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ミステリの祭典

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まさむねさんの登録情報
平均点:5.86点 書評数:1195件

プロフィール| 書評

No.495 6点 本所深川ふしぎ草紙
宮部みゆき
(2014/11/03 21:38登録)
 岡っ引きの茂七親分が活躍する,時代小説短編集。
 ミステリーというよりも,人情モノという側面が強いかな。「片葉の芦」「送り提灯」「落葉なしの椎」が良かったですね。弱いんですよねぇ,人情を前面に出されると。
 宮部さんの時代小説をもう少し読んでみようかな,という気にさせられましたね。


No.494 6点 迷いアルパカ拾いました
似鳥鶏
(2014/10/25 22:32登録)
 「楓ヶ丘動物園」を舞台にした,動物園ミステリーシリーズ第3弾。
 文庫版で234ページという,長めの中編と言ってもよい分量。これまでの作品同様,「動物園」への深い理解が伝わってきました。サラサラと読みやすく,「犯人は?」って疑問を終盤まで持ち続けさせる辺りに作者の力量を感じます。


No.493 4点 アガサ・クリスティー賞殺人事件
三沢陽一
(2014/10/23 23:27登録)
 「致死量未満の殺人」で第3回アガサ・クリスティー賞を受賞した作家による,受賞後第一作品。そしてこの表題作ときた。分かり易いですねぇ。
 さて,前作「致死量未満の殺人」は,文章力にやや難があり,派手さもなかったものの,プロット自体は極めて堅実で,むしろ好印象を抱きました。
 で,本作品は5編で構成される連作短編集。個人的には,前作での好印象に加え,「作家や評論家が実名で登場。さらに被害者は有栖川有栖」という謳い文句に惹かれて手にしたわけですが,実質的にその謳い文句が活かされるのは,最終話となる表題作にたどり着いてから。
 最終話までの4作品は東北の各地を舞台にしたもので,堅実とも言えるし,無難すぎるとも言える内容。決して嫌いではない部類(特に「柔らかな密室」は何気に好きなタイプ)なのですが,何と言いますか,表現も含めて「新しさ」は感じ得ないかなぁ…と。
 最終話については,相当な肩すかし感を抱きました。トリックも薄目だし,動機も強引すぎる。前4話の存在意義もよく分からず,連作短編集としてちぐはぐ。残念。
 それと,有栖川ファンの私にとっても,最終話での「有栖川押し」の強さにはちょっと引き気味になりましたねぇ。これも如何なものかなぁ…と。


No.492 6点 白い兎が逃げる
有栖川有栖
(2014/10/19 23:00登録)
 私事ですが鳥取を訪問する予定があったため,敢えてこの日程に合わせて手にした次第。
 で,表題作。あれ?鳥取自体はあまり登場しないのね…ってのは自分勝手すぎるか。でも個人的に利用機会が多い(現に今回も利用した)関西空港も舞台だったから,まぁいいか。ちなみに,この空港を利用する機会の多い人間にとっては結構わかり易いトリックだったですかねぇ。中編の長さが必要だったのか,内容的にも疑問。
 表題作よりも,「不在の証明」と「地下室の処刑」の2短編をお薦めしたいかな。


No.491 5点 魔法使いと刑事たちの夏
東川篤哉
(2014/10/15 22:06登録)
 魔法使い「マリィ」シリーズ第2弾。
 魔法の使いっぷりとしては,倒叙形式だからこそのギリギリのラインを守っているのですが,魔法使いという設定をミステリの構成に活かしきれているのかと問われれば,かなり疑問。マリィのキャラ自体は結構好きなのですがね。、
 内容自体としては,犯人の発覚理由にニヤリとさせられるものが多く,なかなか楽しめました。「魔法使いと妻に捧げる犯罪」の伏線にもニヤリ。大技はないですが,気軽に楽しみたい方にはよろしいのではないでしょうか。


No.490 4点 豆の上で眠る
湊かなえ
(2014/10/11 21:41登録)
 終盤前までは,さてさて何が隠されているのか…とグイグイ読ませます。で,期待も高まったうえの終盤で急失速。実際の複数の事件を,不謹慎な表現と知りつつ敢えて書かせていただければ,「イイとこ取り」しているだけという気がします。でも現実的にはあり得ない。ネタバレを避けて敢えて多くは述べませんが,いくつもの点でもの凄く疑問が残ります。いやぁ,現実感がなさ過ぎますなぁ。


No.489 7点 ○○○○○○○○殺人事件
早坂吝
(2014/10/07 00:06登録)
 第50回メフィスト賞受賞作品。
 冒頭にある「読者への挑戦状」において,メインは,犯人当てでも,トリック当てでも,動機当てでもなく,「タイトル当て」とありますが,正直,タイトル自体にとてつもない楽しみが隠されているわけではありません。そして,もの凄く品がない内容であります。下品極まりなし。毛嫌いする方も多いでしょう。
 でも,私は嫌いじゃないです。っていうか,結構好き。誤解の無いように申し述べれば,決してお下劣な表現が好きだということではなく,実は,伏線も含めてしっかりと練り込んでいるからであります。最大の大仕掛けについても,「馬鹿馬鹿しい!」と思いつつ,それは怒りには発展せず,何故か清々しさ(ちょっと誇張)すら感じさせます。
 皆様同様,前半の冗長さはもっと工夫の余地があると思いましたが,いろんな意味で次回作に注目せざるを得ない作家さんではあります。


No.488 7点 さよなら神様
麻耶雄嵩
(2014/10/04 23:10登録)
 ミステリーランドの衝撃作「神様ゲーム」に続くシリーズ第2弾の連作短編集。
 読みどころは,第4話「バレンタイン昔語り」でしょうか。「ああ,コレかぁ…」と思わせつつの更なる仕掛けが見事。これも前半3作品があってのこと。最終話を含めて,全体構成はいかにも「麻耶作品」です。
 ちなみに,登場人物の名字は三重県内のJR関西本線&伊賀鉄道(作者の出身地ですね)の駅名から採用しています。こういった,いつもの麻耶さんの遊び心は結構好きです。


No.487 7点 民宿雪国
樋口毅宏
(2014/09/28 16:23登録)
 老年になってから画壇デビューし,国民的画家となった「丹生雄武郎」。彼は,新潟の海辺の民宿の主でもあった。97歳の長寿を全うした彼の生涯について,生前に残した日記などを基に,あるライターが追っていく…。
 前半の,目新しさはないながらもトリッキーな展開に,まずは掴みとられました。中盤以降の,昭和史を絡めた怒涛の展開も凄い。過激さと繊細さが同居しています。「問題作」との書評もある意味頷けるのですが,単にこの3文字では言い表せない何かを感じます。


No.486 6点 インサート・コイン(ズ)
詠坂雄二
(2014/09/25 22:24登録)
 すべてゲームをモチーフにした連作短編集。
 内容は措いておき,個人的にはスーパーマリオの考察(なぜキノコは動くのに,ファイヤーフラワーは動かないのか)に引き込まれましたね。ドラクエⅢの薀蓄(あれだけのデータ量であれだけの世界を構築していたという事実)にも驚かされました。改めてプレイしたくなったなぁ…。
 ミステリとは言い難い作品がほとんどなので(掲載順も仕掛けの一つなのでしょうが,私はソレをミステリには括らないので…),このサイトでの採点は控えめにしますが,ファミコン世代には,懐かしさ満載で楽しめるのではないかと思います。
 しかし,何かしらの「捻くれ」を配置する作者さんですねぇ。


No.485 6点 しらみつぶしの時計
法月綸太郎
(2014/09/23 13:24登録)
 ノンシリーズの短編集。印象に残った作品について短評を。
①使用中
 こういう「密室」もイイ。本短編集中のベストかな。
②ダブル・プレイ
 交換殺人からの反転の妙が印象的。似たプロットを見たことがあるような気もしますが。
③しらみつぶしの時計
 「1分ずつ異なる時を表示する1440個の時計の中から,6時間以内に唯一正確な時計を探さなければならない」という命題への,解決までの過程が秀逸。オチは何とも微妙ですが,ランドルト環の使いっぷりを含めてむしろ印象に残りそう。

 その他の作品は,良く言えばバラエティに富んでおり,悪く言えば寄せ集め。その中でも印象深かったのは,都筑道夫氏の「退職刑事」シリーズのパスティーシュ「四色問題」かな。(ミステリとしては相当に期待外れながら,都筑氏への愛が感じられるなぁ…と。)
 総合的に,「法月綸太郎 」シリーズの短編集には及ばないですね。


No.484 5点 虚ろな十字架
東野圭吾
(2014/09/13 22:36登録)
 学生時代から死刑制度について考えることがあり,その点では,なかなか興味深かったですね。
 一方で,ミステリーとしては何とも…。展開がわかり易いですし,意外性も…。
 登場人物ひとりひとりの人生ドラマとして,さらに,死刑制度を含めた刑罰のあり方を考える作品として捉えるべきでしょう。


No.483 5点 赤緑黒白
森博嗣
(2014/09/08 22:05登録)
 Vシリーズの最終作品。
 この作品単体で読んだとしたら,何とも中途半端な印象を受けると思います。フーの捻りも分かり易いし,動機も常人には理解不能。
 一方で,S&Mシリーズを含めた森ワールド全体を見渡せば,極めて重要な「仕掛け」のヒントが,この作品のラストに示されています。(実は,自分の解釈が間違っていないかネタバレサイトで確認し,なるほど更にこんな仕掛けもあったのか…と改めて驚いたりしたのですが。)
 もはや単体のみでは真に楽しめないワールドを構築していて,ソレが良いことなのか否か…自分でもちょっとよく分からなくなっています。次の四季シリーズに手を付けるかどうか,しばらく悩むことになりそうです。


No.482 7点 法月綸太郎の功績
法月綸太郎
(2014/08/27 22:04登録)
 粒ぞろいの短編集。この作者の短編は本当にレベルが高く,ハズレがないですね。
 ベストは日本推理作家協会賞(短編部門)受賞作の「都市伝説パズル」。ド直球の本格短編で,シンプルな構成がこれまたイイ。ラストまで考え抜かれています。この作品のみ再読だったのですが,数年ぶりに読んでも楽しめました。
 次点は「イコールYの悲劇」か。個人的にダイイング・メッセージ系は苦手なのですが,それ以上の捻りとロジカルな解決に満足。
 「ABCD包囲網」の反転も見事。でも,作者本人も認めている「警察は何のために犯人に罠をかけたのか?」という点は気になりましたねぇ。


No.481 5点 菩提樹荘の殺人
有栖川有栖
(2014/08/25 23:29登録)
 そもそも昔から火村シリーズは読み心地がよくてお気に入りなのですが,この短編集の共通テーマである「若さ」の苦さが,これまた心地よかったですね。(ちょっと強引かなぁ…と思わなくもない作品もありましたが。)
 その中でも,「探偵、青の時代」に登場する,学生・火村の立ち振る舞いが最も印象に残りそうかな。


No.480 6点 貘の檻
道尾秀介
(2014/08/16 19:10登録)
 近年は非ミステリ作品も多い作者ですが,この作品は,作者の初期作風を思い起こさせ,ファンとしては懐かしさとともに(?)引き込まれました。過去と現在,夢と現実が入り混じった構成,舞台が地方の寒村,向日葵とか蜘蛛も登場して…って,初期の複数の作品が思い浮かびますよねぇ。
 というわけで,ちょっと過度に期待を膨らまして読んでしまったのかも。いや,確かに作者らしい展開だし,少なくとも現実の風景&人物描写はイイのだけれども…この点数くらいにしておきます。
 ちなみに,悪夢の描写は結構くどくて読み飛ばしたくなりました。無論,この部分が特徴といえば特徴なのですが…。この点については,好き嫌いがハッキリと分かれると思いますね。


No.479 5点 地下街の雨
宮部みゆき
(2014/08/10 10:20登録)
 反転重視の作品からホラー風味の作品まで、幅広い7編から成る短編集。
 気の利いた反転の「さよなら、キリハラさん」と表題作「地下街の雨」が良かったかな。「ムクロバラ」の狂気と温かさも印象的。


No.478 5点 朽ちる散る落ちる
森博嗣
(2014/08/03 23:39登録)
 このシリーズも9作目。「空前の地下密室と前代未聞の宇宙密室」なのだそうです。
 地下密室は,まぁこの作者らしいのかもしれませんが,宇宙密室はどうかなぁ?あっちの国まで巻き込んじゃっているという意味で,確かにスケールはデカいけれども…。それと,読んでいて何か疲れちゃったなぁ…。
 ちなみに,短編も含めて,このシリーズは発売順に読んだ方が確実に楽しめますね。


No.477 6点 影踏み
横山秀夫
(2014/07/30 23:37登録)
 犯罪者(出所したばかりの窃盗犯)を主人公に据えた,横山作品の中では異色と言ってよい連作短編集。ハードボイルド的な色彩もあって,結構新鮮な気分で読み進められました。
 火事で亡くなった双子の弟「啓二」や,恋人「久子」との関係も気になって,グイグイ読ませます。勿論,筆者のリーダビリティの高さがあってこそですが。
 ラスト2編,「遺言」と「行方」が好み。こういう横山作品もイイと思いますよ。


No.476 5点 東京下町殺人暮色
宮部みゆき
(2014/07/26 22:16登録)
 非常に読みやすい作品と言えますが,普通といえば普通。
 華はないけど,家政婦の「ハナ」さんはいい味出してます。

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