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ミステリの祭典

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夏のレプリカ
S&Mシリーズ

作家 森博嗣
出版日1998年01月
平均点6.36点
書評数36人

No.36 4点 ボナンザ
(2022/03/26 20:23登録)
あれ一本で持たせるにはやや長すぎたか。最後の展開がやや唐突。

No.35 5点 ミステリーオタク
(2020/08/09 14:11登録)
内容の割りには長い気もするが悪くはない。

No.34 7点 斎藤警部
(2018/09/30 12:04登録)
誘拐と失踪と誘拐犯殺害の話。 前作「幻惑。。」と裏表同時進行ってギミック周知こそ、真犯人隠匿の絶妙なミスディレクション、かも。 そこへ来て、四方の靄を吹き飛ばさず彷徨ったまま締めるエンディングが印象的(どこかで続編との邂逅を予感せずにいらりょうか)。 “表層部は上の空”、パークサイドは夢の中。。 まあ、無理ある部分もかなりあるですけれどね、おいらは気になりません。

第14章の5の後半と、続く6の前半~中盤の言説連射はいいねえ。 そして時制を一瞬だけ白黒紛らすあのスライハンドには息を呑みました。

終盤寄り、たとえばマーロウとはまったく向きの違う格好良さ、しかしどうしてもマーロウを連想させてしまう決めまくりの物言いを自然の揺らぎで連発。 かと思うと、撞いて響いたかと戸惑ういかにも青臭い従来風言説がフォローしてくれてみたり。 いやあ。ゃッぱぃ面白ぃ、この人のドキュメントは。 「穴とは何か?」だの「あの学説は今」だの魅力的なアイディア投げ出しワードも頻出。 ナウいね。

うっかり書きそびれそうになりましたが、変化球だけど変格とは行かない本格ミステリとして、かなり面白い作品だと思います。

No.33 6点 青い車
(2016/10/10 23:39登録)
 いわば外伝的なストーリーで、今回の主役は犀川でも萌絵でもなく簑沢杜萌とするのが正しいでしょう。『幻惑の死と使途』の裏側でこんな事件が起きていたのか、と思いを巡らして読むのはなかなか楽しいものでした。
 読み終わったあと振り返ると、事件の内容に対して長すぎるのも否めません。ひとつの逆転の発想で一刀両断に解決されるわけですが、それは中盤あたりで誰かが気が付いても良さそうに思えます。事件にもう少し奥行きというか複雑さが欲しかったかな。とはいえ、500頁飽きずに読めたので、特別大きな不満でもありません。シリーズが好きなら押さえておくべきです。

No.32 4点 nukkam
(2015/12/26 16:47登録)
(ネタバレなしです) 1998年発表のS&Mシリーズ第7作ですがこれまでのシリーズのお約束事(というよりこちらの勝手な期待ですが)からの脱却を試みたようなところがあります。例えば初めて不可能犯罪を扱わなかったこと、犀川でも萌絵でもない人物を主人公にしたこと、もやもやを残す幕切れにしたことなどです。個人的にはちょっと変化させ過ぎかなという気がします。せめて本格派推理小説として謎解きは明快な結末にしてほしかったです。

No.31 3点 Tetchy
(2015/08/19 23:43登録)
本書は前作『幻想の死と使途』の偶数章を司る作品であり、2つで1つの物語が構成されるという凝った作りなのだが、内容にはお互いの作品に密接に絡み合う要素はほとんどなく、それぞれ独立した作品として読める。
このような形式を取った理由として森氏は作中で殺人事件に限らず、あらゆる犯罪はその首謀者たちがお互いに譲り合ったり、スケジュールを調整しながら起こされるものではないからだと述べている。つまり前作の有里匠幻殺人事件と本書の簑沢家誘拐未遂事件及び簑沢素生失踪事件は同時期に起きており、これを分離した2つの作品としながら一方を奇数章、こちらを偶数章で構成することで西之園萌絵が大学院受験時に起きた事件としている。
しかしこの試みは成功しているとは思えない。確かに森氏の云うように犯罪とは1つが終われば次のが起こるように規則正しくないのだが、同時多発的に複数の事件が起こる作品はこれまでも多々あった。モジュラー型ミステリがそれに当たるが、それらのジャンルに当てはまる作品と比べてもこの2作でたくさんの犯罪が起きるようには思えない。単なる奇抜な着想で終わってしまっている。奇妙な符号としては双方に事件関係者に盲目の人物が関わっていることだ。前作では真犯人の妻が―結局前作の矛盾については何も語られなかった―、本書では杜萌の腹違いの兄で詩人の素生が盲目だ。しかしそれも両者のストーリーには何の関わりももたらさない。

作中で登場人物の1人儀同世津子も述べているが、小粒な事件故に作者は『幻惑の死と使途』の事件と敢えて同時期に起こす設定にして、500ページもの分量で語ろうとしたのではないか。こんなミステリ妙味薄い事件にもかかわらず、事件は有里匠幻殺害事件が起きた8月の第1日曜の3日前に起きながら、事件解決はその事件解決後の9月最後の木曜日と実に2ヶ月もかけられている。

物語は実に無駄の多い内容で、一向に解決に進まない。私は常々森ミステリには事件解決までのタイムスパンが非常に長い事を特徴として挙げており、これを個人的に森ミステリ特有のモラトリアムな期間と呼んでいるのだが、本書はそれが最も長い作品であろう。西之園萌絵が有里匠幻殺害事件の解決にかかりきりになっていることと大学院受験を控えていることがその理由となっているが、上に書いたように事件に直接関係のない登場人物の頻度が増していたり、西之園萌絵のお見合いシーンや、犀川創平の妹儀同世津子の妊娠のエピソードなど、物語の枝葉にしては長すぎるエピソードの数々が逆に本書のリーダビリティを落としている。キャラクター小説として物語世界を補強するためのエピソードかもしれないが、さほどこのシリーズにのめり込んでいない当方としては退屈な手続きとしか思えなかった。

しかしこれほど拍子抜けする真相も珍しい。誘拐犯殺害の真相は意外な反転があるものの、カタルシスを感じるほどのものではないし、またもや全ての謎が解かれるわけでもない。よほどこのシリーズが、この世界観が好きでないとこの物語は楽しめないだろう。それほど森氏の趣味が盛り込まれた、それはある意味少女マンガ趣味とも云える幻想味が施されている。
また前作では初めて西之園萌絵が探偵役を務めたにもかかわらず、最後の最後で犀川によって真相が解明されるという詰めの甘さを見せたが、本書では彼女によって真相が見事に暴かれ、犀川はその真相に至っていながらも積極的に事件に介入しない、いわば保護者的役割に終始している。これは西之園萌絵の成長とみるべきか、シリーズにおける名探偵交代を示す転換期なのか。
何にせよ、ようやく密室殺人事件から離れた作品なのだが、逆にそれ故に小粒感が否めない。あらゆる意味で何とも残念な作品だ。

No.30 9点 ∠渉
(2014/12/24 23:47登録)
『幻惑の~』と甲乙つけ難い出来だと思います。このシリーズの中では"泣き"の一作かな。少なくとも僕はそんな感じでした。ラストのチェスのシーンはなかなかの名シーンで好きな人も多いと思いますが、ホントに良いシーンが多い本作。最初読んだときは暗い印象しかなかったけど、改めて読むとすごい爽やかな読後だっなぁ。不思議な感覚だった。個人的に好きなのは、世津子の家を犀川先生が訪ねるシーン。この二人の家族構成を知ってから読むと、この何気なさがあざといくらい良い。ホントによくできたシリーズ構成だなとひとりで感心。別に普通の仲のいい兄姉の会話なんだけど、それを犀川先生がやっちゃうとね。なんか無性にホッとする。
あとは、駅で奇跡的な出会いを果たす萌絵と失踪したモトキ君のシーンでしょうか。賛否両論な感じですが、そもそもモトキ君の失踪って何だったのみたいな声も聞こえてきますが、僕はこの蛇足、嫌いじゃない。むしろこの無駄な意味深さにひとりで喜んでいたクチでした。こちらは偶数章の作品だから、「偶然」が入り込んだのかなぁ。なんて。
ハイライト多し。ミステリィ良し。視界は良好です。

No.29 6点 まさむね
(2013/05/12 18:32登録)
 萌絵の高校以来の友人「簑沢杜萌」を中心とした事件を描いた作品。
 前作『幻惑の死と使途』と同時期に起きたという設定でして,前作には奇数章しかなく、本作には偶数章しかないという凝った構成になっているのですが,同時並行で読まないと真実が分からないというような設定には(多分)なっていません。お好きな方はシンクロ感を楽しんでみては?といった程度でしょうか。
 内容としては,本書の登場人物自身が語っているとおり,前作の事件ほどの派手さ,不可解さはありません。でも,個人的にはこちらも嫌いではない系統。このシリーズでは珍しいタッチでしたし,結構驚かされました。萌絵嬢が真実に気付くシーンも美しく,記憶に残りそうです。
 ちなみに,萌絵嬢や犀川センセの出番の少なさについては,私にはむしろ心地よかった(笑)。これくらいで丁度いい。

No.28 6点 E-BANKER
(2013/03/01 22:58登録)
前作「幻惑の死と使徒」と同時並行で起こっていた事件を扱ったのが本作。
S&Mシリーズでありながら、犀川&萌絵は脇役という位置付けで、萌絵の親友・簑川杜萌を主役とした作品。

~T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられてしまう。杜萌も別の場所で拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは何か? 「幻惑の死と使徒」と同時期に起こった事件を描く~

今までのS&Mシリーズとは一味も二味も違う肌合い・・・そんな作品。
その訳は、最初に触れたとおり、事件の顛末がSでもMでもなく、簑沢杜萌という別の人物の目線で描かれるため。
犀川も萌絵も(特に萌絵は)同時期に発生したという設定の『幻惑の死と使徒』事件の方に忙殺され(?)ていて、終盤までほとんど出番はない。
というわけで、長野県警のキレ者警部も登場するが、終盤までは解決に向けて遅々として進まぬ展開が続いていく。

ただし、結局事件を解決するのは犀川であり萌絵。
相変わらずフーダニットはブッ飛んでるなぁ・・・。
今回は、恒例の密室やら不可能趣味は薄いが、この仕掛けにはやっぱり驚かされた。
「仮面」という物証が、作者が企んだ欺瞞の「鍵」であり、トリックの「肝」であった訳だ。(ネタバレっぽいが・・・)
この辺りの手練手管は「さすが」としか言いようがない。

まぁでも、これまでの作品との比較でいうなら、やっぱり落ちるかなぁー。
同時並行で進む二作品というアイデア自体は面白いが、そこにそれ程の仕掛けやサプライズがなかったのが逆にもったいない気はした。(もしかして、あったのか?)
(最後のチェス勝負のくだりは、ミステリーっぽくでいいね)

No.27 7点 虫暮部
(2012/12/10 07:37登録)
 “チェスに負けたから気が付いた”というところ印象的だった。全く論理的ではないけれど説得力がある。こういうフレーズがポロッと出て来るのが森博嗣の面白さだと思う。

No.26 6点 Q-1
(2012/07/01 22:36登録)
小難しいトリックがなかったせいか、シリーズで最も読みやすかったです。

ただ、杜萌のその後はまだしも、素生のことはどういうことだか説明して欲しかったですね。
もやもや感が残りました。

No.25 6点 あい
(2012/02/15 16:34登録)
犯人の意外性には驚いたが、それ以外はイマイチだった。ただS&Mシリーズには愛着があるので読めただけで満足

No.24 3点 ムラ
(2011/06/27 19:52登録)
オチで驚けなかったのはいいとしても、その他のことがいろいろと納得いかないまま終わりすぎる。
特に兄はどうなったんだ。そこが一番大事なところだったのに、一番おざなりに終わった気がする。
幻惑の死と使途の方に書いてあるのだろうかと思ったが、そうでもなさそうな予感。

No.23 6点 白い風
(2009/08/26 21:06登録)
前作とペアの作りになっていましたけど、単独でも楽しめそうですね。
(当然、「幻惑の死と使途」を読んでいる方が格段に面白いとは思いますが…)
ただ、あえてペアにする必然性が感じられなかったです…萌絵と犀川の出番を少なくするため?
トリック以上にこのシリーズの魅力の一つ、萌絵と犀川が薄くなった分、感動も薄くなった気がしました。

No.22 4点 りんちゃみ先輩
(2009/03/10 21:18登録)
静かに、淡々と進んでいく物語でした。新しいキャラの長野県警の西畑刑事が良かった。これからも登場するのでしょうか?意外な犯人にはビックリでしたが、萌絵も犀川助教授も出番少なかったのがとても残念でした。パッとしません!

No.21 5点 マニア
(2007/12/30 14:53登録)
同時進行作としては前作「幻惑の~」の方が面白かったかな。正直少し退屈なストーリー。

でも、犯人の意外性と萌絵のチェスシーンは面白かったし、終盤の読みごたえはあった。

No.20 7点 ぷねうま
(2007/10/03 19:37登録)
萌絵にイラつき、S&Mシリーズに飽き始めていたのだが、本作はギミックが多い作品で楽しめた。
チェスシーンは何かのパロディなのだろうか。なんかこういうのよくあるよね。探偵と犯人の心理描写をゲームの進行状況とシンクロさせて表現っていう。
まあでもやっぱカッコよかったけど。

No.19 6点 vivi
(2007/06/23 00:39登録)
同時進行ということで、『幻想の死と使途』と対になる作品。
そういう部分もなかなかの意欲作だと思います。
また、同時進行だからこそ成立する作品でもあるのですけど。

この作品の目次を見て、『幻想の死と使途』の目次の「奇」の文字が奇数の「奇」だったんだと気づきました。
奇術の「奇」だと思ってたので・・・(^^;

No.18 5点 ぴかちゅ〜
(2005/06/14 00:12登録)
犀川先生のキャラがどんどん変わってきているような気がする。
先生の出番が少なかったのが残念。

No.17 9点 カトキ
(2004/11/13 23:14登録)
最終章でかなりの衝撃を受けた。何度も鳥肌が立ちました。シーンの作り方が絶妙だったからかな。トリック自体は普通だけど、人間関係と特異な心理描写がいい意味でアクセントを付けている。S&Mシリーズの中ではかなり上手くまとまった作品のように感じた。

ま、最後に一言言うなら、あのチェスシーンはとにもかくにも衝撃的でした…。

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