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ミステリの祭典

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孔雀狂想曲

作家 北森鴻
出版日2001年10月
平均点6.40点
書評数5人

No.5 6点 まさむね
(2021/04/24 19:53登録)
 下北沢の片隅にある骨董品屋「雅蘭堂」を舞台とし、店主の越名集治が探偵役を担う連作短編集。各短編がコンパクトで後味も悪くないので、個人的にバタバタしていた時期の読書には適していました。いかにも作者らしい作品集で、安定感があります。もう絶対に続編を読むことができないのが残念です。

No.4 5点 E-BANKER
(2011/12/22 23:43登録)
下北沢にある骨董品店「雅蘭堂」を舞台に起こるちょっとした事件の数々。
連作短編の名手・北森鴻が贈る作品集。

①「ベトナム・ジッポー1967」=ジッポーに纏わる薀蓄が新鮮。ベトナム戦争時に友人がくれたジッポーに絡む哀しい過去が、今明きらかに・・・ついでに女性キャラ・安積が登場。
②「ジャンクカメラ・キッズ」=初めて聞いた!「ジャンク・カメラ」なんていうジャンルとその使い方。そして、本作では更なる意外な使用方法がとある犯罪に絡んでくる。
③「古九谷焼幻化」=主人公・越名兄弟の天敵、犬塚が仕掛ける「古九谷焼」の謎。信じられないような逸品が出てくる旧家の鑑定会で絶品の古九谷焼が目の前に現れるが・・・
④「孔雀狂想曲」=不思議な鉱石である「孔雀石」に纏わる作品。「雅蘭堂」に孔雀石を求めに来た怪しい人物が殺害されてしまう。
孔雀石ってそんなものだったのかぁ・・・
⑤「キリコ・キリコ」=本作の主人公・樹里子(キリコ)に残された切子(キリコ)。そして、祖父の毒殺未遂事件の謎が明らかにされる。
⑥「幻・風景」=越名集治が持つもう一つの顔が「絵画サーチャー」。つまりは、埋もれた絵画を捜す仕事。作家兼画家が残したとされる2枚の風景画に纏わる謎。またしても、犬塚が罠を仕掛ける。
⑦「根付け供養」=「根付」っていうと本当に骨董品という気にさせられる。昔、越名に恥をかかされた男がその意趣返しを行うが・・・
⑧「人形転生」=今回の品は「ビスクドール」。「なんでも鑑定団」でよく出てくる「ジュモー作」が有名なやつ。著名な人形蒐集家が焼死させられた謎が解かれる。

以上8編。
それぞれに違った「骨董品」がテーマとなり、それに纏わる人物と謎が主人公・越名の卓越した頭脳によって明らかにされるというプロット。
まぁ、うまいんですけどねぇ。こういう作品は、まさに作者の十八番ですから、もう安心して読むことができます。
ただ、あまりインパクトはないわな。味わい深いというふうにも言えますが、もう少し派手な展開も欲しい気はします。
「なんでも鑑定団」が好きな方にはお勧め。
(飛び抜けていい作品はなし。どれも水準級かな。)

No.3 7点 こもと
(2008/05/27 21:34登録)
 何しろ骨董という世界ですから、イメージとして、古めかしい、ともすると因縁めいた世界を連想してしまうのですが。 それを清々しい読後感に仕立てるって・・・いや、さすが北森氏、お見逸れしました。 これはもう、キャラクターの魅力勝ちでしょう。
 私はやはり、「一見キレモノそうではない人が実は鋭い観察眼を持っている」という「私、脱いだらすごいんです!」ばりの設定に弱いのですねぇ(違)
 越名が強気で(謎解きの)勝負に出るシーンには、クラッと来ます。 えぇ、今の私の理想の男性は越名さんですから(いや、工藤さんは何処行った?/笑)

No.2 7点 ひこうき雲
(2007/05/31 21:29登録)
自分にはあまり馴染みのない骨董屋が舞台ということで、判りずらくはないかな、と読む前は思っていましたが、割と読みやすかったです。
飛びぬけた面白さではないが、そこそこ楽しめました。

No.1 7点 由良小三郎
(2002/10/05 09:10登録)
骨董屋の主人を主人公にする短編集で、骨董にまつわる駆け引きのテーマが多い。骨董屋、質屋、古本屋というジャンルはこれまでもいろんな人の作品があるのですが、抜きでてるというほどの感じはありませんでした。ぼくの重視するキャラクタ面では、主人公、店番の女の子ともまだありきたりという感じをうけました。

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