笑)。
 逆に,ボーナストラックは結構好み。これもタイトルに…。
 総合して,ギリギリこの点数でしょうか。


No.307 5点 ルームメイト
今邑彩
(2012/07/29 21:57登録)
 非常に読みやすい作品だし,楽しめたのですが,多重人格モノは個人的にはあまり…。何でもできちゃいますしねぇ。
 ちなみに,モノローグ4は衝撃って程でもなく,ちょっと蛇足っぽいかなぁ。


No.306 6点 春から夏、やがて冬
歌野晶午
(2012/07/26 22:36登録)
 タイトルから,どうしても「葉桜~」を念頭に読んでしまいますねぇ(私だけ?)。結果,ソッチ系ではなく,反転レベルも期待ほどではなかったものの,残念感は抱きませんでした。淡々とした書きぶり,そして悲しさと切なさと優しさが入り混じった読後感は記憶に残りそうです。この作品の本質は,反転ではなく,その後の余韻にあるような気がしますね。(好き嫌いはありそうですが…。)


No.305 5点 死にぞこないの青
乙一
(2012/07/22 22:43登録)
 ミステリーでもないし,ホラーとも言い難いような感じなのですが…。でも,S県O市の事件が毎日のようにマスコミに取り上げられている状況で読むと,結構怖い。私自身は出会ったことがないのだけれども,こんな馬鹿教師,いそうな気がします。一番怖いことってなんだろう,そして一番大切なものって何だろう…そんなことを考えさせられるお話。
 ちなみに,主人公の「男気」は分からないでもないケド,そこまでの芯があるのならもっと前に何とかなったような気が。


No.304 9点 神様ゲーム
麻耶雄嵩
(2012/07/21 19:20登録)
 ジュヴナイル・ミステリの姿を借りた,麻耶雄嵩サンならではの衝撃作(問題作?)です。流石と言うべきなのか,やってくれますねぇ。とにかく多方面(真相のみならずロボのネーミングなども…)で衝撃を受けました。
 私はノベルス版で読んだのですが,ミステリーランド版で読めば,さらに楽しめたでしょうねぇ。挿絵とかあるなら,是非見たい。

(以下,未読の方はご遠慮を)
 で,真相ですが,純粋に「神様」の言った(行った?)とおりなのだと自分を納得させています。確かに,「けっこう小さい」と序盤で述べています。この「けっこう」に疑義は抱きますが,まぁアレの中に隠れられたのだろうと。
 ただですねぇ,共犯複数説(つまり二人とも…って説)ってのも成り立ち得るのではないかとモヤモヤしているのです。実はラストの後,神様はもう一人に燃え移らせた…という可能性はないのかと。うーん,誰かこの説を打ち消していただけないでしょうか(涙)。


No.303 6点
荻原浩
(2012/07/17 23:36登録)
 警察小説として読めば,リーダビリティも含め,間違いなく水準以上であると思います。流れるままに,素直に読むべき作品ですし,それが最も楽しめる読み方です。

(以下,未読の方は注意)
 これは決して作者の責任ではないのですが,「衝撃の結末」というコピーが頭の中にあると,私は,どうしても「オチ」を探したくなるのですねぇ。何ともツマラナイ読者です。で,この作品をソッチ系の目で見ると,ラストのキーパーソンに関する伏線は相当に分かりやすい。したがって,驚けなかった…。かなり損をした気分になりました…。


No.302 6点 邪馬台国はどこですか?
鯨統一郎
(2012/07/17 23:12登録)
 歴史好きとは言い難い私でございますが,なかなか楽しめましたね。「おいおい,ちょっと待て」と突っ込みながらも,最終的には宮田節(鯨節?)に浸ってたりして…。
 個人的には,表題作も良かったですが,妙に説得力のある仏陀やキリストに関する説も興味深かった。本能寺の変や明治維新の謎も楽しめましたね。(結局ほとんどが面白かったってことですね。)


No.301 5点 田舎の刑事の趣味とお仕事
滝田務雄
(2012/07/09 23:23登録)
 「脱力系ミステリ」を標榜しており,確かにそういう側面も否定できないのですが,内容としては結構本格してますし,短編ネタとしては水準以上の出来栄えと感じました。
 ただし,描写力は決して高くなく,事件の概要がつかみ辛かった。視覚的に浮かんでこないというか…。惜しいなぁ。
 ちなみに,連作短編の進行に合わせて主人公のキャラが大幅に変更されて(崩れて)いるのですが,私は変更後の自虐キャラの方が好みで,なかなかに癒され(?)ましたよ。


No.300 7点 放課後
東野圭吾
(2012/07/07 22:06登録)
 東野氏の原点となる,乱歩賞受賞作。
 加賀シリーズなどと比べれば,「若さ」を感じる点は確かに多々ありました。でもプロットとトリックは,デビュー作であることも考慮すれば,かなり良質といえるのではないでしょうか。チャレンジ精神&本格愛も感じて,何と言うか,新鮮で楽しめましたよ。

 ちなみに,私は「捨てトリック」の方が,端整で好みです。動機は,正直言えば相当の違和感があり,工夫の余地はあったような気がしますが,まぁ,ソコも書きたかった一部なのであれば,否定はしますまい…って感じでしょうか。


No.299 5点 毒笑小説
東野圭吾
(2012/07/03 22:44登録)
 相当にバカバカしいお話が揃っています。でも,バカバカしいものほど,個人的には楽しめたりしちゃうのですなぁ。「誘拐天国」「ホームアローンじいさん」「本格推理関連グッズ鑑定ショー」あたりが好み。
 ちなみに,バカバカしさの超絶度合いで前作(怪笑小説)収録の「超たぬき理論」に匹敵する作品がなかったのがちょっと残念。否,それだけ「超たぬき理論」が卓越(?)しているってことかな?


No.298 6点 ユリゴコロ
沼田まほかる
(2012/06/30 23:40登録)
 手記を中心とした前半部分は,サイコ系の雰囲気も相まって,グイグイ引き込まれました。手記は誰が書いたのか,主人公との関係は…との興味を引きつつ中盤以降へ。終盤は,確かに「判りやすい」のだけれども,いやはや,個人的には,既にそっちの観点で読んでいなかったため,結構驚かされたりして…。読後の,何とも言いがたい余韻が印象的です。


No.297 7点 退出ゲーム
初野晴
(2012/06/26 22:11登録)
 最初の作品「結晶泥棒」を読んだ時点での印象は「うーん…」。どうにも入り込めない感じだった訳です。
 しかし,その後の3作品で盛り返してくれました。特に,表題作「退出ゲーム」がずば抜けて面白い。即興劇対決という設定自体が興味深いし,捻りとラストへの収束も見事。短編として秀逸だと思います。
 全作品の平均を採れば6点なのですが,表題作に敬意を評して特別加点。


No.296 5点 4ページミステリー
蒼井上鷹
(2012/06/24 21:04登録)
 タイトルどおり,4ページの掌編のみで構成。思わずニヤリとさせられる作品も確かにあるのですが,ちょっと意図が分からない作品もありましたねぇ。
 まぁ,スキマ読書としては便利(?)だったのでこの点数としますが,さすがにこのページ数だとミスリードにも限界があって,「オチが読みやすい」面は否定できません。それと,60作品を通読するのは結構辛いと思いますので,ちょっとずつ読んでいく方がベターかも。

1195中の書評を表示しています 881 - 900