悪いものが、来ませんように |
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作家 | 芦沢央 |
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出版日 | 2013年08月 |
平均点 | 6.11点 |
書評数 | 9人 |
No.9 | 5点 | まさむね | |
(2022/01/23 20:10登録) 私には珍しいことなのですが、仕掛けの一つには途中で気付いちゃいましたね。ちょっと不自然だったからかな。イヤミスではあるのですが、考えさせられる内容。両作者に失礼かもしれませんが、湊かなえさんを想起させる作品でした。 |
No.8 | 5点 | VOLKS | |
(2018/07/13 13:38登録) 女性二人の描写、不自然なところがあちこちにあり、しかしそこはあえて気にせずに読み進めることにした。 後半過ぎ、やはりそこがポイントでしたか、という感じ。 ラストのオチは良かったけれど、だよね、だってそう書いてあったよね?そこ、読み解けるよね? という感じで、ちょっと残念でした。 |
No.7 | 5点 | E-BANKER | |
(2018/05/25 23:05登録) デビュー作となる「罪の余白」に続いて刊行された第二長編がコレ。 2013年の発表。 ~助産院に勤める紗英は、不妊と夫の浮気に悩んでいた。彼女の唯一の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だった。そして育児中の奈津子も、母や夫、社会と馴染めず、紗英を心の支えとしていた。そんなふたりの関係が恐ろしい事件を呼ぶ。紗英の夫が他殺死体として発見されたのだ。「犯人」は逮捕されるが、それをきっかけにふたりの運命は大きく変わっていく。最後まで読んだらもう一度読み返したくなる傑作心理サスペンス~ 先週に続けての「芦沢央」作品となった本作。 読了後に本サイトやamazonの評価をチラ見したけど、「まぁ、皆さんの言うとおりかな」という感じだ。 はっきり言うと、「何が書きたかったのか?」という感想に尽きる。 ミステリー的な観点からすると、ラストに判明するアノ仕掛けがやりたかった、ということなんだろうね・・・ ただ、それが仕掛けられたところで、「ヤラレタ」感にはつながらないのではないか。 冒頭から「どうも、登場人物の関係性がよく分からん・・・」という違和感を持つ読者は多そうだし、それは当然ワザとなんだけど、だったらそういうことだろうと、中途でどうしても察してしまうしなぁー じゃぁ、紹介文のとおり「心理サスペンス」が主眼だったのかというと・・・サスペンス性は薄味気味だ。 主役級のふたりが徐々に深みに嵌っていく展開はいいんだけど、それほどシビアな展開が用意されている訳ではない。 などなど、あまり褒めるべきプロットとは思えない。 敢えて褒めるとすれば、ソツのなさというか、売れてる作家のいいとこ取り的な部分だろうか。 湊かなえ的なストーリテラー振りだし、一連のイヤミス作家風味でもあるし、ラストにはちょっとしたミステリー的なオチも用意してあるし・・・ということで、あらゆる読者のニーズを満たそうとしているところはニクイ。 地上波のドラマの原作としてはなかなか良いのではないかと思っていたけど、いや待て! 本作はダメだな・・・・あの仕掛けはさすがに映像化は無理だろう。前言撤回。 |
No.6 | 6点 | HORNET | |
(2018/03/05 20:51登録) 作品に施された仕掛けは、正直特段目を見張るものではないと思った。「何」と分かっていたわけではないが、「何となくそんな感じのようなもの」は感じていたので、仕掛けが明かされた時も「ああ…そういうことね」という感じだった。 ただ、ラストのもうひと仕掛けがよかった。正直、こっちの方が「分かっていた」んだけど、過保護母と親離れできない娘の、救いようのない話のラストとしては、申し分のない落としどころだったと思う。 |
No.5 | 5点 | 蟷螂の斧 | |
(2018/01/18 10:43登録) 読後の感想は「うーん、勿体ない」でした。著者は、○○より「真相」に重点を置いて、順序を○○、真相としたのか?。これを逆にしていたら、非常に効果的であったと思います。最後の一行で説明できるのに・・・。プロローグを読み直してみたが、やはりアンフェア―であるという思いは拭い去れなかった(苦笑)。 |
No.4 | 7点 | 斎藤警部 | |
(2017/11/29 02:02登録) ●●トリックが二つ。お互いがぶつかり合う(●●交叉点のような)衝撃波を撒き散らす類ものではなく、先にバラされる方をもう一方が補完する形だが、この補完のフェミニンなきめ細やかさがドラマ性を大いに高めている。 思わず心に特筆したのが、上記二種の●●トリック「主役受け渡し」を挟んで 伏線⇒ミスディレクション⇒再び伏線 とその形相を変えるある小道具。その小道具を巡っての真相解明プロセスがまた前述のドラマ性の起爆剤でもあり、ミステリとしても物語としても実に巧妙かつ感動を呼ぶ構造。若くてきれいなイヤミス。 |
No.3 | 6点 | パンやん | |
(2017/01/31 12:31登録) 2人の女性の関係性と巻き起こる事件に関わる人々の証言から生まれる微妙な違和感の中で、フツーに騙されるも、このタイプのものにしては衝撃は小振り。ミステリーとしてより、一つの小説としてのエピローグのうまさ、女性作家ならではのタッチを味わいたい。 |
No.2 | 10点 | sugarage | |
(2014/07/18 07:58登録) 全く注目されなかったが知る人ぞ知る2013年度最高の収穫の一つ。読み終わった人の多くはベストセラーとなったある先行作を思い起こすに違いない。本編はその先行策と比べてもさらに優れているとも言え、本当はその作品名を明かしたほうが興味を持たれる方も多いと思うのだが、ミステリーとして読む場合それすら知らずに読んだほうがはるかに楽しめるため、あえて名を秘すことにする。必読。 |
No.1 | 6点 | kanamori | |
(2014/01/31 20:46登録) 不妊に悩む紗英、子育てをしながら彼女を気遣う奈津子。お互いをかけがえのない存在と思い、”共依存”の関係にある二人の女性のあいだに”悪いもの”が現れる-------。 年末のランキング本などではほとんど話題に上がらなかったようですが、Amazonのレビューでは何故か絶賛の嵐というちょっと気になっていたサスペンスです。 二人の女性の独白のような文章が交互に綴られ、合間合間に関係者への取材インタビューが挿入される構成で、不妊、子育て、夫の浮気、母親との確執など、重くて辛い現実が語られているが、ぎこちないというか、なんか変------と思いながら読んでいたら、おおっ、そういうことか!と、まんまと騙されておりました。テーマと仕掛けもリンクしており、そのあたりも良。 湊かなえを軽くしたような”イヤミス”テイストは好みが分かれそうな感じで、どちらかというと女性好みのミステリかなと思う。 |