home

ミステリの祭典

login
ガソリン生活

作家 伊坂幸太郎
出版日2013年03月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 ぷちレコード
(2023/06/15 23:08登録)
緑色の車デミオが語り手になっている。世界中で走り回っている車同士は、普段から会話をしており、ただそのことを人間のほうは気付いていない、という架空の設定が奇抜で微笑ましい。
ストーリーはデミオの持ち主である望月家の長男・良夫と小学生の次男・亨が偶然、元女優を同乗させるところから始まる。スキャンダルを追うマスコミに辟易している彼女を安全な場所へ運ぶ。ところが翌日、彼女は別の車で事故死する。本当に事故だったのか疑念を抱いた亨は、独自の調査を開始する。
明らかにライトミステリの体裁を取っているけれど、こめられた思想は深い。なぜ人はツイッターに夢中になるのか、マスコミを悪者扱いする考えは正しいのか、といった問題をさりげなく掘り下げる。つまり現在の様々なコミュニケーションを取り上げて、最も理想的な絆のありかたを探る小説なのだ。深い内容を易しく楽しく語るのである。

No.2 6点 makomako
(2022/01/19 21:13登録)
 奇抜な発想の小説です。
 車が擬人化されたようなSFというよりパロディといった感じのお話でした。
 内容が軽いので読む分にはスラスラ読めてしまうのです。結構いやな話も出てくるのですがね。
 推理小説としても読める内容ではありますが、こういったパロディ型のお話はある程度切れが良くないと途中でつまらなくなってしまう。
 要するに長すぎるのです。
 もうちょっと短いお話だったらもっと面白く読めたように感じました。

No.1 6点 まさむね
(2013/05/22 20:10登録)
 語り手が自動車(緑のデミオ)という,いかにも伊坂サンっぽい作品。自動車同士(正確には車輪が付いている車両同士というべきか…)はお互いに会話ができ,人間の会話も理解することができるのですが,人間側は自動車たちの会話を認知できないという設定。これも伊坂サンらしい。
 ユーモアを含めて非常に読みやすく,登場人物のキャラクターも面白く,一定の謎とスリルもあり,爽快感とほっこり感も味わえますので,万人受けする作品と言えましょう。個人的には,更なるハッピーエンドを想定していたのだけれど…それでは「いかにも」過ぎてダメなのかな?

3レコード表示中です 書評