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ミステリの祭典

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玉村警部補の巡礼

作家 海堂尊
出版日2018年04月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 まさむね
(2021/03/29 22:40登録)
 作者の作品を読むのは相当に久方ぶり。個人的に、作者の強めの自己主張がちょっと辛くなりまして、正直避けていたのです。
 しかし、今回のテーマは「四国遍路」。しかも各県1短編で成る短編集とのこと。嗚呼、お遍路!ずっと憧れていたのです。退職したら是非とも挑戦したいと思い続けているのです。本書を手にせざるを得なくなった、私の心情を何卒ご理解ください。(結局は、Ai以外の新たな自己主張も何気にあったのですが。)
 で、ミステリとしては、うーん、思っていたよりもその要素を織り込んでいたのだけれども、積極的な評価は敢えて避けようかな。結局、最終的な印象としては、ミステリ云々よりも、楽しそうにお遍路に勤しむ加納&玉村コンビが凄く羨ましかったなぁ…と。行きたいなぁ、お遍路。歩き遍路はストイック過ぎるし、バスツアー遍路も何となくアレなので、「基本的に歩くつもりだけれども、場合によっては(というか積極的に)公共交通機関を利用してみる遍路」って、甘えているのでしょうか。経験者がいらっしゃれば教えてください。
 気付いたら、お遍路への隠しきれない憧れに偏った感想になってしまいました。スミマセン。

No.1 5点 E-BANKER
(2021/01/10 13:29登録)
「玉村警部補の災難」に続く、警察庁一の切れ者・加納警視正と“哀れな部下”玉村警部補のコンビが活躍するシリーズ第二弾。
今回は「巡礼」の言葉どおり、ふたりが四国八十八か所のお参りに出掛けた先で遭う事件を解き明かす・・・展開。
2018年発表。

①「阿波 発心のアリバイ」=まずは一番札所のある阿波からスタート。この「巡礼」は何かしらのウラがあることが序盤からほのめかされるなか、八十八か所セレブツアー(そんなの本当にある?)のメンバーが挙げた100万円の賽銭(!)が盗まれる事件が発生。で、そんなこんなで加納警視正が解決。めでたし、めでたし。
②「土佐 修行のハーフムーン」=政治家が絡むきな臭い自殺事件。政治家と秘書といやぁー、安倍前首相だってねぇ・・・というわけで、お仕えの身はツライということ。メインはアリバイトリックなのだが、まさかこのご時世で写真を使ったトリックにお目にかかれるとは思ってもみなかった。
③「伊予 菩提のヘレシー」=全身の血を抜かれた死体。Why?というわけで、「蚊」=弘法大師の生まれ変わりとして崇めるという風習が伊予の一部地域にあるらしい(ホンマかいな?)。まさか! 蚊に血を全部吸われた? それはないだろう・・・
④「讃岐 涅槃のアクアリウム」=冒頭からほのめかされていた「ウラ」の事情が明らかとなる最終編。舞台は屋島水族館ということで、久々にあの「ボンクラボヤ」も登場する(知ってる人は知っている)。
⑤「高野 結願は遠くはてしなく」=ボーナストラック的なまとめ。

以上4編+1。
まさか四国八十八か所を題材に持ってくるとは・・・。作者の懐の深さというべきか、多趣味というべきか・・・
巻末には八十八か所の地図や全ての寺院名も掲載されていて、全くの素人という方にも配慮がされてます。

まぁ、あんまり真面目に書いた作品ではないのだろうから、肩の力を抜いて読めばいいということかな。一連の「桜宮サーガ」の番外編という位置付けなんだろうけど、今まで読んだことない人でも特段関係なし。
お遍路に興味がある+ミステリー好き、というニッチな方なら是非どうぞ!
でも本当に歩くと大変らしいよ。

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