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ミステリの祭典

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今はもうない
S&Mシリーズ

作家 森博嗣
出版日1998年04月
平均点6.67点
書評数58人

No.58 5点 ボナンザ
(2022/05/21 23:37登録)
メインのあれが分かると事件自体はどうでもいい感じで締められるのが小気味よい。

No.57 8点 斎藤警部
(2019/10/17 12:24登録)
認知や伝達についてのレトリック豊かなエッセイを、こんだけ豊潤な本格ミステリの装丁で世に放ったってんだからこりゃあ気持ちがいいですよ。本作の表題が或る会話の中に初出したのを見たとき、ときめいたなあ。。胸躍る安否探索シーン、’語り手の殺人舞台での数日間’が空白、という前提の魅惑。絶対的どころか絶対に疑い得ない特別の座におわします登場人物を疑い得る対象にサラッと置き換えるスライハンド、諏訪野さんのビジュアルイメージを間一髪で固定化から救いつつも一定方向への優しい誘導も見せた仄かなワンサブシーン。まさかの反感請負キャラがアンチミステリの新地平をも開きそうな激ヤバほぼ一言セリフを吐出。密室構成の可否を問うディープな仕訳け論議、いいねえ。“言葉とは、本来の意味に解釈されるのが原則だからだ”クィー 来るねえ

このまえカラオケで久しぶりに一青窈「ハナミズキ」を聴いてたら、なんとなくこの作品を思い出したんです。 アッチの意味で二度読みじゃなく、普通の意味でいつか再読したくなります。 犯人の意外性(って言っていいですよね)にも少しは目を向けてあげて!? ってかこれほど真犯人の影が薄い本格ミステリ(って呼んでいいですよね)もなかなか。。 んで●●に纏わるめっちゃ光る違和感伏線の置き場所が絶妙で絶妙で。。

シリーズ通して見たら、箸置きが立派過ぎる箸休めと呼ぶ事も出来ましょう。だけど、同じ番外作でも「人形館」とは性質が違いますね。

「現象は並列でも、言葉は直列に並ぶ。その並び換えのプロセスに、発信母体の意図が介在するだろう。」
↑ これいつも思ってたこと よくぞ言葉にしてくれました 

※パンダさんの(もう17年も昔の)コメント、本当にその通りと思います!

No.56 5点 ねここねこ男爵
(2017/10/15 14:14登録)
ファンブックですね。メインの仕掛けが生む効果とその対象から。

この作者に対する個人的な評価は他作品のレビューに書かせていただいた通り決して高くなかったのですが、それが過小評価であることに今気づきました。
この人は恐ろしく商売上手なんですね。それが分からなかった。

No.55 7点 メルカトル
(2016/12/18 21:50登録)
このような変化球は私の好むところである。導入部の爽やかさも非常に印象深く、感銘を受けた。だが美点ばかりというわけではない。みなさんご指摘されているように、シンプルな謎のわりにページ数を割きすぎなのは否めないであろう。こんな解決法がありますよと小出しにするのはいいが、どれも驚くようなものではなく、正直予測の範疇に収まるといえる。さらに最後に萌絵と犀川による謎解きがおこなわれるが、あまりにあっさりしすぎていて何かこう物足りなさを感じる。
密室の謎はさして珍しいものではないが、メイントリックはかなりいい。森博嗣がこんなものを?といった意外性は見逃せないものがある。
それにしても西之園の気性の荒さばかりが目立つ作品ではあった。それも魅力なのかもしれないが、私は御免こうむりたい。

No.54 8点 蟷螂の斧
(2016/12/07 13:00登録)
作中作の主人公・笹木の西之園嬢に対する恋愛物語が主体であり、密室事件はおまけのようなもの。どんくさい笹木がメインで頭脳明晰な犀川の出番が少ないことが残念という意見もありそうですが、私的にはこちらの展開の方が楽しめました。応援した笹木が頑張ってくれました!(笑)。シリーズでは、今のところ「すべてがFになる」が1位で「本作」が2位ですね。

No.53 10点 羊太郎次郎吉
(2016/12/01 07:22登録)
いくら西之園嬢が魅力的だからって…笹木酷い。

No.52 7点 青い車
(2016/10/23 23:14登録)
 事件そのもののパートと、犀川と萌絵のディスカッションのパートに分かれていますが、後者を「どうでもいい」「なくてもいい」ものとしているところに作者ならではのセンスを感じました。それをふまえると「今はもうない」という象徴的なタイトルは絶妙と言えます。
 事件の概要はかなりシンプルで、絵解きは最後あっさりと片付けられています。中盤のいくつもの仮説が出ては覆される繰り返しは面白いのですが、真相を知ってしまうと、それに見合う長さだったのか疑問も残ります。とはいえ、今回も興味深く読めたので、小さな素材をここまでのヴォリュームに膨らませるのが森博嗣の腕というのも確かだと思います。

No.51 6点 nukkam
(2016/02/07 00:03登録)
(ちょっとネタバレになったかもしれません) 1998年発表のS&Mシリーズ第8作です。私の読んだ講談社文庫版では「シリーズナンバーワンに挙げる声も多い」と絶賛されていますが、どちらかといえば読者を選ぶ問題作ではないかと思います。確かに私にとってシリーズ作品で最も驚かされた作品ではあるのですが、シリーズ作品をある程度読んだ人でないと驚きを味わえない仕掛けになっています。仮に本書が初めて読んだS&Mシリーズだと何が何だかわからないのではないでしょうか。密室トリックを巡って次々に仮説が飛び交う本格派推理小説としても楽しめますが(現場見取り図は欲しかった)、前述の仕掛けのためにメインの謎解きが霞んでしまったような気もします。シリーズ作品としては評価7ですが、単独作品としては評価5といったところでしょうか。

No.50 7点 Tetchy
(2015/09/22 23:23登録)
後期になってS&Mシリーズは典型的な密室殺人から離れたかと思ったが、今回は密室物としてはど真ん中の“嵐の山荘”物だ。
台風の接近で電話線が切れ、道路は倒木で寸断されて警察が介入できないという実にベタな設定。
しかしそれらはもっと大きなトリックへのフェイクであることが後に解る。

個人的には傑作になり損ねた佳作という評価になってしまう。それはやはり本書に仕掛けられた大きなトリックに比して、物語の中心となっていた密室殺人の真相が実に凡庸だからだ。しかし本書の探偵役のことを考えるとこの凡庸さは逆に作者が意図したものかもしれないとも思える。

タイトル“今はもうない”は事件があった別荘が今はもう残っていないことを指す。しかしその時のことは彼らにとって永遠なのだ。本書はミステリとしては凡作だが、過ぎ去りし日々を懐かしむ歳になった者たちにとって何がしかのノスタルジイを感じさせる物語が強い印象を残す。
左脳系ミステリの書き手である森氏が放った右脳系ミステリという意味で本書はS&Mシリーズで異彩を放つ存在となるのだろう。シリーズナンバーワンと評する人々もいるというのもあながち間違いではない作品だ。

No.49 8点 ∠渉
(2014/12/28 00:36登録)
もしかしたら、僕のコメントを見てくれている人がいるのかなぁという体で、コメントさせていただきやす。
個人的な意見として言いたいんですが、別に、シリーズを知らないと面白くないってことは無いです。この作品に限らずそうなんですが、とくにこの作品はシリーズ知ってることが条件みたいなコメントがこのサイトに限らず多いので、さすがに気になってしまいました。もちろん、シリーズ読まないとわからないと言ってる人は基本的にもうシリーズを順番に読んじゃってる人なわけで、いきなり『今はもうない』から読んじゃう人は客観的に読める確率は高いし、無垢な感覚で読めると思うし、これはこれで電撃的な出会いになるかもわかりません。別に、どっちが良いか悪いかの話ではないです。なんというか、シリーズちゃんと読まなくてもそれは読者の感性しだいなので、もしかしたら一瞬で叙述トリック見破っちゃうかもしれないし、密室の新しい仮説を見つけちゃうかもしれないし、読者の発想の幅の広さで言えばおそらく圧倒的にシリーズ未読の方が強い。もちろんだからといって、そのなかで合う・合わない、面白い・面白くないはありますが。まぁ、せっかく読むなら自由に読んで欲しいってことです。作品の順番が読者の感性に影響を及ぼすことは多分ないですから。かくいう自分は、順番がよくわかってなくて、森作品1周目の序盤はかなりバラバラに読んでました。さすがに怖くなって途中から軌道修正しましたが、おかげでほんの少し面白い感じにはなりました。まぁ僕は感性もへったくれも無いような、脳味噌の田楽みたいな頭の悪い本読みなんですが。
でもって密室ですが、個人的にはS&Mシリーズの中では『詩的私的ジャック』に次いで気に入ってるネタです。そもそも密室なんて存在が納得できない。それに応えるような『詩的私的~』のロジックがあって、『今はもうない』でもひたすら密室や殺人現場の構造への疑問がさまざまな仮説で展開されて、出てきた結論は「説明はできるけどホントのことはわからない」ということ。もちろんミステリィなんでできればスッキリとした答えが欲しいけど、思考のプロセスの中にこういう考えを持つことも大事だなぁと感じた。
いかにも天邪鬼な森博嗣信者のコメントになりましたが、ホントにその通りです。客観的に見て全く参考にならないことこの上ないです。

No.48 6点 虫暮部
(2013/09/19 22:11登録)
 そもそもあてずっぽう3回で名前を当てるなんて無理なのであって、そんな賭けを自ら提案するのは、勝算がある、つまり実は名前を知っていながらしらばっくれているのである。
 ということに、聡明な西之園嬢が思い至らないとは考えられない(というか誰だってそう疑うだろ)。
 相手のイカサマを踏まえて勝負を受けたのなら、その時点でプロポーズにイエスと答えたのと同義である。
 と思って読み返したのだけれど、彼女けっこう素で反応していますね。これは作者のミスでは。それともあからさまな不正をどういう論理で納得させるのか楽しみ、という意味か?
 

No.47 7点 まさむね
(2013/06/02 21:35登録)
 率直に言って,楽しめました。でも評価はなかなか難しいなぁ。
 まず,W密室については,謎の提示や仮説の検証過程など,期待が相当に高まった割りに,真実が何とも微妙。決してアンフェアではないのですが…モヤモヤしますね。
 一方,メイントリック(?)については,完全にしてやられました。一人称部分など匂いがプンプンで,様々想定しながら読んでいたのですが…,そう来ましたか。十分に練られているし,巧いです。
 ただし,シリーズファンではない方,極端に言えば,この作品が初のS&Mシリーズであった方にとってはどうなのだろう?ファンであることを前提とした技巧っていう感じも受けましたね。
 確かに,シリーズの中では,こういったタイプの作品も時に必要だと思いますし,ハマることも多いと思うのですが,えてして「シリーズ・ナンバーワン」とはならないものですよね。

No.46 6点 E-BANKER
(2013/05/29 20:39登録)
S&Mシリーズ第10作目の長編。
さすがにシリーズもここまで続くと「こう来るか・・・」という変化球が用意されている、のだが・・・

~避暑地にある別荘で、美人姉妹が隣り合わせた部屋でひとりずつ死体となって発見された。二つの部屋は、映写室と鑑賞室で、いずれも密室状態。遺体が発見されたときスクリーンには、まだ映画が上映されていた・・・。折しも嵐が襲い、電話さえ通じなくなる事態に。S&Mシリーズ・ナンバーワンに挙げる声も多い清冽なミステリー~

これは「プロットの妙」ということに尽きる。
話は、事件が終結した後、萌絵が犀川にその顛末を聞かせる、というスタイルで始まるのだが、実際の語り手は事件に巻き込まれたある男性の視点で、「手記」という形式で読者には示される。
まぁ、普通考えるよなぁ、ミステリーファンなら・・・
「手記」には何かの仕掛けが施されていることを!
その「仕掛け」は作品終盤に開陳されるのだが、なかなかの衝撃。
(ただし、この衝撃は本シリーズをある程度最初から読んでいることが条件にはなるのだが)
なる程ね。何となく「違和感」は感じてましたが、これは叙述トリックで多用される「手」だけど、使い方がうまいとこんなに綺麗に嵌まるといういい見本だろう。

そして、本作もうひとつの肝が「W密室」。
ただ、これについてはかなり微妙、というか正直納得できない。
仮設を立てては崩すという過程が繰り返されるところまでは好ましいのだが、その結果判明した解答がコレか?っていう感想になる。
あと、せめて現場の見取り図は欲しいなぁ。
(説明を読んでも、今ひとつ状況が腹に落ちてこなかった)
結局、密室は「添え物」程度のガジェットだったのだろう、本作では。
読者としては、どうしても本シリーズには「密室トリック」を期待してしまうだけに、やっぱり「ネタ切れ」かという感じにはなった。

ということで、紹介文にある「シリーズ・ナンバーワン」という評価には決してならない。
この程度の評価が妥当なところ。

No.45 7点 Q-1
(2012/07/16 07:05登録)
ミスリードの手法、構成共に完成度が高く、
とても楽しめました。

しかし、過去のシリーズ作品を読んでないと
何がなんだか分からないだろうし、
読んでいたら笹木の苗字や西之園嬢の行動に
少しアンフェア感を覚えると思います。
それでもその一方でヒントもしっかり出ているので
スッキリと読了できました。

No.44 2点 ムラ
(2011/06/10 17:55登録)
なんでこんなくだらないW密室をここまで引っ張ったんだ……。
本当にやりたいのがもうひとつのトリックってもはわかるし、ミスリードを頑張ってたのもわかる(途中までは萌絵が今までよりうっとおしいと思ってしまったし)
だけどこの密室トリックに対する長さは限界超えてる。人知の及ばないトリックとか意味なし冗談仕掛けるの犀川先生だかでいいですからほんと。
もうちょっと書きよう無かったのか。話の綺麗さが台無し。
個人的には一点ぶち込みたいくらいガッカリだったけど話としては良いので二点で。
とりあえず犀川先生の出番少ないとこの量はきついです……。

No.43 5点 touko
(2011/04/08 20:36登録)
犀川&萌絵シリーズの番外編。

男性主人公の性格が、途中で変化したような気がしたし、最後の方では若い女の子(しかもシリーズでおなじみの)相手に一方的な思い込みで迫る中年の変質者と化していたようにすら思えたので、萌絵受難のサイコもの? それとも叙述トリックもの? とか思っていたら、そういうことかあ。

キャラ萌えしていればしているほど、そこは楽しめそうですが、個人的にはネタがわかっても、人物評価はひっくり返らなかったので、イマイチ。

W密室もやや不完全燃焼。。

No.42 8点 白い風
(2009/09/14 21:56登録)
S&Mシリーズの後半に至って新たな感動が味わえました。
この作品に関しては単独では面白さは全く味わえないでしょうね。
ある意味シリーズ全体が布石ですから。
ただ、W密室事件自体はビミョウだったけどね。

No.41 5点 りんちゃみ先輩
(2009/03/20 08:34登録)
一つの事件に長々と・・・正直途中、読むの止めようかと思ったくらいでしたが、事件外「オチ」で解消しました。ハラハラしてました、騙されました。あの一言は「十角館」のあの一言に匹敵すると思います。犀川&萌絵シリーズあと分厚い2冊を残すのみですが少しの間、休もうと思います。

No.40 8点 G
(2009/03/05 21:19登録)
このシリーズで「すべてがFになる」とこの作品が最高。
ただこの作品を最初に読んでも全く面白さがわからないと思うので、シリーズ順に読むべきだろう。

No.39 6点 マニア
(2007/12/30 14:55登録)
叙述にはかなり早い時点で気付いてしまった。
それでも、クローズド・サークルが好きなのでそれなりに楽しめたかな。犯人も自分にとっては意外だった。

物理トリックメインのS&Mでは、本作のような叙述メインは異色作だろうと思う。

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