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ミステリの祭典

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まさむねさんの登録情報
平均点:5.87点 書評数:1226件

プロフィール| 書評

No.1006 6点 堪忍箱
宮部みゆき
(2022/06/14 22:18登録)
 8篇からなる時代モノ短編集。
 江戸の市井の人々の日常生活を描きつつ、登場人物の心情について、押しつけがましくなく、スッと読者の心に染み込ませる力量はさすがの一言。「心の動き」で次々にページをめくらされました。
 ホラー風味の短編から純粋な人情モノまで幅広い品揃えで、読者としては、同パターンが続かなかったことも嬉しいですね。個人的には、「敵持ち」の味付け、「砂村新田」の優しさが特に良かったかな。


No.1005 6点 なぜ、そのウイスキーが死を招いたのか
三沢陽一
(2022/06/11 16:59登録)
 仙台のバーが舞台となる短編集。バーテンダーが馴染みの客の話を聞き、真相を解き明かすスタイルで統一されています。
 4短編のタイトルは、「何故、ブラック・ボウモア四十二年は凶器となったのか?」、「何故、死体はオクトモアで濡れていたのか?」、「何故、犯人はキンクレイスを要求したのか?」、「何故、利きマッカランの会で悲劇は起きたのか?」。タイトルどおり、ウイスキーにまつわるホワイドニット中心の構成。内容として、斬新な何かがあるものではなかったけれど、悪い印象はなかったですね。ウイスキーへの愛は強く感じました。(逆に、その辺りが合わない方もいらっしゃるかもだけど)


No.1004 5点 ミステリなふたり a la carte
太田忠司
(2022/05/28 21:37登録)
 シリーズ第3弾。一編一編がコンパクトな短編集なので、スキマ読書用として活用させていただきました。結果、結構長い期間をかけて読み切ることになってしまったのですが、前半の短編の内容はほとんど覚えていない(汗)。悪くはないのだけれど、「ほほう」と記憶に残る点もないという、まぁ、そういった短編集。


No.1003 8点 六人の嘘つきな大学生
浅倉秋成
(2022/05/24 22:35登録)
 見事です。この間、様々な媒体で高い評価を受けていたことも頷けます。
 多くの皆さんが経験する(した)であろう「就活」をテーマにした上で、最終選考に残った6人たちで内定者1名を決定するためにグループディスカッションを行う…まずはこういった舞台設定が興味深い。第一部で就活時点を描き、第二部で8年後を描くという、時間差攻撃?も効果を上げています。何よりも、「犯人は誰だったか」という主たる謎のみならず、周辺にも複数の謎を配置し(しかもそれらの謎が主たる謎と絶妙にリンクしてくる辺りが心憎い)、伏線を配置しながら二転三転させてくる技巧には唸らされました。
 読み終えた後、「自分だったら、ディスカッションの際、そんなに取り乱さずに別の対応を採ると思うな」といった不自然さを感じた面も正直ございました(そもそも、こういった採用手法自体があり得ないだろうしね)が、全体の作りこみ具合は、こういった不自然な点を凌駕していたと思います。本当に採用すべき人材は誰だったのか、否、そんなことを結果論で捉えること自体が間違っているような気もするし、様々に考えさせられる作品でもありました。


No.1002 6点 むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。
青柳碧人
(2022/05/16 22:43登録)
 日本昔話シリーズの続編(ちなみに、この間「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」も出版されているので、昔話シリーズとして括れば3作目ということになりましょうか)。
 第一作に比べて、ミステリとして様々に手を加えようとする姿勢を感じた一方で、手を広げすぎというか、紡ぎすぎというか、そんな印象も受けました。勿論その努力は買うのだけれども、面白味に結びついているかという観点では消極的な評価。特に最後の二話連作(猿蟹合戦+ぶんぶく茶釜)は、舞台設定としてはなかなか興味深かっただけに、すごく惜しいような気がしましたねぇ。結果、この作品の中では、第一作の雰囲気に最も近い「竹取探偵物語」が個人的に一番しっくりきたりして。


No.1001 7点 華麗なる誘拐
西村京太郎
(2022/05/12 22:52登録)
 左文字進探偵シリーズの第二作。
 面白かったですねぇ。まずは、全国民を誘拐したとして政府に5千億円の身代金を要求するという発想が斬新。そして政府が支払わないと見るや、犯人グループは、安全・平和と印刷された5千円のワッペンを付けていれば殺さないと国民に呼びかける。売れ続けるワッペン。まさに「華麗なる誘拐」。どんどんページをめくらされましたねぇ。左文字の語る「犯人の計画が成功すればするほど破滅が近づく」という論理も記憶に残りそう。
 犯人グループの特定があっさりし過ぎていないか?という気がしないでもないのですが、個人的には、西村京太郎作品の中でかなり上位に入りそうな作品。(ちなみに、現時点でのトップは「殺しの双曲線」であります。)


No.1000 6点 消えた巨人軍
西村京太郎
(2022/05/04 19:32登録)
 左文字進探偵シリーズの第一作。十津川警部以外のシリーズがあることも、そしてこの作品のタイトル自体も、ウン十年前に承知しておりましたが、私にとってこのシリーズは初読です。東京駅から新幹線で遠征先の大阪に向かった巨人軍の監督、コーチ、選手ら37人が姿を消したという展開。左文字探偵や警察の捜査過程も含めてなかなかに魅力的で、西村先生らしさが出ている作品と言えます。(ちなみに、終盤で「このタイムリミット内にそれらの行動をするのは絶対に無理だよね」と思わずにはいられない部分があるのですが、まぁスピード感重視ということで…)
 最後に、先生のご訃報に接してヒトコト。今から3年前に湯河原の西村京太郎記念館を訪問した際、偶然ですが先生とお話をさせていただく機会に恵まれました。私が好きな西村作品を挙げたところ、「あれはあまり売れなかったからねぇ」と笑われていたお顔が心に残っています。在りし日のお姿を偲びつつ、改めて先生の作品を読ませていただきたいと思います。


No.999 9点 大誘拐
天藤真
(2022/04/29 22:00登録)
 純粋に面白かったですね。テンポもよく、ハラハラさせられながらコミカルでもある。そして痛快。登場人物のキャラ設定も抜群です。真の悪者がいないのもイイ。全員を応援したくなりましたね。
 それもこれも「とし子刀自」のおかげ。「とし子刀自」を生み出した作者に敬意を評します。


No.998 7点 硝子の塔の殺人
知念実希人
(2022/04/17 14:56登録)
 昨年は「~の殺人」をタイトルとする好作品が目白押し。「硝子の塔」も読み逃がせまいと手にした次第です。
 塔の見取り図だけでも興味津々。ガチガチ本格設定の使い方が巧みです。なるほど、なるほど、そう来たか。面白かったし、唸らせられましたね。作家さんが寄せた帯コメントも楽しく、特に綾辻氏の「ああびっくりした」は味わい深い。
 一方で、同時期であれば「兇人邸」や「蒼海館」を推したくなる自分がいたりします。評価というものは、難しいものですねぇ。


No.997 6点 いつものBarで、失恋の謎解きを
大石大
(2022/04/02 15:01登録)
 馴染みのバーでオーナー兼ママに過去の失恋を話す綾。同席していた初老の男が社会学や心理学を基に、すれ違いの原因を推理する…というスタイル。驚きの展開はないけれども、平成に流行した歌や時事ネタも織り込まれているので、懐かしさとともに読み進められました。
 ちなみに、個人的には綾の失恋話よりも、オーナー兼ママ・みひろの若かりし頃の思い出の方が、しんみりとして良かったかな。


No.996 7点 白鳥とコウモリ
東野圭吾
(2022/03/24 22:17登録)
 竹芝桟橋近くの路上に違法駐車されていたセダンの後部座席から、男性の遺体が発見された。ほどなく、被害者は弁護士であることが判明。警察は、生前に弁護士事務所に電話をかけてきた愛知県三河安城在住の男に注目するが、ある日突然自供を始めた。「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」
 東野圭吾版「罪と罰」という触れ込み。被害者と加害者の家族の心情も含めて読ませます。中盤、冗長に感じた部分もあったのですが、終盤はほぼ一気読み。作者の力量を感じます。ちなみに、読中に横山秀夫氏を想起しました。これって私だけ?


No.995 5点 新米ベルガールの事件録 チェックインは謎のにおい
岡崎琢磨
(2022/03/11 22:23登録)
 タイトル&表紙から、新米ベルガールがホテルで起きる事件や謎を解きまくるのかと、勝手に想像していたのですが、むしろ事件を惹起する方でしたね。
 それはそれで悪くないし、軽快で読み口もよかったのですが、連作短編中のいくつかは、ちょっと「分かりやす過ぎた」かも。伏線の記述が明確なので、その確認のために読み進めた感じもあります。一方で「こう想定させておくことが真の狙いで、その斜め上をいく反転が待ち受けているのかも」とも思わせられたから(実際に斜め上の反転はなかったけど)、まぁ楽しめたと言えるかな。


No.994 6点 香子の夢−コンパニオン殺人事件
東野圭吾
(2022/03/04 23:36登録)
 昭和63年出版の作者初期のノンシリーズ長編。バブル全盛期のコンパニオンが主人公を務める物語を、コロナ禍の令和時代に読む感慨深さ。いや、どちらの時代も「空虚感」という意味では共通しているのかも。
 内容として特筆すべき点があるかと問われると辛いのだけれども、逆に?基本に忠実でリーダビリティも高く、個人的には好みのタイプでしたね。ちなみに「カセットテープ」って、今の中高生にとっては「何それ?」って感じなのでしょうねぇ。様々に懐かしさを感じる作品だったな。


No.993 5点 もっとミステリなふたり
太田忠司
(2022/02/27 10:48登録)
 京堂夫妻シリーズ第2弾。前作同様にスラスラ読みやすかったのですが、解決に直行しすぎ(解決までの「間」が短すぎ)といった印象も。もう少し転がしてもいいような気がします。それと、「それは新太郎クンの推理云々の前の時点で、警察が調べておくべきではないのか」という点も気になったかな。忙しい合間を縫って読む分には、悪くなかったです。


No.992 6点 かまいたち
宮部みゆき
(2022/02/20 22:28登録)
 宮部さんの時代モノ。安定感がありますねぇ。
 表題作「かまいたち」がベスト。サスペンスな流れの中で、確かに存在する(良い意味での)予定調和感の心地よさ。続く「師走の客」。落語的な面白さで、尺も丁度良い。
 後半2作品には「お初さん」が登場。突然の超能力にちょっと驚きましたね。「迷い鳩」は楽しく読ませていただいたのですが、「騒ぐ刀」はもはやSFに分類すべきで、ちょっと読みたいものと違った印象。


No.991 5点 にらみ
長岡弘樹
(2022/02/16 22:30登録)
 ノンシリーズの短編集。「いつもと違う何かを織り込みたい」という、作者の狙いは伝わってきます。でも、ちょっと無理矢理すぎないか、いくら何でもこじつけすぎだろう、といった印象は否めないかな。ネタと登場人物の心情の結びつけ方が強引すぎるのかもしれない。次々とページをめくらされた点は良かったですがね。ベストは、ある意味でオーソドックスな感じがいい、表題作「にらみ」か。


No.990 6点 ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人
東野圭吾
(2022/02/12 23:20登録)
 人望のある元国語教師が自宅で殺害された。警察から捜査状況を聞き出せない中で、娘と元マジシャンの弟(娘からしたら叔父)が独自の捜査を進める。犯人は教え子の中にいるのか。教え子たちの行動にも謎が多く…という展開。
 本格度云々とは関係なく、グイグイと読まされましたねぇ。複数のサイドストーリーも効いています。作者のストーリーテラーぶりを堪能できました。ちなみに、真相自体は何とも微妙で、色々と可哀想。


No.989 6点 優しい死神の飼い方
知念実希人
(2022/02/05 22:09登録)
 ゴールデンレトリーバーに姿を変えた死神が死を控えた人間の未練を次々に解消する連作短編なのかなと思ったら、後半はサスペンス的な盛り上がりもあって楽しませてくれました。いかにも、と言ってはダメなのかもしれませんが、様々な工夫にも好印象。売れるでしょうねぇ。レオ(ゴールデンレトリーバー)と菜穂、さらに患者たちの関係性がイイ。切ないのだけれども、何とも言えない清々しさと勇気をもらえましたね。


No.988 5点 悪いものが、来ませんように
芦沢央
(2022/01/23 20:10登録)
 私には珍しいことなのですが、仕掛けの一つには途中で気付いちゃいましたね。ちょっと不自然だったからかな。イヤミスではあるのですが、考えさせられる内容。両作者に失礼かもしれませんが、湊かなえさんを想起させる作品でした。


No.987 6点 はるか
宿野かほる
(2022/01/17 23:03登録)
 デビュー作「ルビンの壺が割れた」でヒットを放った覆面作者の第2作。グイグイと読まされた点は素直に評価したいのですが、ちょっと複雑な読後感でしたね。
 終盤までの「気にさせる」具合はなかなかで、様々な結末を想定しながら終盤に突入したものの、ラストでは中途半端な印象を抱きました。一方で、結局はそれでよかったのかな、という気持ちにもなっている辺りが、何とも複雑な読後感につながっています。すごく深いトコロを突いていると思うのだけれども、逆に浅くて薄っぺらい印象もなくはない。個人的には、優美さんが最も普遍的で力強く、かっこよかった。賢人さんは、賢い人ではない。よく分からない書評ですみません。総合的にこの採点で。

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