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ミステリの祭典

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数奇にして模型
S&Mシリーズ

作家 森博嗣
出版日1998年07月
平均点6.22点
書評数36人

No.36 7点 みりん
(2022/12/18 14:56登録)
このシリーズの中で「幻惑の死と使徒」「すべてはFになる」の次に好きな作品です。
「模型」に対しての森博嗣の衒学的な感じがイイ

国枝先生の正常と異常の講義がMVPですね。「大人になるほど単純へ向かう」なるほどと感じました

No.35 5点 ボナンザ
(2022/06/23 21:06登録)
やりたいことは分かるがそれほどインパクトがないのが残念。

No.34 6点 斎藤警部
(2020/04/09 19:55登録)
まず、登場人物表に大きな謎がある。 ●●●、●●●ど●●●●ようだ。

「まあ・・・・・、少し残念」

国枝君の大演説には驚いたが、代わりに恋も冷めたかな。

「ただね、あなたが、それを生き方や人生に密接に関係しているみたいな理由で断ろうとしたから、わたしは反論しているだけなの」

表題の意味が序盤からじわじわ染み込んで、はらはら剥がれ溢れ落ちてくるのが熱い。中盤にはかなりにマブい推進力。 ラス前シーンの、ある人物に ‘時間が無い’ という設定も心地良かった。

“世にも不思議なこの動機は、しかし、他のすべてを掛け合わせた数よりも、はるかに大きな素数で、何ものによっても割り切れなかった”

だが、どうにも拭い切れぬ或る種の気持ち悪さと、折角の真相意外性と真犯人意外性が何だかすれ違って衝撃薄め合っちゃった感じ、この辺がどうにもなあ。原理はなかなか斬新と思えるだけに。。 まあ、面白いミステリですよ。     ← 或ることについてはわざと触れませんでした

「煙草のことですか?」
「煙草のことだ」

エピローグの最後、 アッと思わせておいて、 沁みますねえ。。 

No.33 6点 青い車
(2018/11/27 20:27登録)
 シリーズ9作目ともなると癖のあるキャラクターに慣れが出てきて、犀川創平の思考や発言にも抵抗なく付き合えるようになってきました。今回も(これまでの作品同様に)内容に対して分量が多すぎる気もしますが、裏の裏をかいたような真相や狂気的な犯人像は十分なインパクトをもたらします。冷静に考えればけっこうショッキングな事件なのに冷たい論理パズルのような要領で解決される様は森ミステリらしい所です。

No.32 10点 羊太郎次郎吉
(2016/12/03 06:32登録)
萌絵のコスプレシーンと世津子が萌絵のロイヤルな容姿にはかなわないと嘆息する場面は必要あったのだろうか。美女の容姿を賛美するために他の女性キャラを嘆息させるという表現は非常に不愉快だ。単純にどんな容姿なのか文章で説明すればいいのに、女性に嫉妬させたり男性に過度に萌えさせたりと萌絵の美女描写は不快なのが多い。

No.31 4点 nukkam
(2016/01/10 02:47登録)
(ネタバレなしです) 1998年発表のS&Mシリーズ第9作で講談社文庫版で700ページを超す大作の本格派推理小説です。その巻末解説で森博嗣が1970年代後半に漫画同人誌の編集と、「森むく」というネームで漫画を描いていたことを初めて知りました。本書の舞台背景にはその当時の経験が活かされているそうです(模型とかコスプレとか)。謎解きに関しては不満点が多く、特に動機は異常過ぎて納得できません。その分犯人の異常性描写はなかなかの迫力ですが。萌絵の遠縁にあたる犬御坊安朋の個性も強烈で(読者受けするかは微妙な気もしますけど)、作者が一番力を入れているのは人物描写なのかもしれません。

No.30 7点 Tetchy
(2015/11/03 00:24登録)
S&Mシリーズ9作目の本書ではこのシリーズの原点回帰とも云える密室殺人事件を扱っている。しかも同時に2つの密室殺人が離れた場所で起こるが、どちらも容疑者は同一人物だったという、魅力的な謎をいきなり提示してくれる。

本書で特徴的なのは『幻惑の死と使途』以降付されていなかった登場人物表が復活していることだ。『幻惑の死と使途』、『夏のレプリカ』、『今はもうない』は登場人物表を付けられない、凝った構成の作品だったからだが、本書でそれが復活しているということはつまり原点回帰的な密室殺人ミステリであることを意味している。

さて本書では森氏の趣味がある意味横溢していると云っていいだろう。まず事件の舞台となるのが模型作品展示・交換会、つまりモデラー達の集いである。作者自身がかなり本格的な鉄道模型マニアであることから、これは満を持してのテーマだったと思われる。そのためか登場人物が模型やフィギュアに対する哲学を語るシーンがそこここに挟まれており、それらは作者自身の考え・意見であると窺える。

そしてもう1つ特徴的なのはコスプレイヤーも登場するところだ。モデラー達よりもその色合いは薄いものの、本書では西之園萌絵がコスプレしているところに注目されたい。まずは上記の展示会でのオリジナルキャラクターのコスプレに、事件の容疑者寺林に話を聞くために彼が入院している病院の看護婦に成りすまして潜入する。コスプレマニアにとってはある意味萌え要素が盛り込まれており、やはり西之園萌絵の名の由来はオタクやマニアにとって馴染みの“萌え”から来ているのかと思わず勘ぐってしまった。
もう少し云えば、本書の章題に注目したい。「土曜日はファンタジィ」、「日曜日はクレイジィ」、「月曜日はメランコリィ」とラノベ的な軽さを持っており、これもオタク要素を盛り立てている。本書の題名に隠されたもう1つの意味、「数奇にして模型」≒「好きにしてもOK」の如く、森氏は奔放に本書で遊んでいるようだ。

真相を知ると至極面倒な手続きを踏んだ事件だったと云える。正直「夜はそんなに長いか?」と疑わずにいられない。この真相のバランスの悪さがカタルシスを感じさせないのが残念だ。

初登場の萌絵の従兄、大御坊安朋もまた実にエキゾチックなキャラクターである。妾の子という暗い生い立ちにありながら作家にして女装家でオネエ言葉を連発する、1998年と今から17年前の発表当時では実に濃くて生理的に受け付けない人物であっただろうが、オネエタレントが芸能界を闊歩する今では免疫が出来て寧ろ魅力的に映った。

またこのシリーズのもはや特徴となっているが、殺人を犯すことの動機の浅薄さ、不可解さは逆にネット社会で人とのコミュニケーションがリアルよりも電脳領域での比率がかなり高くなっている現在の方が実に解りやすくなっている。モデラーとして優れた作品を、理想とする作品を作りたい願望が尖鋭化しすぎて、もはや人の死すら自身の材料としか見えなくなったこと、そしてその趣味に没頭したいが故に邪魔となる存在を排除したという実に端的な動機は現代社会の人間関係の希薄さが問題視されている今だからこそ腑に落ちる。

そして9作目にして初めて犀川は犯人と対決する。犯人の毒牙に落ちようとする萌絵を救うため、身体を張って彼女を護り、怪我を負う。ドライでクールなミステリだったシリーズがホットでフィジカルな色を帯びて正直驚いた。

唯一変わらないのは西之園萌絵に対する嫌悪感である。本書でも彼女は我儘で傍若無人、傲岸不遜であった。萌絵と私には決して近づくことができない斥力が働いていると認識しよう。いやはや身の回りにいなくてよかった。

No.29 9点 ∠渉
(2015/01/06 22:59登録)
プロローグで提示された主題は、突然降りかかった最大級の危機から孤独な模型マニアの寺林高司がどう逃れたか、である。

ところがどっこい、登場人物が多い割にすべての事件を結び付ける人間は寺林以外出てこないし、結局、寺林は逃げられていないのである。

でもって密室も首切りも謎の手紙も、すべてが曖昧で、ぼやけたまま事件は終わってしまうのである。どうしたものか。

たくさんの登場人物がどっかこっかで事件の関係者のひとりになって、探偵小説ではおなじみの、第三者に向けての説明みたいな口調がほとんど排されてしまっているのも、読者の混迷をさそっているのか。

だから自分なりに考える。寺林の「最大級の危機」とは、物語の「主題」とは何だったのか。いつかこの命題から結論を導くことができるだろうか。

アンフェアだと言ってしまえば簡単だけれど、こなれてくるとすぐ思い上がる読者(僕のことです)への戒めをさせてくれた、大切な作品である。気持ちの悪い作品だけれども、この評価は揺るがない。

そして、つくづく感じたこと、それは
基本的に、作家は読者の何枚も上手であるということ。
自分にはこの作品のもつ感性がただただ衝撃的だった。

まぁGシリーズ、Xシリーズが出ている今となっては本作はかなり森作品らしいテイストのような気がする。それに加えて当時にしてはかなり深めのオタク文化の考察。これは後の趣味本や新書など、森作品の機軸のひとつになっている。この点からみてもファンとしては興味深い記述が多かった。まぁそんなこんなで、今はあのエピローグに思いを馳せてます。

なんだか抽象的な書評である。以上。

No.28 3点 虫暮部
(2014/10/14 12:21登録)
 これは失敗作。

 上倉裕子は寺林高二を何故殴ったのか?
 殴っておきながら何故、その寺林との待ち合わせの為にM工大へ行ったのか?
 それは、寺林が待ち合わせのことを誰かに話していた場合、そこへ行かないと自分が疑われる、と考えての偽装工作かもしれないが……寺林が来ないと思っていたなら、何故フローズンヨーグルトを二つ買ったのか?
 寺林が死んでおらず、怪我を押してM工大へ来る可能性も考慮に入れていた(から、二つ買った)なら、“上倉が尋常でない驚き方をして、その様子を見て寺林は上倉が自分を殴った人物だと気が付く”という程の驚き方はしない筈。

 寺林の行動も……“筒見明日香の首無し死体と敢て同じ部屋に倒れている”のどこが巧妙な策なのか?
 首切りを公会堂の別の場所(トイレとか)で行って、胴体はそのまま放置すれば済むことではないか。それで自分は容疑者圏外、とは行かないまでもワン・オヴ・ゼム扱いに留まったのでは。まだやるべきことが残っているのだから、一時的にせよ警察や病院に拘束されるリスクの方が遥かに問題だろう。

 “異常と正常”について悩むのは、西之園萌絵のキャラクターにそぐわない気がする。首切り事件や筒見紀世都のキャラクターが、今まで萌絵の遭遇した物事に比べ飛び抜けてぶっ飛んでいるとは思えないのだ。真賀田四季と対話したひとが今更なに言ってるのという感じである。

No.27 5点 すぎ
(2014/09/16 00:39登録)
国枝桃子の存在が好き

No.26 6点 E-BANKER
(2014/07/30 22:05登録)
「すべてがFになる」から始まったS&Mシリーズも回を重ね、本作が9作目の長編となる。
1998年発表の大作。

~模型交換会会場の公会堂でモデルの女性の死体が発見された。死体の首は切断されており、発見された部屋は密室状態。同じ密室内で昏倒していた大学院生・寺林高司に嫌疑がかけられたが、彼は同じ頃にM工業大学で起こった女子大学院生密室殺人の容疑者でもあったのだ! 複雑に絡まった謎に犀川・西之園師弟コンビが挑む~

本作のメインテーマは・・・やっぱりホワイダニットなのだろうか?
紹介文を読むと、これまでのS&Mシリーズと同様、密室トリックあたりがメインテーマなのだろうと思ってしまうのであるが、最終的に判明する密室トリックは正直、本シリーズファンには軽い裏切りに近いものに見える。
(もっとも、シリーズも回を重ねるうちに、当初の純粋なトリックというよりは、変化球的なトリックが目立ってはきていたが・・・)
さらに今回は「首切り」まで登場するのだから、当然「首切り」についてもミステリーファン寄りのトリックを期待してしまうよなぁ・・・『なぜ真犯人は首を切ったのか』を!!

「見立て」などもそうだが、こういう“いかにも”というガジェットを加味する以上、必然性が問題となる。
ただし、本作で作者が用意した解答は相当な変化球!
(あまりにも鋭く内に曲がりすぎて、思わずのけぞるほどだった・・・)
こういうタイプの解答は全く予想していなかったし、ある意味初めての体験かも知れない。
それもこれも作者の舞台設定の勝利と言えるだろう。

でもなぁ・・・それが個人的な好みに合致しているかというと、そうではないというのが本音。
もちろん作者には豊富な球種があって、鋭く横に曲がるスライダーや縦に落ちるスプリットも投げられるだろうけれど、読者としては胸元ズバリのストレートを期待してしまうわけです。
(分かりにくい例えかもしれないけど・・・)

No.25 5点 まさむね
(2013/06/30 21:27登録)
 謎の提示(導入部)は結構好みのタイプで,期待が高まったのですが…。結果的にはそうでもなかったなぁ…という印象。
 もっとも,中だるみ感を抱かずに読み進められたし,登場キャラの個性もあって,シリーズファンとしては,まぁ楽しめたと言えるのかな。
 ちなみに,本作の個人的イチオシキャラは,国枝サン。(曾我医師も捨て難いか)

No.24 7点 Q-1
(2012/08/04 01:51登録)
正直事件解決の難易度はそんなに高くないと思いました。
しかし論理的、物理的に無理だと判断された容疑者は真犯人である可能性が高いと個人的に思っているのですが、
萌絵が直感的に否定していたので、結局最後の最後まで確信を持てずに読みきってしまいました。

紀世都と萌絵が二人きりになるシーンは、
このシリーズで初めて萌絵が本当に殺されるんじゃないかという緊張感を持って読めました。
国枝さんがやけにお喋りになっていたのも面白かったです。
特に仲直りしないほうがいい。二度と喧嘩しなくて済むから。という言葉は感心してしまいました。

今作は本筋の事件よりも登場人物同士の絡みがよかったです。
シリーズファンであればそれだけで面白かったと思えるのではないのでしょうか。

No.23 6点 ムラ
(2011/07/28 01:42登録)
この作品をホワイダニットとして捉えるなら個人的には充分楽しめた。個人的に動機は作中でいかに読者を納得させるかが勝負だと想っているので今回のは充分あり。
国枝と犀川の珍しいやりとりも貴重な場面。金子くんも口は悪いが中々のいい子。
紀世都の手紙の考察については自分で想像を廻らせる感じなのかな? 謎が謎のままなのは投げっぱなし感が出ちゃう場合が多々だけど、今回は綺麗な〆に想えたので好印象だった。
萌絵はそろそろ犯人に殺されないようにスタンガンでも持ってるべき。

No.22 6点 白い風
(2009/09/19 21:45登録)
S&Mの周りの人間関係が楽しめるかな。
ただ、ミステリとしてはレベルは高くないと思う。
今は次でいよいよラストか、と云う感慨の方が大きいですね。

No.21 5点
(2009/05/31 09:38登録)
予想していた以上に楽しめました。
最初に読んだ「詩的私的ジャック」があまりにも駄作だったので、もうやめようかとも思いましたが、今回は読んで正解でした。ストーリーもいいし、あれだけヘタクソだった文章も、今回はうまく感じられました。合格点です。
トリックについても、理系知識を駆使するより無理せずこの程度にしておくほうがはるかにいい。知識は薀蓄程度で十分です。
でも、無駄はあいかわらず多いですね。ラストもしつこい感じがします。それにレギュラーの登場人物が多すぎるし、それを知らない読者にとっては惑わされる存在でしかありません。初心者がシリーズ物の後半作品を読むのはよくなかったようですね。

No.20 5点 りんちゃみ先輩
(2009/04/02 09:56登録)
曾我医師や大御坊のキャラクター、その他常連のキャラが光っていて、さらに今回は犀川先生と萌絵も全編に登場、これらのことから読み物としては面白かった。犀川先生は意外に喧嘩、強いのですね。ただし事件の動機・解決にはついて行けなっかった。

No.19 8点 ちぃ
(2009/03/06 23:21登録)
単純に面白かったです☆
トリック的な事は置いといて・・・(笑)
キャラ好きな自分にはみんないい味でてて楽しかったです。

No.18 4点 あい
(2008/06/24 18:02登録)
いわゆる途中で解決がどうでも良くなる作品。

No.17 3点 マニア
(2007/12/30 14:58登録)
舞台設定やシチュエーションは嫌いじゃないけど、純粋にミステリとして駄作でがっかり。

見せ場は萌絵を助けに行く犀川くらい?

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