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ミステリの祭典

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名探偵 木更津悠也
木更津悠也シリーズ

作家 麻耶雄嵩
出版日2004年05月
平均点6.31点
書評数26人

No.26 6点 E-BANKER
(2023/02/18 13:27登録)
今さらながらとでも言うべき?作品集を読了。
木更津という存在は「銘」探偵ではなく、「名」探偵なのが、作者特有のアイロニーなのだろうか?
単行本は2004年の発表。(もうかなり前になったね・・・)

①「白幽霊」=京都の富豪一族内で起こったお家争いと殺人事件。本格作家ならもっとドロドロした愛憎劇を書きそうなものだが、作者は一味も二味も違う(っていうか無味?)。あくまでもドライに徹する。木更津(でいいのか?)の辿り着いた真相も、関係者たちの証言の齟齬を突くという実にオーソドックスな短編。でも、これが一番納得感のある一編にはなっている。
②「禁区」=“禁句”ではなく“禁区”である。その昔、中森〇〇の曲のタイトルにもなったような・・・(それも踏まえているのか?) それと、「大富豪」!(トランプのね) よくやったねぇ・・・懐かしいわ! で、本題は? ってなかなかにブラックな結末です。登場人物がゲームの駒のように感じる。
③「交換殺人」=出ました! 新本格の作家たちが一度はチャレンジするテーマ。それが「交換殺人」。歌野や法月の作品も面白かったけど、作者の「交換殺人」はやはり“角度”が違っていた。こんなケッタイな交換殺人は果たして成立するのだろうか? 当事者もこんがらがってしまいそうに見えるのだが・・・ それを解きほぐす木更津?も相当ひねくれてる。
④「時間外返却」=これも最近はなくなりましたなぁー。レンタルビデオの時間外返却(TSUTA××の前に置いているやつだね)。これが木更津の不信感を誘い、実に意外な真犯人を炙り出す。ただ、如何せん短編なので登場人物が少なすぎて察してしまうのが玉に瑕。あと、二つ目の殺人はどう考えても蛇足でしょう。

以上4編。
作者にしては正統派の本格ミステリー短編集に仕上がっている。
なのだが、やはりそこかしこにブラックでトリッキーな風味付けがなされているのが良い。
久しぶりの比較的初期の作品を読んだので、木更津やら香月やらの関係性なんて忘れていたよ。
レベルとしてはやはり高いし、どれも一筋縄ではいかない作品ばかりで、あらゆる角度から意外な結末が用意されている。「白幽霊」というのが、全編に共通して見え隠れしているというのも旨いね。
で、ラストの香月のセリフってどういう意味なんだ?
評価はこんなもんでしょう。
(個人的ベストはやはり③か。後もそこそこ良い)

No.25 7点 虫暮部
(2022/04/13 12:41登録)
 本書の主人公達がこだわるような、“探偵” ではなく “名探偵” と言う概念は、日本語独特のものだろうか。単なる good とか famous とは違う感じだよね。中国語ならアリ? ガラパゴス的に拗らせて進化した “名探偵” と付き合えるのは日本語人の特権かも。
 「禁区」の手掛かりが秀逸だと思う。

No.24 5点 じきる
(2021/05/08 01:43登録)
それなりに楽しめたが、麻耶作品の中だとややインパクトに欠けるか。
木更津と香月のコンビが好きな人にはおすすめ。

No.23 6点 レッドキング
(2020/03/02 22:52登録)
「白幽霊」 麻耶十八番の左右と高さのロジックによる犯人特定。
「禁区」 入ることのみならず見る事さえ忌避する「方忌」からの犯人直感。
「交換殺人」 交換殺人ロジックと人間関係トリックの見事な結合。
「時間外返却」 死体とともに埋葬されなかった物から殺害場所を特定するロジック。
京都市北地区の高級住宅街に現れる「白い幽霊」にちなんだ短編集で、ここまでならばTVドラマ「相棒」に毛が生えた程度の5点。

5点だが、この作品、古今東西で最も愛するミステリの「翼ある闇」同様に、ワトスン役の香月実朝こそが真の主人公。彼、「翼ある闇」では、名探偵:木更津悠也、銘探偵:メルカトル鮎をも越えたスーパー探偵だったが、ここでも最後の最後に、メルカトルの〇〇〇〇に相応しいブラックさを醸し出してくれている。この外連味に点数1点オマケ。

No.22 6点 ボナンザ
(2019/09/30 21:22登録)
相変わらず香月が無双過ぎるが、メルカトルシリーズに比べると凶悪さは薄め。
最後の会話はシリーズの根幹を揺るがしたかと思うのだが、二人ともあっさり流すのがなんとも。まあ、一作目の時点で木更津薄々気づいてるっぽいしね。

No.21 5点 いいちこ
(2016/04/04 20:16登録)
作者としては珍しいオーソドックスなフーダニット。
当然一定の水準には達しているものの、他作と比べればパンチ力に欠け、凡庸な印象は拭えない。
ホームズ・ワトソンの関係に新たな地平を切り開く試みが味付けをしているものの、作品としての面白さにダイレクトにつながっているとは感じられなかった

No.20 8点 青い車
(2016/02/03 22:15登録)
各話の感想です。
①『白幽霊』 ベーシックなフーダニット作品。推理が若干食い足りない感じですが、そつなくまとまっている印象です。
②『禁区』 これは面白い。推理のキレが抜群です。本格ミステリーの世界ではありえないあの存在を推理の核としているあたり一筋縄ではいかない作品でもあります。
③『交換殺人』 交換殺人といえば法月さんが得意とするテーマですが、本作は新たな可能性を切り拓いた作品といえます。
④『時間外返却』 意外な犯人が目を引きますが、しっかりロジカルな推理も両立させた良作です。

全体として表面的な派手さは控えめですが、木更津と香月の関係や独特の不謹慎さがアクセントとなっていて、麻耶さんらしさはちゃんとあります。それでいて論理性もしっかりした作品ばかりで、作者がまっとうなパズラーを書かせても優秀であることを示した短篇集だと思います。

No.19 6点 風桜青紫
(2015/12/29 07:18登録)
クレイジーな作品が印象を残す麻耶雄嵩だけども、正統派の本格ミステリもなかなか面白い。幽霊の存在を絶妙に推理のフィールドに持ち込む『禁区』や、共犯の構図の妙が光る『交換殺人』。本格ミステリとしてどの短編も充実しているんだが、注目すべきはワトソン役の香月くんのノリノリぶり。木更津大好きぶりがなんともよく伝わってきます。殺人事件のどんよりとした空気のなか、香月くんがキリッとした顔のまま、「キャー! 木更津かっこいい!」なんて頭の中ではしゃいでいると思うと、なんとも笑えてきます。『時間外返却』のラストといい、こいつら人間の命をポテトチップスか何かと思ってるな……。

No.18 6点 まさむね
(2013/06/22 14:27登録)
 オーソドックスな本格短編集。
 ちょっと読みづらい面もありましたが,内容はどの短編も水準以上。
 ちなみにワトソン役の香月については,ワトソン像の新類型としては面白い設定だと思うのですが,香月のキャラ自体はあまり好きになれなかったな。

No.17 4点 simo10
(2012/11/10 10:54登録)
翼ある闇で登場した名探偵、木更津悠也が活躍する短編集です。以下の四話で構成されます。

①「白幽霊」:各人の証言をきっちり拾っていけば矛盾点が浮かび上がり、解決の糸口となるようです。カーテンの描写だが、コの字型に切っただけなのか、完全に切り取ったのかがよく解らん。
②「禁区」:知耶子は何を見たのか?着眼点は面白いけど、知耶子の発想は飛躍し過ぎだし、周りがそれを理解するのも有り得ないと思う。
③「交換殺人」:交換殺人のメリットは動機がバレバレでもアリバイを作れることにあるが、本作では交換殺人を露見させることで真の動機を隠すことにある、と解釈して良いのかな?それでも普通に警察にバレると思うんだが。
④「時間外返却」:様々な伏線の意味は理解できたけど、それだけで犯人を割り出すのは本当に可能なのかな?まあ名探偵だから可能なんだろうな。意外過ぎる犯人が面白い。

木更津と香月の関係はホームズとワトスンのそれではなく、毛利小五郎とコナン君の関係に近い。必ず香月の方が先に真相に辿り着き、後は木更津の名探偵としての活躍を密かに楽しむという設定がちょっとSっぽいが面白い。
しかし最大の難点だが、初期の麻耶氏の作品は非常に読み辛いし解り辛い。忙しい時に途切れ途切れに読むと全然解らん。だからといって再読しようと思う程面白いとも思わなかった。

No.16 5点 3880403
(2011/06/06 15:38登録)
個人的には麻耶作品の中ではパンチが効いていない気がする。
香月のひねくれ具合も(他の作品の)メルカトルと比べると物足りない。

No.15 6点 測量ボ-イ
(2010/09/25 13:14登録)
氏の短編集をはじめて読みました。

「白幽霊」
犯人の意外性、というより動機の意外性が楽しめました。
個人的には本短編で一番良い出来と思います。

「禁区」
タイトルは気が利いていますが、内容は平凡な印象。

「交換殺人」
この犯人は指摘しずらいと思いますが、きちんと伏線が
はられているのはさすがです。

「時間外返却」
ビデオを時間外返却しなければならない理由は納得しか
ねる部分ありますが、他の伏線から真相の推理は確かに
可能ですね。

総合評価ではまず水準レベルですが、本格色が強い構成
なのは好感持てます。

No.14 6点 メルカトル
(2010/07/18 23:40登録)
本格物の短編集としては水準を超えていると思う。
ただ、木更津の扱いはちょっと可哀想な気がする。
香月は相変わらず性格が悪いな、というのが実際の感想。
ワトソン役の新型としては成功しているかもしれないが、個人的にはあまり印象が良くなかったのでこの点数。

No.13 8点 文生
(2010/01/21 13:14登録)
よく出来た本格短編集です。
そしてさらにそこに幽霊の存在を仄めかせてホラー風味を加えたところが秀逸。

No.12 5点 江守森江
(2009/05/24 05:40登録)
どうもこの探偵に馴染めない。
その点も含めて作者の手の中なのかも知れないが。
各作品自体はオーソドックスな本格。

No.11 8点 teddhiri
(2008/10/28 18:49登録)
 ひねってはいるものの、基本的にはスタンダードな本格ミステリで「時間外返却」がイチオシ。

No.10 7点 konn
(2008/09/22 20:27登録)
面白かった。個人的にはメルカトル・美袋のペアが好きで、どちらかと云うと香月・木更津はどうでもよかったんですが、これを読んで大好きになりました。

しかし、香月がいなかったら木更津はどうなるんだろうという……。
何と云うか麻耶雄嵩は既存の名探偵・ワトソン像にひねりを加えるのが上手いなぁ。

No.9 5点 いけお
(2008/05/10 23:12登録)
良くも悪くも普通。いろいろな意味で。

No.8 6点 itokin
(2008/03/05 09:50登録)
謎解きとしては1級品だが深みがなく心に響かない。短編なので難しいのは解かるが・・・。

No.7 6点 おしょわ
(2008/01/14 14:27登録)
まぁ悪くはないです。ただ、やっぱり「メルカトルと美袋~」と比べると落ちますね。
時間外返却は良かった。

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