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ミステリの祭典

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むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。
昔話ミステリ

作家 青柳碧人
出版日2021年10月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 文生
(2022/10/28 15:59登録)
童話の設定を活用した特殊設定ミステリですが、前作の「むかしむかしあるところに、死体がありました。」に比べると切れ味はかなり落ちる印象。最初の竹取物語における多重解決の趣向は悪くないものの、ラスト2話の猿蟹合戦はごちゃごちゃしすぎでシンプルな驚きに欠けるのが難。

No.2 6点 まさむね
(2022/05/16 22:43登録)
 日本昔話シリーズの続編(ちなみに、この間「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」も出版されているので、昔話シリーズとして括れば3作目ということになりましょうか)。
 第一作に比べて、ミステリとして様々に手を加えようとする姿勢を感じた一方で、手を広げすぎというか、紡ぎすぎというか、そんな印象も受けました。勿論その努力は買うのだけれども、面白味に結びついているかという観点では消極的な評価。特に最後の二話連作(猿蟹合戦+ぶんぶく茶釜)は、舞台設定としてはなかなか興味深かっただけに、すごく惜しいような気がしましたねぇ。結果、この作品の中では、第一作の雰囲気に最も近い「竹取探偵物語」が個人的に一番しっくりきたりして。

No.1 5点 人並由真
(2022/01/22 06:45登録)
(ネタバレなし)
 今回は5本のエピソードを収録。
 全5編は一貫してゆるやかに世界観の連鎖があり、特に最後の二つは前後編的な構成になっている。

 で、内容的には、日本昔話ミステリの前作(本シリーズの第一弾)『むかしむかしあるところに、死体がありました。』よりも一本一本の作りこみ度、練りこみ度は増しているのだけれど、それらの大半が、深化のための深化、続刊ということでレベルを上げなければいけないというプレッシャーにとらわれた感じであまり面白さにつながらない。要するに全体的にゴチャゴチャしすぎ。
(ちなみに、評者は昔話ミステリシリーズの第二弾『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』はまだ未読です。)

 中では「竹取物語」ネタの第一話が、比較的マシか。あと、第2話は謎解きミステリの部分よりも、導入されたある種のSFギミックの効果の方が面白かった。
 最後の前後編なども、狸が変身したらその姿になれども、その変身した対象の固有の能力までは使えない、というロジックなんか割と楽しいと思うのに、解決は悪い意味でその先へその先へ行き過ぎた感じであった。

 作者的には前作の完成度ではユルかったという反省があるのかも知れないけど、前のは「浦島太郎」ネタを筆頭にシンプルかつ意外な真相(発想)で、そこが楽しかったんだけれどな。
 ただまあAmazonなんかのレビューを読むと「昔話ミステリ」シリーズ3冊の中では、今回がいちばんシンプルで面白かったとか、評者と真逆の感想を述べている方もいるし、もしかしたら読み手との相性もあるかもしれない。

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