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ミステリの祭典

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あぶない叔父さん

作家 麻耶雄嵩
出版日2015年04月
平均点5.29点
書評数7人

No.7 5点 ボナンザ
(2020/07/31 19:46登録)
まさかこのタイトルネタを本当に短編集にして書く作家がいるとは・・・。

No.6 5点 レッドキング
(2020/01/04 17:15登録)
「化石少女」もこれも、「麻耶、劣化してるのか?」という危惧とともに、「もしかしたら、あとで振り返ってみれば『後期麻耶雄嵩』の領域が始まってるのかもしれん」という期待も持たせてくれる(かな?)。

No.5 5点 E-BANKER
(2018/06/25 21:27登録)
~寺の離れで「なんでも屋」を営む俺の叔父さん。家族には疎まれているが、高校生の俺はそんな叔父さんが大好きだった。鬱々とした霧に覆われた街でつぎつぎと発生する奇妙な殺人。事件の謎を持ちかけると、優しい叔父さんは鮮やかな推理で真相を解き明かしてくれる・・・~
2017年発表の連作短篇集。

①「失くした御守」=“失くしてしまったウサギの御守と心中事件”が描かれる第一作。ラストへ来て、いきなり訪れる衝撃! 『なんじゃ、この真相&結末は!?』
②「転校生と放火魔」=小学校時代に付き合っていた元カノが再び転校生として現れる第二作。放火魔に狙われる転校生を守ろうとする主人公なのだが、ここでも衝撃(?)の真相&結末が!
③「最後の海」=“海の絵と首吊り殺人”がテーマとなる第三作。密室からの被害者の脱出方法が問題となるのだが、何とも脱力系の真相・・・。そして、またしても○じようなカラクリが・・・
④「旧友」=“犬神の祟りと旧友”の第四作。これもある種の密室状況が懸案となるのだが、トリックっていうか真相は「そんなこと!」的なヤツ。そしてまたしても・・・。これは・・・どういう狙い?
⑤「あかずの扉」=“温泉の死体とあかずの扉”がテーマの第五作。これまた死体はあるが、誰も現場に入れなかったという密室状況が繰り返されるのだが、この真相には怒り出す人もいるのではないか? いくら温泉の湯煙があるといっても、見たら分かるだろ! そして④までと同じことが・・・
⑥「藁をも掴む」=“学校の七不思議と投身自殺”が描かれる最終譚。今回は違うのかと思っていたが、最後にはまさかの展開! またもやなのか! ラストも何の余韻もないまま唐突にFin。

以上6編。
これは・・・一体なに? 狙いは?
冒頭の紹介文では、叔父さんがまるでアームチェア・ディテクティブとして事件の謎を解き明かすかのように書いているが、実際には大きく違う!
ネタバレになってもいけないけど、こんなミステリーには今まで接したことがない。
何せ、探偵役が推理をしないのだから・・・

「貴族探偵」「神様ゲーム」はまだ十分にまともだったけど、「化石少女」といい本作といい、ミステリーという概念を大きく歪めるような作品だな・・・
別に非難しているわけではないんだけど、この試みが素晴らしいと賞賛する気持ちは一切起こらない。
作者の“遊び心”だということで、いい意味に解釈しておこう。

No.4 6点 いいちこ
(2015/10/14 11:15登録)
メルカトルとシリーズは違えど、本格ミステリにおける探偵の存在意義を追求する、昨今の作品と軌を一にする連作短編集。
真相の趣向自体は類似の前例が複数存在するが、フォーカスしているポイントが違う。
推理の無謬性を保証するのは、推理そのものの合理性・論理性ではなく、探偵の存在の絶対性であり、その探偵を「神様」から「あぶない叔父さん」にまで昇華(?)させたとき、推理の無謬性は結局推理を受け入れる側に収斂するということなのか。
こうしたミステリの本質に対する深い問題認識といい、それを金田一耕助のパロディや、バカトリック塗れのバカミスにしてしまうあたりといい、余人の追随を許さない奇想であることは間違いない。
ただ一方で、本格ミステリとしての底の浅さ、狙いがストレートで重量感に乏しい点も事実。
毀誉褒貶の激しい作品

No.3 6点 虫暮部
(2015/10/07 10:50登録)
 『化石少女』で味を占めたか……。

No.2 5点 まさむね
(2015/09/26 14:50登録)
 うーん、「ひねくれてますねぇ、相変わらず」って感じ。良くも悪くも、ひねくれているんだよなぁ。
 探偵役とは何かを突き詰めた設定なのだという受け取り方もあると思うのですが、個人的には金田一耕助のパロディに見せかけたバカミスっていう評価。「マジか?」と突っ込まざるを得ない低レベルのトリックも散見されます。真紀と明美を設定した意義も、最終的にはよく判らない。
 様々な側面で中途半端な印象を受けましたねぇ。続編を想定しているのであれば、まぁ、分からないではないけど…。

No.1 5点 kanamori
(2015/05/12 18:39登録)
海と山に囲まれた田舎町で次々と発生する奇妙な殺人事件。お寺の息子で高校生の”俺”は、寺の離れに住む”なんでも屋”の叔父さんのもとに相談をもちこむと、叔父さんは事件の意外な真相を語り始める--------。

タイトルはポースト「アブナー伯父」のもじりのようですが、内容に特に関連性は見当たらず、パロディやオマージュ的なものではないようです。むしろ、叔父さんの風貌は金田一耕助のパロディぽいのですが.........。
本書は、ミステリ小説の中の”探偵役”という装置をいじくり回して、真面目な読者を翻弄させた今年の本格ミステリ大賞受賞作「さよなら神様」に連なる作者らしい趣向が施された連作ミステリ。ひとつだけ例外があるけれども、それも一種のフェイントかもしれない。
とはいっても収録作を個別に見ていくと、発想の転換でアリバイと密室の謎が一気に解かれる「旧友」がまずまずの出来栄えと言えるものの、「最後の海」や「あかずの扉」を代表格に、ほとんどの作品で新人作家が書いたなら袋叩きにあいそうなバカトリックが連発されていて、謎解きものとしてはレベル的にはとても高いとは言えない。叔父さんのどこかぬけぬけとした真相説明が仄かな可笑しみを醸し出してはいるんですが、肝心のトリック部分が残念レベルです。
高校生の”俺”のプライベートを中心とした青春学園ものの要素のほうが印象に残るものの、それも何か中途半端に終わっていて消化不良な読後感でした。

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