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ミステリの祭典

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白鳥とコウモリ
五代努巡査部長

作家 東野圭吾
出版日2021年04月
平均点7.38点
書評数8人

No.8 8点
(2024/05/15 09:19登録)
一気読みで楽しめました。
真犯人を庇う者の想いと真犯人の殺害動機のギャップに切なくなるとともに何度か出てくる「この世の女は全員名女優」の言葉に考えさせられました。

No.7 8点 makomako
(2024/04/14 08:41登録)
まったく悪意のない評判の良い人が殺されて、それを自供した犯人と思われる人も好い人で、といった松本清張の砂の器を思わせるようなお話で始まっていくのですが、それにしてもずいぶん残りのページが多い。
東野氏の作品ですから、当然ひとひねりふたひねりしてあると思って読み続けていくと興味深い事実が次々と出てくる。
ところが司法関係者たちは裁判に勝つことが最優先で、自供があるのだからとほとんど受け付けない。そのうち犯人とされた男の息子と被害者の娘が親しくなってきて---。
こんな話は下手に描いたら全くの絵空事となりそうですが、作者は巧みに描くので、共感できてしまいます。
このお話の中で、法曹関係者には裁判で勝つことが一番で、裁判に勝つことの障害となるなら実際に弁護を依頼した人の都合などは後回しといった考えがあることがよくわかります。きっと作者がそういった経験をしたまたはそういった話を聞いたことがあるのでしょう。
それにしても久しぶりに東野氏の素晴らしい小説を読ませていただきました。

No.6 7点 パメル
(2023/09/06 07:22登録)
「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」と男が自供した殺人事件。それは港区・竹芝桟橋の近くに止められていた車の中から、白石健介の遺体が発見されたことに端を発する。 
被害者の足取りを追うのは、警視庁捜査一課の五代刑事と所轄の中町刑事のコンビ。彼らは丹念な捜査の末に、倉木達郎の存在に到達する。そして三十年以上も前に発生した金融業者殺人事件と倉木の接点を見つけ出し、ついには自白を引き出すことになる。
そのプロセスは端正な警察ミステリそのものであり、ここまでも十分な読み応えがある。ところがページの残量を見れば、これがまだ物語の序盤に過ぎないことが容易に知れ、それが一層の期待感を抱かせる。実際、本作の主題はむしろここからだ。警察の取り調べにより、事件の経緯や動機が、次第に明らかになる中、その余波に直面する二人の人物がいた。加害者・倉木達郎の息子、和真。そして被害者・白石健介の娘、美令である。
加害者の家族と被害者の家族。立場としては、対極にあるように見える二人だが、事件のあらましを知るにつけ、共に苦悩の日々を余儀なくされる。そこに介在するのは現代社会特有の不寛容さで、二人は世間の好奇の目に晒され、ネットの悪意に塗れることとなる。
加害者であろうが被害者であろうが、等しく好奇の俎上に載せられるネット社会。果たして人は、家族の罪をいかにして背負うべきなのか。本当の罪とは何か、本当の罰とは何かを深く考えさせられた。

No.5 7点 mozart
(2023/07/27 15:55登録)
感動しました。
意外な真相にたどり着くまでページを繰る手を休ませないストーリー展開はさすがに読ませ上手な東野先生の作品です。作者はどのように話を締めたら読者の感動と満足感が得られるか熟知しているんだな~、と。

No.4 7点 take5
(2023/02/25 21:13登録)
東野圭吾は読ませます。
更にこの作品はサイト内94作品中4位の高評価。
好みに差はあれど良作なことは納得。
WhoもWhyも強引に反転させず、
地道な捜査や気付きから成るのが好ましい。
刑事物として
社会問題物として
罪と罰をテーマに
被害者の遺族と加害者の家族が絡み合う
人間がよく書けている作品
500ページ一気読みでした。
清洲橋通り、清澄白河、隅田川、
城東の描写がまた刺さるんですよ。

No.3 8点 suzuka
(2022/10/09 14:13登録)
東野先生らしいリーダビリティの高い作品です。
「『白夜行』『手紙』……新たなる最高傑作,東野圭吾版『罪と罰』。」という煽りがありますが、さすがに白夜行と比較するのは酷かと思います。

No.2 7点 HORNET
(2022/05/22 17:45登録)
 竹桟橋近くの路上の車内で、弁護士の刺殺体が発見された。警視庁捜査一課の五代努は、わずかな手がかりから関係人物を突き止める。それは、愛知県に住む倉木達郎という初老の男だった。やがて倉木は全ての犯行を認め、捜査は終結する。だが、事件の被害者や関係者らが、その真相には「納得がいかない」という。五代自身も疑念を持ったまま、独自で捜査を進めていくうちに、一件落着したかのように見えた事件の本当の姿が明らかになっていく―

 500ページを超える作品でありながら、80ページもいかないうちに「すべて私がやりました」という自白を迎える時点で、それが真相でないことはどの読者にも明らか。では真相は何なのか?という関心を持続し続けるだけの筆力が作者にはあり、少しずつ解きほぐされていく関係者の過去と、その端緒となる手がかりの提示は絶妙。
 行き着いた先の真相は、正直特段目新しい感じはなかったが、わずかな手がかりやヒントを見逃さずに「気付き」を重ねて真相に迫っていく過程はなかなかに読み応えがあり、楽しめた。

No.1 7点 まさむね
(2022/03/24 22:17登録)
 竹芝桟橋近くの路上に違法駐車されていたセダンの後部座席から、男性の遺体が発見された。ほどなく、被害者は弁護士であることが判明。警察は、生前に弁護士事務所に電話をかけてきた愛知県三河安城在住の男に注目するが、ある日突然自供を始めた。「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」
 東野圭吾版「罪と罰」という触れ込み。被害者と加害者の家族の心情も含めて読ませます。中盤、冗長に感じた部分もあったのですが、終盤はほぼ一気読み。作者の力量を感じます。ちなみに、読中に横山秀夫氏を想起しました。これって私だけ?

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