まさむねさんの登録情報 | |
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平均点:5.87点 | 書評数:1226件 |
No.946 | 6点 | 珈琲店タレーランの事件簿6 岡崎琢磨 |
(2021/05/02 16:14登録) タレーランのオーナー・藻川又次が突然狭心症で倒れ、緊急入院。又次は手術を前に弱気になったのか、又姪のバリスタ・切間美星に相談。4年前に他界した妻・千恵は、7年前に又次がコーヒーカップを割ったことに激怒し、1週間の家出をしていた。その理由は何だったのか、常連客のアオヤマとともに調査する美星だが…。 全体の流れとしては、無難にまとめているのだと思います。シリーズ6作品の中で移動距離は最も長く(といっても、京都・浜松・天橋立くらいだけど)、観光紹介めいた部分もあって、楽しくは読ませていただきました。でも何というか、結構な違和感を抱いたのですねぇ。ソコまで詮索するかねぇ…とか。何より、とあるお二人の行動って一般論としてどうなのよ…とか。それぞれの身勝手さを感じてしまうのは私だけなのでしょうか。 |
No.945 | 6点 | 孔雀狂想曲 北森鴻 |
(2021/04/24 19:53登録) 下北沢の片隅にある骨董品屋「雅蘭堂」を舞台とし、店主の越名集治が探偵役を担う連作短編集。各短編がコンパクトで後味も悪くないので、個人的にバタバタしていた時期の読書には適していました。いかにも作者らしい作品集で、安定感があります。もう絶対に続編を読むことができないのが残念です。 |
No.944 | 5点 | 玉村警部補の巡礼 海堂尊 |
(2021/03/29 22:40登録) 作者の作品を読むのは相当に久方ぶり。個人的に、作者の強めの自己主張がちょっと辛くなりまして、正直避けていたのです。 しかし、今回のテーマは「四国遍路」。しかも各県1短編で成る短編集とのこと。嗚呼、お遍路!ずっと憧れていたのです。退職したら是非とも挑戦したいと思い続けているのです。本書を手にせざるを得なくなった、私の心情を何卒ご理解ください。(結局は、Ai以外の新たな自己主張も何気にあったのですが。) で、ミステリとしては、うーん、思っていたよりもその要素を織り込んでいたのだけれども、積極的な評価は敢えて避けようかな。結局、最終的な印象としては、ミステリ云々よりも、楽しそうにお遍路に勤しむ加納&玉村コンビが凄く羨ましかったなぁ…と。行きたいなぁ、お遍路。歩き遍路はストイック過ぎるし、バスツアー遍路も何となくアレなので、「基本的に歩くつもりだけれども、場合によっては(というか積極的に)公共交通機関を利用してみる遍路」って、甘えているのでしょうか。経験者がいらっしゃれば教えてください。 気付いたら、お遍路への隠しきれない憧れに偏った感想になってしまいました。スミマセン。 |
No.943 | 6点 | 血縁 長岡弘樹 |
(2021/03/14 20:49登録) 家族をテーマにした短編集。イイ話から黒い結末の話まで、幅広いです。 表題作がベスト。作者らしさという面では「文字盤」や「黄色い風船」に色濃く表れていました。最近の作者の短編集の中では上位に入ると思います。いくつか気になる「穴」もあったのですがね。 |
No.942 | 6点 | 月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言 倉知淳 |
(2021/03/06 18:26登録) 猫丸先輩シリーズの短編集。このシリーズらしく、軽妙な語り口で楽しめたのですが、ちょっと小粒な印象も残ったかな。謎自体は魅力的なのですがねぇ。ベストは「ついているきみへ」かな。 |
No.941 | 7点 | たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説 辻真先 |
(2021/02/28 22:04登録) ミステリとしては、密室殺人とバラバラ殺人(解体殺人)を扱った本格モノ。楽しく読ませていただきましたが、各々のトリックが全体の雰囲気に溶け込んでいないような印象を受けました。そして、特に第2の事件については「危険を冒してまでそのトリック使おうとするかなぁ。自分なら一人で夜に呼び出して目的達するけどなぁ。」といった、ミステリ読みとしてあってはならない?感情を抱いたりもしました。(トリック自体の評価は敢えて書きません。) 一方で、昭和24年の名古屋を舞台とした青春群像劇としては非常に興味深かったです。その時代、その場にいないと書けないであろうリアリティを感じました。令和の世に、新作としてこういった作品を読めるのは素晴らしいこと。辻御大に敬意を評してこの採点で。 |
No.940 | 7点 | 名探偵のはらわた 白井智之 |
(2021/02/21 20:04登録) 第一話「神咒寺事件」を読み進めますと、作者お得意のグロテスクな表現もなく、ノーマルな短編なのかと思わせられつつ、最後には、本作を貫く驚きの特殊設定が示されます。各話のタイトルから、我が国の実犯罪をテーマにした短編が続くのだろうと想定はしていましたが、ちょっと戸惑いましたかね。 ベストは何といっても最終話の「津ヶ山事件」。勿論、モチーフは津山事件(津山三十人殺し)。この事件については、個人的に別書籍で読んだりして知識もあったため、大変に興味深く読ませてもらいました。練られています。正攻法の本格モノと言ってよいのではないかな。 |
No.939 | 7点 | 紅蓮館の殺人 阿津川辰海 |
(2021/02/13 19:10登録) 本格愛を感じる作品です。前半、多少冗長な印象もあったのですが、中盤以降の展開はお見事で、楽しく読ませていただきました。感心した点も多いです。 一方で、新旧の探偵を登場させたうえで「探偵の生き方」をテーマの一つとし、相当のページ数を割いている点には、消極的な評価。勿論、全体のストーリーに不可欠な部分はあるものの、個人的にはちょっとクドく感じたかな。なお、この点に関しては、既に複数の方が挙げられているとおり、私も市川哲也氏の鮎川哲也賞受賞作「名探偵の証明」を思い起こしましたね。 |
No.938 | 7点 | 片翼の折鶴 浅ノ宮遼 |
(2021/02/06 19:36登録) 粒ぞろいの短編集。医学の専門知識のみに頼っている訳ではなく、本格度も高いです。明確に謎を提示し、情報の提供もフェア。きっちりと組み立てられています。 マイベストは、「幻覚パズル」。部屋の配置図まで登場する密室系で、ロジカルな解決手法はまさに本格短編。盲点を突かれた真相も記憶に残りそうです。 「消えた脳病変」も練られています。ちょっと伏線の一部が丁寧すぎたのか、「患者の脳にあった病変が消えた」理由は分かりやすかったのですが、全てを見通すことはできなかったですね。正確には、とある説明が必要であることを自分で見落としながら、そしてその伏線も見落としていながら、技術的な真相のみで満足していた・・・ということになりますかね。こちらも好短編です。 |
No.937 | 7点 | 不穏な眠り 若竹七海 |
(2021/01/31 11:13登録) 葉村晶シリーズの短編集。 4短編いずれも、スッと物語に入り込まされ、ユーモアを交えつつのクールな語り口の中で、どんどん転がされます。スピーディーに拡大・展開していくため、作者の技術を堪能するためにも、一定の短期間でそれぞれの短編を読み切ることをお勧めします。 個人的ベストは、一気に読まされた「逃げ出した時刻表」。一作目の「水沫隠れの日々」のラストの儚さ(と言っていいものか)も記憶に残りそう。 |
No.936 | 6点 | 超能力者とは言えないので、アリバイを証明できません 甲斐田紫乃 |
(2021/01/24 20:00登録) 大富豪の遺言状の開封のため、孤島の館に集合した一族。一族は長男派と次男派が遺産分割で揉めている。そんな中、遺言状が盗まれ、弁護士も姿を消した。捜索の結果、血の付いたナイフと海に浮かぶ弁護士の上着が発見され…。 と、書くと、本格ど真ん中設定なのですが、しょーもない超能力を使えるメンバー達によって、ユーモア群像劇風に進行していきます。舞台を観ているような感じ。読み心地も悪くなかったですね。ちなみに、事件に「アリバイ」は関係ないので、タイトルにはちょっと疑問。 |
No.935 | 5点 | 模倣密室 折原一 |
(2021/01/21 23:34登録) 黒星警部シリーズの短編集。「ウヒョッ、密室だ」と小躍りする警部だけに、いずれの短編も密室を扱っています。(黒星警部が登場しない短編もあるのですが。) 短編ごとに出来栄えはマチマチ。最も作者らしい短編は表題作なのですが、個人的ベストを選ぶとすれば「交換密室」かな。 |
No.934 | 6点 | ワトソン力 大山誠一郎 |
(2021/01/19 21:13登録) 周りにいる者の推理力を高める「ワトソン力」。人知れずこの能力を持つ、警視庁捜査一課の刑事が主人公。自分の推理力が高まる訳ではないことが、ちょっと切ないけれども、その「縁の下感」が何気にほほえましい。 7つの短編と、全体に跨がる1短編で構成されています。各短編とも小粒ではあるのですが、ニヤリとさせられたネタもあったし、「ワトソン力」の効果による推理劇も結構楽しかったですね。気軽に読めるのも良かったかな。 ちなみに、短編の執筆に当たっては、非常に使い勝手のよい設定だと思うのですが、続編はないのかな?逆にマンネリ化して難しいのかな? |
No.933 | 7点 | 透明人間は密室に潜む 阿津川辰海 |
(2021/01/16 10:03登録) 4篇から成る、ノンシリーズの短編集。昨年末のミステリランキングで上位に選出されたことも頷ける出来映え。短編ごとにテーマやシチュエーションが異なるので、短編ごとに新たな心持ちで入っていけるのも嬉しい。①と④が特に好印象。 ①透明人間は密室に潜む 透明人間のリアルな?設定を行ったうえでの倒叙もの。反転も含めて面白かったですね。でも、犯人のある行為については、ソコまでやらずとも、同様の効果が生じる方法があったのではないか・・・という気もします。 ②六人の熱狂する日本人 登場人物たちの議論の過程は楽しかったのですが、ここまで揃ったということは・・・で、オチは想定できるかも。 ③盗聴された殺人 最もオーソドックスな短編。原則に忠実な?本格短編とも言えます。これはこれで好感。 ④第13号船室からの脱出 読みどころが詰まった好作品。スリリングな展開で、グイグイ読まされました。反転には、ちょっと無理があるような気もしますが。 |
No.932 | 6点 | 鏡館の殺人 月原渉 |
(2021/01/09 22:43登録) ツユリシズカシリーズ第四弾。このシリーズは、本格ど真ん中を貫いているし、何よりも作者の意気込みが感じられるので好きです。第四作目が発刊されたことは素直に嬉しい。 本作も本格路線を継承。グイグイと読まされましたね。これはフェアと言えるか…と思った点が無くはないのですが、ギリギリでセーフか。 ちなみに、シズカのロシア語による「毒」が強まっているような気がして、それはそれで面白い。このシリーズ、続けてほしいなぁ。 |
No.931 | 6点 | サーチライトと誘蛾灯 櫻田智也 |
(2021/01/02 22:52登録) 「蝉かえる」を先読して感心。急ぎ、デビュー作を手にした次第です。読む順番は逆になったけれども、逆に、次作に繋がっていた登場人物や設定を見つける楽しさもあったかな。 飄々とした主人公を据え、軽快な筆致で語られる中での反転が心憎い。本書中の個人的ベストは「火事と標本」。設定は違うのだけど、「蝉かえる」のとある収録作が思い浮かびましたね。 ちなみに、ストーリー性や印象深さという観点では、次作の方に軍配。一方で、主人公の「亜愛一郎」度は、本書の方が高いような気がします。 |
No.930 | 7点 | そして誰も死ななかった 白井智之 |
(2020/12/30 11:32登録) 覆面作家から複数の推理作家に届いた招待状。自らのデビュー20周年を記念したパーティーを孤島で開くとのこと…。 ふむふむ。導入部までは作者らしい「グロさ」の表現も薄目で、個人的に盛り上がります。で、最後まで読み切って総合的に考えると、「グロさ」は決して薄くない。いや、十分にグロいとも言える。 それでも、それほど嫌悪感を抱かなかったのは、登場人物達の飄々とした(ユーモラスな?)会話の効果もあるけれど、何といっても、この作品における特殊設定の必要性を受け入れざるを得ないと感じさせられた影響でしょうねぇ。意表をつく設定と転換、そこから派生するロジックなど、グロさ以外の読みどころには魅かれました。作者の作品に拒否感を抱いたことがある方(でも本格好きに限る)こそ、一読をお薦めしたい。でも、嫌な人は嫌かも。 ちなみに、登場人物達のその後とか、奔拇族のその後とか気になりますねぇ。とある方が交通事故で「死んだ」とき、お腹の中のアレはどうなったのだろう…とかも。 |
No.929 | 7点 | 蟬かえる 櫻田智也 |
(2020/12/26 21:19登録) 2021本格ミステリ・ベスト10で堂々の2位。評価の高さに魅かれて手にしたのですが、相当にイイですね。評価の高さは素直に頷けます。 1話目の表題作が、まずはイイ。4話目の「ホタル計画」が個人的ベストでしたが、最終話の「サブサハラの蠅」も推したい。どの短編も、読みやすい中で深みを感じます。デビュー作の「サーチライトと誘蛾灯」もぜひ読もうという気にさせられました。勿論、次作も楽しみ。 |
No.928 | 8点 | 揺籠のアディポクル 市川憂人 |
(2020/12/21 21:33登録) グイグイ読まされました。ミステリとしては様々な評価があり得そうですが、そういった視点では語れない部分が大きいような気がします。敢えて多くは書きませんが、何よりも最終盤が印象的。何とも言えない切なさ。 ちなみに、この作者さんは「閉鎖空間モノ」で強みを発揮しますねぇ。 |
No.927 | 5点 | 探偵は友人ではない 川澄浩平 |
(2020/12/18 23:51登録) 鮎川哲也賞受賞作「探偵は教室にいない」の続編らしい。「らしい」と表現しましたのは、確かに前作は読んだものの、細かな内容はもとより、人物の設定も一切印象に残っていなかったから。「最近の鮎川哲也賞にしては、珍しいタイプの作品だなぁ」という感想しか残っていなかったのです。すみません。 で、この作品。バスケ部の女子中学生と、その幼なじみの引きこもり少年のコンビによる学園モノの連作短編。伏線の配置も含めて手堅いし、筆致も軽やかで決して悪くはないのだけれども、個人的にはあまりフィットしなかった。若手が書いたのか中堅の作家が書いたのか分からない・・・といった感じ。斬新さという面では弱い。いわゆる青春ミステリとして響く方もいらっしゃると思うのですけれどもね。採点はギリギリこの点数で。 |