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ミステリの祭典

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桜宵
『香菜里屋』シリーズ2

作家 北森鴻
出版日2003年04月
平均点6.86点
書評数14人

No.14 6点 ALFA
(2023/07/19 09:12登録)
香菜里屋シリーズ第2作。

謎を肴に酒を飲むといった風情の短編5話。謎が次第に重くダークになっていく。
読み応えがあるのは第5話「約束」。
辛口の真相はいいが開示がやや説明的になったのが惜しい。よりドラマチックなエンディングが欲しかった。

No.13 5点 ボナンザ
(2022/01/09 20:32登録)
二冊目でも話のクオリティを落とさず、ほっこりした話にもダークな話にも持って行けるのは見事。

No.12 6点 take5
(2019/02/20 23:15登録)
短編の方が結局一気に読める、
書き手の人物描写や食描写?が上手い、
旨いからでしょう。
都合がよすぎるというか、
発想が飛躍し過ぎる作品もありますが、
『約束』などは名作だと思います。

No.11 5点 ボンボン
(2017/03/04 22:13登録)
ビアバー香菜里屋の連作短編第2弾。前作よりスッキリとまとまった連作らしさが出て、世界観が落ち着いた印象だ。名探偵役のマスターの工藤が言うとおり「歪んでいる」人たちがちょっとあり得ないことをやらかすのだが、あくまでも「日常の謎」の中からはみ出すつもりはないらしい。通報しなくていいのか、と思わないでもないが、徹底的に一般人で通す態度がいっそいさぎよい。
この作品の重要ポイントである工藤の出す料理や酒類の素晴らしさは、それを賞味し、ほーっと緊張を解く客の五感のレポートにより表現される。時々、謎の究明に緊張して温かいうちに折角の料理をいただかない人がいると、そっちが気になってしまう。もったいない。

No.10 6点 まさむね
(2015/07/20 16:34登録)
 連作短編集「香菜里屋」シリーズの第2弾。
 前作「花の下にて春死なむ」における、ビアバー「香菜里屋」の雰囲気に魅了されたワタクシといたしましては、謎に対する伏線があったのか…とか、ちょっと現実には考えられないよなぁ…とかいうことは脇に措いて、楽しめましたね。常連客がいい味を出しているんですよねぇ。料理の表現がまたイイ。皆さまが書かれておりますとおり、こんなバーが近くにあればなぁ…と思わずにはいられません。個人的ベストは、珍しく工藤マスターが主張し、かつ、怒りを隠さなかった「約束」か。

No.9 6点 ウィン
(2010/09/25 12:07登録)
ちょっとした日常ミステリを描いた短編が収められた作品集なのだと思う。
だが、俺はそんなことよりも、作中に登場する美味しそうな食事の数々に思わず唾が出てしまいそうだった。
これはミステリというよりも、美味しい食事たちを描いた作品集だと思う、俺は。
もし、ほんとにこの店があったなら、どこであろうと俺は行くだろうと思う。
そして成人したら美味しい酒も飲んでみたい。
作中で美味しい食事を食べている客たちが実に恨めしい。

No.8 8点 E-BANKER
(2010/08/31 22:21登録)
ビア・バー「香菜里屋」シリーズの短編集第2弾。
どれも余韻の残る珠玉の作品集になっています。
①「十五周年」=正直、そんな理由でそこまでするか?という気にはさせられます。
②「桜宵」=表題作に相応しい美しい作品。「御衣黄」という名の珍しい桜がミステリーに華を添えます。
③「犬のお告げ」=なんかありそうでなさそうな、なさそうでありそうな話。”リストラ”が絡むと無条件に切ない話になりますね。
④「旅人の真実」=マスター工藤の親友(?)が登場。
⑤「約束」=工藤が初の地方出張(?)。女って嫌だねぇ・・・と思わずにはいられません。
以上5編。
前作「花の下にて春死なむ」を凌駕する一作。作者にしか書けない独特の作風が光ります。
それにしても、近くに「香菜里屋」があったら、絶対通うなぁ・・・(誰もがそう思うでしょうけど)

No.7 7点 simo10
(2010/05/05 22:33登録)
香菜里屋シリーズ第2弾。5つの短編で構成されています。

①「十五周年」:まあ特に裏のない、暖かいお話です。
②「桜宵」:最期を予期した人は大切な人のために何を残してあげられるのか。中々出来る事ではないです。
③「犬のお告げ」:様々な悪意が交錯しており、正に「歪んでいる」の一言。
④「旅人の真実」:献身的なお話と思いきや、これまた歪んだ話。
⑤「約束」:切々と語られる独白文が重い。予想外のダークなお話。

読み終わってから気がついたのですが、話が後半に進むほどに登場人物の歪み具合、悪意が深くなっているような気がします。
しかし、第一弾「花の下にて~」に続き、文章が非常に綺麗でした。
個人的には②、⑤が好きです。

No.6 8点 makomako
(2010/01/17 10:14登録)
 香菜里屋シリーズで出てくる謎は殺人などのような大事件はほとんど無い。すべて店に来る人が持ち込む日常に起こりうるような出来事を常連さんたちがいろいろ推理していき、最後に名探偵の店の主人が解決するというパターンの話。連作となると途中で飽きて仕舞いがちであるが、読み進むにしたがって常連さんたちが親しく感じられ、暖かくそして孤独で寂しい世界へ引き込まれる。作者の力量が高いのだろう。ちょっとはまってしまった。
 

No.5 6点
(2009/08/22 13:52登録)
香菜里屋シリーズ2作目。
「十五周年」は予想通りの結末だった。きれいな終わり方はあまり好きじゃないけど、予想が当たったので満足できた。でも、他はまずまずかな。複雑なロジックには慣れてきたけど、常連の登場人物が善人すぎるし、なんか堅苦しいし、大満足とはいえなかったな。料理はよかったけどね。

No.4 8点 itokin
(2008/11/24 17:03登録)
北森作品は3作目、やはり北森さんはただ者ではない。短編でここまで書ける人は少ない、誰でもが持っている心の秘密を淡々と解き明かしその人の将来を思いはかる終わり方に共感をよぶのかもしれない。

No.3 8点 こもと
(2008/04/28 22:49登録)
 ひとまず、今の私にとって理想の男性は、工藤さんですね(いや、のっけからソレかい!/笑)
 「香菜里屋」シリーズの第2短編集ですが、今作も粒揃いです。
 短編集となると、大抵、「表題作が一番良かったな」と思うのが常なのですが、今回は『十五周年』のラストシーンでやられました。 工藤の温かな人柄が、行間にあふれすぎですから。
 そして、ミステリ的要素としては、『約束』が一番楽しめたというところでしょうか。
 私の中でこのビアバーは、ノーマン・ロックウェルが描く絵の造りなんですが、白い縦長の提灯だけが、なかなかイメージにはまらなくて困っています(笑)

No.2 9点 ひこうき雲
(2007/05/31 21:58登録)
『花の下にて春死なむ』のビアバー「香菜里屋」のマスター工藤が持ち込まれる謎を解き明かす。シリーズ第2作。
この5作の短編は『花の下にて春死なむ』より、1つ1つの内容がしっかりして面白い。2作目だけあって、「香菜里屋」や登場人物が明確な色合いが出されている。
どれも面白いけど、「桜宵」、「約束」が特にいいかな?。

No.1 8点 しゃんてん
(2003/07/12 17:01登録)
 ます、食べ物がものすごくおいしそう。読んでいるだけでお腹がすく。それほど、詳しく書いているわけでもないのだが、すごく食べたいという気持ちにさせられた。
 工藤の推理は必ずしも論理的ではないし、事実と照らし合わせることでしか証明が不可能である。短編によっては事実によってすら確かめられないものもある。しかし、それでも、彼の推理が導き出した結論が真実味を帯びているように思える。それは、彼の推理の中に、人間の心理が上手く描かれているからではないだろうか、そんな風に思った。

 最近の本格ミステリでは「動機から犯人を割り出すのはださい,動機を追及できやしない」そんな、傾向があるように思う。この作品は、そんな傾向に真っ向からぶつかっていて面白い。淡くて切なくて悲しくて、がちがちの本格ミステリには無いものを持っているだろう。

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